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Perfumeに特化した音楽ブログ/音楽に特化したPerfumeブログ

第98回 Perfume at Coachella!!!!!

Perfumeは2019年4月14日と21日、2週に渡りCoachella Valley Music and Arts Festivalへ出演しました。

私は19日のロサンゼルスでのワンマンと、コーチェラ2週目のライヴを現地で観ることができました。LA公演は「Future Pop」日本ツアーの延長線上にあり、そこに「チョコレイト・ディスコ」など海外での人気曲を採り入れ、新たな機構も導入したりと、ローカライズとアップデートがなされたものに。会場は満員で、日系の文化が根付いたLAの特色もあってか、アジア系の方々が多く来られていました。

……とLA公演について書きたいこともあるのですが、今回はコーチェラのことを。

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コーチェラ出演の意義について以前書きましたが、たとえ世界で最も注目を集めるフェスに出演しても、その場で観客が集まらなければ、良いパフォーマンスにならなければ、せっかくの機会を活かし切ることはできません。

春に行われるコーチェラは、いまやその1年の音楽市場のトレンドを象徴するとされています。世界中のフェス主催者、プロモーター、エージェントが「今年はどのアーティストが良いライヴをするかな?」と注目していますから、ここで目立ったアクトは、世界各国の夏フェスやイベント、ツアーのブッキングが期待できます!

さらにYouTubeでのリアルタイム配信も影響力が大きいため、間違いなくどのアクトも完璧に仕上げてきます。Perfumeは世界的な知名度ではどうしても分が悪いですが、コーチェラ期間中にMixmag、そしてRolling Stoneという人気メディアが〈コーチェラで観るべきアクト/1週目のベストアクト〉としてPerfumeを採り上げてくれました。

なおRolling Stoneは、アルバム『COSMIC EXPLORER』を、2016年の年間ベストに入れてくれたこともあります。これについても以前書きました。

こういった音楽メディアの人たちは仕事柄、常に新しいもの、おもしろいものを探していますので、そこにPerfumeが引っかかったのは、コーチェラ出演がフックになり、届くべきところにようやく届き、評価されつつあることの表われとも言えるでしょう。もしかしてPerfumeのコーチェラ、かなり行けるのでは……?という気もしてきたのです。 

とはいえ、私が観られるのは2週目のみ。ということで1週目に関する情報は極力遮断して当日を迎えました。

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◇What's Up, Coachella!!

コーチェラに行くのは2回目ですが、今回も世界中から集まったお客さんは人種も年代も多様。とはいえ平均年齢は30歳前後といった感じか、若い世代が多く参加しています。

この年のラインナップの特徴として、かつて猛威を振るっていたEDM系のDJが一気に少なくなりました。DJも曲を流すだけでなく、楽器を演奏したりバンドを従えたり。そしてEDM勢が鳴りを潜める一方で、非英語圏……つまりラテン・アメリカやアジア、ヨーロッパ圏のアーティストが存在感を増しています。

前回は、夜になるにつれて英語圏のアーティストが増えた印象でしたが、今回はメインどころだけ挙げても、まずコロンビアのJ BalvinプエルトリコBad Bunnyが最大規模のCoachella Stageに堂々の出演(真ん中にいるのはゲストのCardi Bですね。この3人による「I Like It」は近年を代表する超ヒット曲です。

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トリニダード・トバゴCalypso Rose(御年78歳!!!)

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フランスからCharlotte GainsbourgにGesaffelstein

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ロシアからNina Kraviz

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アジアからは我らがPerfumeBLACKPINK、Hyukohなどなど。

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ずいぶん国際色豊かになっていて、それに伴い2018年のコーチェラに感じた「意外と音楽性が限られるんだな」という印象から、随分と幅広いフェスになっています。これを受けて、各国のフェスはどれくらい変化するのでしょうか? 楽しみですね。

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さて、マニアック(?)な話はこのへんにして……ここからようやくPerfumeの話です!!

◇2019.4.21

Perfumeの出演当日、会場を見て回りました。

他にも、Pusha TやBlood Orange、Boy Pablo、SOB X RBEなど観ました。正直言って、どのアクトも実に凄いライヴをやっていて「本当にこのフェスに、僕が知ってるあのPerfumeが出るんだろうか……??」と途中から現実味がなくなりました笑 あ~ちゃんが大好きなAriana Grandeも(しかもPerfumeのすぐ後に)出るくらいですからね。非常に不思議な感覚というか、ふわふわした心持ちだったのを覚えています。

Perfumeの出演時間(20:25)が近づいてくると、Perfumeが出演するGobiと、すぐ隣のMojaveの動員が気になります。この2つは同規模だと思っていましたが、僕の記憶違いかステージプラン変更があったのか、GobiはMohaveより小さく、Mojaveの4分の3といったところでしょうか。

19時過ぎの時点で、Gobiは070 Shake、MojaveはClairoとどちらも女性アーティストが演奏していますが、どちらも人の入りはそれほどではありません。その分、Coachella StageのZeddと、こちらも巨大なステージであるSaharaに出演するYG(地元カリフォルニア出身のラッパー)に人が集まっています。

たとえしっかり準備して、良い演奏ができたとしても、裏に強力なアクトがいれば人はそちらに流れてしまうのがフェスの難しいところ。はたしてPerfumeは大丈夫かなぁ……

 

19:40頃になり、気になっていたOutdoor Theatreに移動。Justice(か2000年代後半の中田ヤスタカ?)をダークにした感じのGesaffelsteinも、かなり多くの人を集めています。

みんなー、20:25からGobiでPerfume始まるぞー!グサフェルもいいけどこっちもいいぞー!と渾身の力で呼びかけたいところですが、Zeddを見終わった人までもが続々とこちらへ集まってきます。この人の流れが、Gobiにも行っているといいのですが……

 

刻一刻と時間が迫ってきます。せっかくなのでギリギリまでGesaffelsteinを見て、20:10にGobiに到着しましたが、状況はこれ。

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うーん思った以上にアウェイというか、もう少し集まってくれると思ったんだけど……いいところ4〜500人くらいでしょうか。サブヘッドライナーでこれではあまりにも寂しい。でもまだ開始まで15分くらいあるから……大丈夫なはず!!きっと!!!

 

不安に駆られながらも、お隣のMojaveで演奏中のSofi Tukkerの様子を見に行くと、これが「マジか……」と声が出てしまうほどの大入り。

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前回のエントリではすっかり抜けていましたが、NY発のユニークで知的で優れたダンス・ポップが身上である彼らは、どこかPerfumeとも重なる部分があります。さらにデビュー曲がグラミー賞にノミネートされたり、iPhone XのCM曲を担当していたりと、どう考えてもカードが強すぎです……残念だけど、本当に残念だけど、さすがにこうなるとPerfumeは苦しいかもなぁ。

 

複雑な気持ちになりながらGobiに向かうと、20:25まで少し時間があるものの、テントから白い光が漏れていて、大音量の音楽が聞こえます。あれっ、もう始まってる?と歩みを早めると、流れているのはなんと「Dream Fighter」のインスト。ステージ上には透過型スクリーンがいくつか置かれているだけで、メンバーはいません。ライヴ開始前のSEということみたいですね。

先ほどよりは人も集まってきましたが、それでもまだ会場の前方だけ。やはり知名度がないんだろう、もうこれはこれで仕方ない……

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……でも、観客が何人だろうと関係ない! たとえどんな状況でも、彼女たちはベストを尽くすでしょう。それが私のずっと見てきたPerfumeです。

◇最高を求めて

Dream Fighter」が終わると、場内が暗転。待ちわびた観客から歓声が上がり、いよいよPerfumeのコーチェラライヴ(2週目)が始まります。先日のLA公演同様、これまでのPerfumeの軌跡が映像となってスクリーンに映し出される中、3人がステージに登場。そのままインダストリアルなイントロが……これは「STORY」!!! 2015年のSXSWと同様、いきなり先鋭的な面を打ち出して、冒頭から会場を掴みにかかります。インタラクションを駆使したプロジェクション・マッピングに、手動でスクリーンを動かすアナログな手法のミックスがPerfumeらしさ。ライヴが始まったこともあってか、徐々に人が増えてきた気がします。

続いては、来ました「Future Pop」!! こういったフェスで効果のありそうなドラムンベースで、一気に会場も爆発!!と思ったのですが、まあまあの盛り上がり。次の「エレクトロ・ワールド」も、日本なら鉄板の盛り上げ曲ですし、スクリーンに映し出されるリアルタイム生成のCGも、このクオリティでは他の誰もやっていないと思うのですが(コーチェラのAphex Twinは、スクリーンに観客の顔を勝手に映して、イヤな感じで変化させるリアルタイムCG生成はやってましたが、映された人はあまり嬉しくなさそうだった)、それもそこそこの反応。むむむ……とはいえ、先ほどから人が増えてきて、半分近くまでは埋まってきました。最後尾に陣取っていた私は徐々に後ろに下がることになります。

そして「If you wanna」。こういったフューチャー・ベース調の曲は、Saharaで出ているようなDJもちょいちょいかけていたので、サウンドとしてはまだまだ有効だろうと思ったのですが、この曲が終わるとGobiを出て行く人がちらほら。おいおい、まだまだ良い曲たくさんあるのに……君たちはまだ本当のPerfumeを知らない!!と思いつつ、私にはその背中を見送ることしかできません。

 

ここで最初のMC。メンバーの自己紹介などを手短に済ませて、すぐさま「FUSION」へ。普段のライヴとはまったく異なる性急な進行に、これでは全然休めないのでは?と感じつつ、コーチェラに賭ける決意がひしひしと伝わっても来ました。

「FUSION」の演出で、影絵がバン!と拡大されるとみんな「Ohhhhh!!!!」と超フレッシュな反応。これは嬉しかったですね。LA公演でも使われた、無線制御の稼働スクリーン(下に車輪が付いていて自由に動く)で、メンバーが乗っても自由自在に動き回る機構に驚きでした(コーチェラでは使っていなかったかも?あまりステージ見えなかったので)。

 

この「FUSION」から、はっきりと人の流れが変わりました。Perfumeより先に、MojaveのSofi Tukkerのライヴが終わったことが大きいですが、先進的な演出と3人のダンス、強力なビートと重低音、ちょっとエキゾティックなメロディーが「何やってるんだろう?」と通りすがりの人を引き込むのに十分なフックになったのだと思います。

