R.E.P.

Perfumeに特化した音楽ブログ。深掘りはしても深読みはしません

第96回 Perfume、コーチェラフェスに出演

2019年4月に開催される、Coachella Valley Music and Arts Festival(以下、コーチェラ)へのPerfumeの出演が発表されました。

今回は、コーチェラ出演にどのような意味があって、どう影響があるかを書いてみます。 

◇コーチェラとは?

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アメリカはカリフォルニア州、ロサンゼルスのおよそ200km東に位置する街・コーチェラで開催されるフェスティバルです。1999年の初開催から現在に至るコーチェラは、世界で最も人気があり、注目度の高いフェスとされています。その理由として、以下が挙げられるでしょうか。

世界の音楽シーンのトレンドを象徴する、魅力的で強力なラインナップ

 

・著名アーティスト、俳優、モデル、お金持ちも多数訪れる非日常的アート空間

 

・開催期間中に約25万人が世界中から来場、チケットの売り上げは約130億円(いずれも2017年)

 

・4月開催のため、各地の夏フェス主催者が注目(コーチェラで優れたパフォーマンスをすれば、その夏は世界中のフェスにも呼ばれたりも)

 

今年は4月12日(金)~14日(日)、19日(金)~21日(日)の2週に渡って開催され、2週とも出演者は基本的に同じです。Perfumeの出演日は4月14日(日)と21日(日)の2回を予定しています。

Perfumeは4月19日にLAでライヴを予定しており、LA公演を主催するGolden Voice社はコーチェラの主催者でもあるため、Perfumeがコーチェラにも出演したらちょうどいいなーとは思っていたのですが……ついに決まりましたね!

Perfumeコーチェラ出演の意味

いまや超人気フェスであるコーチェラ、多くのミュージシャンが出演を希望しても、出られるのはほんの一握り。コーチェラに出たことがステータスでもあります(出演料がどれくらいなのかはまったく知りませんが)。

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世界中から集まった、多数の観客を前にパフォーマンスできるまたとない機会であり、YouTubeでの生中継もありますので、世界中でそのステージが観られることになります。Perfumeのパフォーマンスはノン・ヴァーバル(非言語的)な魅力がありますし、他の誰とも違うステージが注目を集めるのではないでしょうか。

また前述のとおり、Perfumeコーチェラ期間中のワンマンライヴもあります!そうなると……

<予想>

コーチェラ1週目のパフォーマンスが会場・YouTubeで話題沸騰

     ↓

このPerfumeっての、19日にLAでワンマンショウをやるらしいぜ!

      ↓

世界の音楽産業関係者がLAライヴに殺到

       ↓

Perfume is awesome!!!!

               

世界的ブレイク、マディソン・スクエア・ガーデン2DAYS公演へ……

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いやー私にはここまで見えましたね!!!

 

ただ、このコーチェラ出演が無条件で素晴らしいかというと、そうとも言い切れません…… 

◇コーチェラでいかに戦うか

少なくとも、以下の点は懸念されます。

 

1:タイムテーブルがどうなるか?

コーチェラ、早い時間の出演になってしまうと、残念ながら会場自体にお客さんがあまりいません。会場は砂漠エリアにあるため、日中は相当暑いからです。それでもテント型のステージなら、日差しをよけるためもあってそれなりに観客がいますが、あくまでも日よけに来ているわけですからね……

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また、強力なアクトと出演時間が重なると、そちらに観客が集まるため必然的に他のステージはガラガラになってしまいます。せっかく遅い時間帯の出演でも、たとえばアリアナ・グランデの真裏なんかに当てられてしまったら……他にも注目の出演者が目白押しのため、動員的には決して楽ではありません。

2:K-Popの進出

想定外だったのは、BLACKPINKのサブヘッドライナー的出演です。

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ポスターでのBLACKPINKの扱いはジャネル・モネイやザ・1975、ディプロといったビッグネームと同格でびっくりしました。K-Popの女性グループの出演はコーチェラ史上初なこともあり、かなりの話題を呼びそうです(男性グループはEpik Highが2016年に出演)。 

今回、PerfumeとBLACKPINKは同じ〈アジア枠〉になりそうですが、話題性や勢い、YouTubeの再生回数なんかを比べたら確かにBLACKPINKの方が……いやいやそんなの関係ない!ステージで何をするかが勝負! 韓国からは人気バンドのHyukohも出ますし、アジア勢の盛り上がりPerfumeも一役買えることは誇らしいですね。

3:アウェイでの戦い

Perfumeが海外フェスに出演するのは2013年のUltra Korea、そして2015年のSXSW以来ですが、特にUltra Koreaは途中で人がどんどん帰ってしまったりと、正直言って悔しい状況でした(メンバー曰く、ステージ上に大量の虫が飛んでいて集中できなかったとか……)。SXSWもさほど大規模な会場ではなかったですし(配信はありましたが)、コーチェラは世界中の観客に直接アピールできる場として、Ultra Koreaでの雪辱を晴らす機会にもなってくれそうで、個人的にワクワクしています。

Perfumeはコーチェラ出演者の中で数少ないアイドルであり、確実にアウェイだとは思いますが、逆境でこそ真価を発揮し、一見の観客を巻き込んでいくライヴが見たいし、いまのPerfumeはそれが可能なグループでしょう。そしてコーチェラは何しろ砂漠エリアで、空気が恐ろしいほど乾燥しているため、Perfumeメンバーはお肌の保湿ケアなどにも留意してほしいところです(そこ?)

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4:いつもどおりのライヴができるか?

コーチェラでは、DJなどダンス・ミュージック系のアクトはいくつかの〈ダンス系ステージ〉に固められる傾向があります。

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この写真の左に写るアーチ型テント?はアラン・ウォーカーやキャッシュ・キャッシュなどDJを中心に、常に大量の観客を集めていました。もしPerfumeがこのステージに出演できれば、ダンス・ミュージック好きな観客にアピールする大きなチャンスになりそうです。むろんメインステージがベストですが……

そしてテクノロジー演出ですが、昨年のザ・ウィークエンドはプロジェクション・マッピングを使っていたし、アルト・Jの演奏とシンクロする照明も凝っていました。過去には2パック(96年に亡くなった伝説的なラッパー)がホログラム映像で登場したりして、フェスとしてもテクノロジー演出はやぶさかでないようですが、Perfumeのようにダンスとテクノロジーが一体化して、相乗効果を生む演出は、まだこのフェスに存在しません。フェスなのでなかなか難しいかもしれませんが、Perfumeの先進的かつユニークな演出は、一気に世界的なバズを起こす可能性だってあります。

◇コーチェラを楽しむために

毎年チケットは即日完売しますので、1月4日(現地時間)からのチケット販売が正念場です。首尾よくチケットを買えたとしても、会場が不便な場所にあったりして、なかなか参加のハードルは高いです。それがフェスのブランドにもなっているとは思いますが……快適に過ごせるVIPチケットも999ドルとクレイジーな価格です。

 

上述の通り、コーチェラはYouTubeでの中継があります。これまでは1週目だけの放送でしたが、2019年からは2週目も中継されるとのことで、わざわざ現地まで行かずともPerfumeのライヴをチェックできるはずです(事務所が中継NGにでもしない限りは…)! 

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最後に言いたいことは、Perfumeのパフォーマンスは世界のどこに出しても恥ずかしくない、日本の音楽シーンの誇りです。コーチェラ出演という喜ばしい機会が最大限に活かされる環境と内容を期待してやみませんし、間違いなくそうなることでしょう。それではカリフォルニアで会いましょう!!!(ホントかよ)

第95回 Perfume 7th TOUR 2018「FUTURE POP」

Perfume 7th TOUR 2018「FUTURE POP」、ツアー初日となる9月21日の長野ビッグハット公演を観に行きました。 

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 結論から言いますと、今回も新たな挑戦を経て前進した姿を見せてくれますし、鉄板のハイパー盛り上げスタイルもあります。

しかしこれまでとは少し異なるテンションも随所に感じさせて、加速しながら最後まで駆け抜ける様は、これまでのPerfumeとはどこか一味違うようです。

終盤、場内が無音になるとメンバーの荒い呼吸がマイクを通して聞こえてきたりと、体力的にはいままで以上にしんどそうですが、それでもパフォーマンスの質は下げない、アスリートのような立ち居振る舞いは圧巻でした。(単に体力が落ちているとか、そういうわけでもなさそうですし)

アルバム『Future Pop』に関しては前回のエントリーのとおり、どこか不完全燃焼に感じてしまいましたが、ライヴはある意味、それとは対照的なものでした。

 

選曲もなかなか予想外の展開。おそらくここから多少の入れ替えがあるでしょうし、また流れも変わって来そうです。ネタバレにならないと思うので書きますが、私が「特にこの曲はぜひライヴでやってほしいなぁ!」と希望している曲が今回ことごとく入ってなかったのですが、それでも十分見応えがありました。

『Future Pop』で「この曲は……パワーダウンしてしまっているのでは?」と感じた部分も、アルバムの一部ではなくライヴの一部になると不思議と目立たなくなったり、楽曲がテクノロジー演出とダンスと一体化することで、一段高みに上った感もありました。

ライヴ演出に使用される映像は、かなりハイファイというか複雑になった印象で、演出そのものの情報量も多いため、そのぶんPerfume3人の存在感が薄れてしまう危険もあります。うまく行っている曲もあればバランスが危うい曲もあるように感じましたが、そういった試行錯誤を続けて、常に改善を図ってきたのがPerfumeでもあります。

 

もちろんツアー初日ということもあり、映像とメンバーの行動が食い違ったり、音響も最初ぼんやりして聞こえたり(これは場所にも依りますが)といった部分もありましたが、それこそすぐに立て直し、改善されていくことでしょう。

あと、ある曲での電通っぽさ溢れた演出〉は……。感動する人も多いと思うのですが、別に3人から生まれた言葉ではなさそうなので、そこまでやってしまうのは情緒過多というか、説明しすぎというか、オーバー・プロデュースかもしれません。

 

 ◇Darkness On The Edge Of Town

あと、これも書いておきます。

のっちのグッズ販促MCの最中に「お誕生日おめでとう!」と声を上げるなど(念のため、ライヴ前日がのっち30歳の誕生日でした)、一部ファンの言動に否定的な意見がツイッターで散見されます。MCでは、メンバー個人のアンチが激しく反応しそうな表現もありました。

とはいえ〈ぐるんぐるんツアー〉2014年9月20日代々木第一体育館でも、ファンが先走ってのっちのお誕生日を祝う展開はありましたし、Perfumeファンのほとんどは善良な方々だと思いますので、ここではそれ以上書くことを控えます。

 

ライヴを観ながら思ったのは、アーティスト人気の拡がりは、概してそういう困った層の流入と表裏一体です。いろいろなことが起きますが、それでも大きな流れは誰にも止められません。その中で、PerfumePerfumeであり続けて、Perfumeという存在をこれまでの人生で背負ってきたわけですよね。

その重みがいかほどか、私には想像もつきませんが、それをこれからも続けようとする3人の、現在進行形を感じるライヴでした。

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◇Spirit In The Night

以下、なんとなくのMC集です。

 

かしゆか、初めての長野公演で「初めてPerfume観る人!」調査、1割もいないくらいでしたが初参加陣はスタンド席に多め。

 

のっち、新作グッズのプレゼン。その場ではタオルしか持っていなかったものの、「可愛いグッズをたくさん作りました」と。新作Tシャツの売れ行きも市場調査(調査方法:購入者による挙手)。「大体3分3分3分……良い感じ」と(本来は3割3割3割?でも五分五分とも言うから3分で正しい?)

