第29回 「第2回 Perfumeダンスコンテスト 魅せよ、LEVEL3」
10月26日、東京のメルパルクホールにて「第2回 Perfumeダンスコンテスト 魅せよ、LEVEL3」決勝戦が開催されました。アルバム『LEVEL3』のリリースを記念したこのイベント、おそらく概要はご存じと思われますが、簡単にお伝えします。
・一般の人がPerfumeのダンス(課題曲:「Spending all my time」)を踊り、YouTubeにアップ
・Perfumeのダンスを完全コピーする「極(きわみ)部門」、コピーと創作を混ぜた「創(そう)部門」、そしてそのいずれかを海外から応募する「インターナショナル部門」の3つ
・Perfumeがその映像を見て審査し、選抜
・決勝戦はPerfumeメンバーとMIKIKO先生、関さんが審査員を務め、お客さんの前で開催される公開イベント
◆結論的なもの
これは単なる振りコピ大会ではなく、音楽でいえば〈カヴァー〉とか〈リミックス〉と呼ばれるものに近いと思いました。つまり〈オリジナルをどう解釈し、その解釈をどう自分たちらしくプレゼンテーションしていくか〉。ダンスをテーマにこういう催しができるのは、音楽に留まらない、多面的な要素を持つPerfumeらしさの表れと言えます。
また、各出演者へのコメントを通して、審査員たるチームPerfumeが〈どうダンスを捉え、アプローチしているか〉が窺える、貴重な機会でもありました……が、その前に。
◆仁義なき振りコピ問題2
まず〈振りコピ〉への私見を書かせて下さい。
・ライヴ中の振りコピは、〈Perfumeが好きだからやる〉のではなく、自己愛や自己満足、同一化願望の表れではないか(歌手に合わせて大声で歌うのと同じ)
・Perfumeのダンスはオリジナリティが持ち味でも、それをそっくりマネするのは、実は真逆の意味になってしまうのでは?
・海外のお客さんにとっては日本語(=歌の意味)がわからなくても、振りコピを通して共有できるものがありそう
といったところです。とはいえ、実際に見てみないとわからないことがあるだろうと、今回初めて参加しました(チケットを譲って下さった方、ありがとうございました)。
◆レポート
1500人規模の会場は満員。まずPerfumeメンバーから、以下の事項が伝えられます。
・応募動画は連日8時間以上かけて、すべて見た。参加者の関連動画までチェックした
・審査のポイントは、画面上で見たときと、実際に見たときの違い。パフォーマンスに気持ちがどう出ているか
・「極部門」の応募者は、Perfumeのクセまで把握している。のっち役が一様にクネクネしていたり。マネしてもらうことで、自分たちのことがわかった。こう見えているんだ、と
・本日の照明や音響は、普段のPerfumeライヴを手掛けているスタッフが担当
コンテストは「極部門」「インターナショナル部門」「創部門」の順で進みました。以下、審査員コメントの一部です。
【極部門】
MIKIKO先生「見れば見るほど、ややこしい振付だと思います」「Perfumeは3人しかいないので、そのフォーメーションを絶妙に取らないと綺麗に見えない」「衣装のバランスが3人と近い」
かしゆか「どの部分(のコピー)を追求するか、グループごとに違うのがおもしろい」
関さん「(コメントに迷って)……みんなPerfumeですね」
あ~ちゃん「普通のおじさんみたいになっとる」
(ちなみに関さんは、コメントを振られたときにマイクを放置しており「見ていればいいのかと思ってました」とのたまったり、「コピーしている人が、素晴らしいです」と謎のコメントを残したりと、大暴れでした)
【インターナショナル部門】
あ~ちゃん「リズムの取り方が日本の人と違う。特に『創部門』はシビれる動きが加わっている」
MIKIKO先生「世界各国からの応募、よく考えると凄いです」
のっち「型にはまらない感じで、よく考え付くなと思いました」
かしゆか「発想力が凄い、それっぽい動きをするだけでなく、それがカッコいいところまで行けている。先生に採り入れてほしいです」
関さん「〈とにかくやる〉みたいな勢いがあって。タイミング間に合わなくても関係ない、みたいな」
あ~ちゃん「海外の人はみんなアグレッシヴでした。Perfumeは歌い方を抑えたり、ダンスを簡単そうに見せたりするところがあるけど、それとは逆」「何人かで踊れば、それぞれの理解を持ち寄って進められるけど、ひとりでは難しい。3人で踊ることでフォーメーションを保っているから、ひとりで踊ったらわからなくなっちゃう」
MIKIKO先生「3人のダンスはリズム感と、形の美しさの中にグルーヴを入れるよう言っているんです。海外の人の場合、それがわかりやすく出ていて勉強になりました」
関さん「……おもしろかったです」
かしゆか「もう少しコメントあるでしょ」
もう誰も関さんを止められません。
【創部門】
MIKIKO先生「(10歳前後の女の子グループに)この年代にしか出せないキレがあって、昔の3人を思い出しました」
あ~ちゃん「(マスクを被って踊ったグループに)視界が狭い状態では踊りづらんです。私たちは、目で見ようとしていないところ(視野の外のスペースや間合い)も、なんとなくの感覚で、幅を取って踊るので」「フリの意図を汲んでもらえるのが嬉しいです。このグループはダンスにそういう意味を持たせていたのでシビれました」
関さん「(Perfumeのダンスにマイケル・ジャクソンの動きも採り入れたグループに)マイケルはまさにトップのエンターテイナーで、僕も彼のビデオを見て、この世界に入ろうと思ったので」
Perfumeメンバー「えっそうなの?」「へぇ~」
関さん「Perfumeもエンターテイメントとしてはトップクラスだと思うから、そのふたつが繋がるのは必然だと思う」(なお、このグループは〈カッコいいPerfume〉をテーマに取り組んだとのことです)
あ~ちゃん「(ストーリー性の強い振付を作った5人組に)こんな短い間にドラマがありましたね」
のっち「何だろうね、この演技力」
かしゆか「私たちの曲がこんなにドラマティックだなんて知らなかった」
【規格外部門】
これはすべてのパフォーマンスが終わり、審査員の選考中に流されたものです。
上は〈別物(というか、本来の意味で異次元)〉、下は〈別の意味で完コピ、そして別物〉というアプローチで、こういう多様性が生まれる余地があるのは、ホントに素晴らしいと思います!
【総評】
◆結論
このイベントは前述したとおり、〈カヴァーやリミックスのコンテスト〉に近いと感じました。オリジナルをどう解釈し、それを自分たちらしく提示するにはどうすればいいかを(振付だけでなく、衣装やニュアンス、構成や見せ方などで)工夫するのが、このコンテストの核ではないでしょうか。同じダンスを踊っているはずなのに、どのグループもまったく違っていて、そこに〈それぞれが見たPerfume像〉が表れていたと思います。
イベント自体とても見応えがあったし、〈Perfumeとダンスの関係性〉を改めて捉え、Perfumeの魅力を立体的に感じられる良い機会でした。第3回があればぜひ行きたいです。
ちなみに音楽の場合、カヴァー・アルバムやリミックス集って大抵は同業のプロが集まるので、このコンテストのように参加者が全員アマチュアなのは珍しいです。ある意味、アマチュアならではの熱や純粋さがこのコンテストのポイントとも言えますが、次回があれば趣向のひとつとして、プロのダンス・チームの模範演技などもあると楽しいのではないでしょうか。あと、セラミクロニの皆さんは色気があると思いました!(※変なオチに使ってすみません)