◇the best thing

コーチェラに限らず、いろんな海外フェスを観てきて感じたことは、ああいう場での観客はオープンマインドです。たとえ自分が知らないアーティストや、普段よく聞くジャンルでなくても、気に入れば存分に楽しむし、「Not for me」と思えばすぐに移動してしまう人が多いように見えます。

このとき周りを見渡すと、集まっている人たちは人種も年代も性別もバラバラ。きっとみんなPerfumeのことは知らないし、日本語の歌詞は意味がよくわからないでしょう。それでも、踊れる曲だから、なんだか楽しそうだから、他に観るものを決めていないから……きっとそんな人たちが集まってきて、あっという間にGobiが人で埋まっていきます。

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ずっと人混みの最後列をキープしていた私は、最初は会場の前方にいたはずなのに、気が付くとGobiのかなり後方まで来ていました。それでもなお、止まることなく人が増えていきます。歩いて入ってくる人、駆け込んでくる人。スマートフォンでステージを撮影しながら、友達と話しながら、ダンスしながら……これは、凄いことが起きようとしている。ライヴ中にツイッターを開くつもりなど毛頭ありませんでしたが、慌ててこうツイートしました。

 

しかし、ここで急に迷いが生じました。

 

どうしよう? ここまで後ろに下がってしまうと、まずステージは見辛くなる。もちろんPerfumeの晴れ舞台を見届けたいし、いまならまだ前の方に行ける。近くで3人の姿を見られて、ライヴを思いっきり楽しめる。せっかくこんなに遠くまで来たんだから、と。

 

 

でも私は、Perfumeメンバーを近くで観たいがために、コーチェラまで来たわけでもありません。

Perfumeが、世界最高の舞台といえるコーチェラでどう戦って、その結果として何が起きるのかを知りたい。

世界中から来ている観客が、それにどう反応して、どう楽しんでくれるのかを知りたい。

そういう好奇心に駆られて、はるばるコーチェラまで来たのです。あと、まあ配信もあるし…!!!

 

そう決心し、会場前方へと向かう人の流れに逆らって、Gobiのいちばん後ろまで行きました。そこから見ると、すでにGobiの9割は埋まろうとしていて、テントの外ではSofi Tukkerを観ていた大勢の人々がメインステージ方面へ移動中。その大きな人の流れから、少なくない人たちが続々とGobiに入ってきます。そして……

このとき、自分が目の当たりにしている光景が、にわかには信じがたかったです。こうなってほしいな、こうだったらいいのに、というイメージが目の前で本当にそうなっている。その興奮と驚きと喜びで、かなり気が動転していました。心底嬉しくて涙が出そうだけど、それ以上にPerfumeのカッコよさに笑いが止まらないような。

Perfumeは……やっぱり凄い! 本当にやってくれた! この「edge(⊿-mix)」で、Gobiはついに満員になりました。

◇Speed of Sound

間髪を入れずPerfumeが繰り出すのは「だいじょばない」。ここでコーチェラでのPerfumeのモードがはっきり見えた気がしました。おそらく、一見のお客さんも含めて一気に引き込むためにキラー・チューンを畳み掛ける、Perfume史上もっともアグレッシヴでアップリフティングで、スピーディーなセットになるだろうと。彼女たちはここまでほとんど休憩らしい休憩を取っていませんが、それでもなお一切の隙なく、短距離走者のようなスピードで、持ち時間の50分を駆け抜けるつもりなのだと察しました。 

「だいじょばない」もまた、会場の大多数が初めて聴く曲と思われますが、なかなか人が減らないどころか、さらに集まってくる。「edge」で一気に高まった会場の温度が、さらに熱を帯びていくようです。

この辺でGobiに入り切れない人たちが、テントの外に集まって踊り始めます。たとえ意味のわからない日本語でも(というか「だいじょばない」の詞は日本人でも完璧には意味がわかりませんが笑)身体を動かし、心を躍らせることで、音楽は言葉の壁も人種も年代も超えて届いていきます。この伝播こそ音楽の力であり、文化芸術の素晴らしさです。

このときこの場所にいた人たちは、Perfumeが気に入るかもしれませんし、Perfumeを観たことなんてすぐに忘れてしまうかもしれません。それでも、人が集まるにつれてエネルギーの渦みたいなものがどんどん大きくなっていく興奮は忘れがたいものでした。

 

この時点で、私はテントの外に出ていましたので、もうステージ上の3人はほとんど見えません。でもPerfumeの音楽はよく聞こえるし、それを思い思いに楽しむ、本当にたくさんの人たちが目の前にいる。そして「だいじょばない」から立て続けに披露される「Pick Me Up」、「FAKE IT」!! ここまでの9曲、スパートを掛けるようにほとんど立て続けに披露されています。これが、コーチェラでのPerfumeです。

 

この日のPerfumeの姿は本当に、〈戦っていた〉という言葉が相応しいのですが、それは決してコーチェラそのものや観客、他の出演者たちとの戦いではなく、それまでの限界を打破するため、新しい可能性を切り拓くため、持てる力を出し切るための、自分たち自身との戦いのようにも感じました。

いつものような、観客と和やかにコミュニケーションを取りながらの幸福感に溢れたワンマン・ライヴでも、当然そのような厳しい一面はあるでしょう。それでも、これまで観てきたどのライヴよりも、このときのPerfumeは尖っていて、切実でひたむきで、がむしゃらに何かを追い求めているように感じたのです。

 

それはまるで〈常に崖っぷち〉で、とにかく必死だった頃の彼女たちの姿が、どこかダブって見えるような……

◇パーフェクトスター・パーフェクトスタイル

もちろん、Perfumeはコーチェラのサブヘッドライナーとして呼ばれていますし、日本に帰ればアリーナツアーもドーム公演も開催可能です。ファンが昔の苦労話に浸るのはもはや感傷や懐古に過ぎませんし、そういった〈物語性〉は、Perfumeほんの一面に過ぎません。人気は安定しているし、かといってそれに胡坐をかいて進歩を止めたり努力を怠ることもなく、着実にキャリアを積み重ねながら、コンスタントに新しいファンを獲得しています(新規ファンの獲得は、キャリアの長いアーティストにとって非常に重要な命題ですが、なかなか簡単ではありません)

それこそいまのPerfumeは、言うなれば〈すべてパーフェクトなスター〉です。

 

思えば、初めて本格的に海外フェスに出演した2013年のUltra Koreaでは、アルバム『LEVEL3』の序盤のように楽曲をシームレスに繋ぎ、ダンス・ミュージックとしての機能性を高めようとするトライアルがありました。なかなか披露されない「Hurly Burly」がセットに組み込まれたりとおもしろい試みでも、あいにくUltra Koreaでは客入りがさほどではなく、苦戦していた印象です。でもそのときの経験がなければ、このコーチェラでそういった路線にトライしていた可能性だってあります。

これまでの経験を経てこの境地にたどり着いた、Perfumeの姿がコーチェラにはありました。

 

繰り返しになりますが、コーチェラという世界最高の舞台で、とことんストイックに、決意と覚悟をもって、自分たちにできることを突き詰めるアイドル・グループPerfumeなのです。凄いことです、これは本当に……。

 

なお、私がその凄みに打ち震えているときに、眼前に広がっていた光景がこちらです笑。

現在に過去や軌跡を重ねてシリアスに感じ入ることもできれば、即効性に優れたダンス・ミュージックとしても機能する、これもまた音楽の豊かさなのだと思います。

 

「FAKE IT」までほぼ連続で来ていたため、メンバーの体力がかなり心配にもなったのですが(もちろん、大きなお世話ですね、彼女たちはプロフェッショナルの中のプロフェッショナルです)この曲が終わってようやくMCに。私も感無量だったのでうろ覚えですが、

あ~ちゃん「コーチェラ、楽しんでもらえましたか?」

かしゆか「参加できてうれしいです!」

のっち「夢が叶いました! またコーチェラに戻ってきてもいいですか!?

といった手短な英語MCに、大歓声で応える観客。あ~ちゃんが「私たちの最後の曲です!」と宣言して始まったのがFLASHでした。

◇最高のLightning Game

海外の人々にとってはエキゾティックであろう〈和風のメロディー〉に、クールで先鋭的な振付を重ねることで、ある意味でのPerfumeらしさが凝縮された「FLASH」は、まさに海外進出にはうってつけです。ここで最も大きな盛り上がりを見せて、この状態まで熱狂が拡がってきました。テントの外でこの状況なので、場内は推して知るべしでしょう。

FLASH」が終わると、この日唯一の日本語MCである「それではー、Perfumeでした! ありがとうございましたー!!」が快活に響いて、3人がステージを去って行きます。私は、いま起きたことは何だったんだろう? Perfumeのこの先に何が待っているんだろう?と、ぼんやりとした頭で、とても熱い何かを胸の内に感じながら、しばしその場に立ち尽くしました。

◇Next Stage with YOU

Perfumeの初めてのコーチェラは、大成功でした!

とはいえ、もしPerfumeの出番がMojaveのSofi Tukkerより早かったら、途中で観客がMojaveに流れてしまい、これほどの大盛況にはならなかった可能性はあります。スケジュールに助けられた部分もあるかもしれませんが、運だって実力の内です。それに、流動的な人の流れをしっかり引き寄せて、Gobiを満員にしたのは間違いなくPerfumeチームの地力であり、私の期待や予想を遥かに超える反応だったことは事実です。

 

そしてこのパフォーマンスに、ライゾマティクスが手掛けるリアルタイムAR・シームレスMRなどのエフェクトを(後からの編集ではなくリアルタイム処理で)採り入れた映像が、全世界に向けてYouTubeで配信されました。Ariana Grandeの直後の放送ということで、多くの視聴者数が期待できます。

Perfumeの北米ツアーは、コーチェラでのライヴをもって、華々しいフィナーレを迎えたと言えるでしょう。

 

それでは、コーチェラの先には何があるのでしょうか?