のっちが「それと、パン…」と言いかけたところでファンが「お誕生日おめでとう!」と声を上げる。それに続いて何人もが「Happy Birthday!」などと声を上げるが「何ー? そう、パンフレットね!と華麗にスルー。あ~ちゃんがステージに戻ってきて販促トークに参加、「このパンフレットは関さんが制作に関わって下さってて、もう作品なんですよ……さて、みんなの言いたかったこと、のっちお誕生日おめでとう!」

 

今回、のっち誕生日のカウントダウンで初めて3人一緒に過ごしたそう。これまでお誕生日の当日は、友人や祝ってくれる人と過ごすのでは……と遠慮していたものの、今回はリハーサルで必然的に長野におり、9月20日は東京に帰る?とのっちに聞いても「帰らない」と即答したため、あ~ちゃん「オッケー帰らない」。19日の夜遅くからリッチなコース料理を食べて、シャンパンタワー(赤や青など色が変わる、やらしい感じの)も立て、日付が変わる0時をカウントダウンしたそうです(コーディネートしたであろうエフ・オー・ビー企画の皆さん、本当にお疲れ様です

のっちは、あ~ちゃんとかしゆかの合同プレゼントで凄いものをもらったらしく……何だろう、長野の原野かな?と思いましたが、「それが何かはファンクラブサイトで発表しますのでよろしく!」と、しっかりファンクラブの宣伝をしていました。

 

のっちのお誕生日だけでなく、この日はメジャーデビュー記念日。あ~ちゃん曰く、「リニアモーターガール」の衣装(変なスリットが入って、耳に何かを付けて)はいつ思い出しても本当に恥ずかしいけれど、いま思えばあの曲がデビュー曲で良かったと思う。もうあまりライヴでやらないけれど

1年に1日の特別な日を、こうして一緒に過ごせるのは(長野の)皆さんだけ!……よしもう十分じゃろ→次の曲へ

 

最後のスピーチ、かしゆか「あっという間でした」

のっち「皆さんの表情から、私の誕生日をすごく祝ってくれていることが伝わりました。アルバムの曲をこれから育てていけるのが楽しみだし、こうして初日に笑顔で皆さんの前に立てていることが自信につながります。この気持ちをもって全国を回ります」

あ~ちゃん「のっちはこんな人だけど、誕生日のスピーチが過去最高に素晴らしかった。30歳になるってことは本当に大きいんだ、自分はまだあと半年あるけど、それが凄く楽しみになりました」

第94回 『Future Pop』は傑作か?

Perfume、2年4ヶ月ぶりとなるニュー・アルバム『Future Pop』がリリースされました!

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今回、先行シングルではフューチャー・ベース寄りの楽曲が続いたため、アルバムも現行ダンス・ミュージックの要素を大きく採り入れた、未来的でエッジーなものになるのでは……と予想していましたが、実際に出来上がった作品は3人の歌が前面に出た、まもなく30歳を迎える彼女たちの成熟や落ち着きをも感じさせるものでした。

 

 

今回は『Future Pop』はPerfumeの軌跡において、そして現在のポップ・ミュージック・シーンにおいてどのような位置づけの作品なのかを考えてみます。

 

◇Rewind

これまでPerfumeは、ただ単にルーティン(1年に1枚アルバムを作る、といったレコード契約)でアルバムを発表するのではなく、リリースの間隔を長めに取りつつ、常にその時々における国内外のポップ・ミュージックとの同時代性、批評性、独創性、Perfumeを巡る状況などをアルバムに落とし込んできました。

その作風には、いわゆる〈振り子理論〉――あるアルバムの次に、あえて大きく色合いの異なる作品を発表して、表現に振れ幅を持たせること――も窺えます。エレクトロ・ハウスとチューン・ヴォイスを武器にポップネスを追究した、ある意味シンプルな作風でもあった『GAME』から、一気に音楽性の幅を拡げたカラフルな『⊿』ができたり、〈3.11〉後の日本社会を励ます超ポップな『JPN』の次作が、どこかマシーナリーで実験的な要素も含むダンス・アルバム『LEVEL3』だったり。

批評性という点でも、世界(からだいぶ遅れて日本でも発生した)EDMブームを軽々と(それこそ宇宙まで)飛び越えたコンセプチュアルな『COSMIC EXPLORERもありましたね。

Perfumeのアルバムは常に、それまでのPerfume作品になかったアプローチで、新たな表現領域を切り拓いてきました。そしてそのディレクションやプロデュースを基に、歌唱とサウンドで織り成す楽曲の飛び抜けた質の高さこそPerfumeの魅力の核であり、中田ヤスタカの才気の表われでした。物語性やメンバーの関係性はここではおいておきます。

 

その意味で、今回の『Future Pop』はというと……

 

◇Start-Up

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アルバムはスケールの大きな、ゆったりしたインスト「Start-Up」で幕を開けます。ごく小さい音量で聞こえる鳥のさえずり〈爽やかな朝〉や〈新しい1日の始まり〉をイメージさせます。アルバムの導入部からこういうアンビエンス(環境音)を入れてくるのは珍しいですね。メロディーは「無限未来」が流用されていて、あの曲がアルバムのキーであることを示唆します。

続いて表題曲「Future Pop」。「Start-Up」でのシンセのシーケンスに少し似たコード進行の、これまた珍しいアコースティック・ギターの音色で始まります。かしゆかが歌い出すと三味線のフレーズが重なって、これは当然「スパイス」を連想しますし、8ビットなSEはリニアモーターガール」「コンピューターシティ」「エレクトロ・ワールド」……いわゆる〈近未来3部作〉テクノポップ路線を彷彿とさせます。

 

最初は、あれあれ何かやたらと過去を参照してない?(まあ8ビットなピコピコ音は最近のK-Popでもちょいちょい採り入れてるけど)と思ったのですが、3人がユニゾンで歌う〈♪叶えて ほら Future Pop〉からビルドアップに入ると一気に加速! ドロップ(サビっぽいけど歌の入ってない間奏)ではトランシーなシンセに、なんと「ポイント」以来となるドラムンベース! 意外性もスリリングさも肉体性も兼ね備えていて、端的に言って最高ですよ!

そのままもう一度サビに入り、さらにアゲていく!と見せかけていきなりビートを止めて、また淡々とした4つ打ちから始めたりと、緩急の付け方も見事です。ヤスタカお主やるな……!!

 

ちなみに「Future Pop」、この曲(の3分前後から)にも似ていますね……この曲は『Future Pop』リリース直前に発表されたようで、偶然のようですが。

そしてこの表題曲、完成度も高く非常に素晴らしいですが……

残念ながら個人的には、ここがこのアルバムのピークのように感じてしまいました。

 

◇SINGLES

アルバム『Future Pop』のうち、「If you wanna」「TOKYO GIRL」「FUSION」「無限未来」「宝石の雨」「Everyday」の6曲(つまりアルバム収録曲の半分)はシングル曲およびそのカップリングです。これまでのPerfumeは、先行シングルのカップリング曲でアルバムに収録しないものもありましたが(直近では「透明人間」「DISPLAY」など)、今回はカップリング曲までもれなく収録しています。「TOKYO GIRL」はリマスタリング(音の再仕上げ)がされていますね。

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一方、既発曲をリアレンジして、作品の世界観を拡張する役割も担っていた恒例のAlbum-mixは、今回1曲もありません。「レーザービーム」「GLITTER」「Cling Cling」「FLASH」などは、Album-mixが断トツの出来だったと思うのですが。

 

少し脱線しますと、いまシングルをCDで出す人は徐々に減っています。宇多田ヒカルMr.ChildrenONE OK ROCKBUMP OF CHICKENいずれ劣らぬ超人気者ですが、近年この方々のシングルリリースはダウンロード販売かストリーミング配信のみになっています。星野源も新曲「アイデア」はダウンロード販売ですね。

米津玄師「Lemon」、DA PUMP「U.S.A.」も、シングルCDは出てこそいますが、オリコン業務版を見るとダウンロード販売がCDの何倍ものセールス(=拡がり)を記録しています。

一方、アルバムとなるといまだにCDの比重が大きく、CD:配信の売上比率は4:1~8:1くらいのケースをよく見かけます。先行シングルは配信で聴いて、アルバムはCDで買うというリスナーが結構多いのですね。

 

つまり、アルバムから先行して楽曲を届ける場合、手間暇かけてシングルCDを制作しなくても、ネット配信で事足りる状況になっているわけです(おそらくは収益性の面でも)。シングルCDを出すこと自体に、何かしらの意味や目的が問われる時代になりつつある、とも言えます。

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普通にシングルCDを出して、コアファンが購入するだけでは、一部のファンとのコミュニケーションにはなっても、新たな拡がりはなかなか見込めません。

そんなご時世に、先行シングル曲とそのカップリングを〈シングルバージョンのまま〉〈全曲〉アルバムに収録することは、あまり得策ではないように感じます。シングルをすべて買っているファンは「もう何度も聴いた曲ばかり」「なんだ、これならわざわざシングル買わなくても良かったかな?」と思いかねません。

 

もちろんきちんとした狙いや考えがあって、このような収録内容に落ち着いたはずですし、どのシングル曲も〈新しいPerfume像〉を提案するもので、決してクオリティーは低くありません。

 

しかし個人的には、多くの既発曲をそのまま収録したことで、アルバムならではの意外性や発見、驚きが薄れてしまったように感じます。

 

◇NEXT STAGE...?

このアルバムで初披露の楽曲は、イントロと表題曲を除けば「Tiny Bunny」「Tiny Baby」「Let Me Know」「超来輪」「天空」です。 

 

私は……あまり書きたくないなぁこの先……えーと、Perfumeのアルバムで初めて、

  

「あれ……なんか、楽曲がパワーダウンしてる……?」と感じてしまいました。

 

 

前にどこかで聞いたような気がしたり、メロディーも曲調もそこまで印象に残らなかったり。サウンドのデザイン自体はいつにも増して凝っていますし、おもしろくないわけではありませんが、Perfume×ヤスタカらしいイデアや独創性、フレッシュさをあまり明確に感じ取ることができませんでした。これは私の問題かもしれませんが……

 

トロピカル・ハウスとエレクトロを混ぜたような「Tiny Bunny」「Tiny Baby」は前作の「Baby Face」に続くスウィートな路線で、よく出来た曲ではありますが、はたしてオトナになったPerfumeに相応しい曲か?というと微妙な気もしてしまいます。やけに甘いヴォーカルやナンセンスな歌詞も好みが分かれるところでしょう。『⊿』あたりに入っていたら合っていたかもしれない、と思いました。

 

フューチャー・ベース曲の「Let Me Know」についてはこちらのツイートを……

 

 

「TOKYO GIRL」の段階でThe Chainsmokers風味だなと思っていましたが、「All We Know」は2016年の曲で、まったく気づきませんでした。もちろん似ているからダメというわけではありませんよ!

