第96回 Perfume、コーチェラフェスに出演
2019年4月に開催される、Coachella Valley Music and Arts Festival(以下、コーチェラ)へのPerfumeの出演が発表されました。
今回は、コーチェラ出演にどのような意味があって、どう影響があるかを書いてみます。
◇コーチェラとは?
アメリカはカリフォルニア州、ロサンゼルスのおよそ200km東に位置する街・コーチェラで開催されるフェスティバルです。1999年の初開催から現在に至るコーチェラは、世界で最も人気があり、注目度の高いフェスとされています。その理由として、以下が挙げられるでしょうか。
・世界の音楽シーンのトレンドを象徴する、魅力的で強力なラインナップ
・著名アーティスト、俳優、モデル、お金持ちも多数訪れる非日常的アート空間
・開催期間中に約25万人が世界中から来場、チケットの売り上げは約130億円(いずれも2017年)
・4月開催のため、各地の夏フェス主催者が注目(コーチェラで優れたパフォーマンスをすれば、その夏は世界中のフェスにも呼ばれたりも)
今年は4月12日(金)~14日(日)、19日(金)~21日(日)の2週に渡って開催され、2週とも出演者は基本的に同じです。Perfumeの出演日は4月14日(日)と21日(日)の2回を予定しています。
Perfumeは4月19日にLAでライヴを予定しており、LA公演を主催するGolden Voice社はコーチェラの主催者でもあるため、Perfumeがコーチェラにも出演したらちょうどいいなーとは思っていたのですが……ついに決まりましたね!
Perfumeの北米ツアー、4月19日のLA公演でファイナル。
— t_kito (@t_kito) October 30, 2018
なおLAから200kmほど離れたコーチェラでは、4月19日~21日までコーチェラフェス開催。
ということは……?? pic.twitter.com/PQR8j2MB50
◇Perfumeコーチェラ出演の意味
いまや超人気フェスであるコーチェラ、多くのミュージシャンが出演を希望しても、出られるのはほんの一握り。コーチェラに出たことがステータスでもあります(出演料がどれくらいなのかはまったく知りませんが)。
世界中から集まった、多数の観客を前にパフォーマンスできるまたとない機会であり、YouTubeでの生中継もありますので、世界中でそのステージが観られることになります。Perfumeのパフォーマンスはノン・ヴァーバル(非言語的)な魅力がありますし、他の誰とも違うステージが注目を集めるのではないでしょうか。
また前述のとおり、Perfumeはコーチェラ期間中のワンマンライヴもあります!そうなると……
<予想>
コーチェラ1週目のパフォーマンスが会場・YouTubeで話題沸騰
↓
このPerfumeっての、19日にLAでワンマンショウをやるらしいぜ!
↓
世界の音楽産業関係者がLAライヴに殺到
↓
↓
世界的ブレイク、マディソン・スクエア・ガーデン2DAYS公演へ……
いやー私にはここまで見えましたね!!!
ただ、このコーチェラ出演が無条件で素晴らしいかというと、そうとも言い切れません……
◇コーチェラでいかに戦うか
少なくとも、以下の点は懸念されます。
1:タイムテーブルがどうなるか?