 

前述のとおり、コーチェラは世界中のプロモーターやエージェントなどが注目しています。コーチェラで優れたパフォーマンスを行ったアクトには、各国の夏フェスやイベント出演、ツアーのオファーが来るもので、それはアーティストとしてのステージを上げる大きなチャンスです。

はたしてPerfumeは、その流れに上手く乗っていくことになるのでしょうか。それとも海外展開はここで一区切りで、次は日本国内での活動にシフトするのでしょうか。早くも日本での夏フェス出演が数本発表されていますし、なんとなく後者になりそうな予感はありますね。

 

これは決してどちらが良いという話ではありませんが、BLACKPINKのコーチェラへの取り組み方はPerfumeと対照的です。

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BLACKPINKはコーチェラをスタート地点に、その直後のLA公演から北米~ワールドツアーをキックオフさせています。コーチェラでのバズを、そのままツアーの動員に反映させる狙いは明らかで、ニュージャージーのPrudential Center(2万人収容。NYから割と近いので、実質的にほぼNY公演)は、なんと2日間の開催で初日をソールドアウトさせています……! この動員力だと、近い将来のMadison Square Garden公演すら可能にも思えます。

韓国国内の音楽市場の小ささゆえに、海外進出が至上命題のK-Pop勢と、日本市場がまだまだ大きなPerfumeではそもそものベクトルが違いますが、ここまではっきり違いが出るとは。でも他所は他所、うちはうちです。日本国内と海外でうまくバランスを取りながら活動することはかなりの難題と思われますが、コーチェラを成功させたPerfumeなら、それも可能な気がします。

 

2019年、これから開催されるヨーロッパやアメリカ、アジアのフェスPerfumeが呼ばれることだってあるでしょうし、Perfumeの次なるワールドツアーは、おそらくこれまでとはまったく違う規模感のものになるでしょう。世界における知名度や評価を高めるという意味では、もはや東京オリンピックなんかにこだわる必要もないのでは? それほど大きなインパクトと、見事なパフォーマンスを見せてくれたのがコーチェラでのPerfumeでした。

 

そして、コーチェラでのPerfumeの盛り上がりは決して〈奇跡〉なんかではありません。あらゆる現象には理由があり、その意味ですべては必然です。

Perfumeチームの長きに渡る積み重ねと、未来への希望、そして海外でPerfumeを待ってくれている大勢のファンの存在があったからこそ、あの時間があったのだと思います。

2019.4.21 Coachella Valley Music and Arts Festival SET LIST

SE. Dream Fighter(Instrumental)

1. STORY

2. Future Pop

3. エレクトロ・ワールド

4. If you wanna

MC

5. FUSION

6. edge(⊿-mix)

7. だいじょばない

8. Pick Me Up

9. FAKE IT

10. FLASH

第97回 Coachellaに向けて

コーチェラ、開催直前になってようやくタイムテーブルが発表になりましたね。Perfumeが出演するDAY3はこちら。

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これを観た感想は、「あれ、Perfume意外といいところに入ってる!!」です。やはりというか、メインのCoachella Stage(3万人くらい入りそう)ではありませんでしたが、Perfumeが出演するGobi Stageは、コーチェラでは中くらいの大きさのテントステージです。正確なところはわかりませんが、7000~8000人くらいは普通に入るのでは……

 何より、20:20スタートという時間帯がいいですね! Perfumeはもっと早い(=暑いので会場にあんまり人がいない)時間に「一応、出演したよ」という感じでサラッとやるだけかも……と案じていましたが、意外にもGobi Stageのサブヘッドライナーになっています。なかなかの有力アクト扱いではないでしょうか。そもそもLAでのワンマンも、コーチェラ主催者のGoldenvoice社が引き受けていましたし、期待されている(もしくはGV社内にファンがいる)のかもしれません。

 

2018年のコーチェラではあのX JAPANがMojave Stage(Gobi Stageと同規模)に出演しましたが、なんとBeyonceとまったく同じ時間に当てられてしまい、動員はなかなか苦戦したようです。今回のPerfumeは幸い、Ariana GrandeやH.E.R.といった目玉アクトとは重なりません。

とはいえCoachella StageのKhalidは、ポップス~R&B界の新星であり、出たばかりの新作がストリーミングサービスを席巻していますので、かなり人を集めるでしょう。そしてOutdoor Theatre(こちらもなかなか大きい)でPerfumeと少し時間が重なっているGesaffelsteinはフランス・リヨン出身のDJ・プロデューサーで、The WeekndやKanye WestPharrell Williamsといった錚々たるメンツとコラボレートしたりで、ダンス・ミュージック好きな観客はまずこちらに集まるでしょう。彼はフレンチ・エレクトロ~テクノ界のスターだそうで、立ち位置はちょっと中田ヤスタカに重なるかもですね……

  他のステージも、イスラエル出身のハウス・プロデューサーGuy Gerberなど、さすがに強力アクトが重なる時間帯ですが、Coachella Stageでひとつ前のZeddから観客が流れてくるかもしれませんし……なるべく多くの人がPerfumeを観てくれたらな、と思います。

◇コーチェラにおけるステージ演出

コーチェラは雨が降らないため、到底野外フェスとは思えない演出が見られます。

こうなると、PerfumeのステージではRhizomatiksによるテクノロジー演出も期待したいところです。暗くなってからの出演ですから、どのステージでも演出は映えることでしょうし、世界中から集まった観客の度肝を抜くことも可能です。

 

ちなみに、Gobi以外のステージをいくつか挙げておきます。

Coachella Stage

コーチェラのメインステージで、3万人は余裕で入りそうです。広すぎるからか、いたるところにスピーカーが吊ってありました。

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Sahara Stage

Saharaも大きくて、ゆうに10000人は入りそうです。ただDJやラッパーのライヴが主体のためか、舞台が狭そうなので、テクノロジー演出をするなら不向きでしょう。BLACKPINKはこのステージ出演ですね。

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Outdoor Theatre

ヤシの木に囲まれて、いかにもコーチェラらしい雰囲気です。

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あとはGobiと同規模のテントステージであるNojave、DJが中心のYumaとDolab、バンド中心のSonoraと全8ステージあります。そしてコーチェラはYouTubeでの生中継が有名ですが、生中継のチャンネルは3つしかないわけで……

Perfumeの生中継はあるのか?

現在発表されている、生中継の予定表にPerfumeの名前はありません。

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Perfumeと同時間帯の他のアクトは、Guy Gerberを除いて全員放映されるのですが……理由はわかりませんが、どうも生中継は望めないようです。

昨年のBeyonceの生中継は4300万人が視聴した、というForbesの記事もありました。生中継では少なく見積もっても、各チャンネルで数十~数百万人は見ていることになるでしょう。せっかくPerfumeの名前を世界に知らしめるチャンスなのに……

しかし、会場にいる多くのファンが動画を撮影し、即座にソーシャルメディアにアップするでしょうから、生中継NGでもそれなりの情報の拡散は見込めるでしょう。

(追記)リアルタイム配信がないならやる意味ない、運営は何を考えているんだ、といったご高説がTwitterで流れているようですが、意味のあるなしを決めるのは部外者ではありません。確かに配信の力は大きいですが、どういうライヴにするかがもっとも大切ですし、2週目での配信や、録画放送になるかもしれませんし……

 

(さらに追記)

コーチェラのサイトでPerfumeの2週目公演の生中継が発表されました!やった!!

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httpsなn://twittたer.com/tk8497/status/111710462800752230おーそなんでオーソドックスな中継になるのか、はたまた2015年のSXSWのようにテクノロジー演出を採り入れるのか。いずれにしても、世界規模での数十万(もしかすると百万)単位の視聴者数が期待できますから、Perfumeの名前を知り、興味を持つ人が増える良いきっかけになることを願っています。

(その意味では、コーチェラ以降にもまだまだ北米ツアーの予定があったら良かったのかもしれませんが……それはまた!!)

 

また、メディアでもPerfumeは以下のように採り上げられています。

このMixmag、UKのダンス・ミュージック系メディアで、30年以上の歴史を誇る老舗です。テクノ~ハウス、ビート・ミュージックなんかがメインの媒体ですから、まさかこういう〈コーチェラで観るべきアクト20〉Perfumeを採り上げてくれるとは……! ほかのダンス系アクトとは少し違うけどかなり良い、と的確な推薦コメントが書かれています(文中に「filtered vocals」とあるけど、最近のPerfumeはヴォーカルにほとんどフィルターかかってないのはご愛敬)。

こういうニュースや口コミでPerfumeの注目が高まってくれると嬉しいですね。

◇TIPS

最後に、昨年コーチェラで感じたことなどを。

昼間に行くと猛烈に暑いので、割とみんな夕方くらいから来る

・現地はカラッカラに乾燥していて、水分がないと生命の危険を感じるほどだが、無料の水汲み場があるので、空きペットボトルを活用しましょう。保湿も全力で

・椅子やスプレー缶など、日本のフェスなら持ち込みOKなものが禁止されているため、ホームページで確認を

ウェットティッシュは必需品(手づかみで食べるフードも多いため)

・雨具は不要、夜は羽織るものがあればよい

・アルコール類の販売はゾーニングされているため、飲みたい人はIDを持参(それでもマルガリータ16ドル、ビール11ドルとか信じられないくらい高価ですが……)

・会場で売っているカットフルーツは貴重なビタミン源(会場やホテルではなかなか野菜にありつけないため)

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最後になりましたが、コーチェラに参加される皆様、そしてPerfumeおよびスタッフの皆様の時間が素晴らしいものになりますように。

第96回 Perfume、コーチェラフェスに出演

2019年4月に開催される、Coachella Valley Music and Arts Festival(以下、コーチェラ)へのPerfumeの出演が発表されました。

今回は、コーチェラ出演にどのような意味があって、どう影響があるかを書いてみます。 

◇コーチェラとは?

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アメリカはカリフォルニア州、ロサンゼルスのおよそ200km東に位置する街・コーチェラで開催されるフェスティバルです。1999年の初開催から現在に至るコーチェラは、世界で最も人気があり、注目度の高いフェスとされています。その理由として、以下が挙げられるでしょうか。

世界の音楽シーンのトレンドを象徴する、魅力的で強力なラインナップ

 

・著名アーティスト、俳優、モデル、お金持ちも多数訪れる非日常的アート空間

 

・開催期間中に約25万人が世界中から来場、チケットの売り上げは約130億円(いずれも2017年)

 

・4月開催のため、各地の夏フェス主催者が注目(コーチェラで優れたパフォーマンスをすれば、その夏は世界中のフェスにも呼ばれたりも)

 

今年は4月12日(金)~14日(日)、19日(金)~21日(日)の2週に渡って開催され、2週とも出演者は基本的に同じです。Perfumeの出演日は4月14日(日)と21日(日)の2回を予定しています。

Perfumeは4月19日にLAでライヴを予定しており、LA公演を主催するGolden Voice社はコーチェラの主催者でもあるため、Perfumeがコーチェラにも出演したらちょうどいいなーとは思っていたのですが……ついに決まりましたね!