この曲、MVでは〈次世代への魂の継承〉のような作品でしたが、歌詞を読む限り、ヤスタカ先輩からPerfume3人への助言とも取れますね……周りに惑わされず、自分たちらしい道を進みなさい、僕は常に見守っているよという。

ただ、そうなると〈君を取り巻いた空気はいつしか甘い毒の固まり 吸っちゃだめだ〉とか、何を指すのか猛烈に気になってきますが……

 

そして「超来輪」。意味のなさそうなフレーズを並べた言葉遊びが主体で、いわゆるフックソングの発展型という感じですが、フックソング自体はもう2014年に「Cling Cling」で(汎アジア的なメロディーも含めて)やっていますし、決して目新しいアプローチというわけでもありませんので、いまこの曲がはたしてどれくらい聴き手に響くのか、私には図りかねます……

 

「天空」はかなりひさびさの王道ハウスで、『⊿』~『JPN』あたりのPerfumeを思わせますね。アルバムの終盤にもう一盛り上がりほしいな!というヤスタカの意向もあったのでしょうか……

 

 

もちろん新曲を気に入っている方が大勢でしょうし、あくまでも私の感想に過ぎません。しかし、残念ながら新しいユーザー、若いリスナーを惹きつけるような曲がこのアルバムには多くないように感じます。

表題曲「Future Pop」はエキサイティングで申し分ないですし、シングル曲もAlbum-mixがいくつか入っていたらまた違う印象だったのかもしれませんが……アルバム全体はどこか不完全燃焼な思いは拭えません。

 

◇In trend

さて気を取り直して、『Future Pop』は現行のポップ・ミュージック・シーンにおいてどういう位置づけにあるのでしょうか。

 

まずパッと「いまっぽいなー」と思ったのが、収録曲の短さです。

いま、海外ではApple MusicやSpotifyなどの定額制ストリーミングサービスが巨大なマーケットを生み出しています。

追記:2017年の日本のCD市場は約1700億円、ストリーミング市場は約570億円程度ですが、2016年のアメリカ音楽市場におけるストリーミングの売上は40億ドル、2017年は57億ドルまで伸びて、ストリーミングの市場シェアはなんと65%です。

出典:http://www.riaa.com/wp-content/uploads/2018/03/RIAA-Year-End-2017-News-and-Notes.pdf

そこでヒットしているポップ・ソングのプレイリスト(キュレーターやアルゴリズムなどがセレクトした楽曲リスト。このリストから曲を聴く人が非常に多いそう)を見ると、大半の曲は3分台。2分台の曲すらあり、逆に4分を超える曲は少ないです。

これは気軽に曲が飛ばせるストリーミング配信ゆえ、リスナーが飽きてしまう前に曲を終わらせる(あわよくばリピートしてもらう)狙いでしょう。『Future Pop』の12曲で42分というコンパクトさは、この流れに合っています。

補足:以下のような指摘がありました! 確かにそれも当然の話ですね……そこまで気づかなかったけど

 

海外では『Future Pop』がストリーミング配信されています(と書いていたら国内でも配信されました!!)。ストリーミング配信ではプレイリストがリスナーに与える影響が非常に大きく、楽曲プロモーションや収益性の向上、はたまた海外での活動を軌道に乗せるために、どれだけ多くの公式プレイリストに曲を入れてもらえるかが大変重要です。そうなると曲の尺は短い方が望ましいでしょうね。

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Perfumeの曲が入っているSpotifyプレイリスト(一部)。この先も世界各国でのプレイリスト入りが期待されます

 

それでは『Future Pop』のサウンドを、世界的なトレンドと比べると……といっても幅が広いので到底フォローしきれませんが、アメリカを例に挙げますと、2017年のニールセンによる市場調査で初めて〈ヒップホップ~R&B〉が〈ロック〉を追い抜き、アメリカで最も売れた音楽ジャンルになりました。

Spotityの「Today's Top Hits」のようなプレイリストを聞いてみるとバンド・サウンドはほとんど聞こえず、まずはヒップホップ~R&B、そしてメランコリックなシンセ・ポップなんかが多いですね。トロピカル・ハウスやフューチャー・ベースもそれなりに流れます。

BPMはゆったりしたものが中心で、数年前に猛威を振るっていたようなゴリゴリのビッグルーム系EDMは鳴りを潜めています。ヒスパニック向けのスペイン語曲も多いですね。ちなみに『Future Pop』に影がチラつくThe Chainsmokersですが、最新曲ではなぜかダンス・クラシックっぽいアレンジをやってました。

 

以上で述べた程度からの、本当に近視眼な見立てではありますが、『Future Pop』のサウンドは世界的なポップ・ミュージックの時流から近からず遠からず、それなりの距離は保ちながらもきちんと向き合っている、といったところでしょうか。そしてそれはPerfumeがこれまでずっと保ってきたスタンスでもあります。

Spotifyでいま再生回数の多い曲をざっと聞いた限り、そのあたりの雰囲気にもっとも近い(=ヒットする可能性が高そうな)曲は「Let Me Know」かな?と思いました。『Future Pop』の曲たちもこれから多くのプレイリストに入って、世界中のたくさんの人に届くことを願っています。

 

YouTubeが一般化した2005~2006年以降、Perfumeは本人たちが望むと望まざるとにかかわらず、それなりにうまくその波に乗っていたと思います。2016年のNY公演で話す機会があった現地のファンは「YouTubePerfumeを知ったんだ」と異口同音に語ってくれました。しかしストリーミング化の流れにはいまひとつ対応できていない感もあり、現にSpotifyの公式プレイリストのフォロワー数は1800人程度。これはいろいろ事情もあるのでしょうけど、実にもったいないです……

◇Where to go?

いろいろ書いてきましたが、それでは『Future Pop』はいまいちな作品か、というと決してそうとも言い切れません。これまでの作品と比べて不完全燃焼感は拭いきれないのですが、まあそれも好き嫌いの範疇と言えますし、過去の焼き直しに終始することなく、常に新しい道を探そうとする彼女たちの姿はさほど変わらないように思います。

 

何より、中田ヤスタカによるサウンド・デザインはさらに進化を遂げています。タイトルでぶち上げたような、画期的な未来のサウンドではないとしても、音楽的な楽しさはいくらでも見い出すことができそうです。

そもそも音楽は、誰かが一気に革新するものではなく、先人たちが作り上げた長い歴史を踏まえながら、日々少しずつ前に進んでいく文化なのでしょう。 

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『Future Pop』は「Everyday」という曲でフィナーレを迎えます。毎日の、それこそ1日1日が小さな未来とも言えますし、そんな日々の積み重ねが、やがて新たな未来になるのだと思います。

思えば『COSMIC EXPLORER』というとてつもない大風呂敷を拡げたアルバムを、「Hold Your Hand」というとてもスケールの小さな歌で終わらせた中田ヤスタカの作家性が、今回も息づいているように感じます。

 

 

そして何より、Perfumeの音楽は振付とダンスと舞台演出が加わった、ライヴの場でこそ完成するものです。

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秋から始まるツアーを心待ちにして、このやたら長い割にあまりはっきりした物言いがない感想エントリーを締め括らせていただきます!

第93回 Future Popが示すものは

毎回5時間くらいかけて書いてきたこのブログですが、いろいろあって時間がないため、このエントリーは30分で書いてみます(注:案の定30分では書けなかったので60分にしました)

 

8月15日、Perfumeの7枚目となるアルバム『Future Pop』がリリースされます!

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【完全生産限定盤】(CD+Blu-ray+ステッカー) UPCP-9020 ¥4,980 (tax in)

【完全生産限定盤】(CD+DVD+ステッカー) UPCP-9021 ¥4,600 (tax in)

 

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【通常盤】(CD+Blu-ray) UPCP-1003 ¥3,980 (tax in)

【通常盤】(CD+DVD) UPCP-1004 ¥3,600 (tax in)

 

えっ高い!!!! 全体的に高い!!!!!!

 

今回、どの仕様でもDVDなりBlu-rayが付いてくるんですね。つまり映像ディスクありきで成り立つ作品(というか商品)であると。

えっ、でもこれって〈抱き合わせ販売〉にならないの?

 

参考リンク:

抱き合わせ販売等:公正取引委員会

 

まあそれは冗談として(?)、この形態のCD+DVDリリースはビヨンセもここ2作でやってますね。ただビヨンセの場合、収録曲すべてのMVを作ってDVDに収録するというこれまた尋常ではないアプローチだったりもするのですが……

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◇ファン層の変化、時代の変化

なぜ今回、このような形態のアルバムリリースになったか想像してみますと、まずPerfumeのフィジカル(CDやDVDなど。パッケージとも言います)のセールスがかなり落ち着いてきていて、これはつまりCDやDVD買うのはコアなファン層(おそらく、わざわざこのブログを読んで下さる貴殿のような方々)に偏ってきているのだと思われます。

曲だけ聞ければ良いのではなく、コンテンツは(質・量共に)可能な限り楽しみたい、そのための出費は惜しまない、という層ですね。

 

そうなると高価格の映像ディスク込みのパッケージにしても、そこまでセールスは下がらないであろうと。『COSMIC EXPLORER』は初週12万枚くらいだったと思いますが、『Future Pop』は初週で8~9万枚くらいは行けるのではないでしょうか。むしろこの価格設定で初週10万枚行ったら凄いと思います。

 

 

さてそれでは、そこまでコアではないファン層の売上はどこに行ったか。

 

オリコン(業務用)を見ていて、気になるデータがありました。

2018年上半期における、Perfumeのシングル「無限未来」の売上です。

 

シングルCD:54,438枚(全体の48位)

デジタルシングル(ダウンロード販売):58,947枚(全体の42位)

 

なんと、ダウンロード販売の数がパッケージを上回っています。

 

CD買うほどじゃないけど、Perfumeの曲は好きだからダウンロードしよう、という層も結構多いのですね。こういった方々は「アルバムなら買おう」という方もいるでしょうし「高いからダウンロードにしよう」という向きもあるでしょう。

ダウンロードならアルバム全体ではなく、気に入った曲だけを買うことも可能です。そもそもアルバムという形態自体が抱き合わせ販売ともいえます。2000年代中盤のアメリカ音楽産業で生じた激変を描く力作ノンフィクション「誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち」でもこの点は指摘されていましたね。

 

さておき、かなり思い切った方針ともいえる今回のアルバム。

そしてタイトルは『Future Pop』……Perfumeのアルバムで、初めて音楽用語っぽいものが出てきましたね。

 

◇未来のポップ?

この〈フューチャー・ポップ〉というタームですが、それではこういう音楽ジャンルがあるのか?というと、はっきり言って私は存在していないと思います。

 

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えっWikipediaにあるじゃん?

 

うーん、ジャンル名というのは、ある程度マーケットや市場に浸透して、それなりの人数が使うようになってこそのものだと思います。

チルウェイヴやダブステップ、トラップ、ムーンバートン、ジューク/フットワーク、トロピカル・ハウスなどなど……(あっフューチャー・ベースもありましたね!)そのサウンドが注目されてきて呼び名が必要になったり、サウンドの傾向を表すためのものがジャンルであったり、音楽用語の機能です。

 

そもそも音楽にジャンルなんていらないじゃん、CD屋が商売のために作ったものだよ、という説もありますが、恐ろしく卑近な例でいえば、お蕎麦とうどんとラーメンは同じ麺類でもそれぞれ別の物です。音楽ジャンルもそれくらいのレベルの区分ではないかと思うのですが……。

むしろ違いを意識して、それを超えて幅広く楽しむためにジャンルという線引きがあるのではないでしょうか。

 

〈フューチャー・ポップ〉というジャンルは存在しない(というか確立されていない)と思いますが、少し言い方を変えて〈フューチャリスティック(未来的)なポップス〉ということになると、これはものすごく膨大に存在しそうです。それを聴いた地点からの未来を想起させるような音楽という、割と主観に依った位置づけになるでしょうか。

あくまでも〈その時代の人が聴いて、未来を感じられる音楽〉ですから、初期の電子音楽だったり、シンセサイザーを使った音楽が登場した頃、その時代の人々にとって「これすげえ未来っぽい!!」と受け取られていたのではないでしょうか。

 

また、音楽の未来そのものを拓いたジャンルというのもあり、シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノ、ヒップホップといったサウンドはまったく新しいマーケットを作り出していまに至りますが、スケールの大きな話は不得手なのでこのあたりで……

 

Perfumeに話を戻しますと、たとえば『GAME』はものすごく真新しいヴィジョンを持ったサウンドでしたし、いま聴いても色あせないフューチャリスティックな作品だったと思います……

 

 

……あれ、ていうかPerfume〈未来を描いたポップ・ミュージック〉ってとっくにやってたじゃん!!!

