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Perfumeに特化した音楽ブログ/音楽に特化したPerfumeブログ

第65回 NHKのPerfumeドキュメンタリーが描いてきたもの その2

前回の続きです。

MJ presents Perfumeドキュメント 今世界へ(放送:2012年12月31日)

Perfume初の東京ドームライヴを「ドーム5万人ライブへの挑戦」として、そのクリエイティヴィティに迫るドキュメンタリー作品に仕上げたNHKチーム。彼らが次に追いかけたのは、〈WORLD TOUR 1st〉でまさに世界へ飛び立とうとするPerfume……なのですが、ここでもかなり思い切った工夫がなされています。

 

結論から書きますと、この「MJ presents Perfumeドキュメント 今世界へ」映画「WE ARE Perfume」のプロトタイプと言えますが、特徴として、ほとんど海外のPerfumeファン(とその想い)しか追っていません。ファンが主役で、メンバーはあんまり出ません。民放ではまず不可能そうな構成ですが、そんな無茶な番組の制作統括は我らが監督・佐渡岳利さんです!!!

 

番組は2010年の東京ドーム公演の映像(つまり「ドーム5万人ライブへの挑戦」の続きですよ、という演出)で始まり、LAでの「カーズ2」プレミア上映でのブラックカーペット、海外でのCDリリース、ソウルでの「ABUソングフェスティバル」など、2010年~2012年までの【海外展開】をざっと採り上げます。

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なお、ABUソングフェスティバルが終わり、会場の建物を出た3人がたちまち韓国のPerfumeファンに囲まれる→握手→ファンの「ギャアアァァア!!!(嬉しい悲鳴)」という歓待を受けるシーン(※まだ番組開始2分)が、早くも今回の切り口を物語っています。

 

韓国より戻ったPerfume。2012年10月22日には横浜BLITZで、初のアジア・ツアーにむけてリハーサルに臨みました横浜BLITZは「GAME TOUR」フィナーレの地であり、そしていまは無き会場です)。3人がそれぞれ、初の海外ワンマンについて語っています。

 

あ~ちゃん「ライヴハウスでできることなので、ドーン!と来る迫力はあると思う」

のっち「いつもどおりにライヴできたらいいんですけど……3人でステージに立てば、どんなところでも3人のライヴにはなるので」

かしゆか「どれくらいみんなが日本語を知っているのかもわからないから、どうなるんだろう……という感じですね」

三者三様の心持。初の東京ドームでもそうでしたが、あ~ちゃんはいつも前向きです(不安がないわけはないと思うんですが)。のっちのコメントは、踏んできた場数を感じさせますね。

◇NIGHT FLIGHT

10月25日の夜、台北松山空港。ロビーには、Perfumeの到着を今や遅しと待ち受ける200人以上の現地ファン。これ、どうも〈いつ、どの飛行機でPerfumeが到着するか〉がメディアで大々的に発表されていたと聞くのですが、大らかですねー。

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空港ロビーに姿を現した3人。あ~ちゃんが代表して挨拶した後、空港を出ようとしますが、プレゼントを渡そうと多数のファンが押し寄せ、大混乱! 3人は手に持てるだけのプレゼントや花束を抱えて、車に乗り込みます。車中でも「凄く嬉しいね!」「みんな日本語わかるんだね」「本当にファンの人なんだって感じ」と、想像以上の歓迎に興奮気味。あ~ちゃんは現地ファンと無事にコミュニケーションを取れたことが嬉しそうです。

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そして実はこの空港のシーンだけで、のべ6組ものファンがインタヴューに答えて、Perfumeが台湾に来てくれた喜びを語っています。

 

翌日。カメラは現地の進学塾へ……って?と思ったのですが、講師の若い女性がPerfumeファンだそうで、生徒にPerfumeへの想いを熱く語り、パソコンでlove the worldのライヴ映像を見せたりしています。微笑ましいですね。

 

続いて、白バイに乗った若い男性警察官が颯爽と登場。彼のバイクのキーホルダーは、なんとのっちの写真です。「毎日、大好きなのっちを見ていると元気がもらえます」。ほほう、濃さそうなのが来た!!

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そしてポリリズムからPerfumeを応援しているという彼の自宅を、カメラが尋ねるのですが……

壁一面Perfumeのポスター

・CDや写真集、掲載された雑誌などの膨大なコレクション

・グッズもTシャツ(PTA限定も)、パンフレット、カレンダーなど多数所持

・2012年の時点で9度来日し、Perfumeのライヴは13回観た

・大好きだという「コンピューターシティ」カメラの前で歌唱

・その歌詞を中国語に訳したうえ、「この歌詞は意味深ですね、Perfumeがブレイクする前の彼女たちの心境に近いと思います」と分析

 

負けたよ、その熱心さには……

 

なおこの時点で番組開始から10分が経過していますが、ファンの映像だけで半分を割いています。ここまで一般人がガンガン出てくるとは……「ドキュメント72時間」か!!(のっちもあの番組は大好きらしいです)

 

警察官が強烈でしたが、続いては17歳の可愛らしい女の子が登場。この動画にも登場している方です。

台北の町中でPerfumeの振りコピをする現地ファンの皆さん。たとえ日本語はわからなくても、ダンスならまったく同じものを共有できます。これがPerfumeノン・ヴァーバル(非言語的)な強みです。

 

その女の子は定時制高校の2年生。定時制高校を選んだのは、昼間は働いて、自分でお金を稼いでPerfumeを追いかけたいから……

って、意外とさっきの警察官ばりに振り切れてるよ!!! この女の子が、お母さんにもPerfumeを知ってもらおうと、いっしょにCDショップを訪れます。店内モニターに映るポリリズムのMVを見て「あっポリリズム!お気に入りの曲なの」と言うと、お母さんが苦笑しながら「(Perfumeの曲は)何でも好きなのねぇ」と返すシーンが、僕はとても好きです。

 

CDショップを出ると、女の子が所属するダンス・サークルの練習を、お母さんも見学に行きます。娘さんのダンス(曲は「Hurly Burly」)を微笑みながら見守るお母さん。しかし、お母さんは最初Perfumeが理解できなかったこと、女の子がどうしてもPerfumeのライヴを見に日本へ行きたがり、当然お母さんに反対されたため2~3日家に帰ってこなかったこと、初めて知る娘さんの熱心な一面に触れて、ついに根負けしたことが、お母さんの口から語られます。こらこら、あんまりお母さんを困らせちゃいけないよ!(※自戒を込めて)

 

また、先ほどの警察官が、ファン仲間たち(なんと30人くらいいる!)とのPerfumeライヴDVD上映会で、「GLITTER」を聴きながら狂喜乱舞しているシーンもありますが、彼に関しては、この先どんなシーンがあっても驚きません。そしてこの上映会(というか台湾公演記念パーティー)でも、ファンへのインタヴューが続きます。みんな思い思いに、Perfumeへの愛を語っています。

◇初の海外ワンマン

ライヴ当日の10月26日。警察官、高校生、塾の先生と、これまで登場した人が次々と会場であるNeo Studioに現れます。なんだか群像劇みたい! そして本当に久々に、Perfumeの3人も画面に登場、会場入りします。あ~ちゃんがミキサー卓を見て「ちょっと近代的ヴァージョン」と評しますが、意味はよくわかりません。

 

リハーサルが始まります。会場の広さに反してステージそのものは小さく、見え方を知ろうとあ~ちゃんがステージを降り、客席からかしゆかとのっちのパフォーマンスをチェック。次々と修正を入れていきます。(この辺から、画像はDVD「WORLD TOUR 1st」のものを拝借しています)

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あ~ちゃんが問題点に気づけば、舞台上の2人はすぐに「じゃあこうしようか」と案を出す。このやり取りにはMIKIKO先生も内山監督も基本ノータッチ。ナレーションが入ります。

 

〈3人は、衣装を替えたりマイクを置いたりといった、ステージでの動きやタイミングを自分たちで話し合い、決めるようになりました。デビューから12年、観客の目線に立って自ら演出するまでに成長しています〉。

 

もちろん、「Perfume WORLD TOUR 1st」のDVDでは先生や内山監督ともいろいろ話し合っているシーンがありますが、「ドーム5万人ライブへの挑戦」からの進化も感じさせるくだりです。

 

 

18時、会場がオープンすると高校生と塾の先生は最前列をキープ。警察官はちょっと引いた場所にいますが「ホントに夢みたい!」と嬉しそうです。その頃楽屋では、3人が中国語での挨拶を懸命に覚えています。一通り練習して、のっちが「あ~、言えそう!!」と喜んでいるのが何かウケます(しょっちゅう言い間違えるから)。

 

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開演直前の楽屋で、初の海外ワンマンに臨む3人が気合入れを行います。あ~ちゃんが「お客さんも、超楽しみにして来てくれています。海外の人ですが、思いはきっと伝わる!」と言うのは、前日の空港で現地ファンの皆さんと会って、しっかりコミュニケーションが取れたからでしょうか。緊張も感じさせながら、舞台袖に向かう3人。出る直前まで、1曲目「Enter the Sphereのフリを確認しています。

 

 

場内が暗転、大歓声の中でステージに3人が現れた瞬間、客席の歓声がピークを更新します。これは映画「WE ARE Perfume」でも、多くの会場で幕が振り落とされるあの瞬間を使っていたのと同じですね。

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「コンピューターシティ」のイントロでは、これ以上なくエキサイトする警察官の姿が映し出されます。わざわざカメラの前で歌ってくれた、彼にとっていちばん大切な曲。このシーンの連続性をきっちり押さえる演出と制作力、おそるべし!