Perfumeコーチェラ出演の意味

いまや超人気フェスであるコーチェラ、多くのミュージシャンが出演を希望しても、出られるのはほんの一握り。コーチェラに出たことがステータスでもあります(出演料がどれくらいなのかはまったく知りませんが)。

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世界中から集まった、多数の観客を前にパフォーマンスできるまたとない機会であり、YouTubeでの生中継もありますので、世界中でそのステージが観られることになります。Perfumeのパフォーマンスはノン・ヴァーバル(非言語的)な魅力がありますし、他の誰とも違うステージが注目を集めるのではないでしょうか。

また前述のとおり、Perfumeコーチェラ期間中のワンマンライヴもあります!そうなると……

<予想>

コーチェラ1週目のパフォーマンスが会場・YouTubeで話題沸騰

     ↓

このPerfumeっての、19日にLAでワンマンショウをやるらしいぜ!

      ↓

世界の音楽産業関係者がLAライヴに殺到

       ↓

Perfume is awesome!!!!

               

世界的ブレイク、マディソン・スクエア・ガーデン2DAYS公演へ……

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いやー私にはここまで見えましたね!!!

 

ただ、このコーチェラ出演が無条件で素晴らしいかというと、そうとも言い切れません…… 

◇コーチェラでいかに戦うか

少なくとも、以下の点は懸念されます。

 

1:タイムテーブルがどうなるか?

コーチェラ、早い時間の出演になってしまうと、残念ながら会場自体にお客さんがあまりいません。会場は砂漠エリアにあるため、日中は相当暑いからです。それでもテント型のステージなら、日差しをよけるためもあってそれなりに観客がいますが、あくまでも日よけに来ているわけですからね……

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また、強力なアクトと出演時間が重なると、そちらに観客が集まるため必然的に他のステージはガラガラになってしまいます。せっかく遅い時間帯の出演でも、たとえばアリアナ・グランデの真裏なんかに当てられてしまったら……他にも注目の出演者が目白押しのため、動員的には決して楽ではありません。

2:K-Popの進出

想定外だったのは、BLACKPINKのサブヘッドライナー的出演です。

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ポスターでのBLACKPINKの扱いはジャネル・モネイやザ・1975、ディプロといったビッグネームと同格でびっくりしました。K-Popの女性グループの出演はコーチェラ史上初なこともあり、かなりの話題を呼びそうです(男性グループはEpik Highが2016年に出演)。 

今回、PerfumeとBLACKPINKは同じ〈アジア枠〉になりそうですが、話題性や勢い、YouTubeの再生回数なんかを比べたら確かにBLACKPINKの方が……いやいやそんなの関係ない!ステージで何をするかが勝負! 韓国からは人気バンドのHyukohも出ますし、アジア勢の盛り上がりPerfumeも一役買えることは誇らしいですね。

3:アウェイでの戦い

Perfumeが海外フェスに出演するのは2013年のUltra Korea、そして2015年のSXSW以来ですが、特にUltra Koreaは途中で人がどんどん帰ってしまったりと、正直言って悔しい状況でした(メンバー曰く、ステージ上に大量の虫が飛んでいて集中できなかったとか……)。SXSWもさほど大規模な会場ではなかったですし(配信はありましたが)、コーチェラは世界中の観客に直接アピールできる場として、Ultra Koreaでの雪辱を晴らす機会にもなってくれそうで、個人的にワクワクしています。

Perfumeはコーチェラ出演者の中で数少ないアイドルであり、確実にアウェイだとは思いますが、逆境でこそ真価を発揮し、一見の観客を巻き込んでいくライヴが見たいし、いまのPerfumeはそれが可能なグループでしょう。そしてコーチェラは何しろ砂漠エリアで、空気が恐ろしいほど乾燥しているため、Perfumeメンバーはお肌の保湿ケアなどにも留意してほしいところです(そこ?)

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4:いつもどおりのライヴができるか?

コーチェラでは、DJなどダンス・ミュージック系のアクトはいくつかの〈ダンス系ステージ〉に固められる傾向があります。

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この写真の左に写るアーチ型テント?はアラン・ウォーカーやキャッシュ・キャッシュなどDJを中心に、常に大量の観客を集めていました。もしPerfumeがこのステージに出演できれば、ダンス・ミュージック好きな観客にアピールする大きなチャンスになりそうです。むろんメインステージがベストですが……

そしてテクノロジー演出ですが、昨年のザ・ウィークエンドはプロジェクション・マッピングを使っていたし、アルト・Jの演奏とシンクロする照明も凝っていました。過去には2パック(96年に亡くなった伝説的なラッパー)がホログラム映像で登場したりして、フェスとしてもテクノロジー演出はやぶさかでないようですが、Perfumeのようにダンスとテクノロジーが一体化して、相乗効果を生む演出は、まだこのフェスに存在しません。フェスなのでなかなか難しいかもしれませんが、Perfumeの先進的かつユニークな演出は、一気に世界的なバズを起こす可能性だってあります。

◇コーチェラを楽しむために

毎年チケットは即日完売しますので、1月4日(現地時間)からのチケット販売が正念場です。首尾よくチケットを買えたとしても、会場が不便な場所にあったりして、なかなか参加のハードルは高いです。それがフェスのブランドにもなっているとは思いますが……快適に過ごせるVIPチケットも999ドルとクレイジーな価格です。

 

上述の通り、コーチェラはYouTubeでの中継があります。これまでは1週目だけの放送でしたが、2019年からは2週目も中継されるとのことで、わざわざ現地まで行かずともPerfumeのライヴをチェックできるはずです(事務所が中継NGにでもしない限りは…)! 

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最後に言いたいことは、Perfumeのパフォーマンスは世界のどこに出しても恥ずかしくない、日本の音楽シーンの誇りです。コーチェラ出演という喜ばしい機会が最大限に活かされる環境と内容を期待してやみませんし、間違いなくそうなることでしょう。それではカリフォルニアで会いましょう!!!(ホントかよ)

第95回 Perfume 7th TOUR 2018「FUTURE POP」

Perfume 7th TOUR 2018「FUTURE POP」、ツアー初日となる9月21日の長野ビッグハット公演を観に行きました。 

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 結論から言いますと、今回も新たな挑戦を経て前進した姿を見せてくれますし、鉄板のハイパー盛り上げスタイルもあります。

しかしこれまでとは少し異なるテンションも随所に感じさせて、加速しながら最後まで駆け抜ける様は、これまでのPerfumeとはどこか一味違うようです。

終盤、場内が無音になるとメンバーの荒い呼吸がマイクを通して聞こえてきたりと、体力的にはいままで以上にしんどそうですが、それでもパフォーマンスの質は下げない、アスリートのような立ち居振る舞いは圧巻でした。(単に体力が落ちているとか、そういうわけでもなさそうですし)

アルバム『Future Pop』に関しては前回のエントリーのとおり、どこか不完全燃焼に感じてしまいましたが、ライヴはある意味、それとは対照的なものでした。

 

選曲もなかなか予想外の展開。おそらくここから多少の入れ替えがあるでしょうし、また流れも変わって来そうです。ネタバレにならないと思うので書きますが、私が「特にこの曲はぜひライヴでやってほしいなぁ!」と希望している曲が今回ことごとく入ってなかったのですが、それでも十分見応えがありました。

『Future Pop』で「この曲は……パワーダウンしてしまっているのでは?」と感じた部分も、アルバムの一部ではなくライヴの一部になると不思議と目立たなくなったり、楽曲がテクノロジー演出とダンスと一体化することで、一段高みに上った感もありました。

ライヴ演出に使用される映像は、かなりハイファイというか複雑になった印象で、演出そのものの情報量も多いため、そのぶんPerfume3人の存在感が薄れてしまう危険もあります。うまく行っている曲もあればバランスが危うい曲もあるように感じましたが、そういった試行錯誤を続けて、常に改善を図ってきたのがPerfumeでもあります。

 

もちろんツアー初日ということもあり、映像とメンバーの行動が食い違ったり、音響も最初ぼんやりして聞こえたり(これは場所にも依りますが)といった部分もありましたが、それこそすぐに立て直し、改善されていくことでしょう。

あと、ある曲での電通っぽさ溢れた演出〉は……。感動する人も多いと思うのですが、別に3人から生まれた言葉ではなさそうなので、そこまでやってしまうのは情緒過多というか、説明しすぎというか、オーバー・プロデュースかもしれません。

 

 ◇Darkness On The Edge Of Town

あと、これも書いておきます。

のっちのグッズ販促MCの最中に「お誕生日おめでとう!」と声を上げるなど(念のため、ライヴ前日がのっち30歳の誕生日でした)、一部ファンの言動に否定的な意見がツイッターで散見されます。MCでは、メンバー個人のアンチが激しく反応しそうな表現もありました。

とはいえ〈ぐるんぐるんツアー〉2014年9月20日代々木第一体育館でも、ファンが先走ってのっちのお誕生日を祝う展開はありましたし、Perfumeファンのほとんどは善良な方々だと思いますので、ここではそれ以上書くことを控えます。

 

ライヴを観ながら思ったのは、アーティスト人気の拡がりは、概してそういう困った層の流入と表裏一体です。いろいろなことが起きますが、それでも大きな流れは誰にも止められません。その中で、PerfumePerfumeであり続けて、Perfumeという存在をこれまでの人生で背負ってきたわけですよね。

その重みがいかほどか、私には想像もつきませんが、それをこれからも続けようとする3人の、現在進行形を感じるライヴでした。

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◇Spirit In The Night

以下、なんとなくのMC集です。

 

かしゆか、初めての長野公演で「初めてPerfume観る人!」調査、1割もいないくらいでしたが初参加陣はスタンド席に多め。

 

のっち、新作グッズのプレゼン。その場ではタオルしか持っていなかったものの、「可愛いグッズをたくさん作りました」と。新作Tシャツの売れ行きも市場調査(調査方法:購入者による挙手)。「大体3分3分3分……良い感じ」と(本来は3割3割3割?でも五分五分とも言うから3分で正しい?)