 

つまり『Future Pop』、未来のポップはいわゆる〈近未来3部作〉への回帰……になっているのでしょうか?

 

聴いてみないと何とも言えませんが、そろそろお時間ですのでこの辺で!!!(逃げます)

 

第92回 「Perfume×Technology presents Reframe」

NHKが時折放送している特集番組「Perfume×Technology」のライヴ版、Perfume×Technology presents Reframe」行って参りました。

昨今はPerfumeといえば最新テクノロジー!〉といった採り上げ方がマスメディアで増えている気がしていて、確かにトピカルだし目立っているけど、それだけが注目されてしまうようになったら、グループ(の今後)にとって良いことなのだろうか……とモヤモヤがありまして、そんななか〈テクノロジーを冠したライヴ〉が開催されると聞いて、最初はちょっと複雑でした。

テクノロジー演出はやたら凄いけど、これ別にPerfumeでなくてもいいんじゃない?的なライヴになってしまう可能性はないのだろうか?

 

……まあMIKIKO先生が監修なさっている以上、まずそんなことはないだろう、と思いつつ会場に足を運びました。以下、すべて記憶をもとに書いていますが、とにかく情報量が多かったため混同や記憶違いがありそうです。ご容赦下さい。

 

会場のNHKホールは約3700席、3階建ての構造です。ステージ上には緞帳ではなく、大小さまざまな白っぽいパネルをたくさん合わせたような壁がそびえています。今回は着席での視聴が指示されており、普段と異なる雰囲気で場内も結構静かでした。

開演時刻を少し過ぎた頃、場内が暗転。IDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック。エレクトロニカ~テクノの一種)っぽいインストが流れると、壁を構成するパネルに、それぞれのサイズに合わせたプロジェクション・マッピングでモノクロの幾何学模様やノイズが映し出されます。そして「2018/3/21」とこの日の日付が大きく表示されたかと思うと、その数字が一気に遡って「2005/9/21」に。言わずもがなのPerfumeメジャー・デビュー日です。

すると壁面には「リニアモーターガール」からのすべてのシングルのリリース順に、MVの映像とヴォーカルを短くチョップ(切り取り)して繋げたものが流れていきます。ビートは最初のインストからずっと続くものですが、歌や映像は音楽としての意味をなさないほど凄まじいスピードで切り替わっていき、この時点で相当実験的です。

えっこれホントにTVで放送するのかな……?と思いましたが、それをメンバー3人分それぞれにフォーカスして、しっかり3回やります。さらにインディーズ時代、そして上京前(小学生?)の頃の映像とインタビュー音声が流れたりして、かなりのカオスに。するとまた日付が一気に進んで「2018/3/21」に戻ります。今思えば、この一連の演出からすでにライヴのテーマが示されていましたね。

 

マッピング・ショーの途中ではそのパネルがいくつか(不規則に)欠けて、そこにメンバー3人の姿が登場。かと思いきやまたメンバーの姿は見えなくなり、マッピングがしばらく続くと、いきなり壁の真ん中にぽっかりと大きな空間が空き、そこに3人が並んでいます。この時点からずっと「どうやっているのかよくわからない状態」でした。

そして始まる「DISPLAY」MVの3次元における実現版といった感じで、3人がいる9:16っぽい比率の空間を囲むようにマッピングが施されて、あたかもステージが奥へ奥へと移動しているように見えます(文章で表現するのが難しいですが……)

気づくと、最初ステージ上にあった壁はなくなっており、メンバー3人が立っているかなり高いステージが奥へ移動するとともに、舞台袖から巨大な直方体マッピングのスクリーンも兼ねている)が3つほど登場。テクノロジー主体のライヴと聞いてたけど、この直方体そのものはかなりアナログだな!と思いました。

そのデカい直方体たちが縦横無尽に動き回り、その動作へのインタラクション(相互作用)できっちりマッピングが施されます。直方体の動きをリアルタイムで追跡・解析して、それに合わせて映像を投影しているのですね。しかしあの大きさの物体、なおかつ複数でもそれが可能とは…… 

◇VOICE

「DISPLAY」の終盤、巨大な直方体がステージ中央に3つ並びます。それぞれの直方体にはスタンドマイクが1本置かれた、電話ボックスみたいな〈レコーディング・ブース〉が備え付けてあります。これは明らかに、3人が多くの歌を録音してきたかつてのヤスタカのホーム・スタジオを模していますね。

するとブースの下に「●REC」という文字が映し出され、メンバーがひとりずつ「あ~ちゃん、西脇綾香、あーーーーー」「のっち、大本彩乃、ちっちっ」「かしゆか樫野有香、うーー」といった感じで、声を吹き込んでいきます。音楽が流れますが、これまた未知の楽曲で、これもIDMっぽい。おそらくこれまでもPerfumeのライヴ用にエレクトロニックな楽曲を提供してきたevalaさんの作ではないかな、と思いました。

 

●REC」が映し出されたブース内のメンバーが声を発すると、それが即座に4小節くらいのループに組み込まれて、曲というかトラック(のようなもの)になっていきます。こういうリアルタイムでの録音と組み上げは結構やっている人いますが、Perfumeでは初めてですね。

声が重ねられていくことで、音数がどんどん増えていきますが、ある時点から特定の音の繰り返し(リ・リ・リ・リ・リみたいな感じ)になり、ステージバックの大きなスクリーンにはメンバーの唇のアップが大量に表示されます。圧巻です(いろんな意味で)。

 

たぶんここだったような気がするのですが、3人が声を揃えて「私たちにできること」と言います。これは2012年の『Perfume 3rd Tour JPN』でお馴染みのフレーズ。あのときは〈3.11〉の甚大な被害や社会不安に対して、いま自分たちは何ができるのか?という意味合いでしたが、今回はテクノロジーを活用して何ができるか、という意味になっていますね。

 

音が止まって場内が静かになると、あ~ちゃんがマイクを通して歌い始めます。

 

「♪薄い 羽のように」

 

つづいてかしゆか

 

「♪軽く しなやかに」

 

のっちは

「♪ふわり 香り残し」

 

3人で声を揃えて

「♪飛んで 消えるように」

 

静まり返った場内に流れ出す、「Butterfly」のイントロ! 普段のライヴであれば狂喜の声が上がるでしょうけれど、この日はみんな、固唾を飲んで見つめているようでした。

◇Butterfly

この曲がライヴで披露されるのは、2008年『Perfume First Tour GAME』および2012年の『WORLD TOUR 1st』以来ですが、その時はメンバーの衣装替えタイムに充てられてステージ上は無人だったため、3人がきちんとこの曲をパフォーマンスするのは初めてです。

メンバー3人はそれまでレコーディング・ブースとなっていた巨大直方体から下りて、ステージ前方へ移動。無人になった直方体がくるりと向きを変えると、そこに「Butterfly」の歌詞が映し出されます。この日のために振付された「Butterfly」。小さく手をパタパタさせるような可愛いフリもありましたが、〈甘い光の粉 まるで誘うように〉など、結構大人びた歌詞だったんだなーと思いました。

 

そうこうしているうちに、ステージ奥に設置された22台ものドローンが一斉に起動、次々と宙に浮かび上がって3人の頭上でフォーメーションを取ります。それぞれのドローンが明滅して空中に光る図形を描くような趣向で、ハート型だったり三角形だったりと陣形を変えていく。ドローンの動きと3人のダンスがシンクロする場面もあり、これまでにも〈2014年の紅白歌合戦〉や『COSMIC EXPLORER』の北米ツアーでドローン演出はありましたが、この台数は圧巻です。ドローンそのものも小型化されているように見えて、先程の巨大直方体へのマッピングもそうですが、これまでに披露されたテクノロジー演出もそれぞれ改善・進化していますね。

 

「Butterfly」の終盤、3人が機構に乗ってステージから姿を消すと、しばらくはドローンたちが主役です。フォーメーションを変えながら光の図形を描き、曲が終わるのと同時に元の位置に整然と着地。統率の取れた動きの安定感に、ドローン操作・管理技術の進歩を窺わせました。

 

◇本当の「キミ」を知りたいの

「シークレットシークレット」のイントロが流れ、衣装を替えたメンバーが機構から登場。遠目でよくわかりませんでしたがとにかくふわっふわの衣装でしたね。また、ステージの床を照らすライトがプリズムのように、何千何万もの明るい色彩を映し出していて、あんな照明は初めて観ました。

色とりどりのライトに包まれて「シークレットシークレット」を踊る3人。この曲ではこれ以外にテクノロジー演出はないのかな……と思い始めた終盤、突如ステージバックの巨大スクリーンにこの曲のMVが映し出されます(くじけたかしゆかにあ~ちゃんがPINOを食べさせるシーンなど)。そして曲が突然エラーでも起こしたように、同じフレーズの繰り返しに。2008年の日本武道館での「コンピューターシティ」みたいな感じです。

するとスクリーンには〈キミ〉という歌詞が入っている、あらゆるPerfumeの楽曲のMVと〈キミ〉の文字が、これまた物凄い速さで音と映像を切り替えながら映し出されます。前もって誰かが編集したのか、AIでピックアップしているのか、どうやっているのかさっぱりわかりませんでしたが、このあたりでようやく、このライヴのテーマのひとつに〈テクノロジーを用いたPerfumeの音源・映像アーカイヴの再構築〉があると察しました。まあReframe=再構成なので、本来は考えるまでもなかったんですが……

ひとつのフレーズにフォーカスすることで、さまざまな〈キミ〉を歌うPerfumeが、時代を超えて繋がるような感覚。〈ヒカリ〉の歌詞でも同様の見せ方をしたりと、割と応用が利くみたいでしたね。

 

「シークレットシークレット」が終わると、ステージ上には巨大スクリーンがいくつも登場。AIでピックアップされたと思しきランダムな数字や単語が大量に映し出されます。流れる曲はこれまた新曲で、いかにもヤスタカが作りそうな洒落たコード進行のテック・ハウス。ただ、この曲だけヤスタカが関与したとも考えにくいので、やっぱりこれもevala氏によるもののような気がしました(後述しますが、これは勘違いでした

この曲は途中で様相を変えて、ダブステップっぽいキックバスドラムが主体のヒップホップ調のトラックに切り替わります。そのビートに乗せて、メンバーがさまざまなPerfumeの歌詞を朗読し、そのMVや詞がスクリーンにも映し出されます。「edge」の〈誰だっていつかは死んでしまうでしょう〉とかもありましたが、〈この世界 僕が最後で最後最後だ〉など、徐々に「エレクトロ・ワールド」の詞が多くを占めていきます。

