◆AX-KOREA
さてシンガポール公演も終わったことですし、ネタバレのレポート行きます。書きたいことかなりありますよ。あ、3500文字くらいあります。
◆開演前の演出
客席の状況は前回書いたとおり。あまり大きくないステージの中央には巨大なディスプレイが鎮座し、グローバルコンピ『LOVE THE WORLD』のジャケットみたいなメンバー3人のドット絵と、〈Perfume WORLD TOUR 1st〉の文字が表示されています。
開演時間が迫るなか、突如そのディスプレイに映し出されるPerfume Global Site Projectの作品たち。オープン化されたダンスのモーションキャプチャー・データ&ヤスタカ製のトラックを使い、各地のクリエイターが制作したオリジナルのモーショングラフィックスです。これとかこれとかこれ、10種類くらいが連続で流れていく。
そして最後の作品を映しながら画面がズームアウトしていくと、大量の作品がその上下左右にぎっしり並んでいるのがわかります。モザイク画のように整然と並べられた膨大な作品たちは、ズームアウトに伴い無数のドット模様になり、それがメンバー3人のドット絵になっていく……あっこれはGlobal Siteオープン時のコンセプトだ!!(※Global Siteに関するツイートが増えると、メンバーのドット絵が徐々に完成していく仕組みだった)
で、その後はミニマル・ダブ~フィジェット・ハウスなBGMがしばらく続き、いよいよ場内が暗転すると、いつになく物凄い歓声。
◆The Opening
心臓の鼓動のようなビートが鳴らされる薄暗いステージに、メンバー3人が登場。ステージ上のディスプレイには3人の顔が大写しされ、ロボ声で「Welcome to Perfume World」と告げる。そして舞台の中央では、3人がお互いに向き合う正三角形にスタンバイ。はて、こんな始まりの曲あったか?と、ほんの一呼吸置いた瞬間、ステージが眩い白光に包まれ、ラウドなベースが鳴り響く!「Perfume Global Site」のトラック(曲名がわからない)です。
ライヴでの披露はアジア・ツアーが初めて(先日の東京デザイナーズウィークでのライゾマティクスのインスタレーションで、映像だけは公開されていたが)。そしてディスプレイには、先ほど観たGlobal Site Projectの作品が次々と、3人のダンスとシンクロして流れ始める!
これは単に〈ファンが作った映像をバックにメンバーが踊る〉だけじゃないはず。その作品ひとつひとつが、各国(アジア中心か)のクリエイターが何らかの想いを込めて作ったものなわけで、それは〈ファンの声援〉の具現化の一種ともいえます。そしてその映像をオープニングの演出に組み込み、しかも3人のパフォーマンスと完璧に同期させること。
それは各国のファンの期待・声援を受けたワールド・ツアーならではの〈象徴的な演出〉なのかもしれないし、優れたクリエイターへリスペクトを表する〈クリエイティヴ・チームとしてのステートメント〉とも受け取れます。
大抵ライヴはオープニングに力を入れるものだけど、今回はひいき目抜きでも〈ワールドツアーのオープニング〉として申し分ないのでは? この時点ですでに「来た甲斐があった!」と感じたものです。
◆セットリスト
韓国公演のセットリストは以下の通り。
1. Perfume Global Siteのトラック
2. NIGHT FLIGHT
3. コンピューターシティ
4. エレクトロ・ワールド
MC
5. レーザービーム(Album-Mix)
6. Spending all my time
8. Butterfly
9. edge ⊿-mix
10. シークレットシークレット
11. Dream Fighter
P.T.A.のコーナー
12. FAKE IT
13. ねえ
14. チョコレイト・ディスコ
15. ポリリズム
アンコール
16. Spring of Life
17. 心のスポーツ
今回のセットリストは、途中で休むところの少ないスピーディーな構成。そして各パートの位置づけが明確でした。
【Part1 : Global Siteのトラック~NIGHT FLIGHT】
ワールドツアーを象徴するようなオープニングから「NIGHT FLIGHT」。「NF」はそれこそ〈フライト・旅〉がテーマで、これもワールドツアーに相応しい曲と言えるでしょう(やや無理矢理?)。
【Part2 : コンピューターシティ~エレクトロ・ワールド】
続けての2曲は、ライヴでの人気曲というだけでなく、Perfumeサウンドが現行の路線へと至る分岐点(というか原点)を感じさせる並びです。この後長いMCタイムを挟み、モードチェンジ。
【Part3 : レーザービーム~Spending all my time】
ルーツ的な2曲から一転、現在進行形のPerfumeサウンドへ。「コンピューターシティ」「エレクトロ・ワールド」が発表されたのは2006年ですから、6年を一息に飛び越えたわけです。そしてこの流れで聴く「Spendin all my time」が抜群に良い! 発表当初は賛否両論でしたが、セットリストにこの1曲が入るだけでポップ・ミュージックのグローバルなトレンド(つまりEDM)との同時代性が生じるし、他とは異質な音色がより引き立ちます。これがあるとないとでは全体の印象が結構変わるのでは? いやーお見事でしたね!