 

中国語でMCする3人、もちろんカンペはガン見ですが、ファンは大喜び!(かしゆかだけは短い挨拶だからか、暗記しています)

 

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塾の先生は、初めてPerfumeを好きになった曲というlove the world(※生徒にも見せていましたね)のコスプレをしていて(というかその衣装を手作りして、寝たのが当日の午前4時)、その曲が始まったときの彼女の喜びようもきっちりカメラは捉えています。さすがです……!

 

ライブは中盤に入り「P.T.Aのコーナー」へ。あ~ちゃんが「やってまいりました、P.T.Aのコーナー! リズムに合わせて声を出したり、身体を動かしたりするコーナーです」と紹介しながら泣いているという、非常におもしろ……もとい珍しい画です。

「みんなといっしょに、楽しい時間を作りたい! みんないっしょにやってくれますか?」への大歓声に「ありがとう」と涙声で答えるあ~ちゃん。「小籠包! 小籠包!」ご当地ネタで煽りながら泣くという、なかなか不思議なシーンですが、これも誰も予想しなかった、ドキュメンタリーならではの画です。

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ライヴ本編のラストは、高校生がお母さんに「これお気に入りなの!」と語ったポリリズム。最前列でこの曲を懸命に歌う、彼女の姿が映し出されます。「コンピューターシティ」「love the world」そして「ポリリズム。番組にフィーチャーされた3人の大切な曲が、それぞれに届けられる様が記録されています。

 

自分の好きな人が、目の前で自分の好きな曲を演奏してくれることがライヴの醍醐味です。台湾のファンの姿は、日本のあなたでもあり、私でもあります。国境も言語も飛び越えて、人が何かを共感できる。それが文化芸術の魅力であって、映画「WE ARE Perfume」からも感じられる普遍的なテーマですね。

 

アンコールを終え、楽屋に戻るPerfumeの3人。ほっとしたのもつかの間、かしゆかが「えっ!?」と短く叫びます。場内に残ったお客さんがDream Fighterを合唱しているのです。「え!?」と驚くあ~ちゃん。のっちは忍者のように出入り口に張り付き、会場の声に耳を澄ませています(画的にはなかなかおもしろい)

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実は、視聴者だけはこの展開を知っています。前日のファン同士のパーティーで、みんな「Dream Fighter」を練習していました。この展開と、驚く3人の姿をどちらも観られるのは視聴者だけです。

 

映画「WE ARE Perfume」でも終演後に観客が合唱するシーンはありますが、3人にとって海外でのこんな反応はこの日が初めて。かしゆかは「Dream Fighter』歌ってる!! どうしたらいい?どうしたらいい!?」と、比較的クールな彼女には珍しい切迫したトーンに(つまり感情の吐露に)グッときます。これもまた、ドキュメンタリーならではの画です(しかし、「WORLD TOUR 1st」のDVDでは、このかしゆかの狼狽ぶりは映っていません……)。

 

異国のファンが、どれだけ自分たちが来るのを楽しみにしていてくれたか、改めて感じた3人。かしゆかとあ~ちゃんは涙をこらえきれず、のっちは何とも言えない良い顔をしています。客席の合唱が終わり、歓声が続く中で舞台袖に準備されたマイクに向かって、

あ~ちゃん「みんなー!」

3人「ありがとーー!!」

このときの3人の表情が、本当に美しいです。これもドキュメンタ(以下略)

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終演後、塾の先生、高校生、警察官がそれぞれライヴの感想を語っています。

塾の先生は「3人のとりこになりました」

高校生は「人生最大の想い出になりました。将来は日本語をがんばって、日本の大学で勉強したいです」と言っています。当時高校2年生、2015年のいまは、どこで何をされているのでしょうか(映画「WE ARE Perfume」の台北会場でも彼女はしっかり映っていましたが)。

警察官はPerfumeはすでに、アイドルの域を越えています」「彼女たちがいるから、すべての仲間の心が繋がっています。このひとときを共有できて、本当に感謝しています」水を差すようですが、そういう魅力がある人こそ、アイドルなんだと僕は思いますよ!

 

その後の香港、韓国はバッサリと省略され、ツアーの最終公演地である11月23日のシンガポール。映画「WE ARE Perfume」でもシンガポールはフィーチャーされましたし、3棟のビルが巨大な船を支えているアレもまた出てます。

 

シンガポールでは、ファンとのミート&グリートの模様が映ります。かしゆかと話す14歳のメガネ男子、Perfumeのことは「YouTubeで知った」とか。その後のワールドツアーすべてに言えることですが、やはりPerfumeのブレイクとYouTubeの世界的メジャー化の時期が重なったのは本当にラッキーだったと思います。なおこの少年、緊張して目の前のかしゆかと目を合わせられず、かしゆかが彼の肩をがっちり掴んで「目を合わせてー!」と言うので、彼の中で何か外れたと思われます。

 

ミート&グリートに来ているのは現地の男性が多いのですが、なぜかみんなこぞって朴訥とした風貌で、ガチガチに緊張 or 照れまくりです。映像を見るだけで手に汗握ります。参加者には相当いかつい野郎もいますが、あ~ちゃんを前にして驚異的に照れまくり、完全に手玉に取られています。絶対にいい奴だな、彼は……!

◇WORLD TOUR 1st 最終日

11月25日、シンガポール公演の当日。会場前には、東南アジアオセアニア諸国から来たファンが集結。

インドネシアのファン「僕らがPerfumeを好きなのは、情熱的で忍耐もあって、みんな魅力的だからです」

フィリピンのファン「Perfumeのファンクラブがフィリピンにもあります。いつかフィリピンにも来て下さい」

マレーシアのファン「ずっと輝き続けて下さい!(Please shine on, Perfume!)」

またオーストラリアのファンも来ています(映画「WE ARE Perfume」にも!)。

 

そのころ、3人はリハーサルの真っ最中。しかしまだ、ラストの曲を決め切れていません。アジアツアーを締め括るのにふさわしいのは「Puppy love」か「MY COLOR」か……

 

あ~ちゃんは、曲の意味合いも含めて「MY COLOR」をラストにしたいようです(実際、スマートフォンYouTubeを見たりして、Perfumeを知った人も多いはず)。しかしサビの振りがちょっと多いことを心配していて、それは上述のミート&グリートで、ほとんど日本語が通じなかったことが原因です。

 

「今回のツアーでいちばん日本語が通じんくて、厳しい。どうじゃろう………………いや、でもね、信じていいと思う。ファンの人を信じていこう

 

 

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そして迎えた開演時刻。ステージ衣装に着替えた3人が「がんばるぞ、オー!」の気合入れを行います。ちなみに気合入れからの長い沈黙は、映画でおそらく初めて見せていますね(テレビやDVDでは途中カットされています)

 

シンガポール公演はウメさん(映画でも……?)の見事な通訳も挟みつつ、順調に進みます。ライヴのダイジェストを経てアンコールへ。あ~ちゃんのMCが入ります。

「海外進出に踏み切るには勇気が必要だったけど、Perfumeはいま行くしかないよ!と背中を押してくれる人が、深く愛してくれる人が、近くにいてくれました

これはきっと、いや間違いなく、徳間ジャパンのスタッフのことを指しているのでしょう(この件は以前ライヴのMCでも言及していました)。

 

「本当に、ここに立つまでにいろいろあったから……凄く、凄く嬉しいです」

 

海外に行くという夢を叶えるために、Perfumeは長く所属した徳間ジャパンと、そのスタッフの元を離れました。〈新しい場所で、うまくやっていけるかな〉という不安も(※ユニバーサルと海外進出という二つの意味で)あったはずですし、だからこそ、初の海外ツアーに手ごたえを感じられたことが、何よりも彼女たちにとって嬉しかったはずです。

 

そしてその勇気と決断が、3度のワールドツアーと映画「WE ARE Perfumeにまで繋がっているのです。

 

そして、迷いに迷ったアンコール曲「MY COLOR」へ。まあ普通に超盛り上がってましたけどね!!!