のっちが「それと、パン…」と言いかけたところでファンが「お誕生日おめでとう!」と声を上げる。それに続いて何人もが「Happy Birthday!」などと声を上げるが「何ー? そう、パンフレットね!と華麗にスルー。あ~ちゃんがステージに戻ってきて販促トークに参加、「このパンフレットは関さんが制作に関わって下さってて、もう作品なんですよ……さて、みんなの言いたかったこと、のっちお誕生日おめでとう!」

 

今回、のっち誕生日のカウントダウンで初めて3人一緒に過ごしたそう。これまでお誕生日の当日は、友人や祝ってくれる人と過ごすのでは……と遠慮していたものの、今回はリハーサルで必然的に長野におり、9月20日は東京に帰る?とのっちに聞いても「帰らない」と即答したため、あ~ちゃん「オッケー帰らない」。19日の夜遅くからリッチなコース料理を食べて、シャンパンタワー(赤や青など色が変わる、やらしい感じの)も立て、日付が変わる0時をカウントダウンしたそうです(コーディネートしたであろうエフ・オー・ビー企画の皆さん、本当にお疲れ様です

のっちは、あ~ちゃんとかしゆかの合同プレゼントで凄いものをもらったらしく……何だろう、長野の原野かな?と思いましたが、「それが何かはファンクラブサイトで発表しますのでよろしく!」と、しっかりファンクラブの宣伝をしていました。

 

のっちのお誕生日だけでなく、この日はメジャーデビュー記念日。あ~ちゃん曰く、「リニアモーターガール」の衣装(変なスリットが入って、耳に何かを付けて)はいつ思い出しても本当に恥ずかしいけれど、いま思えばあの曲がデビュー曲で良かったと思う。もうあまりライヴでやらないけれど

1年に1日の特別な日を、こうして一緒に過ごせるのは(長野の)皆さんだけ!……よしもう十分じゃろ→次の曲へ

 

最後のスピーチ、かしゆか「あっという間でした」

のっち「皆さんの表情から、私の誕生日をすごく祝ってくれていることが伝わりました。アルバムの曲をこれから育てていけるのが楽しみだし、こうして初日に笑顔で皆さんの前に立てていることが自信につながります。この気持ちをもって全国を回ります」

あ~ちゃん「のっちはこんな人だけど、誕生日のスピーチが過去最高に素晴らしかった。30歳になるってことは本当に大きいんだ、自分はまだあと半年あるけど、それが凄く楽しみになりました」

第94回 『Future Pop』は傑作か?

Perfume、2年4ヶ月ぶりとなるニュー・アルバム『Future Pop』がリリースされました!

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今回、先行シングルではフューチャー・ベース寄りの楽曲が続いたため、アルバムも現行ダンス・ミュージックの要素を大きく採り入れた、未来的でエッジーなものになるのでは……と予想していましたが、実際に出来上がった作品は3人の歌が前面に出た、まもなく30歳を迎える彼女たちの成熟や落ち着きをも感じさせるものでした。

 

 

今回は『Future Pop』はPerfumeの軌跡において、そして現在のポップ・ミュージック・シーンにおいてどのような位置づけの作品なのかを考えてみます。

 

◇Rewind

これまでPerfumeは、ただ単にルーティン(1年に1枚アルバムを作る、といったレコード契約)でアルバムを発表するのではなく、リリースの間隔を長めに取りつつ、常にその時々における国内外のポップ・ミュージックとの同時代性、批評性、独創性、Perfumeを巡る状況などをアルバムに落とし込んできました。

その作風には、いわゆる〈振り子理論〉――あるアルバムの次に、あえて大きく色合いの異なる作品を発表して、表現に振れ幅を持たせること――も窺えます。エレクトロ・ハウスとチューン・ヴォイスを武器にポップネスを追究した、ある意味シンプルな作風でもあった『GAME』から、一気に音楽性の幅を拡げたカラフルな『⊿』ができたり、〈3.11〉後の日本社会を励ます超ポップな『JPN』の次作が、どこかマシーナリーで実験的な要素も含むダンス・アルバム『LEVEL3』だったり。

批評性という点でも、世界(からだいぶ遅れて日本でも発生した)EDMブームを軽々と(それこそ宇宙まで)飛び越えたコンセプチュアルな『COSMIC EXPLORERもありましたね。

Perfumeのアルバムは常に、それまでのPerfume作品になかったアプローチで、新たな表現領域を切り拓いてきました。そしてそのディレクションやプロデュースを基に、歌唱とサウンドで織り成す楽曲の飛び抜けた質の高さこそPerfumeの魅力の核であり、中田ヤスタカの才気の表われでした。物語性やメンバーの関係性はここではおいておきます。

 

その意味で、今回の『Future Pop』はというと……

 

◇Start-Up

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アルバムはスケールの大きな、ゆったりしたインスト「Start-Up」で幕を開けます。ごく小さい音量で聞こえる鳥のさえずり〈爽やかな朝〉や〈新しい1日の始まり〉をイメージさせます。アルバムの導入部からこういうアンビエンス(環境音)を入れてくるのは珍しいですね。メロディーは「無限未来」が流用されていて、あの曲がアルバムのキーであることを示唆します。

続いて表題曲「Future Pop」。「Start-Up」でのシンセのシーケンスに少し似たコード進行の、これまた珍しいアコースティック・ギターの音色で始まります。かしゆかが歌い出すと三味線のフレーズが重なって、これは当然「スパイス」を連想しますし、8ビットなSEはリニアモーターガール」「コンピューターシティ」「エレクトロ・ワールド」……いわゆる〈近未来3部作〉テクノポップ路線を彷彿とさせます。

 

最初は、あれあれ何かやたらと過去を参照してない?(まあ8ビットなピコピコ音は最近のK-Popでもちょいちょい採り入れてるけど)と思ったのですが、3人がユニゾンで歌う〈♪叶えて ほら Future Pop〉からビルドアップに入ると一気に加速! ドロップ(サビっぽいけど歌の入ってない間奏)ではトランシーなシンセに、なんと「ポイント」以来となるドラムンベース! 意外性もスリリングさも肉体性も兼ね備えていて、端的に言って最高ですよ!

そのままもう一度サビに入り、さらにアゲていく!と見せかけていきなりビートを止めて、また淡々とした4つ打ちから始めたりと、緩急の付け方も見事です。ヤスタカお主やるな……!!

 

ちなみに「Future Pop」、この曲(の3分前後から)にも似ていますね……この曲は『Future Pop』リリース直前に発表されたようで、偶然のようですが。

そしてこの表題曲、完成度も高く非常に素晴らしいですが……

残念ながら個人的には、ここがこのアルバムのピークのように感じてしまいました。

 

◇SINGLES

アルバム『Future Pop』のうち、「If you wanna」「TOKYO GIRL」「FUSION」「無限未来」「宝石の雨」「Everyday」の6曲(つまりアルバム収録曲の半分)はシングル曲およびそのカップリングです。これまでのPerfumeは、先行シングルのカップリング曲でアルバムに収録しないものもありましたが(直近では「透明人間」「DISPLAY」など)、今回はカップリング曲までもれなく収録しています。「TOKYO GIRL」はリマスタリング(音の再仕上げ)がされていますね。

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一方、既発曲をリアレンジして、作品の世界観を拡張する役割も担っていた恒例のAlbum-mixは、今回1曲もありません。「レーザービーム」「GLITTER」「Cling Cling」「FLASH」などは、Album-mixが断トツの出来だったと思うのですが。

 

少し脱線しますと、いまシングルをCDで出す人は徐々に減っています。宇多田ヒカルMr.ChildrenONE OK ROCKBUMP OF CHICKENいずれ劣らぬ超人気者ですが、近年この方々のシングルリリースはダウンロード販売かストリーミング配信のみになっています。星野源も新曲「アイデア」はダウンロード販売ですね。

米津玄師「Lemon」、DA PUMP「U.S.A.」も、シングルCDは出てこそいますが、オリコン業務版を見るとダウンロード販売がCDの何倍ものセールス(=拡がり)を記録しています。

一方、アルバムとなるといまだにCDの比重が大きく、CD:配信の売上比率は4:1~8:1くらいのケースをよく見かけます。先行シングルは配信で聴いて、アルバムはCDで買うというリスナーが結構多いのですね。

 

つまり、アルバムから先行して楽曲を届ける場合、手間暇かけてシングルCDを制作しなくても、ネット配信で事足りる状況になっているわけです(おそらくは収益性の面でも)。シングルCDを出すこと自体に、何かしらの意味や目的が問われる時代になりつつある、とも言えます。

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普通にシングルCDを出して、コアファンが購入するだけでは、一部のファンとのコミュニケーションにはなっても、新たな拡がりはなかなか見込めません。

そんなご時世に、先行シングル曲とそのカップリングを〈シングルバージョンのまま〉〈全曲〉アルバムに収録することは、あまり得策ではないように感じます。シングルをすべて買っているファンは「もう何度も聴いた曲ばかり」「なんだ、これならわざわざシングル買わなくても良かったかな?」と思いかねません。

 

もちろんきちんとした狙いや考えがあって、このような収録内容に落ち着いたはずですし、どのシングル曲も〈新しいPerfume像〉を提案するもので、決してクオリティーは低くありません。

 

しかし個人的には、多くの既発曲をそのまま収録したことで、アルバムならではの意外性や発見、驚きが薄れてしまったように感じます。

 

◇NEXT STAGE...?

このアルバムで初披露の楽曲は、イントロと表題曲を除けば「Tiny Bunny」「Tiny Baby」「Let Me Know」「超来輪」「天空」です。 

 

私は……あまり書きたくないなぁこの先……えーと、Perfumeのアルバムで初めて、

  

「あれ……なんか、楽曲がパワーダウンしてる……?」と感じてしまいました。

 

 

前にどこかで聞いたような気がしたり、メロディーも曲調もそこまで印象に残らなかったり。サウンドのデザイン自体はいつにも増して凝っていますし、おもしろくないわけではありませんが、Perfume×ヤスタカらしいイデアや独創性、フレッシュさをあまり明確に感じ取ることができませんでした。これは私の問題かもしれませんが……

 

トロピカル・ハウスとエレクトロを混ぜたような「Tiny Bunny」「Tiny Baby」は前作の「Baby Face」に続くスウィートな路線で、よく出来た曲ではありますが、はたしてオトナになったPerfumeに相応しい曲か?というと微妙な気もしてしまいます。やけに甘いヴォーカルやナンセンスな歌詞も好みが分かれるところでしょう。『⊿』あたりに入っていたら合っていたかもしれない、と思いました。

 

フューチャー・ベース曲の「Let Me Know」についてはこちらのツイートを……

 

 

「TOKYO GIRL」の段階でThe Chainsmokers風味だなと思っていましたが、「All We Know」は2016年の曲で、まったく気づきませんでした。もちろん似ているからダメというわけではありませんよ!