するとステージ両端にあった巨大スクリーンがスーッと移動し、Perfumeを囲むように5枚で〈八〉を形作ると、ダイナミックVRを使った「エレクトロ・ワールド」がスタート。2016年末の紅白歌合戦で披露した「FLASH」のような、仮想空間を猛スピードで移動する映像演出です。

◇FUSION

そのままノンストップで最新曲「FUSION」。巨大スクリーンをそのまま使いますが、驚いたのはメンバー3人の影(本物)と、巨大化したり縮小したりする影(映像)を合わせて使うというアイデア。実体(の影)をもとに映像の影が作られているようにも見えるし、映像の影がまるで本物の影のようにも見える。

さらに巨大スクリーンが(どうやっているかわかりませんが)無人制御で次々に移動するという、スペクタクルな影絵とダンスの融合。シンプルながら非常にインパクトがあり、新しくも懐かしいような感覚がありました。ふわっふわ衣装から早替えした3人の、衣装の長い裾を翻しながらのシャープなダンスも、このうえなくクールでカッコよかったですね。

影絵という極めてアナログな手法を、テクノロジーを活用してアップデートした、間違いなく公演のハイライトだったと思います。

 

「FUSION」が終わると、ステージ上のスクリーンにこの写真とメッセージが映し出されます。

 

そして流れる「願い(Album-mix)」のイントロ。この曲、2009年の『直角二等辺三角形ツアー』以来で、当時は音源に被せて3人がしっかり歌っていましたね。ステージ左右の巨大スクリーンには、ユーザーから投稿された〈大切な写真〉とメッセージが表示されます。その写真がたくさんの光の粒になり、舞台中央で歌うPerfume3人に吸い込まれていく映像演出でした。選曲も含めて、唐突にウェットな展開でちょっと面食らいましたが、起承転結の〈転〉を担っていたと思います。

 

◇目を凝らす未来

続いて「無限未来」。長方形の黒いフレームがたくさん、ステージ中央へスルスルと降りてきて、上手からドローンが1台飛んできます。このドローンにはカメラが搭載されており、ステージバックの巨大なスクリーンでドローンが撮ったPerfumeの映像が映し出されます。NHKホールを3Dスキャンして、そのデータ上に写真が浮かんでいるという映像もありましたね。

3人が長方形のフレームを手に取り、空中に掲げると、スクリーン上では3人の周りにたくさんの写真がふわふわ浮かんでいます。AR(拡張現実。「ポケモンGO」みたいな、実際の映像にCGを重ねたりする手法)MR(ミックスド・リアリティー。仮想現実であるVRとARを組み合わせたもの)と呼ばれる手法ですが、これはドローン撮影を介したインタラクション(たぶんダイナミックVR)も含むので、ARというよりMRが適切かなと思いました。

 

宙に浮かぶ写真たちは、直前の「願い(Album-mix)」と同様、ユーザーから投稿されたもののよう。その写真が次々と光の粒になって、映像内の3人が持つフレームへと吸い込まれていきます。

これも巨大直方体と同様に、フレームの場所をリアルタイムで追跡・解析して、そこに光の粒が吸い寄せられるCGを生成しているように思いますが、ここではむしろその仕組みより、〈ユーザーの想いをPerfumeが受け止める〉というライヴ上のストーリー展開が肝でしょう。フレームの枠に沿ってレーザー光線が投射されたりと、ここでもインタラクションが有効活用されていました。

◇FINALE

「無限未来」を歌い終えると、メンバー3人はそのまま機構に乗って退場。舞台には透明なスクリーンが降りてきて、ドットで構成された3人のシルエットと〈Reframe〉の文字を投影。ここでもスクリーンの降りてくる動きに合わせてぴったり映像を投影していました。

 

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透明スクリーンに投影された映像はこんな感じでした

これをもってPerfume×Technology presents Reframe」は閉幕。MCなし、休憩時間もほとんど挟まずにパフォーマンスを続けた60分間。個人的には、激烈な演奏をほぼノンストップで60分間続ける、かつてのBRAHMANみたいだなと思いました。

 

鳴り止まない拍手の中、ふたたび場内が明るくなり、機構に乗って3人が登場。以下のようなことを話し、ライヴは締め括られました。

 

のっち「テクノロジーは人が作る、愛のあるもの。そのテクノロジーと一緒に、新しいことに挑戦できる場所を与えてもらえることが、本当に嬉しいです」

かしゆか「自分たちのこれまでを再構築して新しいものにできて、それが温かいものになるのは、ずっと見てくれているスタッフさんや皆さんの想いがあるから。これからも新しいことに挑戦しても、過去を忘れず、スタッフさんや皆さんの想いを大切に、自分たちがワクワクドキドキできることをやっていきたい」

あ~ちゃん「テクノロジーといっても、どうなっているか自分たちではよくわからない。でもテクノロジーだからといって冷たく突き放されるのではなく、温かいものになるのは、テクノロジーひとつひとつに全部手が入っているから。テクノロジーは絆を伝えられるものだと思うし、自分たちを通じて、テクノロジーは身近で温かいものなんだと思ってくれたら嬉しい」

「ステージに立っているのは3人でも、本当に多くのスタッフが関わってこれができました。スタッフに大きな拍手を!!

◇Reframe

今回のPerfume×Technology presents Reframe」、〈無機質なテクノロジーがチームPerfumeの絆と人間性によって云々〉はまあもちろんあるとして、私が感じたのは、ほんの1か月前はファンクラブ会員限定で、3人のキャラクターを前面に押し出した和やかで親密なライヴをしていたPerfumeが、ここではほとんど正反対といえる、極めて挑戦的かつ実験的なライヴを見せた、かつてないほどの表現の振れ幅です。どちらか一方ならできる人はたくさんいるでしょうけど、両方できる(しかもどちらも圧倒的に凄い)人ってそんなにいないだろうな……と。

 

 

「Reframe」は、テクノロジーとアートの関係性を突き詰めて、ギリギリのせめぎ合いの中からその調和を模索し、新たな表現領域を見出そうとするような、実に野心的で画期的なトライアルです。

2010年からコラボレーションを継続し、数々の大舞台(と困難)を共に切り抜けてきたライゾマティクスとPerfume、そしてMIKIKO先生だからこその到達点であり、世界的にも類例のない試みでしょう。

 

恐ろしいほど手が込んだ、このライヴの制作および準備に必要だった時間・技術・機材・人員の物量は想像が付かないほど。にもかかわらずチケット価格が5300円~5800円というのは、いったい収支どうなってるんだろう??と心配になりましたが、まあそこは我らのNHK受信料が使われているんでしょうね!(あくまで予想です)

実際、日本ではエンタテインメント企業にそれほどの資金力がありませんから、公共放送NHKは国営ではありません)くらいのスケールメリットがないと、ここまで冒険的なアプローチは不可能なのが実情でしょう。ここからテクノロジー×アートの新しい流れができたりしたら素晴らしいですね。

 

それにしても対極にあるようなライヴを2か月で続けて見せる、この連続性と意外性はあえて狙ったスケジュールという気がします(単にNHKホール側の空き状況でそうなっただけの可能性もありますが)

 

そこの部分は凄く気になったので、なぜか終演後にNHKホールの外で〈Amuse Fes IN MAKUHARI 2018〉のチラシを配っていた(しかも両日)、Perfumeマネージャーの山本さんに直接お尋ねしたいところでしたが、お仕事の邪魔をするわけにはいかないので帰路を急ぎました。

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山本さんにいただいたチラシ

2018.3.20&21 「Reframe」 SET LIST

1. 新曲(IDM風)

2. DISPLAY

3. 新曲(IDM風)

4. Butterfly

5. シークレットシークレット

6. 新曲(テック・ハウス~ヒップホップ調)

7. エレクトロ・ワールド

8. FUSION

9. 願い(Album-mix)

10. 無限未来

 

◇追記

このレポートを書いている間に、ネットメディアでレポートいくつか上がってたみたいですね。上のセットリストは私の「多分こうだった」という記憶以外の何者でもありませんので、ご了承下さい。

それと、「シークレットシークレット」の再構成(=Reframe)Seihoが手がけているそうですね。彼はライゾマティクス忘年会にも出演しているし、実験的でユニークなソロ作からSugar's Campaignみたいなポップスも作れますから、間違いない人選です!!

 

そして「Reframe」は「FUSION」以降のアーカイヴもアップされていますね。このブログをアップしたらじっくり見てみます!(記憶と全然違っていたらどうしよう) 

第91回 OTONOKO2017

12月2日のOTONOKO、行って参りました。

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全体の感想は〈かなり良いダンス系フェスで、東京でもこのレベルのフェスはそうそうない〉というところ。国産ダンス・ミュージックのフェスとしてしっかり芯を食ったラインナップで、ヤスタカの故郷・金沢(つまり東名阪のような大都市ではない街)で、こういうエッジの立ったフェスが開催されることの意義は大きいでしょう。

会場には遠方から来たであろうPerfumeファン(外国人含む)の姿も多く見受けられましたが、せっかくの良いフェスだし、もっともっと現地の若者も気軽にたくさん来たらいいな、とも思いました。このフェスでダンス・ミュージックに触れたことをきっかけに、トラックメイクやDJ、ソングライティングなんかを始めるような、それこそ昔のヤスタカみたいに音楽を真剣に取り組む若者が増えて、後々活躍してくれたら本当に素晴らしいですよ。

 

チケット代の6,800円も、この規模のフェスとして良心的な価格です。1日のみの開催は2DAYS以上の公演と比べると費用対効果がかなり低いですから(例えば宣伝費や、舞台設営・機材運搬などのコストを考えると、2DAYSなら1日あたり50%で済みますが、1日開催だとそこにコストが100%乗ってきます)、利益が出ているかも正直謎です。動員自体は初回の6,500人から、2017年は8,620人とアップしたようで良かったですが……

それでも、地元の若者には思い切ってチケット代は半額にしたりして、それが地域文化の活性化に繋がれば、地域発のフェスとして理想的ですね。

あとはポーター・ロビンソンやマデオン、ゼッド、サージョン、アナマナグチ、アフロジャック、マックス・ツンドラといったヤスタカ~Perfumeファンの海外クリエイターを呼んだりとかもいいですねー!兼六園に連れて行って、金沢のお寿司なんかも食べさせれば一発ですよ!!(関係者じゃないから好き放題言ってます

 

◇HOME

OTONOKO、私はCAPSULEから観ました。

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巨大なディスプレイを多数配したステージのデザインは海外のEDMフェスっぽいし、CAPSULEのサウンドも〈EDMブーム以降〉のアップリフティングなモードでしたが、やはりヤスタカが凡百のEDMクリエイターと一線を画すのは、とにかくソングライティングの質の高さ、そして洗練されたサウンド・デザインの独自性&意外性で、これはたとえばマーティン・ギャリックスゼッドデッドマウスなんかにも決して負けていないと思うんですが……褒めすぎ?

 

CAPSULEは30分という短い持ち時間でしたが、セットリストは「Another World」「FLASH BACK」「Hero」といったキラー・チューンの目白押しで、ひたすらアッパーに押し切る祝祭感の強いステージ。「More! More! More!」「Jumper」といった少し前の曲は〈EDM以降〉のアレンジやビートにアップデートされていたような気がしましたが、何しろCAPSULEを観るのがよく考えたら初めてだったため、気のせいかもしれません。やっぱヤスタカ才能あるなー、いつもPerfumeに良い曲をありがとな!と思いながら観ていました(誰目線?)