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※「WORLD TOUR 1st」のDVDを見ていたら、かしゆかに「目を見て!」と言われた14歳のメガネ男子もしっかり映っていました

 

番組の最後を飾るナレーションは以下の通り。

「広島で誕生したPerfume。より大きな舞台で活躍することをめざした3人の想いが、いつの間にか世界へと広がっていました。彼女たちはその陰に、3人の成功を願う、応援してくれる多くの人々の存在があることを、胸に刻んでいます。

そんな想いを胸にスタートした、今回のアジアツアー。Perfumeの3人はそこで、彼女たちを愛し、国や言葉の違いを越えて繋がり合う多くのファンと出会いました。Perfumeにとって、世界という夢の舞台は、想像を越えて、さらに大きく広がり続けています」。

 

この番組はPerfume海外進出の最初期の記録であり、構造やテーマにおいて、映画「WE ARE Perfume」のプロトタイプ、前日譚としても位置付けられます。海外進出を、ファンの目線を通して描くことで、Perfumeをひとつの〈現象〉として捉えている語り口も映画と重なります。

 

「ドーム5万人ライブへの挑戦」とはまったく異なる切り口で、Perfumeの凄さを描いてみせた、これまた工夫と発想の詰まった名作ドキュメンタリーであり、映画公開を機に、改めて広く見られてほしい作品です。

 

残るはPerfume×Technology」、そしてPerfume LIVE at NHKです。映画の公開中に終わるのか……?

第64回 NHKのPerfumeドキュメンタリーが描いてきたもの その1

2015年10月31日、Perfume初のドキュメンタリー映画「WE ARE Perfume –WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」がいよいよ公開されました!

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この作品を監督(撮影と編集も!)なさったのが、NHKで数々のPerfumeドキュメンタリー作品を手掛けた佐渡岳利さんということで、今回はNHKドキュメンタリーは、Perfumeの何を描いてきたのか?〉を振り返ってみましょう。その連続性から、見えてくるものがあるはずです。

 

Perfume 20歳の挑戦 ―Dream Fighter―(放送:2009年1月17日)

2007年12月31日のZepp Tokyoカウントダウンライヴに始まり、初の紅白歌合戦で披露した「ポリリズム」まで、2008年のPerfumeをカメラで追い続けた、Perfume初のNHKドキュメンタリー(もっとも、これ以前にトークショーの傑作「トップランナー」なんかもあったりします)

最初に結論を書くと、Perfumeの人柄とストーリー性にフォーカスした内容です。これは、まだPerfumeをよく知らない人が圧倒的に多い時期に、もっとも有効な演出とは何だろう?という判断に基づいているのでしょう。

 

いきなり序盤に、(時系列を飛ばして)紅白歌合戦のステージを終えた3人のコメントが入ります。NHKならではの映像素材でカマしてきますね

そしてこの番組では、広島でのロケ撮影が大きなキーポイントです。広島のご当地イベント「SOUND MARINA 2008」初出演の模様や、Perfumeにとっての広島とは〉を語ったり、3人の思い出の場所(あ~ちゃん:安神社 かしゆか牛田小学校 のっち:スタジオ橘高なつ、3人:アクターズスクール広島)を訪ねたりします。

 

広島時代の3人がアクターズスクールに通っていたのは、毎日の放課後だけでなく、週末は朝9時30分から23時までと、誰よりも練習していたこと、その頃からなるべく人とは違うものをやろうとしていたことが語られます(その後の活動にも繋がっていく、重要な話です)。

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プライズで、現役のスクール生40人が集まって「ポリリズム」を踊ってくれるシーンもあり、まだ何もしてない段階からすでに泣いているあ~ちゃんも見どころです(後で「アクターズに顔向けできない時期もあったから」と語っていて、まあそういう負い目があったからなのでしょうね)。

 

広島のシーンが終わると、メンバー3人のインタビューと、武道館に向けて準備を進める3人やスタッフの皆さんの様子が映し出されます。この時点でMIKIKO先生もフィーチャー「視覚で歌詞や歌の世界観を広げていくのにこだわっている」と、振付の核心を語っておられます。

 

武道館の直前リハであ~ちゃんがダウンし、それを気遣うのっちとかしゆかや、練習のし過ぎであ~ちゃんの足裏の皮膚が剥がれていたりというショックシーン(?)もあります。

「じゃあパーフェクト(スター・パーフェクトスタイル)は〈9〉にしよう」と、曲ごとにステージ上のバミリ(目印)で立ち位置を調整する姿もあり、これは「LIVE 3:5:6:9」のすごろくコーナーでも見られたものですね。

 

番組の最後は、日本武道館でのアンコール曲Dream Fighter。この曲の前のMCで、あ~ちゃんは「スタッフの方に〈今年は武道館をめざそう!〉と言っていただいて、いままで人に希望を持たれたことがなかったので、凄く嬉しくて」と語っていますが、この言葉、映画「WE ARE Perfume」の終盤であ~ちゃんが語るあの言葉とはまったく……。

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ここでの「Dream Fighter」は、番組全体のエンディングテーマとして、そして〈2008年のPerfumeの活動〉を象徴する曲として流れます。それをバックに、3人がPerfumeのこれから〉を語り、番組は終わります。

 

かしゆか「ずっと3人で音楽をやっていきたいです」

あ~ちゃん「10年後、20年後……30歳でもダンスとかしてたら、カッコいいですね」

のっち「皆さんに飽きられないことをやっていって、ずっと3人で笑ってられればいいなと思います」

 

この言葉、2015年に改めて聞くと、また違った意味合いを持ってきますね。

 

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「20歳の挑戦」は、〈2008年のPerfumeの記録〉として申し分ありません。Perfumeの魅力がわかりやすく伝わる、3人の人柄とストーリー性を前面に出した点が特徴です。

まだPerfume現在のようには知られていなかった2009年らしい時代性の強いドキュメンタリーとも言えます。

蛇足ですが番組中〈「ポリリズム」で注目を集め、アイドルからアーティストに変貌を遂げた〉というナレーションがありましたが……いまもアイドルだと思いますよ、それも最高の!!

 

MJ presents 密着!Perfume ドーム5万人ライブへの挑戦(放送日:2010年12月31日)

これも結論から書きますが、MIKIKO先生とPerfumeの関係性を軸に、Perfumeチームとしての5万人ライブへの挑戦を記録したドキュメンタリー作品です。そして、ここから佐渡さんが〈制作統括〉として携わっています。

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番組開始1分、東京ドームで3人のステージを感慨深そうに見ているMIKIKO先生が超アップで登場! それからシーンは一気に時間を遡り、小規模なスタジオでのリハーサル風景に。そこで以下のナレーションが入ります。

 

Perfumeの夢のライヴは、MIKIKO先生と共に作られたこと

Perfumeが小学生のときに先生と出会い、先生がずっと振付と演出を担当している

・あ~ちゃんは東京ドームに向けて、不安のあった足の親指の爪を手術したばかり(!)で踊れなかったが、その間の練習では先生があ~ちゃんの代役として(!)、かしゆか、のっちと踊っていた

・「Perfumeの掟」のナレーションで使われる、3人が考えてきた課題〈それぞれにとってのPerfumeとは?〉を聞いた先生、嬉しそうに「いい子に育った!」、かしゆか「お母さんみたい!」

 

ちなみにこの課題への回答は、

あ~ちゃん:黒髪 美白 前向き 夢追い人 アイドル

のっち:信じること 信じ合うこと 信じた道を進むこと

かしゆか:どんな状況もプラスに変える 楽しむ気持ち 妥協しない心

でした。映画「WE ARE Perfume」でも、〈それぞれにとってPerfumeとは何か?〉が語られますが、上記の回答とはかなり異なっていますし、2010年にはまだ〈3人のこと〉だったPerfumeが、「WE ARE Perfume」ではかなり変化しているようにも捉えられます。でも、それこそが時間(の経過)というものかもしれませんね。

 

それはそうと、この番組の序盤はPerfumeの、というよりMIKIKO先生のドキュメンタリーと言ってもいい編集がなされています。歌って踊るPerfumeを期待した人は面食らったことでしょう。MIKIKO先生が練習スタジオで細かい調整やナレーション収録をして、関さんと映像の打ち合わせをして、幕張メッセでのリハーサルで細かい調整をして、ドームのリハーサルでも細かい調整をして……カメラは延々と調整を重ねるMIKIKO先生を映します。

 