この曲、MVでは〈次世代への魂の継承〉のような作品でしたが、歌詞を読む限り、ヤスタカ先輩からPerfume3人への助言とも取れますね……周りに惑わされず、自分たちらしい道を進みなさい、僕は常に見守っているよという。

ただ、そうなると〈君を取り巻いた空気はいつしか甘い毒の固まり 吸っちゃだめだ〉とか、何を指すのか猛烈に気になってきますが……

 

そして「超来輪」。意味のなさそうなフレーズを並べた言葉遊びが主体で、いわゆるフックソングの発展型という感じですが、フックソング自体はもう2014年に「Cling Cling」で(汎アジア的なメロディーも含めて)やっていますし、決して目新しいアプローチというわけでもありませんので、いまこの曲がはたしてどれくらい聴き手に響くのか、私には図りかねます……

 

「天空」はかなりひさびさの王道ハウスで、『⊿』~『JPN』あたりのPerfumeを思わせますね。アルバムの終盤にもう一盛り上がりほしいな!というヤスタカの意向もあったのでしょうか……

 

 

もちろん新曲を気に入っている方が大勢でしょうし、あくまでも私の感想に過ぎません。しかし、残念ながら新しいユーザー、若いリスナーを惹きつけるような曲がこのアルバムには多くないように感じます。

表題曲「Future Pop」はエキサイティングで申し分ないですし、シングル曲もAlbum-mixがいくつか入っていたらまた違う印象だったのかもしれませんが……アルバム全体はどこか不完全燃焼な思いは拭えません。

 

◇In trend

さて気を取り直して、『Future Pop』は現行のポップ・ミュージック・シーンにおいてどういう位置づけにあるのでしょうか。

 

まずパッと「いまっぽいなー」と思ったのが、収録曲の短さです。

いま、海外ではApple MusicやSpotifyなどの定額制ストリーミングサービスが巨大なマーケットを生み出しています。

追記:2017年の日本のCD市場は約1700億円、ストリーミング市場は約570億円程度ですが、2016年のアメリカ音楽市場におけるストリーミングの売上は40億ドル、2017年は57億ドルまで伸びて、ストリーミングの市場シェアはなんと65%です。

出典:http://www.riaa.com/wp-content/uploads/2018/03/RIAA-Year-End-2017-News-and-Notes.pdf

そこでヒットしているポップ・ソングのプレイリスト(キュレーターやアルゴリズムなどがセレクトした楽曲リスト。このリストから曲を聴く人が非常に多いそう)を見ると、大半の曲は3分台。2分台の曲すらあり、逆に4分を超える曲は少ないです。

これは気軽に曲が飛ばせるストリーミング配信ゆえ、リスナーが飽きてしまう前に曲を終わらせる(あわよくばリピートしてもらう)狙いでしょう。『Future Pop』の12曲で42分というコンパクトさは、この流れに合っています。

補足:以下のような指摘がありました! 確かにそれも当然の話ですね……そこまで気づかなかったけど

 

海外では『Future Pop』がストリーミング配信されています(と書いていたら国内でも配信されました!!)。ストリーミング配信ではプレイリストがリスナーに与える影響が非常に大きく、楽曲プロモーションや収益性の向上、はたまた海外での活動を軌道に乗せるために、どれだけ多くの公式プレイリストに曲を入れてもらえるかが大変重要です。そうなると曲の尺は短い方が望ましいでしょうね。

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Perfumeの曲が入っているSpotifyプレイリスト(一部)。この先も世界各国でのプレイリスト入りが期待されます

 

それでは『Future Pop』のサウンドを、世界的なトレンドと比べると……といっても幅が広いので到底フォローしきれませんが、アメリカを例に挙げますと、2017年のニールセンによる市場調査で初めて〈ヒップホップ~R&B〉が〈ロック〉を追い抜き、アメリカで最も売れた音楽ジャンルになりました。

Spotityの「Today's Top Hits」のようなプレイリストを聞いてみるとバンド・サウンドはほとんど聞こえず、まずはヒップホップ~R&B、そしてメランコリックなシンセ・ポップなんかが多いですね。トロピカル・ハウスやフューチャー・ベースもそれなりに流れます。

BPMはゆったりしたものが中心で、数年前に猛威を振るっていたようなゴリゴリのビッグルーム系EDMは鳴りを潜めています。ヒスパニック向けのスペイン語曲も多いですね。ちなみに『Future Pop』に影がチラつくThe Chainsmokersですが、最新曲ではなぜかダンス・クラシックっぽいアレンジをやってました。

 

以上で述べた程度からの、本当に近視眼な見立てではありますが、『Future Pop』のサウンドは世界的なポップ・ミュージックの時流から近からず遠からず、それなりの距離は保ちながらもきちんと向き合っている、といったところでしょうか。そしてそれはPerfumeがこれまでずっと保ってきたスタンスでもあります。

Spotifyでいま再生回数の多い曲をざっと聞いた限り、そのあたりの雰囲気にもっとも近い(=ヒットする可能性が高そうな)曲は「Let Me Know」かな?と思いました。『Future Pop』の曲たちもこれから多くのプレイリストに入って、世界中のたくさんの人に届くことを願っています。

 

YouTubeが一般化した2005~2006年以降、Perfumeは本人たちが望むと望まざるとにかかわらず、それなりにうまくその波に乗っていたと思います。2016年のNY公演で話す機会があった現地のファンは「YouTubePerfumeを知ったんだ」と異口同音に語ってくれました。しかしストリーミング化の流れにはいまひとつ対応できていない感もあり、現にSpotifyの公式プレイリストのフォロワー数は1800人程度。これはいろいろ事情もあるのでしょうけど、実にもったいないです……

◇Where to go?

いろいろ書いてきましたが、それでは『Future Pop』はいまいちな作品か、というと決してそうとも言い切れません。これまでの作品と比べて不完全燃焼感は拭いきれないのですが、まあそれも好き嫌いの範疇と言えますし、過去の焼き直しに終始することなく、常に新しい道を探そうとする彼女たちの姿はさほど変わらないように思います。

 

何より、中田ヤスタカによるサウンド・デザインはさらに進化を遂げています。タイトルでぶち上げたような、画期的な未来のサウンドではないとしても、音楽的な楽しさはいくらでも見い出すことができそうです。

そもそも音楽は、誰かが一気に革新するものではなく、先人たちが作り上げた長い歴史を踏まえながら、日々少しずつ前に進んでいく文化なのでしょう。 

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『Future Pop』は「Everyday」という曲でフィナーレを迎えます。毎日の、それこそ1日1日が小さな未来とも言えますし、そんな日々の積み重ねが、やがて新たな未来になるのだと思います。

思えば『COSMIC EXPLORER』というとてつもない大風呂敷を拡げたアルバムを、「Hold Your Hand」というとてもスケールの小さな歌で終わらせた中田ヤスタカの作家性が、今回も息づいているように感じます。

 

 

そして何より、Perfumeの音楽は振付とダンスと舞台演出が加わった、ライヴの場でこそ完成するものです。

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秋から始まるツアーを心待ちにして、このやたら長い割にあまりはっきりした物言いがない感想エントリーを締め括らせていただきます!

第93回 Future Popが示すものは

毎回5時間くらいかけて書いてきたこのブログですが、いろいろあって時間がないため、このエントリーは30分で書いてみます(注:案の定30分では書けなかったので60分にしました)

 

8月15日、Perfumeの7枚目となるアルバム『Future Pop』がリリースされます!

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【完全生産限定盤】(CD+Blu-ray+ステッカー) UPCP-9020 ¥4,980 (tax in)

【完全生産限定盤】(CD+DVD+ステッカー) UPCP-9021 ¥4,600 (tax in)

 

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【通常盤】(CD+Blu-ray) UPCP-1003 ¥3,980 (tax in)

【通常盤】(CD+DVD) UPCP-1004 ¥3,600 (tax in)

 

えっ高い!!!! 全体的に高い!!!!!!

 

今回、どの仕様でもDVDなりBlu-rayが付いてくるんですね。つまり映像ディスクありきで成り立つ作品(というか商品)であると。

えっ、でもこれって〈抱き合わせ販売〉にならないの?

 

参考リンク:

抱き合わせ販売等:公正取引委員会

 

まあそれは冗談として(?)、この形態のCD+DVDリリースはビヨンセもここ2作でやってますね。ただビヨンセの場合、収録曲すべてのMVを作ってDVDに収録するというこれまた尋常ではないアプローチだったりもするのですが……

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◇ファン層の変化、時代の変化

なぜ今回、このような形態のアルバムリリースになったか想像してみますと、まずPerfumeのフィジカル(CDやDVDなど。パッケージとも言います)のセールスがかなり落ち着いてきていて、これはつまりCDやDVD買うのはコアなファン層(おそらく、わざわざこのブログを読んで下さる貴殿のような方々)に偏ってきているのだと思われます。

曲だけ聞ければ良いのではなく、コンテンツは(質・量共に)可能な限り楽しみたい、そのための出費は惜しまない、という層ですね。

 

そうなると高価格の映像ディスク込みのパッケージにしても、そこまでセールスは下がらないであろうと。『COSMIC EXPLORER』は初週12万枚くらいだったと思いますが、『Future Pop』は初週で8~9万枚くらいは行けるのではないでしょうか。むしろこの価格設定で初週10万枚行ったら凄いと思います。

 

 

さてそれでは、そこまでコアではないファン層の売上はどこに行ったか。

 

オリコン(業務用)を見ていて、気になるデータがありました。

2018年上半期における、Perfumeのシングル「無限未来」の売上です。

 

シングルCD:54,438枚(全体の48位)

デジタルシングル(ダウンロード販売):58,947枚(全体の42位)

 

なんと、ダウンロード販売の数がパッケージを上回っています。

 

CD買うほどじゃないけど、Perfumeの曲は好きだからダウンロードしよう、という層も結構多いのですね。こういった方々は「アルバムなら買おう」という方もいるでしょうし「高いからダウンロードにしよう」という向きもあるでしょう。

ダウンロードならアルバム全体ではなく、気に入った曲だけを買うことも可能です。そもそもアルバムという形態自体が抱き合わせ販売ともいえます。2000年代中盤のアメリカ音楽産業で生じた激変を描く力作ノンフィクション「誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち」でもこの点は指摘されていましたね。

 

さておき、かなり思い切った方針ともいえる今回のアルバム。

そしてタイトルは『Future Pop』……Perfumeのアルバムで、初めて音楽用語っぽいものが出てきましたね。

 

◇未来のポップ?

この〈フューチャー・ポップ〉というタームですが、それではこういう音楽ジャンルがあるのか?というと、はっきり言って私は存在していないと思います。

 

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えっWikipediaにあるじゃん?