 

CAPSULE以降も、ユニークな持ち味やサウンドを押し出すアクトが揃っていて非常に楽しかったです! とりわけ、初見だった岡崎体育は批評性の高さ、メタでファニーなアプローチ、意外なくらいの(失礼)音楽性の高さ、そしてあのヴィジュアルならではの説得力など、どこか初期電気グルーヴにも通じる佇まいがクールかつ爆笑ものでした。

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banvoxはEDM系トラップを含むベース・ミュージック、ハウス、ブレイクビーツなど、多様なビート解釈を柔軟に組み合わせたミックスが、センス・スキル共に極めて巧みで、次々とこちらの予想を裏切ってくる意外性はもっと長く聴いていたいと思わせるもの。

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彼のプレイは何度か観ていますが、ますます進化していると思うし、いやはや脱帽です!

 

そしてbanvoxのDJプレイの終盤、引き継ぎのためにステージに現れたのはtofubeatsです。

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Perfumeの握手会に行ってアイドルに開眼した男、そして活動初期の高校生時代にはPerfume曲を使った(イリーガルかもしれない)マッシュアップ「The endless polyrhythm lovers」某動画投稿サイトにアップして注目を浴びるなど、Perfumeが人生に大きな影響を及ぼした、それこそ筋金入りのPerfumeファンです。

彼がこの日の、Perfumeの一つ前というものすごい出演順に気負っていないはずがない!と思ったのですが、いつもどおりの飄々とした語りで曲を紹介し、お客さんを煽ったり、時折チューン・ヴォイスで自分の歌を重ねたりしながら、「POSITIVE」「Too Many Girls」「ディスコの神様」「Don't Stop The Music」など、人気曲を立て続けにプレイ。良質なポップ・ミュージックのエッセンスと、ダンス・ミュージックの親しみやすさを掛け合わせたような楽曲に、会場内はじんわり熱く、ハッピーな空気で満たされます。

名曲「朝が来るまで終わることの無いダンスを」から「水星」で締める構成を観て、Perfumeファン代表だと思っていたtofubeatsが、Perfumeの直前にここまで堂々たるステージを見せてくれるとは……と勝手に感無量でした。「この後はPerfumeと中田さんです、最後まで楽しんで下さい!」的なことを言い残して、ステージを去るtofubeats。その姿はPerfumeファン代表に留まらず、非常に優れたクリエイターのそれでした。

 

◇The Opening

しばしの転換時間を経て(場内にいる8,602人で、大型ディスプレイに流れる地元のラーメン屋さんのCMを何度も観たりしました)ディスプレイには〈Next Artist〉、そしてPerfumeのロゴが表示されます。この日いちばんともいえる大歓声、お客さんが一気に前方に詰めかけるなか、突如鳴り響く「GLITTER」のイントロ! 2017年はSONICMANIAPerfume FES!!などでもこの曲が披露されましたが、このオープニング演出は『JPN』ツアーの沖縄公演以来ではないでしょうか。私はトップクラスに好きな曲なので歓喜です!!!

グリーンのレーザー光線が入り乱れる中、鮮やかな赤い衣装に身を包んだPerfumeの3人が登場。「GLITTER」は一時期よく使われていた、シングル・ヴァージョンとAlbum-mixが混ざったような印象でした。OTONOKOは(場所にもよりますが)音響もなかなか良かったですし、もう最高でしたね!そして立て続けにFLASH。いまやライヴの鉄板曲で、SONICMANIAに続いてPerfumeのハイパー・ダンスモード炸裂ですが、この2曲でひとまずMCに。 

◇MC

以下、大体の記憶です。

あ~ちゃん「中田さんとライヴで一緒になるのは初めてです。14歳からPerfumeをやっていて、いま28,29歳。中田さんもよう飽きんと続けてくれた飽きることもある人だと思うけど、そのことがありがたいです。中田さんとは去年くらいから一緒にTVに出たりして、今年はOTONOKOに呼んでいただきました」

あ「みんな重低音ずっと聴いてて、身体おかしくなってない?ならない?OTONOKOの音好きな皆さんはさすが、うちらも精進します」

 

この日のグループ分けは〈な・か・た〉になりました。

あ「みんなで神の名前を叫んで、最高の時間にしたいと思います!」

神の名前を叫ぶと、神々しさだかご利益だかを感じる、みたいな話もあったような……

 

そしてまだ2曲しかやってないけど、早くもP.T.A.のコーナー」へ。この日のPerfumeの持ち時間は40分で、ここまでも結構な時間を使っていたように思いますが、続いての「FAKE IT」で一気に場内大爆発!これはこの日いちばんの熱狂状態だったかもしれません。

続いてちょっと意外なチョコレイト・ディスコで、アッパーなダンスモードからシフトダウン。この曲が中盤に入ることは珍しく、その場では少し不思議に感じましたが、続けてあ~ちゃんの「紅白歌合戦、今年も出場することができて本当に嬉しいです。私たちの今年は、この曲です」というMCから、ゆったりとしたイントロの「TOKYO GIRL」に入ったので、いま思えばそこへの(モードやテンポの)調整にもなっていたかもしれませんね。

 

「TOKYO GIRL」が終わると、「次が最後の曲です。新曲で、3人でやるのはこれが初めてです。FUSION!」というあ~ちゃんのMCから最新曲「FUSION」へ。3人が舞台上で正三角形のフォーメーションを取り、イントロが流れると場内前方で大きな歓声が。何だろう?と思っていると、ステージの上段がライトで照らされ、なんとPerfumeの背後にDJブースに立つヤスタカの姿が!瞬時に驚きが広がり、大歓声が沸き上がります。

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Perfumeとヤスタカのステージ上での共演が、2003年のコラボレーション開始から14年を経て、初めて実現した瞬間でした。

 

◇FUSION

この「FUSION」、やや和風のメロディーを持つインスト主体の曲で、キックの4つ打ちからも脱却して、最近のPerfumeには少ないテクノに仕上げられています。

Perfumeはこれがライヴでの初披露ということで、集中力を高めて全身全霊でパフォーマンスしていたように見えましたが、ヤスタカは最初の「Yeah」で軽く人差し指を掲げたり、「Yeah, Yeah, Yeah」の連呼ではハンズアップで客を煽ったり、音域のミックスを少し変えたり(していたような気がしましたが勘違いかもまあ言うなれば平常運転に見えましたね。

 

それにしても、まさか両者の初共演が「FUSION」になるとは……踊り慣れた「ポリリズム」や「チョコレイト・ディスコ」でコラボしても別に良いはずで、それを初披露の最新曲でやることは、もっともハードルが高いでしょう

それにあえてトライし、(それこそフュージョンして)見事にやり切って見せた4人。常に新しいことに挑戦し続けて、アイドルグループとして前人未踏の成果を成し遂げてきたPerfumeとヤスタカに、これ以上相応しいコラボレーションもなかっただろうと思います。 

◇KANAZAWA

「FUSION」が終わると、Perfume3人は弾けるような笑顔で、DJブースのヤスタカを盛り立てるように手を振り、舞台袖に消えていきます。そのままフェスのトリを務めるヤスタカは、何事もなかったかのように自分の曲「Source of Light」NHK「NEWS CHECK11」のオープニングテーマ)を流します。

 

えっ、どちらもこの共演について何も言わないんだ!!

Perfumeファンからすると(そしておそらくPerfumeメンバーや関係者にとっても)ヤスタカとの共演は歴史的な瞬間ですが、そのパフォーマンス中に「DJ、中田ヤスタカーー!!」みたいに特別にそれを煽ることも、そもそも歌詞以外の言葉が交わされることもなく、あくまでもサラッと披露された印象でした。

 

ただ、初披露の最新曲を、この大一番で見事に決めてみせるPerfumeの頼もしさと成長、そして4人でパフォーマンスする姿に、ここまでのすべてが込められているかのようで、むしろ言葉は野暮だったかもしれません。Perfumeとヤスタカがこれほどスマートかつプロフェッショナルな音楽的対話を見せてくれる日が来るとは……

そしてそれがヤスタカの故郷であり、恩人・ライムスター宇多丸さんとの対バンも行った金沢という街であったことに、何か巡り合わせも感じました。

 

ヤスタカはその後も「NANIMONO」やゼッド「Stay」のリミックスなど、自分が関わった曲を活き活きとプレイしていましたが、Perfume「If you wanna」を流すと、ステージにPerfumeが再登場!これまた「FUSION」に続いて最近の曲ですね。新しい作品をベースにコラボする、というモードが徹底されています。

 

大勢のお客さんで埋まったアリーナ会場で、

Perfume」のロゴがスクリーンに大写しになり、

中田ヤスタカのDJで踊るPerfume3人。

うーん、こんな未来が待っていたとは……私がPerfumeを知った頃には正直予想だにしていませんでした。

 

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この日、Perfumeとヤスタカは同じステージの上で音楽を共有し、そして翌日からはまたそれぞれ違うステージに立つのでしょう。両者の軌跡が、またステージ上で重なることもあるのかもしれませんが、それはそれとして。

ここからまた、Perfumeとヤスタカがお互いに良い影響を与え合いながら、末永く活躍してくれることを願ってやみません。 

 

 

 

 

……あ、そういえば冬の金沢の魚介類はミラクルに美味しかったので、最後に貼っておきますね!!!!!(ぶちこわし)

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第90回 Perfume FES!! Perfume×星野源

2017年9月13日、Perfume FES!! 秋の陣の第3弾、星野源さんとの対バンライヴが開催されました。私は行く予定が一切なかったのですが、チケットが余ったという友人の誘いをありがたく受けて急遽大阪に飛びました。

  

開演ギリギリに会場入り。スガシカオさんの日と比べると若い世代が相当多く、女性もかなり多かったです。Perfume FES!!のタオルなど、グッズを持っている人も多い。そして平日にも関わらず城ホールはぎっしりで、空席もほとんど見つけられないような状況。

 

先攻は星野源さん。定刻を過ぎると、ステージ上にバンドメンバーが三々五々登場して、軽く音出しを始めます。ギター、ベース、ドラムスにキーボードは2人、ホーン隊3人、そして驚いたことにストリングスも4人含むフル・バンド。いまどきのライヴでストリングスはキーボードで代替したり、打ち込みを流したりするのが通例だと思いますが、まさか生で弦楽四重奏を聴かせてくれるとは……! 何というか、星野源さんの破竹の勢いを感じるしかないリッチな編成です。

 

場内が暗転すると演奏が始まり、ステージの下手(客席から向かって左)から「こんばんはー!星野源でーす!」と、黒いジャケット姿のどうみても普通の兄ちゃんスターが登場。いきなり場内は物凄い盛り上がりです。

源さんの一挙手一投足、一言一言に大きなリアクションを返すお客さん。たちまち数曲を演奏し終えてMCに入ります。

Perfume FES!!、以前から〈出てね〉と誘ってもらっていて、ようやく実現しました。ずっとツアーをしていて、3日前に終わったばかりですが、ここ大阪城ホールでもライヴしまして、好きな会場です。初めてPerfumeと会ったのもここで、それは物凄く変わったイベントだったんですが、来てた人もいるかな(はーい!と反応してるお客さんも結構いました)