絵面としては、同じNHKでも「プロフェッショナル 仕事の流儀」みたいになってますが(もっともあの番組には真鍋さんも出演されたし、MIKIKO先生もいつ出られてもおかしくない)、はたして長い下積みを経て、苦労を重ねて、いよいよ夢の舞台である東京ドームに立つ!みたいなPerfume苦労人的ストーリーを押し出した作品にもできたはずだし、ドームに向けて努力を重ねる3人の人柄にフォーカスした、いわゆる〈感動的な〉作品にもできたはずです。

 

 

でも、そうはしなかった。

 

タイトル「Perfume ドーム5万人ライブへの挑戦」の〈挑戦〉とは何か。MIKIKO先生がスタジオで語っています。

「大変ですね……今までのものを変えずにやりたい、というのが凄くあります。ドームだからって手を替え品を替えではなく、ドームになっても、今までのスタイルでできるんだよ、と見せられるかどうか」

 (恥ずかしながら、当時この東京ドームのライヴを見て「いつもどおりのライヴで、確かに集大成っぽさはあったけど、別に新しい挑戦はなかったな~」とかほざいていた私ですが、いつもどおりであることが最大の挑戦だったと、この番組で気付かされました)

 

幕張メッセでの事前リハーサル以降は、舞台監督の内山さんが大活躍!! 番組内では何一つ紹介されない内山監督ですが、常にメンバーのいちばん近くで寄り添い、MIKIKO先生からの指摘やメンバーの要望にビシビシ応えていく姿に、この人は只者じゃない感がありありです。番組には内山監督のコメントも入れてほしかった……

 

リハーサル中、曲間のマイク受け渡しについて、メンバーと内山監督が非常に細かい確認をしています。これも「LIVE 3:5:6:9」のすごろくコーナーで見られたものですね。

 

そして本番の前日である11月2日、東京ドームでのリハーサルが始まります。あまりにも巨大な空間に「自分がライヴするところだとは思えん」「信じられない、どうしよう」「夢を見ているみたい」と、メンバーは浮足立っています(それでもあ~ちゃんだけは「身が引き締まる思い」と地に足が着いており、さすがです)。

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Perfumeの掟」では短時間にメンバーの位置が大きく入れ替わるため、3人は巨大な花道の内部を、猛烈な勢いの台車に乗って移動します。新しい演出や、衣装の早替えもあったりします。テレビ的には美味しい絵だと思うのですが、それでもカメラは、舞台裏のスタッフワークのプロフェッショナルさを中心に見せていきます。ここでのメンバー3人は主役というより、あくまでも〈チームのうち、ステージ上に立つという役割〉に徹しているかのようです。いや、本当は実態としてもそうなのかもしれません……。

 

なんでもきっとできるはず

ついに迎えた2010年11月3日。初の東京ドームライヴ当日です。ここでカメラは、場内のお客さんに〈Perfumeの魅力は?〉と尋ねていきます。その答えは、

・ダンスが揃っている、曲が可愛い、トークがおもしろい

・人柄の良さ

・10年間続けて同じメンバーでやっていること、つらかった時代を乗り越えて今を勝ち取ったところ(※つまりストーリー性)

このうち〈人柄とストーリー性〉は、この「ドーム5万人ライブへの挑戦」ではほとんど言及されていません(なぜなら2009年にもうやってるから)。そこを観客のコメントでフォローしているのですね。

まあ、2015年になってもPerfumeの人柄とストーリー性〉だけを絶賛する、言ってしまえば安直なメディアがすごく多いのですが、さすがにNHKチームは一線を画しています。この批評性や工夫があったからこそ、映画「WE ARE Perfume」にまで繋がったのでしょう。

 

そして開演の直前、舞台裏でスタンバイしている3人の耳に、5万人の大観衆が打ち鳴らす手拍子が怒涛のように響きます。このときのあ~ちゃんの、ぼう然としたような表情(の美しさ)ときたら! これは演出や計算では絶対に撮ることができない、ドキュメンタリーならではの絵です。誰も予期せぬもの、偶然生まれたものが観られてしまう、ドキュメンタリーの醍醐味です。

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万感の想いをこめたあ~ちゃんの話から、「がんばるぞ!おー!」の気合入れをして、ステージに向かう3人。いよいよ東京ドームライヴがスタートします! なお、40分ちょっとの番組ですが、この時点で早くも30分が経過しています。

 

オープニングの荘厳な「GISHIKI」から、センターステージの三角錐の幕が吹っ飛んで「シークレットシークレット」が始まる、いきなりのクライマックス!!

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ですが、カメラはその吹っ飛んだ後、機構に回収されていく幕だけを追っています。これは幕張メッセのリハで幕の回収がうまく行かず、幕が破れてしまったというシーンと対になっていますが、この間メンバーは一切映っていません!!! この瞬間に会場にいた5万人以上の中で、幕の行方を最後まで見ていたのは、スタッフの皆さんと、このカメラだけでしょう。その意味では、非常に貴重なショットとも言えます。

 

その後も「GAME」での花道CAR(メンバーが乗って花道を移動する台みたいなの)やPerfumeの掟」など、メンバーとMIKIKO先生と内山監督たちが、リハで改善に改善を重ねていた楽曲が次々と披露されます。それはライヴを見ているだけでは決してわからない、舞台裏での工夫やアイデア、試行錯誤の積み重ねが、〈ライヴという作品〉として結実していく様子そのもの。このドキュメンタリーで描かれているのは、一言で言ってしまえば〈ものづくりの難しさと、それに挑戦することの素晴らしさ〉なのです。

そしてこのテーマは、映画「WE ARE Perfume」にも通底しています。

 

ライヴが終わり、MIKIKO先生がPerfumeの楽屋に向かいます。そのエレベーターの中で、MIKIKO先生が「(いまごろ3人は)笑ってるかな? 今日は笑ってる気がする」。同乗していたマネージャーの山本さんも「うん、(ライヴの)最後笑顔でしたね」。先生「とてもいい笑顔だった」。

 

 

しかし楽屋に入った先生の顔を見た3人、いきなり泣き出します! 笑ってはいなかった!!

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3人は涙をこぼしながら、「先生のおかげじゃ、ほんまにありがとう」と感謝を述べ、MIKIKO先生は「3人だけで見せ切ったね、頼もしい。こんなの見たことないね」と3人をねぎらいます。最後はあ~ちゃんがとびっきりの笑顔で、拍手しながら「素晴らしい!! 素晴らしい!! ねー!!」と、かしゆかとのっちと顔を見合わせながら、先生を褒めたたえるシーンで番組は終わります。

 

ここにはMIKIKO先生とPerfume師弟愛があり、絶対的な信頼と(※「Puppy love」からいただきました)家族のような愛情があり、何より、揺るぎない敬意と、長きに渡って力を合わせて、ここまで来られたことへの感謝があります。このシーン、実に尊くて美しいです。

 

 

ちなみに番組の終盤では、こうもナレーションされています。

MIKIKO先生と共に、10年の歳月をかけて作り上げてきた究極のライヴ・パフォーマンス。3人だけで見せたい、そしてお客さんのより近くへ。Perfumeの3人がめざした夢のステージは、表からは姿の見えない多くのステージスタッフ、そして彼女たちを愛してやまない5万人の観客と共に成し遂げられたのです〉

 

この番組で、〈表からは姿の見えない多くのステージスタッフ〉の姿をしっかり捉えてみせたNHKチーム。となると、次にNHKチームが描くのは……?

 

MJ presents Perfumeドキュメント 今世界へ(放送:2012年12月31日)

次にNHKチームが追いかけたのは、〈WORLD TOUR 1st〉でまさに世界へ飛び立とうとするPerfume……なのですが、ここでもかなり思い切った工夫がなされています。

 

冒頭は2010年の東京ドーム、LAでの「カーズ2」プレミア上映でのブラックカーペット、ソウルでの「ABUソングフェスティバル」な(次回につづきます)

 

第63回 Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP

Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPPが終了しました!

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このプロジェクトに携わり、成功に導いた皆さん、そして参加された皆さん、本当にお疲れ様でした。

私もDAY1の「P.T.A.サミット」から「三人祭」、「Perfumeダンスコンテスト」、「LIVE3:5:6:9」と参加することができました。ドキュメンタリー映画の試写会は外れました!