コーチェラ、早い時間の出演になってしまうと、残念ながら会場自体にお客さんがあまりいません。会場は砂漠エリアにあるため、日中は相当暑いからです。それでもテント型のステージなら、日差しをよけるためもあってそれなりに観客がいますが、あくまでも日よけに来ているわけですからね……
また、強力なアクトと出演時間が重なると、そちらに観客が集まるため必然的に他のステージはガラガラになってしまいます。せっかく遅い時間帯の出演でも、たとえばアリアナ・グランデの真裏なんかに当てられてしまったら……他にも注目の出演者が目白押しのため、動員的には決して楽ではありません。
2:K-Popの進出
想定外だったのは、BLACKPINKのサブヘッドライナー的出演です。
ポスターでのBLACKPINKの扱いはジャネル・モネイやザ・1975、ディプロといったビッグネームと同格でびっくりしました。K-Popの女性グループの出演はコーチェラ史上初なこともあり、かなりの話題を呼びそうです(男性グループはEpik Highが2016年に出演)。
今回、PerfumeとBLACKPINKは同じ〈アジア枠〉になりそうですが、話題性や勢い、YouTubeの再生回数なんかを比べたら確かにBLACKPINKの方が……いやいやそんなの関係ない!ステージで何をするかが勝負! 韓国からは人気バンドのHyukohも出ますし、アジア勢の盛り上がりにPerfumeも一役買えることは誇らしいですね。
3:アウェイでの戦い
Perfumeが海外フェスに出演するのは2013年のUltra Korea、そして2015年のSXSW以来ですが、特にUltra Koreaは途中で人がどんどん帰ってしまったりと、正直言って悔しい状況でした(メンバー曰く、ステージ上に大量の虫が飛んでいて集中できなかったとか……)。SXSWもさほど大規模な会場ではなかったですし(配信はありましたが)、コーチェラは世界中の観客に直接アピールできる場として、Ultra Koreaでの雪辱を晴らす機会にもなってくれそうで、個人的にワクワクしています。
Perfumeはコーチェラ出演者の中で数少ないアイドルであり、確実にアウェイだとは思いますが、逆境でこそ真価を発揮し、一見の観客を巻き込んでいくライヴが見たいし、いまのPerfumeはそれが可能なグループでしょう。そしてコーチェラは何しろ砂漠エリアで、空気が恐ろしいほど乾燥しているため、Perfumeメンバーはお肌の保湿ケアなどにも留意してほしいところです(そこ?)
4:いつもどおりのライヴができるか?
コーチェラでは、DJなどダンス・ミュージック系のアクトはいくつかの〈ダンス系ステージ〉に固められる傾向があります。
この写真の左に写るアーチ型テント?はアラン・ウォーカーやキャッシュ・キャッシュなどDJを中心に、常に大量の観客を集めていました。もしPerfumeがこのステージに出演できれば、ダンス・ミュージック好きな観客にアピールする大きなチャンスになりそうです。むろんメインステージがベストですが……
そしてテクノロジー演出ですが、昨年のザ・ウィークエンドはプロジェクション・マッピングを使っていたし、アルト・Jの演奏とシンクロする照明も凝っていました。過去には2パック(96年に亡くなった伝説的なラッパー)がホログラム映像で登場したりして、フェスとしてもテクノロジー演出はやぶさかでないようですが、Perfumeのようにダンスとテクノロジーが一体化して、相乗効果を生む演出は、まだこのフェスに存在しません。フェスなのでなかなか難しいかもしれませんが、Perfumeの先進的かつユニークな演出は、一気に世界的なバズを起こす可能性だってあります。
◇コーチェラを楽しむために
毎年チケットは即日完売しますので、1月4日(現地時間)からのチケット販売が正念場です。首尾よくチケットを買えたとしても、会場が不便な場所にあったりして、なかなか参加のハードルは高いです。それがフェスのブランドにもなっているとは思いますが……快適に過ごせるVIPチケットも999ドルとクレイジーな価格です。
上述の通り、コーチェラはYouTubeでの中継があります。これまでは1週目だけの放送でしたが、2019年からは2週目も中継されるとのことで、わざわざ現地まで行かずともPerfumeのライヴをチェックできるはずです(事務所が中継NGにでもしない限りは…)!
最後に言いたいことは、Perfumeのパフォーマンスは世界のどこに出しても恥ずかしくない、日本の音楽シーンの誇りです。コーチェラ出演という喜ばしい機会が最大限に活かされる環境と内容を期待してやみませんし、間違いなくそうなることでしょう。それではカリフォルニアで会いましょう!!!(ホントかよ)