そのときは〈ほしゆか〉として登場して、miwaちゃんとかしゆかちゃんとシシド・カフカ、3人ともにほんのかすかに似ていたんですけど。当時はまだアミューズ所属でもなかったので、そこで初めてご挨拶して。いまでは事務所の後輩としてがんばっています」

 

余談ですが、私は星野さんが在籍していたSAKEROCKのファースト・アルバム(2005年)に関する原稿を(短いものですが)リリース当時に書いたりしていたので、星野さんの音楽には相当早くから触れていたのですが、そこからはほぼまともな接点がないままこの日に至ったため、観るものすべてが初めてでした。

 

◇STUFF

ライヴは時折MCを挟みながら進んでいくのですが、星野源バンド、これがまためちゃくちゃ上手い!と思ったらドラムが河村カースケさん、ベースが伊賀航さん、ギターがペトロールズにして東京事変長岡亮介さんって、このトップクラスのプレイヤーを普通に集めている(ように見える)あたりが、星野源さんの破竹の勢いしか感じないところですね。

 

キーボードのひとりが元PANIC SMILE石橋英子さんなのも驚きました。石橋さんは普段アヴァンギャルドだったり実験的な音楽をやられているとばかり思っていたので、まさかこんなにポップなサウンドとは……「SUN」の冒頭でなんか「ヴーーッ!!」と極太のノイズが鳴っていたので、あれは石橋さんのアドリブかと思ったら後でそういう仕様だと知りました。

 

バンド全体としてはスティーヴィー・ワンダーをはじめとする70年代ソウルや山下達郎さん、細野晴臣さんなんかの影響が濃い、ライトなソウル・ポップという印象ですが、とにかく達人揃いのメンバーが盤石のバンド・アンサンブルを聴かせて、しかし我を出すのではなくヴォーカルを引き立てることに専念しているという、非常に贅沢かつプロフェッショナルなステージでした。

 

その主役たる星野源さんのヴォーカルは、まあ決して超絶技巧であるとか、声域が広いとかの(一般的に歌が上手いと評されるタイプの)歌手ではなく、声の特徴やキャラクターがあのメロディーや作風にぴったり合っている、ということなのでしょう。ファルセット(裏声)を多用するところにもソウル・ミュージックの影響が窺えました。

 

◇HEAT WAVE

ライヴが進むと、長袖ジャケットを着た源さんはかなり暑いらしく「皆さん暑くないですか? (暑いー、という観客の声に)ハアハア……いっしょだね!

熱中症にならないよう、水分取って下さいね。僕はこの間、家でなりました。クーラーの修理で業者を予約したら〈1週間後で〉と言われたので、その間は仕方なく扇風機だけで過ごしていたら熱中症になって、病院に行ったら〈自宅での熱中症はお金のない若者か老人しかならないよ〉と言われました」と、本当に気さくです。

 

それと源さんはスポンサーや関係者への配慮が超丁寧です。タイアップ曲をやる前に「ウコンの力、飲んでる?」と問いかけたり、「良かったらサッポロ黒ラベルも飲んで下さい」「次にやる曲は過保護のカホコというドラマの主題歌で」など、この気遣いは石原プロを彷彿とさせるな、と思いました。

石原プロのドラマは、劇中にスポンサーの商品がガンガン出てきたり、犯人が脅迫電話をかけている背後でタイアップ企業のCMソングが流れて、それを聞いた刑事が犯人の居場所のヒントを掴んだりします

 

「2年くらい前に出した『Yellow Dancer』というアルバムの1曲目の、〈時よ〉という曲をやります。いつもはELEVENPLAYのダンサーさんといっしょにやるんですが、今日はいないので、ひとりでがんばります」という前振りから「時よ」。私でも聴いたことがあるくらいの、とても良く出来た曲ですが、曲の途中でステージ下手から、白い襟の赤いワンピースを着た女性が2人出てきます。

 

あれ変だな?ELEVENPLAYはいないんじゃ……あっ、Perfume!!!?

あ~ちゃんとかしゆかです。上手からはのっちも登場、3人で「時よ」のダンスを踊ります。特にのっちは楽しくてたまらない様子が顔に表れて、もうニッコニコ。途中から源さんも合流して、4人でがっちりシンクロしたダンスを決めると、すでに場内のテンションは最高潮です!

Perfumeは赤いワンピースに負けないよう、真っ赤なリップなどメイクもかなりはっきりめだったように見えました。手袋をしてダンスするPerfumeというのも初めて観ましたね。

 

◇Love

「時よ」が終わっても、Perfumeはステージに残っています。

ということは……ということは……!!!!

 

源さんが「皆さんいっしょに踊って下さい! 去年めちゃくちゃ歌った曲です!」と声を張り上げるやいなや、流れ出す「恋」のイントロ!!! 踊り始めるPerfume!!! すでに観客のヴォルテージと大歓声は城ホールの天井をぶち破らんばかりで、私も本来はこの曲の演奏もじっくり聴きたかったのですが、もはやそれどころではありません。

スター4人が発する、瑞々しい輝きは目も眩みそうなくらい。場内は狂喜乱舞でお客さんも踊りまくり、ポップ・ミュージックのダイナミズムや興奮の極致といった様相です。そうですね、いま瞬間最大風速的な流行りの言葉で言うと、音楽の魔法がありましたね。

 

この曲のMIKIKO先生による振付は、普段のPerfumeのモードから考えるとずいぶん可愛らしくてポップですが、振付があの素晴らしいソウルフルなバンド・サウンドと合わさり、そこでPerfumeがダンスすることで、こんなPerfume観たことない!という新たな一面を引き出しているようにも見えました。

ラストは源さんも加わって4人での恋ダンス!! 尋常ではない歓声と熱狂的な盛り上がりで、場内は客席で何人か失神していてもおかしくないレベルの興奮状態。源さんはキレの良さやリズム感など、ダンサーとしても相当良い線行っていましたね。

 

「恋」が終わるとMCタイム。

改めてPerfumeと対峙した源さんは「可愛い……」と床に崩れ落ちます。

あ「(衣装は)源さんの好きそうな感じで

源「好きです

あ「今日のこのために作った衣装なんです」

源「Perfume凄い、全然覚える時間もなかったのに完璧に踊れてた。俺も客席から観たかった! ステージで踊ってるから見られない!!

あ「一生懸命覚えたのに、お客さんみんな(普通に)踊ってた……」

 

源「Perfumeと初めて会ったのが大阪城ホールで……」

Perfume3人「(苦笑と困惑)」

源「あれ、これあまり触れない方がいい思い出だった? (かしゆかの様子をみて)怯えてる?

か「怯えてないです笑」

 

源「水飲まないと、ちょっと3人で話していて下さい

あ「でもうちらももうハケるから」

そして源さんにPerfumeでしたー!」と送り出してもらい、のっちは颯爽と帰ろうとしましたが先にいたかしゆかがお辞儀をしていたので、急いでお辞儀していましたね。

 

源「可愛かった……(水を飲んで)なんでいま俺ひとりなんだろう……」

客「(笑)」

源「………………(しばし放心状態)」

客「(爆笑)

 

 

ライヴの最後には「Perfumeをずっと追ってきました。いつも観て、本当にカッコいい、こんな人たちは他にいないと思った。Perfume FES!!は数少ない機会で、出られる人も限られているなか、そこで呼んでもらえて嬉しいです」と真摯な御礼を述べて、「最後まで楽しんで下さい! 星野源でした! 次は、Perfumeでーす!!!

 

いまの圧倒的な人気にも納得の、問答無用に楽しいハッピーなステージでした。いやー時代の寵児って凄い!

 

◇THE TIME

25分くらいと思われる転換時間を経て、場内が暗転。今回のPerfume FES!!での入場スタイルは、重厚なSEに合わせて、碁盤の目のような並びで吊られたライトからの光線マスゲームみたいに規則的に動くという趣向。床下に設置された機構(入場時にしか使わない、贅沢)から3人がスーッとステージに上がってきます。3人が腕を動かすと、それとシンクロして照明も動くなど、光とダンスするような趣向で、この演出は4月に開催されたRhizomatiks Research x ELEVENPLAY Dance Installation at Gallery AaMoから繋がっていると思われます。

 

なお私が観ていた位置は音響もとても良く、〈衣服がビリビリ振動する〉を越えて風圧を感じるレベルの重低音の出力がありながらもクリアな出音で、反響による遅延(ビートが遅れて聞こえてくる)もなかったです。PAさんに感謝です……

 

1曲目はFLASH」! そして「GLITTER」から「GAME」と、立て続けに強力なダンス・チューンを連打(「GAME」の前か後に衣装の早替えもあったような)。そして続く「Everyday」で空気を変えます。この「Everyday」、可愛らしい曲調なのに重低音や残響音の出し方が常軌を逸していてかなり好きなのですが、ライヴの大音量で聴くことで、これまで気づかなかったような音の存在や配置、響きを堪能できました。

 

4曲を終えると最初のMCタイム。

あ~ちゃん「最近はライヴの絶対数が多くて、人気のある会場はなかなか取れない。今回平日になってしまってごめんなさい! でも、皆さんは来てくれました。貴重な有給、大事な時に取っておきたかった有給で来てくれた以上、満足してもらえるよういろいろ盛り込みました」

あ「盛り上がる準備できてるー? こっちに乗っかってくれるー? 頼むよ、良いところ見せたいんだ! 今日はアミューズの偉い人たくさん来てるから大阪城ホールは大きいから、リハのときはここが埋まるのかな?と思いました」

のっち「Perfumeとして、星野源さんファンとしても念願の対バンが実現しました、そして女性スタッフがウッハウハ

かしゆか「自分たちの出番前に他人のステージに出るのが、あんなに緊張するとは、足が震えたけど、ELEVENPLAYさんの代わりなので、スッと見えるようにがんばりました。今日、グッズ着用率が高い! みんなグリーンの(フェス)タオルしてくれてる! 優秀!

そしてかしゆかが「今日、初めてPerfumeを観るって人ー!!」と訪ねると、かなり多い! ざっとですが、15%~20%くらいは手を挙げていたように見えました。星野源さんファンでしょうか。

か「星野源さん、〈Family Song〉という新曲を発表されたそうで」

の「プロモーションみたい!」

か「なんて、知ってるわ! 毎朝聴いてるわ!

あ「今回、〈Family Song〉にちなんで〈Family Ring〉というグッズを作りました。スマホに着けるリング。めちゃ堅く作ってます。ニャンキホーテとかで買うものよりずっと堅い。今日しか買えないので」

の「源さんもお気に入り……かもしれない!

あ「お気に入りとは言わん、正直者じゃ」

の「源さんとお揃い……かもしれない!