 

◇After The Days

Perfume Anniversary 10daysでいちばん最初に(というか途中で)感じたのは、「超泣けた!」「もっとPerfumeが大好きになった!!」「これからもずっと応援する!!!」……とかではなく、

これはやっぱり、さすがに詰め込み過ぎなんじゃないかな……ということでした。

 

DAY1 P.T.A.サミット

DAY2 Perfume FES!! 2015 三人祭

DAY3 Perfumeダンスコンテスト 魅せよ!武道館

 

まずここまで見た段階で、それぞれ準備に数か月は必要であろう催しを、3日間連続でやることは、いくらなんでもちょっと厳しかったように見えました。

 

以前、サマーソニックが3日間の開催だったことが1回だけありましたが、主催社であるクリエイティブマンの方が「1日増やすだけで3倍くらい大変になったと語っていたのをどこかで見ました。もちろんサマソニは東京と大阪の移動がありますし、単純に今回のケースとは比べられませんが、やはりショービジネスにおいては、同時に進めなければいけないタスクが増えれば増えるほど、スケジュールやマンパワーの制限もあって足し算というより掛け算で大変になるように思います。

しかも、その先には「LIVE3:5:6:9」が控えていたわけですから……

 

そのうえ、10DAYSの直前には「Perfume展」の準備もあったりして、メンバー・スタッフの方々の労働量は限りなくピークだったと思われます。それこそ何人か入院していてもおかしくないくらいの……

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Perfume Anniversary 10days 序盤戦

いざ迎えたDAY1、9月21日のO-WESTP.T.A.サミット」では、普段まずやらない曲ばかりを披露(しかも2回回し)。普段はPerfumeのダンスの間違いにまず気付かない私ですが、それでも認識できるミスがちょいちょいあったりして、珍しいなと思っていました。とはいえ、いまのPerfumeがやる意義のある、素晴らしいライヴであったことは断言できます。

 

そして9月22日には日本武道館に舞台を移し、DAY2のPerfume FES!! 三人祭」。過去2回のPerfume FES!!を観てきましたが、そのときと比べてしまうと、Perfumeとゲストのコラボレーションや化学反応が、そこまで見られなかったように思います。

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いや、もちろんNegiccoPerfumeによるラインダンスとか、凛として時雨ピエール中野さんによる熱弁・激論・暴走(いずれ詳報したいです)は最高でしたが、出演者が多かったこともあり、まずはそれぞれのゲスト出演者のライヴをしっかり見てもらおう、という雰囲気がありました。

そして何よりゲスト出演者が、Perfume FES!!ならではの、Perfumeに寄せたパフォーマンスをすることもあまりなかった……とはいえ、これは私が過去に見た「Perfume FES!!」が、東京スカパラダイスオーケストラライムスターという、にわかには信じがたいレベルでPerfumeへ寄せてきた偏った人たちだったことに起因する偏った印象かもしれません。

 

そして9月23日のDAY3Perfumeダンスコンテスト 魅せよ!武道館」

これは当日に「ミュージックステーション」の生中継の予定が入っていたためか、進行が非常にタイトでした。過去のコンテストでは、出場者1組ずつにPerfumeメンバーやMIKIKO先生、関さんがコメントを寄せて、そこでそれぞれのダンス論や、Perfumeのエンターテイメント性の秘訣が窺えたりしたのですが、今回は(言葉は悪いですが)どうも形式的というか、淡々と進行していった感がありました。

コンテスト後の「ミュージックステーション」生中継(ポリリズム)も無事に終わった後、あ~ちゃんが久しぶりに見るレベルでボロボロと涙をこぼしていましたが、これが〈良かった、無事に終わった……〉という安堵の涙なら、やっぱり相当のプレッシャーとストレスが掛かっていたのかもしれません。

 

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そして9月24日のDAY4が、映画「WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」の先行プレミアム上映会。これは抽選に外れたので行けませんでした。

この上映会こそ日本武道館でやってくれたらいいのに、1万人で映画を観て、笑ったり感動できたりしたら最高なのに……と思わなくもなかったのですが、その後の「LIVE3:5:6:9」に向けたステージ設営などの準備のためにも、武道館は到底使用できなかったことが察せられました。

 

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掉尾を飾るのは、9月26日より10月7日までが日本武道館広島グリーンアリーナで開催された、DAY5~10の「LIVE3:5:6:9」

これについてはまた詳しく書くつもりです。

 

Perfumeの結成15周年、メジャーデビュー10周年を祝う場所にふさわしいのは、やっぱり武道館だったと思います(Perfume史的にももちろんのこと、立地や収容人数も含めて、です)。そこを10周年だけに10日間押さえて、そのすべてで違う内容(ですよね)のライヴを行うような人は、後にも先にもPerfumeだけでしょう。こんなライヴはもう二度とないと思います。

 

もちろんどの日も楽しかったし、行けて幸運でした。それでも、先に書いたように詰め込み過ぎの、少し無理を感じる部分はありました。

 

それではなぜ、PerfumeチームはこのPerfume Anniversary 10daysを敢行したか。

 

実際、周年イベントとしては、他にいくらでもやりようがあったはずです。もっと労力を抑えて、収益も上げやすい方法が。武道館を10日連続で押さえて、なおかつそれぞれの公演でステージセットをまったく変えなくてもいいやり方が。

 

アミューズ東証一部上場の中堅企業ですし、収益の最大化が株主に対する責務でもあります。福山雅治さんがああなったこともあり、Perfumeにかけられる期待もこれまで以上になるかもしれません。

 

 

それでも、あえて困難な道を選び、10DAYSを完遂しようとするのは。

それは、誰もやっていないことに挑戦して、新しくておもしろいことを探し続ける姿勢にこそ、エンターテイメントの、文化芸術の可能性があるからではないでしょうか。

 

今回の10DAYSは、その見た目以上にタフで挑戦的で、まったく新しいトライアルだったと思います。そして、こんな無茶が通せるほど、Perfumeとチームの皆さんが成熟し、新しいフェイズに(いつのまにか)入っていたのだと考えています。

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Perfumeに残された時間がどれくらいあるかはわかりません。でも、すべてはなるようになるだけでしょう。

私はこれからも、Perfumeの3人とチームの皆さんの活躍を見届けていきます。

第62回 P.T.A.サミット!!その3

前回(その2)の続きです。その1はこちら。

<MCテーマ:メジャーデビュー>

あ「メジャーデビュー10周年という特別な日を、O-WESTで、大切なスタッフさんと、皆さんといっしょに迎えられることを、本当に嬉しく思います。それで今日は、当時を思い返す特別なものがあるんだよね?」

の「そうなんです!(と上手の袖に消えると、可愛らしい表紙のノートを持って戻ってくる)これね、当時のMC帳。あの頃はMCは全部ノートに書いて、一言一句覚えとったから。えーと、メジャーデビューを発表した、7月7日のライヴのMCね。MC2。『ありがとうございましたー! さて、今日は何の日でしょう? そう、七夕でぇす!!』」

あ「えっちょっと待って、でぇす!!って、小さな〈ぇ〉まで書いとる!あははは、やだー!!!

の「みんな、あなまがわ……天の川見たことある?」大丈夫か、のっち

の「あいにく雨なんか降っちゃったけどぉ、ここにがあるので……」

あ&か&客竹?

の「ステージの下手に竹があったんだよね

あ「それで竹にどうするん?」

の「そこから先は書いてない。〈竹があるので〉で終わってる

あ「途中で面倒くさくなって手抜きするのやめてもらっていいですか!」

 

また、何かのくだりで、ちょっとおもしろいことを言う文末に〈~です(笑)〉と書かれていて、そのまま「かっこわらい」と読むのっちに、あ~ちゃんが「いやいや、笑うかどうかはそのときの空気次第じゃろ」と至極真っ当な反論をなさっていました。

 

そして3人でノートをのぞき込み、MCの再現。このころは割り振りまで決めていたようです。(以下、記憶があいまいな部分も多いので、雰囲気だけお伝えします)

の「じゃあ、MC5ありがとうございましたー、今の曲は『スウィートドーナッツ』でしたー!」

あ「そして、ここでお知らせがありまぁす!」

か「徳間からぁ!」

の「9月にぃ!」

あ「出まぁす!」

3人「リニアモーターガールぅ!!」

の「うあーこれ恥ずかしい! もう絶対に見せれん!」「あとはもう延々と告知が書いてある」

あ「でもメジャーデビュー発表の映像、代々木のライヴでも少し流してくれとったよね。(左右にふんぞり返るようなアクションつきで)『メジャーデビュー決まりましたぁ!! 9がぁつ!! 21日ぃ!!!』って、ちゃらついとった

 

<MCテーマ:衣装>

あ「あの頃はよくわからんで、サイバーな衣装とか着させられとったね……でも今日は、白い可愛い衣装です。うちらが白を着る時は、気合を入れて、覚悟を決めてるときです

へー、これは知らなかった!!

 

<MCテーマ:スウィートドーナッツ>

あ「昔『スウィートドーナッツ』をやるときは、サビの振り付けをいちばん元気よく、もしくは最初ふてくされていたけど最後にちょこっとやってくれた人を対象に、サイン入りのシールをプレゼントしていたんです。そして実は今日……私たちは『スウィートドーナッツ』の間、皆さんを観察しておりました!