【Part4 : Love the World~Dream Fighter】
ここからは『LOVE THE WORLD』パート。もう二度と観ることはないと思っていた「Butterfly」(ショートヴァージョンだったけど)や「edge ⊿-mix」が観られたのは嬉しかったです! ただ「edge」は到底ライヴハウス公演とは思えない贅沢な演出で、思わず〈コスト大丈夫か?〉と案じてしまいました。(もちろん赤字を出さないようにやるのが鉄則なのですが)
「Dream Fighter」も、ワールドツアーでふたたび楽曲の(というか詞の)意味が復活したように感じます。むしろここで聴くまでは「この曲をずっとやるのも何だかなー」と思ってました。
【Part5 : FAKE IT~ポリリズム】
この辺は『JPN』ツアーでの流れとほぼ同じでしたね。鉄壁のアゲ展開です。それにしても韓国のお客さんの盛り上がりは熱かった。
【アンコール : Spring of Life~心のスポーツ】
ユニバーサル移籍に至る経緯やその背景、心境を語るMC(スクリーンに現地語の訳が表示される)から、正式な世界進出第1弾シングル「Spring of Life」へという至極まっとうな展開。そしてラストは…『JPN』ツアーでもラストを飾った「心のスポーツ」!
これ、ずっと書こうと思っていたんですが、なぜ毎回ライヴの締めが、あの他愛もないラブソングなのか?というところ。まーそんなに意図はないと思うんですけど、結局あの曲は、「Perfumeはアイドル・ユニットである」というスタート地点に立ち返るものなのかな?という気がします。
だからアイドル宣言じゃないですけど、やっぱりPerfumeも最初はああいう可愛らしい曲が大好きで、憧れて、だから自分たちも歌いたくて始めたユニットだったのでは? それが周囲のオトナ(※主にヤスタカ)によってどんどん違う路線を進まされて、訳が分からないまま歯を食いしばって、がむしゃらにやってきたはずです。だから3人がライヴの最後であの曲を〈歌う〉ことは、意識的にせよ無意識にせよ、意味があるんだろうと思います。当然本人たちだけじゃなくて、観ている人たちにとっても。
◆余談
とかいって綺麗にはまとめません。シンガポール公演のライヴ・ヴューイングも観たんですが、ちょいちょい映る観客席最前列…えっ日本人ばっかじゃん!!
観てると、なぜか自分が恥ずかしいんですよ! いや、「とにかく近くで3人を観たい、とかいう理由で行くのはいかがなもの」とか、「最前列は現地の人に譲ってあげよう」とか、小学校の学級会みたいなことは申しませんよ。でも、Perfumeがどこでライヴやっても、あなた方が最前列で雁首揃えてて、それで誰が喜ぶの?
そして現地のファンが、そういうファナティックな日本人の振る舞いをどう見ているか、最低限の想像力を働かせたうえで、「いや、それでも自分は前の方に行きたい!むしろ行く必要がある!」と思うなら何も言いませ……ってここまで書いて気付いたけど、そういう人たちは絶対にこんなブログ読んでない!!!!!