 

よってこの日のチーム分け……じゃなくて秘密の合い言葉は〈ファミ〉〈リー〉〈リング〉で、「源さんの新曲はー!?」と聞かれたら〈Family Song!!〉と答えるという約束になりました。

 

そして話題は「恋」ダンスにも。

あ「他の人の曲でも、MIKIKO先生の曲を踊れたことの達成感が凄いです。〈恋〉はスタジオに入って、ELEVENPLAYさんに教えてもらって40分くらいでフリを入れたら、頭がパーン!ってなった。ついていけないかも……と思ったけど、1日寝て起きたら踊れて、Perfumeって思った」

 

◇FOREIGNER

あ「スタッフさんから聞いたんですが、今日は海外からも来られているそうです。パラグアイアイルランド、イギリス、アメリカ、台湾、韓国……しかもこのチケットが激戦の日に!」

日本の人でも簡単にはチケットが取れなかったのに、純粋に凄い気合いだなと思いました。しかし来場者の国籍をどう調べたのかも興味ありますね。

 

今回も、事前に源さんにPerfumeで好きな曲」を尋ねてメドレーを作ってきたそうです。いろいろなリクエストがあった中から選ばれたのは「マカロニ」「ナチュラルに恋して」「Magic of Love」。他にインディーズ時代の曲もあったらしいですが、あ~ちゃん曰く「ああ、源さん忙しいしふざけているんだ」と思って流したそうです。

 

なお「マカロニ」は、名古屋でスガシカオさんもレキシも採り上げているので3公演連続ですし、「ナチュラルに恋して」はライムスターとの対バンのコラボでも大々的にフィーチャーされていました。アーティストの好むPerfumeの曲が、ソウル~ファンク路線の曲に集まっているのは注目のポイントと思います(その割にそういう曲が非常に少ないのですが……)

 

「マカロニ」は2コーラスくらいで〈♪最後の時が~〉に繋ぐショート版、「ナチュラルに恋して」はほぼフル・コーラス? そして「Magic of Love」はシングル・ヴァージョンで、アルバム版の長いアウトロがなくスパッと終わるのもメドレーの締めには最適でした。

あ「可愛い曲ばかりで恥ずかしくなるくらい! 愛とか恋の曲ばかりで、源さんの〈女性への理想〉があるのかなー。そうそう、源さんのライヴのELEVENPLAYの衣装は、本人じゃなくて源さんがチェックして、直し(修正の指示)も源さんがやっとるんだって」

客「(驚きの声)」

か「(笑顔で)そう考えると、次に観る時の印象が変わるよね!

その後、あ~ちゃんの「理想を具現化していて凄いよね」というフォロー(?)なども入っておりました。

 

メドレーに続いて新曲「If you wanna」。名古屋では〈フューチャー・ベイス〉と発音していた(ように聞こえた)あ~ちゃんですが、ここでは〈フューチャー・ベース〉と自然な発音でしたね。

 

P.T.A.のコーナー」から、なんと「FAKE IT」! さらにピークを更新するような会場の熱狂です。名古屋(スガさんの日)はこの位置に「コンピューターシティ」だったのですが、かなり変わっています。で、同じく名古屋ではこの次に「チョコレイト・ディスコ」だったんですが……

 

「FAKE IT」の熱が充満する中、静まり返る会場。Perfumeメンバーも動かず、あ~ちゃんの息づかいだけが聞こえてきます……これは?と思うやいなや、「せーの!」と掲げられる手のひら。「MY COLOR」、久々!!!

Perfumeファンも源さんファンも、みんなそれぞれ踊り、歌い、楽しんでいます。意外な選曲でしたが、いかにもこの日に相応しい、美しいフィナーレを迎えました。(あ、本当のラスト曲は「TOKYO GIRL」でした)

 

ちなみにPerfumeがステージを降りた時点で21:30を回っており、「今日の終演は22時過ぎるな!」と確信いたしました。

 

◇THE ORIGINALS

しばしの転換時間を経て、明るくなったステージにはバンドセットではなく、スタンドマイク2本にモニター・スピーカー、アコースティック・ギターが1本セットされています。

そこでPerfume3人がフェスTシャツで登場。改めてこの日の主賓である源さんを呼び込むことになりました。

あ「じゃあせーので〈源さーん〉って呼ぼうか。せーの」

全員「源さーん!

 

すると「ちょっと待ってよー」とか言いながら女装した不審者ほしゆかが登場! Perfume FES!!の白Tシャツにシルバーのロングスカート、ピンクの靴下に白いスニーカーといういで立ちで「星野源はもう帰ったわ」と言い放つ。

ほしゆか「ひさしぶりね

「何年ぶり?」「前もここで会ったわね」など話しながら、Perfume3人にどんどんにじりよるほしゆか。

あ「めっちゃ近くに来るわね

ほしゆか「グイグイ行くわ」

か「そのスカートよくあったわね

 

ほしゆか曰く「今日は私もPerfumeだから!」とのことで、いつもの「Perfumeです!」の挨拶を4人でやることに。しかしほしゆかは「ちょっと事前に手のサインだけ確認していいかしら?」と何度か試すもののうまく行きません。どうやら、ついついピースサインをした指が開きがちのようです。

「ピースが年齢を感じる」「いまはこうだからね(ピースサインで指をくっつけながら)」と語るPerfumeメンバー。

ほしゆか「やめて! 年齢の話はやめて!

 

そして4人揃って「Perfumeです!」、一応成功しました。

ほしゆか「良かった、今日はこれをやりに来たわ

 

その後、ほしゆかは「暑い! 頭が暑い! あと背中も暑いわ!」と苦しんでいましたが、髪に覆われているからですね。

か「あたしもいつも首から背中まで保温されています」

ほしゆか「あなた大変ね!」

 

ほしゆか「さっきのメドレー素敵だったわ……素敵だった。でもこれの準備があったから全部は観られなかったんだけど、素敵だったわ」

途中、女言葉がなくなったり、星野源です」と名乗ったりと、割とキャラがブレたまま進んでいくほしゆかでした。

 

◇THE MUSIC

あ「これから一緒に歌うんだけど……」

しかし観客はすでにステージ上のギターも見ていますし、織り込み済みの展開のためか、ほぼ無反応……

 

あ「ここは湧くところです!

客「(湧く)

ほしゆか「ここで反応なかったら、私何しに来たのかしら?ってなるわ」

 

そしてほしゆか「ひとりでやるんじゃなくて、妹(と言っていたような?)呼んでも良い?」と断ってから舞台袖に声を掛けます。すると、よりによって似たようなシルバーのスカートを着用したながゆか(ペトロールズ長岡さん)も登場。ほしゆか曰く「ながゆかは男性ホルモン多めで、ヒゲ生えてるのよ」。

 

あとはほしゆかが前屈みになって猛然と髪を洗うような仕草をしたり、ながゆかの髪がギターを弾くときに邪魔そうだったのであ~ちゃんが率先して後ろに流したりと、そんなこんなで歌う体勢が整いました。

あ「これは事前に音源が送られてきて、すごく熱いアレンジで」

ほしゆか「この曲を聴いたとき、このアレンジでやりたいと思って。新曲の〈If you wanna〉を、ギター2本でやります

 

おお、最新曲であり、特にギターの生演奏だとどうなるのか想像が付かない選曲ですね。「これはもうここでしか聴けないから!」というような煽りを経て演奏が始まると、ギター2本でコード進行は大体ざっくりと再現しながらダウンピッキングで刻み、サビでのシンコペートしたシンセとキックは、アタックの強いリフで表現する感じです。Perfume3人も生歌で健闘。キーは高めながら、堂々と歌い上げています。

いやいや、意外性のある挑戦でいいじゃないですか……と思っていたら途中の間奏からほしゆか・ながゆかがヘッドバンギングしながらメタリカみたいなヘヴィーなリフを叩きつけてきます。髪を振り乱しながら一心不乱にギターを弾く女装姿の男性2人をみんなで見届けました。

 

演奏が終わると、Perfumeは「やったー!」「カッコよかったー!」などと喜びますが、なぜかほしゆかは「ハードコアだったわ……」と達成感を漂わせていました。

 

コラボレーションはまだ終わりません。

ほしゆか「もう1曲やりたいんだけど、私Perfumeですごく好きな曲があって」

あ「わっ!……

ほしゆか「でもこの曲の名前を出すと、3人が凄く渋い顔するの」

あ「でもこれも音源を送ってもらって、カッコいいアレンジだったから、これならいいかな?って」

ほしゆか「〈スウィートドーナッツ〉って曲だけど(大歓声を受けて)……ほらみんな喜んでる!! みんなのためになってる!! この曲の〈♪疑問は増える〉ってところが好きなの」

なぜそこ!?

かしゆかは「この曲久しぶりに聴いたら、どこの子供が歌ってるんだろう?って思った。しゃべるみたいに歌ってたもん」

あ~ちゃん「あれが商品として販売されてたのが凄いよね」

ほしゆか「最後がこの曲だから、みんなこの曲を心に持って帰るのよ!」

 

しかしこのあたり、MCの進行ではPerfumeも源さんも、お互いの出方を見るような空気に……と思ったらほしゆかが「進行はどうしようかしら? 打ち合わせしてないからドキドキするわ」と。結局「あなたたち(Perfume)に任せるわ」ということになり、かしゆかの「生まれ変わったこの曲を聴いてください、スウィートドーナッツ!」という紹介から演奏がスタート。

 

イントロ、キーボードの賑やかなフレーズはながゆかが弾き、全体のコード進行はほしゆかが担当。かしゆかが〈♪最後の一言すっと冷えて~〉と歌い出すと、〈ゆかちゃーん〉のコールがどこか申し訳なさそうにあちこちから聞こえてきます。のっちは久々に聞いたであろうコールについ吹き出したり。でもPerfumeは歌いながらもそれなりにフリをやっていたり、コールも徐々に本気になってきたりと、なかなかの盛り上がりを見せました。

コーラスでほしゆか・ながゆかも歌っていたような気もするのですが、さすがに詳細は思い出せません。

 

そしてかしゆかが歌う〈疑問は増える♪〉の直前、ほしゆかのギターを弾く手が止まります。そしてすぐ近くにいたかしゆか、なんとほしゆかとしっかり目を合わせながら〈疑問は増える♪〉と可愛らしく歌う! この待遇で気絶・動転などしないあたりがさすが時代を牽引するスター・星野源さんです!!

 

演奏を終えたほしゆか、拍手喝采を受けながらステージから去ろうとしますが、一瞬立ち止まり、ながゆかの手を取るとそのまま手を繋いで舞台袖へと消えていきました。Perfumeは「さっきの見た? 手繋いでたよ!!」と話題騒然です。

 

ラストの挨拶。

か「盛りだくさんすぎて頭がいっぱいでした笑。ずっと踊ってほしいと言われていた〈恋〉を、源さん本人と、こんな正式な場所で一緒に踊れて良かった。コラボの2曲も、源さんじゃなかったらできなかった曲です」

の「凄く贅沢な時間で(言ってたののっちじゃなかったかも?)音楽って楽しいなぁ、と改めて思いました」

あ「恋、実は源さんから〈一緒に踊るのはどうかい?〉と提案してもらいました。あの人柄が人を惹きつけるんだと思います。今回はチケットがものすごい売れ行きで、先行販売で全部出てしまって、観てほしかった人もいたんだけど友達全然呼べなかった」

「1日じゃ足りない、2DAYSやればよかった。またやったらみんな来てくれる? 源さんにお願いしてみようかな……名残惜しいですが、会場の時間もあるので。それでは、Perfumeでしたー!

 

終わった後時計を見たら、22時20分近かったですよ!

でも、参加した人は大満足であろう、3時間超のコンサートでした。次回の対バンも楽しみです!(2回目がある前提)

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2017.9.13 Perfume SET LIST

1. FLASH

2. GLITTER

3. GAME

4. Everyday

 MC

5. 星野源さんに捧げるメドレー(マカロニ~ナチュラルに恋して~Magic of Love)

6. If you wanna

7. P.T.A.のコーナー

8. FAKE IT

9. MY COLOR

10. TOKYO GIRL

En1. If you wanna feat. ほしゆか・ながゆか

En2. スウィートドーナッツ feat. ほしゆか・ながゆか