 

うーん、ジャンル名というのは、ある程度マーケットや市場に浸透して、それなりの人数が使うようになってこそのものだと思います。

チルウェイヴやダブステップ、トラップ、ムーンバートン、ジューク/フットワーク、トロピカル・ハウスなどなど……(あっフューチャー・ベースもありましたね!)そのサウンドが注目されてきて呼び名が必要になったり、サウンドの傾向を表すためのものがジャンルであったり、音楽用語の機能です。

 

そもそも音楽にジャンルなんていらないじゃん、CD屋が商売のために作ったものだよ、という説もありますが、恐ろしく卑近な例でいえば、お蕎麦とうどんとラーメンは同じ麺類でもそれぞれ別の物です。音楽ジャンルもそれくらいのレベルの区分ではないかと思うのですが……。

むしろ違いを意識して、それを超えて幅広く楽しむためにジャンルという線引きがあるのではないでしょうか。

 

〈フューチャー・ポップ〉というジャンルは存在しない(というか確立されていない)と思いますが、少し言い方を変えて〈フューチャリスティック(未来的)なポップス〉ということになると、これはものすごく膨大に存在しそうです。それを聴いた地点からの未来を想起させるような音楽という、割と主観に依った位置づけになるでしょうか。

あくまでも〈その時代の人が聴いて、未来を感じられる音楽〉ですから、初期の電子音楽だったり、シンセサイザーを使った音楽が登場した頃、その時代の人々にとって「これすげえ未来っぽい!!」と受け取られていたのではないでしょうか。

 

また、音楽の未来そのものを拓いたジャンルというのもあり、シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノ、ヒップホップといったサウンドはまったく新しいマーケットを作り出していまに至りますが、スケールの大きな話は不得手なのでこのあたりで……

 

Perfumeに話を戻しますと、たとえば『GAME』はものすごく真新しいヴィジョンを持ったサウンドでしたし、いま聴いても色あせないフューチャリスティックな作品だったと思います……

 

 

……あれ、ていうかPerfume〈未来を描いたポップ・ミュージック〉ってとっくにやってたじゃん!!!

 

つまり『Future Pop』、未来のポップはいわゆる〈近未来3部作〉への回帰……になっているのでしょうか?

 

聴いてみないと何とも言えませんが、そろそろお時間ですのでこの辺で!!!(逃げます)

 

第92回 「Perfume×Technology presents Reframe」

NHKが時折放送している特集番組「Perfume×Technology」のライヴ版、Perfume×Technology presents Reframe」行って参りました。

昨今はPerfumeといえば最新テクノロジー!〉といった採り上げ方がマスメディアで増えている気がしていて、確かにトピカルだし目立っているけど、それだけが注目されてしまうようになったら、グループ(の今後)にとって良いことなのだろうか……とモヤモヤがありまして、そんななか〈テクノロジーを冠したライヴ〉が開催されると聞いて、最初はちょっと複雑でした。

テクノロジー演出はやたら凄いけど、これ別にPerfumeでなくてもいいんじゃない?的なライヴになってしまう可能性はないのだろうか?

 

……まあMIKIKO先生が監修なさっている以上、まずそんなことはないだろう、と思いつつ会場に足を運びました。以下、すべて記憶をもとに書いていますが、とにかく情報量が多かったため混同や記憶違いがありそうです。ご容赦下さい。

 

会場のNHKホールは約3700席、3階建ての構造です。ステージ上には緞帳ではなく、大小さまざまな白っぽいパネルをたくさん合わせたような壁がそびえています。今回は着席での視聴が指示されており、普段と異なる雰囲気で場内も結構静かでした。

開演時刻を少し過ぎた頃、場内が暗転。IDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック。エレクトロニカ~テクノの一種)っぽいインストが流れると、壁を構成するパネルに、それぞれのサイズに合わせたプロジェクション・マッピングでモノクロの幾何学模様やノイズが映し出されます。そして「2018/3/21」とこの日の日付が大きく表示されたかと思うと、その数字が一気に遡って「2005/9/21」に。言わずもがなのPerfumeメジャー・デビュー日です。

すると壁面には「リニアモーターガール」からのすべてのシングルのリリース順に、MVの映像とヴォーカルを短くチョップ(切り取り)して繋げたものが流れていきます。ビートは最初のインストからずっと続くものですが、歌や映像は音楽としての意味をなさないほど凄まじいスピードで切り替わっていき、この時点で相当実験的です。

えっこれホントにTVで放送するのかな……?と思いましたが、それをメンバー3人分それぞれにフォーカスして、しっかり3回やります。さらにインディーズ時代、そして上京前(小学生?)の頃の映像とインタビュー音声が流れたりして、かなりのカオスに。するとまた日付が一気に進んで「2018/3/21」に戻ります。今思えば、この一連の演出からすでにライヴのテーマが示されていましたね。

 

マッピング・ショーの途中ではそのパネルがいくつか(不規則に)欠けて、そこにメンバー3人の姿が登場。かと思いきやまたメンバーの姿は見えなくなり、マッピングがしばらく続くと、いきなり壁の真ん中にぽっかりと大きな空間が空き、そこに3人が並んでいます。この時点からずっと「どうやっているのかよくわからない状態」でした。

そして始まる「DISPLAY」MVの3次元における実現版といった感じで、3人がいる9:16っぽい比率の空間を囲むようにマッピングが施されて、あたかもステージが奥へ奥へと移動しているように見えます(文章で表現するのが難しいですが……)

気づくと、最初ステージ上にあった壁はなくなっており、メンバー3人が立っているかなり高いステージが奥へ移動するとともに、舞台袖から巨大な直方体マッピングのスクリーンも兼ねている)が3つほど登場。テクノロジー主体のライヴと聞いてたけど、この直方体そのものはかなりアナログだな!と思いました。

そのデカい直方体たちが縦横無尽に動き回り、その動作へのインタラクション(相互作用)できっちりマッピングが施されます。直方体の動きをリアルタイムで追跡・解析して、それに合わせて映像を投影しているのですね。しかしあの大きさの物体、なおかつ複数でもそれが可能とは…… 

◇VOICE

「DISPLAY」の終盤、巨大な直方体がステージ中央に3つ並びます。それぞれの直方体にはスタンドマイクが1本置かれた、電話ボックスみたいな〈レコーディング・ブース〉が備え付けてあります。これは明らかに、3人が多くの歌を録音してきたかつてのヤスタカのホーム・スタジオを模していますね。

するとブースの下に「●REC」という文字が映し出され、メンバーがひとりずつ「あ~ちゃん、西脇綾香、あーーーーー」「のっち、大本彩乃、ちっちっ」「かしゆか樫野有香、うーー」といった感じで、声を吹き込んでいきます。音楽が流れますが、これまた未知の楽曲で、これもIDMっぽい。おそらくこれまでもPerfumeのライヴ用にエレクトロニックな楽曲を提供してきたevalaさんの作ではないかな、と思いました。

 

●REC」が映し出されたブース内のメンバーが声を発すると、それが即座に4小節くらいのループに組み込まれて、曲というかトラック(のようなもの)になっていきます。こういうリアルタイムでの録音と組み上げは結構やっている人いますが、Perfumeでは初めてですね。

声が重ねられていくことで、音数がどんどん増えていきますが、ある時点から特定の音の繰り返し(リ・リ・リ・リ・リみたいな感じ)になり、ステージバックの大きなスクリーンにはメンバーの唇のアップが大量に表示されます。圧巻です(いろんな意味で)。

 

たぶんここだったような気がするのですが、3人が声を揃えて「私たちにできること」と言います。これは2012年の『Perfume 3rd Tour JPN』でお馴染みのフレーズ。あのときは〈3.11〉の甚大な被害や社会不安に対して、いま自分たちは何ができるのか?という意味合いでしたが、今回はテクノロジーを活用して何ができるか、という意味になっていますね。

 

音が止まって場内が静かになると、あ~ちゃんがマイクを通して歌い始めます。

 

「♪薄い 羽のように」

 

つづいてかしゆか

 

「♪軽く しなやかに」

 

のっちは

「♪ふわり 香り残し」

 

3人で声を揃えて

「♪飛んで 消えるように」

 

静まり返った場内に流れ出す、「Butterfly」のイントロ! 普段のライヴであれば狂喜の声が上がるでしょうけれど、この日はみんな、固唾を飲んで見つめているようでした。

◇Butterfly

この曲がライヴで披露されるのは、2008年『Perfume First Tour GAME』および2012年の『WORLD TOUR 1st』以来ですが、その時はメンバーの衣装替えタイムに充てられてステージ上は無人だったため、3人がきちんとこの曲をパフォーマンスするのは初めてです。

メンバー3人はそれまでレコーディング・ブースとなっていた巨大直方体から下りて、ステージ前方へ移動。無人になった直方体がくるりと向きを変えると、そこに「Butterfly」の歌詞が映し出されます。この日のために振付された「Butterfly」。小さく手をパタパタさせるような可愛いフリもありましたが、〈甘い光の粉 まるで誘うように〉など、結構大人びた歌詞だったんだなーと思いました。

 

そうこうしているうちに、ステージ奥に設置された22台ものドローンが一斉に起動、次々と宙に浮かび上がって3人の頭上でフォーメーションを取ります。それぞれのドローンが明滅して空中に光る図形を描くような趣向で、ハート型だったり三角形だったりと陣形を変えていく。ドローンの動きと3人のダンスがシンクロする場面もあり、これまでにも〈2014年の紅白歌合戦〉や『COSMIC EXPLORER』の北米ツアーでドローン演出はありましたが、この台数は圧巻です。ドローンそのものも小型化されているように見えて、先程の巨大直方体へのマッピングもそうですが、これまでに披露されたテクノロジー演出もそれぞれ改善・進化していますね。

 

「Butterfly」の終盤、3人が機構に乗ってステージから姿を消すと、しばらくはドローンたちが主役です。フォーメーションを変えながら光の図形を描き、曲が終わるのと同時に元の位置に整然と着地。統率の取れた動きの安定感に、ドローン操作・管理技術の進歩を窺わせました。

 

◇本当の「キミ」を知りたいの

「シークレットシークレット」のイントロが流れ、衣装を替えたメンバーが機構から登場。遠目でよくわかりませんでしたがとにかくふわっふわの衣装でしたね。また、ステージの床を照らすライトがプリズムのように、何千何万もの明るい色彩を映し出していて、あんな照明は初めて観ました。