そして3名の方にサイン入りシールのプレゼント。シールは100均で買ってきたもので、メンバー曰く「もこもこ」「角度によって動物が動いているように見える」「プリ帳に貼られてそう」「ファンシー」とのこと。

 

MC、他にもあったかもしれませんが、私の記憶力はもう限界です。

 

◇そしてまた歌い出す

物凄く長いMCを経て、ライヴの後半戦がスタートします。あ~ちゃんが中央でひざまずくと、上手のかしゆか、下手ののっちも立膝で座ります。かしゆか、スカートの丈的にその立膝は大丈夫なのか?と思いましたが、まあ26歳だしな、と納得させました(自分を)

あ~ちゃんが何か気合を入れるような啖呵を切ると、かしゆかとのっちが立ち上がってフォーメーションへ移動。あ~ちゃん「ふたりは座る必要なかったんだけどね!」

そして、リリース10周年を迎えた記念すべきリニアモーターガール」! ここからはリップシンクだったような。ちょうど1年前の代々木でも披露されたこの曲、Perfumeのテクノ・ポップ期の終盤を飾る、宇多丸さんいうところのハードコア・テクノ・ポップです。そして続けてポリリズム!! ポリループ時の歓声、そしてループ後のクラップ。あ~ちゃんは本当に嬉しそうでした(この曲ではいつもそうだけど)。

メジャーデビュー曲、そして飛躍のきっかけを掴んだ曲という流れで、2005年~2007年という2年間の苦闘を一気に飛び越えて見せました。

Perfume! Perfum!

ポリリズム」が終わると、キックの4つ打ちが流れます。「P.T.A.のコーナー」。いつもの「男子ー! 女子ー!」に始まり「上ー! 下ー!」もあり。そして「ぱふゅーむ!」。これはP.T.A.検定のスコアですね。

「ぱーふゅん!(ワー!!)

ぱふゅーむ!(ワー!!)

ぱーふゅん!(ワー!!)

ぱふゅ!

会場の全員が無言&誰ひとり手を上げないなか、おずおずと手を上げるあ~ちゃん。まあそれは知ってました。

 

場内の熱気(と笑い)がますます高まるなか、あ~ちゃんが「みんな歌って!! チョコレイト・ディスコ!!」。会場が小さいので、お客さんの「ディスコ!」の声が、いままででいちばん大きく聞こえました。

チョコレイト・ディスコ」で会場の盛り上がりがピークに達して、そして流れる「wonder2」のイントロ。誰もが、もうこの曲で楽しい時間が終わるのだと感じています。それにしても、この曲を聴くのはいつ以来だろう! この曲でライヴを締めることがなくなって、随分と時間が経ちました。それでもこの曲は、やはり特別な意味があると思います。

ちなみにこの時点で、2階席の上手にMIKIKO先生がいることにようやく気付きました。にこにこしながら、〈♪La La La La〉でピースサインのワイプもしっかりやっておられました。

 

「wonder2」が終わり、3人が長いお辞儀。かしゆかの髪はもうバッサバサですが、気にするそぶりはありません。なぜなら懸命に涙をこらえていたから。あ~ちゃんに一言を求められて、小声で「……これまでありがとうございました、これからもよろしくお願いします」と答えるのが精いっぱい。珍しいな、あのあ~ちゃんが泣いてないのに!

 

そしてのっちは「今日は私たちだけでなく、スタッフにとっても特別なライヴになったと思います。そして皆さんは、今日来られなかった人たちの気持ちも持って、この場に来てくれていると思っています。今日はありがとうございました!」

 

あ~ちゃんは「メジャーデビュー10周年の記念の日に、もう本当に幸せ。外におる人も『おめでとう!』って言ってくれたし、いっぱいメールももらったし。それでも明日からは武道館も始まるし、映画の公開、ニューシングル『STAR TRAIN』もリリースされます。まだまだ楽しいことがたくさんあります。記念の、周年の私たちから、目を離さないで下さい! それでは、Perfumeでしたー!!! ありがとうございました!

 

そして3人が前に出てきて、最前列のお客さんと次々タッチ! これもかつて握手会をやっていた彼女たちとしての、原点回帰とも言えますね。

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◇SEVENTH HEAVEN

以上、Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP、初日の模様でした。ライヴが終わった後、あまりの余韻で放心状態になりそうでした。

 

これは単に小さな箱で、昔の曲を聴けたというだけじゃなくて、ちゃんといまのPerfumeがこれをやる意味があったし、Perfumeの魅力のうちの〈アイドル性〉をフルに発揮した、近年のライヴとはまた別の切り口での演出だったと言えるでしょう。

 

……とかなんとか言いながら、2階の最前列で、ステージも凄く見やすかった私は、あ~ちゃんのアイコンタクトを何度も食らい(マッドマックス 怒りのデス・ロード」で、ニュークスが「イモータン・ジョーが俺を見た!」と狂喜しても、スリットに「いや、彼は地平線を見ただけさ」と言われるようなものですが)

 

まさにセブンスヘブン状態でした!!!

(なんなんだこのオチ)

第61回 P.T.A.サミット!!その2

 前回の続きです。なおMCのニュアンスには注意していますが、100%記憶が頼りなので、細部は必ずしも正確ではありません。

 

<MCテーマ:記者会見>

www.youtube.com

あ~ちゃん「あれ、考えてみると宣伝の宣伝よ? それをスタッフさんたちが〈やりましょう!〉って言って下さって……どんだけの思い!」「あれ緊張したー。手が震えすぎて、逆にゆっくりに見えるくらい。スタンドマイクで助かった、ハンドマイクだったらえらいことなっとった」

の「マイクがグリーンアロマじゃなくて良かったね。グリーンアロマの記者会見で、サッポロさんがマイク(を覆うよう)にグリーンアロマの缶を付けて下さって」

あ「持ちづらい持ちづらい。マイクの下の方を持つしかなかったんだけど、マイクって下の方を持っちゃ絶対ダメで、でもそこを持つしかなかった」

記者会見の司会をして下さった馬場さん、なんとご友人の結婚式で、余興にPerfumeを踊ったこともあるとか。しかし馬場さん、名前が典子(のりこ)なので「のっち」になるはずが、なぜか「ば~ちゃん」にされてしまう。そのエピソードの後、Perfumeメンバーと写真を撮るときも「私はば~ちゃんだから!このピースサインもば~ちゃんっぽい!」と自虐ネタを連発。メンバー曰く「前からファンだったけど、もっとファンになった」

 

<MCテーマ:Perfume展>

あ~ちゃん「P展、皆さん行ってくれましたか? Perfumeの……展示会?なんかおしゃれなファッションブランドみたいになっちゃったけど、えーと……」

客「展覧会!!」

あ「展覧会?」

「ほぉー」

あ「メンバーの部屋とかもあって、私物持ち込んで飾ってね」

の「あ~ちゃん、かなり遅くまでやってたんでしょ?」

あ「オープンの前の日に、今日のためのリハが終わって、そのまま渋谷のタワレコさんにお邪魔して。遅くまでやってたから、もしかしたらご迷惑をお掛けしたかもしれん。デザイナーさんおったし(注:いっしょに残業させた、という文脈だと思います)。でもいろんなもの持ってきて、飾りつけして、デザイナーさんに見てもらって意見もらったりできたから」

か「……」

あ「のっちの部屋は、セレクトが完全にのっちだったね」

の「あれは、白いラックでおしゃれに見えてるけど、本当はもっと雑然としてた。でもデザイナーさんがそれを直してくれて、おしゃれになっとる!!!!って」

あ「羊のあれも、凄い存在感あったね。ラグマット敷いて」

の「あのマット、あたしのじゃない……

あ「え?デザイナーさんの?」

の「でも、ラックで使ってる白いレースのはあたしの!」

あ「あれあたしのおしゃれなやつだから!って言いたいの?(笑)」

の「うん、褒められたい」

あ「おしゃれな人はそんなことわざわざ言わん! それと、ゆかちゃんの部屋のストイックさね! 観た人にはわかる」

か「わぁー!!」

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<MCテーマ:CM>

あ「あとそう、CM! エーザイさんが素晴らしいCMを作ってくださって。今日の22時台なんだけど……みんなライヴ来てて間に合うの?」

客「録画してきたー!」

あ「そうなん!? みんな準備完璧じゃね! でもああいうのは、生で観んと意味ないけえね

のっち&かしゆか&客「(衝撃が走る)」

そのあと、電気屋さんに走る、ディスカウントストアに走る、漫画喫茶に入る、などの提案がなされます。

あ「でもあたしも予約しとらん……何とかなるだろうと思って」

客「チャレンジャー!」

あ「ほうよ、人生ずっと挑戦してきたよ

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<MCテーマ:P.T.A.検定のスコア>

あ「今日はP.T.A.検定に合格した、博士号の方々がいらっしゃっていますが、Perfume(ぱふゅーむ、スコアが80~100点)の人ー!(客の半数が挙手) Perfum(ぱーふゅん、スコアが70~79点)の人!(残りの客が挙手) じゃあ、Perfu(ぱふゅ、60~69点)の人は?」

客「(誰も挙手しない)」

の「ちなみにPerfumeのメンバーでは……」

あ「私は……68点のPerfu(ぱふゅ)

の「まさかの!あ~ちゃん凄く記憶力良いのに」

すると客席から笑いが起き、すかさずのっちが「あ、いま鼻で笑った!!」

そして悔しさのあまり、床に正拳突きを叩き込むあ~ちゃん。

の「ちょっとー! うちのあ~ちゃんを鼻で笑うのやめてもらえますか!」

いやいや、言い出したのあなたでしょ!

か「あ~ちゃんは思い入れが強すぎて、記憶を探すのがかえって難しいんだと思う」

あ「そんなん知らんわ!って問題ばっかりでねー!」

か「でも3人いっしょに問題解いたんだけど、あ~ちゃんいちばんしゃべっとった

の「あれー、これどうだっけなー、うーん、これはあのときああしたっけー、みたいな」

か「ちなみにP.T.A.検定で1位の人は、若い人なんだけど9分で回答しとった」

あ「知識も、カンも、推理もいるよね。ここでこの人物名が出てくるなら、回答はこれか……!?みたいな」

の「だからあ~ちゃん、本当だったらサミットには参加できないんだよね。でも光るものがあるから、参加できた!みたいな」

あ「いづらい……けど、思いっきりセンターに立っとる。まあ、希少価値があるってことで……上戸彩さんみたいな、オーディションには合格じゃなかったんだけど、全部持って行った!みたいになりたい」「でもP.T.A.検定を受けて、スタッフさんが私たちとの記憶を思い出して、あんなにたくさんの問題作ってくれたんじゃ、と思うとすごく愛情を感じて、だから点数はともかく、問題解き終わったらすごくほっこりした」

か「ちなみに、今日の整理番号は検定の成績順なんです。1番、2番、3番で昼、夜、昼って振り分けてて」

ええっ、私は整理番号40番台ですが、たぶん10問近く間違えてた気がする……

 

<MCテーマ:O-WEST

あ「O-WESTさんで(もう一度)やるのは夢だった。それで今回やりたい!って言って、叶えても らったんですが、でもそれはわがままでもあって。不公平になるかもしれない、見たくても見られない人が出てしまう。ずっと活動してきて、Perfumeを 観たい!って人が増えてくれて、ドームや武道館でライヴできるのも凄く嬉しいけど、こういう場所で、原点回帰して、初心に帰ることを、またできたらいいなと思います」

あ「O-WESTの楽屋、あー全部見たことあるわー!この匂いも覚えとるわー!ってなった。楽屋が3つあって、でも昔はWESTに一番近い楽屋は、イエローキャブのタレントさんたちが押さえとって、うちらは遥か上の、O-Crestよりさらに上の楽屋を使ってました……でも、今日はその楽屋を、3つとも貸し切りました!!!

あ「うちらほど、O-WESTでのライヴを楽しんどる人はおらんじゃろうね。昔はそれこそ、もう今日でダメだったら後がない! 絶対に成功させなきゃ!って追い込まれとった」

か「戦いの場だったね。WEST自体も、ここが勝負どころ!って人が出る会場だから」

あ「今日やったような曲を、こんなに100%で、前のめりで聴いてもらえることも初めてで

なるほど、今日のセットリストは古くからのファンを喜ばせるためだけじゃなくて、2005年頃のライヴをいまのPerfumeが再現することで、原点回帰を図るというか、スタート(メジャーデビュー)の頃に立ち返ろうとしたんですね。2005年と2015年を繋げる試みか……

あ 「だから本当に楽しいし幸せ。O-WESTへの想いも昇華できました。WESTの階段に沿って、スタッフさんが座っているところに、階段を上り下りして、 スタッフさんの顔見ると『あ~、知っとる』『あ~、知っとる』『あ~、知っとる』(注:表現が難しいのですが、馴染みのスタッフといっしょにWESTでで きるのが嬉しい、的な意味と思います)」

あ「楽しすぎて、ステージと観客スペースでスタッフさんと輪を作って談笑しとった。私はステージに寝転んで。O-WESTで寝転んだ人おらんじゃろ」

の「(ステージ前方を指さして)こっちが頭でした。みんなあ~ちゃんを囲むように輪を作って。なんか今日のライヴの成功のために生贄を捧げる、みたいになってた」

 

その3につづきます。

第60回 P.T.A.サミット!!その1

ばんざーーい!!!

 

 

 

BOMBばんざーーーーい!!!!!

 

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とうとう気が触れたか……と思う向きもあるでしょうが、実はPerfumeのファンクラブ会員向けの「P.T.A.検定」、私の受けた回にはBOMBからの出題もありました。

 

Q 22  2008年5月発行の雑誌「BOMB」にて実施した、「Perfume 50 素顔のQ&A」企画。「カラオケの十八番は?」という質問に対し、のっちの十八番ではない歌は?

A 一青窈ハナミズキ

 

Q 23  2008年5月発行の雑誌「BOMB」にて実施した、「Perfume 50 素顔のQ&A」企画。「子供は何人ほしい? 名前は?」という質問に、あ~ちゃんは「3人ほしいです」と答えています。また未来の子供の名前もすでに名付けていましたが、3人の名前は?

A 華(はな)ちゃん 俊(しゅん)くん 雛(ひな)ちゃん

 

しかも2問も!! ちなみに試験は全部で5回ありましたが、私の受けた回以外にBOMB問題は1問たりともありませんでした。明らかにバランスおかしいですよ!

 

そして、試験対策として直前に入手したBOMBのおかげで、私は「P.T.A.検定」をパスし、P.T.A.サミットに参加することができたのです……ありがとう、BOMB!

 

◇2015.9.21 P.T.A.サミット O-WEST(夜の部)SET LIST

1. コンピュータードライビング

2. おいしいレシピ

3. スウィートドーナッツ

4. ファンデーション

5. カウンターアトラクション

6. 彼氏募集中(※ここまで全曲ノンストップ、生歌)

MC

7. リニアモーターガール

8. ポリリズム

P.T.A.のコーナー

9. チョコレイト・ディスコ

10. wonder2

 

会場に入ると、2007年のリキッドルーム公演のように、ステージ全面が薄い白のスクリーンで覆われていて、その向こうにうっすらPerfumeのロゴが白く光っています。映像使うのかな? 客層はやはりずっと昔から応援していたであろう、年齢層高めの男性が多いですが、若い女性客も少なからずいましたね。

 

定刻の20時を少し過ぎたころ、間違いなくもっさんセレクトなBGM(Harem Scaremとかのメタル)がフェードアウトし、場内が暗転! 物凄い歓声が湧き上がる中、いきなり「コンピュータードライビング」のイントロが流れ、ステージを覆う白いスクリーンには、3人のシルエットが大きく映し出されます! イントロの8小節を経ると、そのスクリーンが振り落とされ、白いシンプルな衣装に身を包んだ3人が登場!

 

なおこのとき、私は2階席の最前列で観ていましたが、1階フロアではスタート時の圧縮&「コンピュータードライビング」の横揺れがミックスされて、鳴門の渦潮か、はたまた地獄というくらいの凄まじい圧縮とうねりが発生していて、結構戦慄しました。

3人が歌い出すと、なんと生歌です! あ~ちゃんの「揺れてーー!」で会場が大きくうねるのは、さながら「GAME」ツアー。早くも1曲目の時点で、あ~ちゃんは2階席としょっちゅうアイコンタクト。この繰り返しがこの後、私の精神状態に大変な変化を来たすのですが、まあそれは省略します。

ちなみにステージセットは、ちょっと傾けたキューブみたいな(つまり立体の)LEDパネルが4つ横に並び、バックドロップにはこれまたLEDで飾られた〈Perfume〉の大きなロゴが掛けられていて、ステージに彩りを与えていました。

 

2曲目は……3人が縦のフォーメーションを組んでの「おいしいレシピ」!! これまたイントロで大歓声。みんなおかしいぞ!!(ハイハイ!の合いの手もみんなやってた) メンバー3人もハイテンションで歌い踊る! こんなに元気いっぱいの振り付けを踊る3人を観るのはいつ以来か……ちなみにのっちは、ちょいちょい恥ずかしそうな表情をしていました。

 

もうこの時点で、今日は異常事態らしいことが把握できましたが、そこに3曲目の「スウィートドーナッツ」!! お客さんの名前コールもますますヒートアップしてきて、もう何だかよくわからない興奮と熱気が会場に充満。振付を見ていると、ちょいちょいミスっている感じはあるのですが、生歌+ダンスのフィジカルなパワーを、ヒールが床を叩く音が聞こえるくらいの至近距離で食らうと、もう圧巻です。

あと、少し時間は遡りますが、2曲目の途中でのっちのイヤーモニターが外れて、ダンスに合わせて大きく振り回されています。あれ、大丈夫かな?と思ったのですが、「スウィートドーナッツ」に入る前にスタッフの方に「返し(モニターで聞く自分の歌)を下げて!」といった感じの指示。そして曲に入ると、さりげなくイヤーモニターを再度装着。昔O-WESTに立っていたころは、こんなに自然な振る舞いはできなかったでしょう……大きくなったなぁ(誰だよ)

 

◇スウィートドーナッツ 今では時効?