色とりどりのライトに包まれて「シークレットシークレット」を踊る3人。この曲ではこれ以外にテクノロジー演出はないのかな……と思い始めた終盤、突如ステージバックの巨大スクリーンにこの曲のMVが映し出されます(くじけたかしゆかにあ~ちゃんがPINOを食べさせるシーンなど)。そして曲が突然エラーでも起こしたように、同じフレーズの繰り返しに。2008年の日本武道館での「コンピューターシティ」みたいな感じです。

するとスクリーンには〈キミ〉という歌詞が入っている、あらゆるPerfumeの楽曲のMVと〈キミ〉の文字が、これまた物凄い速さで音と映像を切り替えながら映し出されます。前もって誰かが編集したのか、AIでピックアップしているのか、どうやっているのかさっぱりわかりませんでしたが、このあたりでようやく、このライヴのテーマのひとつに〈テクノロジーを用いたPerfumeの音源・映像アーカイヴの再構築〉があると察しました。まあReframe=再構成なので、本来は考えるまでもなかったんですが……

ひとつのフレーズにフォーカスすることで、さまざまな〈キミ〉を歌うPerfumeが、時代を超えて繋がるような感覚。〈ヒカリ〉の歌詞でも同様の見せ方をしたりと、割と応用が利くみたいでしたね。

 

「シークレットシークレット」が終わると、ステージ上には巨大スクリーンがいくつも登場。AIでピックアップされたと思しきランダムな数字や単語が大量に映し出されます。流れる曲はこれまた新曲で、いかにもヤスタカが作りそうな洒落たコード進行のテック・ハウス。ただ、この曲だけヤスタカが関与したとも考えにくいので、やっぱりこれもevala氏によるもののような気がしました(後述しますが、これは勘違いでした

この曲は途中で様相を変えて、ダブステップっぽいキックバスドラムが主体のヒップホップ調のトラックに切り替わります。そのビートに乗せて、メンバーがさまざまなPerfumeの歌詞を朗読し、そのMVや詞がスクリーンにも映し出されます。「edge」の〈誰だっていつかは死んでしまうでしょう〉とかもありましたが、〈この世界 僕が最後で最後最後だ〉など、徐々に「エレクトロ・ワールド」の詞が多くを占めていきます。

するとステージ両端にあった巨大スクリーンがスーッと移動し、Perfumeを囲むように5枚で〈八〉を形作ると、ダイナミックVRを使った「エレクトロ・ワールド」がスタート。2016年末の紅白歌合戦で披露した「FLASH」のような、仮想空間を猛スピードで移動する映像演出です。

◇FUSION

そのままノンストップで最新曲「FUSION」。巨大スクリーンをそのまま使いますが、驚いたのはメンバー3人の影(本物)と、巨大化したり縮小したりする影(映像)を合わせて使うというアイデア。実体(の影)をもとに映像の影が作られているようにも見えるし、映像の影がまるで本物の影のようにも見える。

さらに巨大スクリーンが(どうやっているかわかりませんが)無人制御で次々に移動するという、スペクタクルな影絵とダンスの融合。シンプルながら非常にインパクトがあり、新しくも懐かしいような感覚がありました。ふわっふわ衣装から早替えした3人の、衣装の長い裾を翻しながらのシャープなダンスも、このうえなくクールでカッコよかったですね。

影絵という極めてアナログな手法を、テクノロジーを活用してアップデートした、間違いなく公演のハイライトだったと思います。

 

「FUSION」が終わると、ステージ上のスクリーンにこの写真とメッセージが映し出されます。

 

そして流れる「願い(Album-mix)」のイントロ。この曲、2009年の『直角二等辺三角形ツアー』以来で、当時は音源に被せて3人がしっかり歌っていましたね。ステージ左右の巨大スクリーンには、ユーザーから投稿された〈大切な写真〉とメッセージが表示されます。その写真がたくさんの光の粒になり、舞台中央で歌うPerfume3人に吸い込まれていく映像演出でした。選曲も含めて、唐突にウェットな展開でちょっと面食らいましたが、起承転結の〈転〉を担っていたと思います。

 

◇目を凝らす未来

続いて「無限未来」。長方形の黒いフレームがたくさん、ステージ中央へスルスルと降りてきて、上手からドローンが1台飛んできます。このドローンにはカメラが搭載されており、ステージバックの巨大なスクリーンでドローンが撮ったPerfumeの映像が映し出されます。NHKホールを3Dスキャンして、そのデータ上に写真が浮かんでいるという映像もありましたね。

3人が長方形のフレームを手に取り、空中に掲げると、スクリーン上では3人の周りにたくさんの写真がふわふわ浮かんでいます。AR(拡張現実。「ポケモンGO」みたいな、実際の映像にCGを重ねたりする手法)MR(ミックスド・リアリティー。仮想現実であるVRとARを組み合わせたもの)と呼ばれる手法ですが、これはドローン撮影を介したインタラクション(たぶんダイナミックVR)も含むので、ARというよりMRが適切かなと思いました。

 

宙に浮かぶ写真たちは、直前の「願い(Album-mix)」と同様、ユーザーから投稿されたもののよう。その写真が次々と光の粒になって、映像内の3人が持つフレームへと吸い込まれていきます。

これも巨大直方体と同様に、フレームの場所をリアルタイムで追跡・解析して、そこに光の粒が吸い寄せられるCGを生成しているように思いますが、ここではむしろその仕組みより、〈ユーザーの想いをPerfumeが受け止める〉というライヴ上のストーリー展開が肝でしょう。フレームの枠に沿ってレーザー光線が投射されたりと、ここでもインタラクションが有効活用されていました。

◇FINALE

「無限未来」を歌い終えると、メンバー3人はそのまま機構に乗って退場。舞台には透明なスクリーンが降りてきて、ドットで構成された3人のシルエットと〈Reframe〉の文字を投影。ここでもスクリーンの降りてくる動きに合わせてぴったり映像を投影していました。

 

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透明スクリーンに投影された映像はこんな感じでした

これをもってPerfume×Technology presents Reframe」は閉幕。MCなし、休憩時間もほとんど挟まずにパフォーマンスを続けた60分間。個人的には、激烈な演奏をほぼノンストップで60分間続ける、かつてのBRAHMANみたいだなと思いました。

 

鳴り止まない拍手の中、ふたたび場内が明るくなり、機構に乗って3人が登場。以下のようなことを話し、ライヴは締め括られました。

 

のっち「テクノロジーは人が作る、愛のあるもの。そのテクノロジーと一緒に、新しいことに挑戦できる場所を与えてもらえることが、本当に嬉しいです」

かしゆか「自分たちのこれまでを再構築して新しいものにできて、それが温かいものになるのは、ずっと見てくれているスタッフさんや皆さんの想いがあるから。これからも新しいことに挑戦しても、過去を忘れず、スタッフさんや皆さんの想いを大切に、自分たちがワクワクドキドキできることをやっていきたい」

あ~ちゃん「テクノロジーといっても、どうなっているか自分たちではよくわからない。でもテクノロジーだからといって冷たく突き放されるのではなく、温かいものになるのは、テクノロジーひとつひとつに全部手が入っているから。テクノロジーは絆を伝えられるものだと思うし、自分たちを通じて、テクノロジーは身近で温かいものなんだと思ってくれたら嬉しい」

「ステージに立っているのは3人でも、本当に多くのスタッフが関わってこれができました。スタッフに大きな拍手を!!

◇Reframe

今回のPerfume×Technology presents Reframe」、〈無機質なテクノロジーがチームPerfumeの絆と人間性によって云々〉はまあもちろんあるとして、私が感じたのは、ほんの1か月前はファンクラブ会員限定で、3人のキャラクターを前面に押し出した和やかで親密なライヴをしていたPerfumeが、ここではほとんど正反対といえる、極めて挑戦的かつ実験的なライヴを見せた、かつてないほどの表現の振れ幅です。どちらか一方ならできる人はたくさんいるでしょうけど、両方できる(しかもどちらも圧倒的に凄い)人ってそんなにいないだろうな……と。

 

 

「Reframe」は、テクノロジーとアートの関係性を突き詰めて、ギリギリのせめぎ合いの中からその調和を模索し、新たな表現領域を見出そうとするような、実に野心的で画期的なトライアルです。

2010年からコラボレーションを継続し、数々の大舞台(と困難)を共に切り抜けてきたライゾマティクスとPerfume、そしてMIKIKO先生だからこその到達点であり、世界的にも類例のない試みでしょう。

 

恐ろしいほど手が込んだ、このライヴの制作および準備に必要だった時間・技術・機材・人員の物量は想像が付かないほど。にもかかわらずチケット価格が5300円~5800円というのは、いったい収支どうなってるんだろう??と心配になりましたが、まあそこは我らのNHK受信料が使われているんでしょうね!(あくまで予想です)

実際、日本ではエンタテインメント企業にそれほどの資金力がありませんから、公共放送NHKは国営ではありません)くらいのスケールメリットがないと、ここまで冒険的なアプローチは不可能なのが実情でしょう。ここからテクノロジー×アートの新しい流れができたりしたら素晴らしいですね。

 

それにしても対極にあるようなライヴを2か月で続けて見せる、この連続性と意外性はあえて狙ったスケジュールという気がします(単にNHKホール側の空き状況でそうなっただけの可能性もありますが)

 

そこの部分は凄く気になったので、なぜか終演後にNHKホールの外で〈Amuse Fes IN MAKUHARI 2018〉のチラシを配っていた(しかも両日)、Perfumeマネージャーの山本さんに直接お尋ねしたいところでしたが、お仕事の邪魔をするわけにはいかないので帰路を急ぎました。

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山本さんにいただいたチラシ

2018.3.20&21 「Reframe」 SET LIST

1. 新曲(IDM風)

2. DISPLAY

3. 新曲(IDM風)

4. Butterfly

5. シークレットシークレット

6. 新曲(テック・ハウス~ヒップホップ調)

7. エレクトロ・ワールド

8. FUSION

9. 願い(Album-mix)

10. 無限未来

 

◇追記

このレポートを書いている間に、ネットメディアでレポートいくつか上がってたみたいですね。上のセットリストは私の「多分こうだった」という記憶以外の何者でもありませんので、ご了承下さい。

それと、「シークレットシークレット」の再構成(=Reframe)Seihoが手がけているそうですね。彼はライゾマティクス忘年会にも出演しているし、実験的でユニークなソロ作からSugar's Campaignみたいなポップスも作れますから、間違いない人選です!!

 

そして「Reframe」は「FUSION」以降のアーカイヴもアップされていますね。このブログをアップしたらじっくり見てみます!(記憶と全然違っていたらどうしよう)