続いてややテンションを落として「ファンデーション」。メイクアップする可愛らしい振付がむしろ新鮮でした。間奏でステージ上をとことこ歩くかしゆかに、一際大きな歓声が上がります。おおー、アイドルのライヴ観てるな!!!

 

さてそろそろMCかな……と思いきや、3人は止まりません。あ~ちゃんが曲名をコールします。「カウンターアトラクション」!! うわーマジですか!! まさかこれをいまいちど生歌で聴ける日が来るとは……

 

そしてレア曲「カウンターアトラクション」が終わります。もうここまで来たら、何でもアリだな……

すると、♪ワワワワ~の男性コーラスに〈♪一人きりじゃ~〉とコブシを利かせまくるPerfume。これ、まだ封印されてなかったのか……「彼氏募集中」!!!!

私が最後にこの曲を聞いたのは「GAME」ツアーで、そのときは3人の〈理想のタイプ〉をアドリブで言っていました(確かノートにメモしてある)が、この日はオリジナルのままかな? まあオリジナルもよく知らないんですが。

 

怒涛の6曲を、ノンストップの生歌で駆け抜けたPerfume。ようやくMCタイムです。

◇MC あるいは(あ~ちゃんがもたらす予期せぬ長さ)

あ~ちゃん「Perfume Anniversary 10days、PPPPPPPPPP! 初日、P.T.A.サミット!! O-WESTへようこそー!!! えへへ、O-WESTの人みたい!」

「今日は特別な日だから、とびきりのセットリストを用意しました! 最後まで、仲良くして下さい!」

いったんメンバーがステージをはける。給水でしょうか? いや、かしゆかがステージに残り、甲斐甲斐しくマイクスタンドを片付けています。舞台袖に消えたのっちもすぐ戻ってきて、「あの、これからかなり長くしゃべるので、皆さん一歩下がりましょう!」と気遣っています。

 

<MCテーマ:この日のセットリスト>

あ~ちゃん「リハのとき、本当に楽しくてずっと爆笑しとった」「『おいしいレシピ』とか、ずっとジャンプしとる」「『スウィートドーナッツ』、昔はめちゃめちゃ煽ってて。お客さんの声が欲しかったんじゃね。静かに聞いてくれてても、なんか心配で……でも今日は煽り、だいぶ削りました。もう26だし

 

<MCテーマ:Fan Service~bitter>

あ~ちゃん「みんな、全曲わかった? 知らない曲あったでしょ?」

客「全部知ってるよ!」

あ「それはみんな異常じゃろ。だって音源化されていない曲(カウンターアトラクション)もあったよ? それは当時ライヴ観てくれてた人か、Fan Service……bitter?を観た人じゃないと。みんな観てる?……あれもう買えんよね? あの銀色の、冊子になっとるやつ(注:初回限定盤のこと)。あれ、あたし持っとらん

客「ええーーーーーー!?」

のっち「あたしも持ってない

客「ええーーーーーー!?」

かしゆか私も……持ってない

客「ええーーーーーー!?」

あ「あれ、たぶん会社にももうないよね? みんなあげちゃったはず。(突然2階席に向かって)お母さん持っとるー?……ああ、お母さん持っとるって」じゃあ家にあるんじゃないか……

つづきます。

第59回 ダンス・ミュージック・フェスティバルって何だ?

先日、初めてUltra Japanに行ったのですが、あまりにも思うところが多すぎて、「……やっぱりこれは書いておかないと!たとえ今日がPerfumeO-WEST公演当日でも!!」と切実に思ったので緊急エントリーです。

 

◇TomorrowWorld 2014

2014年9月26日~28日、私はアトランタTomorrowWorldにおりました。なぜわざわざアメリカまで来たかというと、この年に始まった、そしてTomorrowWorldのちょうど同日に開催されるUltra Japanに、普通に行ってもなんかおもしろくないなと思ったからです。みんながUltra Japanに行くなら、僕はアメリカに行こうかな、Ultraは去年韓国で観たからな、と。

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ただし、行く前は全くテンションが上がりませんでした。その理由は、うっかりウェスティン(やや高級ホテル)に宿を取ったため、全行程で30万円くらい掛かっただけではありません。

アメリカのダンス系フェスって、どうせいきがった若い白人がウェェーーーーーイ!!!ってやってるだけなんだろうな、「13日の金曜日」なら真っ先に殺されそうな、乱痴気騒ぎが目的の連中ばっかりなんだろうな、会場の雰囲気に馴染めるだろうか……と思っていました。

 

 

しかし私が会場で見たものは。

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世界中からあらゆる人種の老若男女が集まり、それぞれが自由に音楽を楽しんでいました。白人に黒人、アジア系や中東系……そしてステージ前には、100本を超える国旗が振りかざされます。他にこんなたくさんの国旗を持つ人たちが集まるのは、オリンピックかワールドカップぐらいでしょう。

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〈音楽に国境は無い、音楽は言葉の壁を越える〉などとよく言われますが、それがここまで可視化されている状況を、私は初めて目の当たりにしました。

 

特にEDMブームは〈若い〉〈白人男性〉のDJが牽引していますから、白人優位の文化かと思い込んでいたところ、アフリカ系の観客の多さが意外でした。これはダンスミュージックの、人を踊らせるためにあるというシンプルな機能性ゆえでしょう。そして世代も、若者だけでなく30代、40代もたくさん参加。性別だって、男も女もLGBT(性的マイノリティー)の方々も昨今の邦楽ロックフェスみたいな全員同じフリではなく、思い思いの自由なダンスで、みんな凄く楽しそうで。

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その多様性と自由さは、実に美しいものに見えました。

 

◇Sound of TomorrowWorld

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TomorrowWorldの音楽面についても書いておきます。このフェスはステージが8つあり、メイン・ステージをはじめ、大小さまざまなステージに、それぞれカラーが(しかも日替わりで)あります。メインはいわゆる売れ線EDMが中心ですが、トラップに特化した〈IT'A TRAP!〉ステージ、トランス専門のステージ、他にもベース・ミュージックテクノハウスなど、ジャンルやサウンドの傾向でステージ分けがなされています。

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Diploの〈Mad Decent〉、Richie Hawtinの〈Minus〉、Steve Aokiの〈Dim Mak〉といった、人気DJの主宰レーベルを冠したステージがあったり、BBCの著名DJであるPete Tongがキュレートしたステージもありました。2015年はHardwellのレーベル〈Revealed〉のステージや、フューチャー・ハウス・ステージなんかもあるようです!

つまり参加者は、フェスの会場でダンス・ミュージックの幅広さとトレンドをもれなく堪能できるわけです。ちなみに〈Minus〉ステージのRichie Hawtinのプレイでは、普段ミニマル・テクノやクリック・ハウスなど絶対に聞かないであろう、屈強な黒人や白人たちがタガの外れたように踊り狂っていました。

そういった未知の音楽との予期せぬ出会いが生まれる下地としての選択肢の多さ、そしてここでも多様性が魅力なのです。

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◇コミュニケーション

TomorrowWorldの魅力としてもうひとつ、世界中から来た多様な人たちとのコミュニケーションがあります。といいますか、ぼーっとしてると向こうからガンガン話しかけてくる(当然英語で)ので、反強制的コミュニケーションなのですが……これもたくさんエピソードがありますが、ここでは取り急ぎThank you, Everyone!と。

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↑なぜ向こうの男どもは脱ぎたがるのか……

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はたして日本に、TomorrowWorldみたいなフェスができるかはわかりませんが、このブログを読んで下さるような(?)好奇心があり、勤勉な皆様には、一度は海外フェスへの参加をお勧めします。