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Perfumeに特化した音楽ブログ/音楽に特化したPerfumeブログ

第91回 OTONOKO2017

12月2日のOTONOKO、行って参りました。

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全体の感想は〈かなり良いダンス系フェスで、東京でもこのレベルのフェスはそうそうない〉というところ。国産ダンス・ミュージックのフェスとしてしっかり芯を食ったラインナップで、ヤスタカの故郷・金沢(つまり東名阪のような大都市ではない街)で、こういうエッジの立ったフェスが開催されることの意義は大きいでしょう。

会場には遠方から来たであろうPerfumeファン(外国人含む)の姿も多く見受けられましたが、せっかくの良いフェスだし、もっともっと現地の若者も気軽にたくさん来たらいいな、とも思いました。このフェスでダンス・ミュージックに触れたことをきっかけに、トラックメイクやDJ、ソングライティングなんかを始めるような、それこそ昔のヤスタカみたいに音楽を真剣に取り組む若者が増えて、後々活躍してくれたら本当に素晴らしいですよ。

 

チケット代の6,800円も、この規模のフェスとして良心的な価格です。1日のみの開催は2DAYS以上の公演と比べると費用対効果がかなり低いですから(例えば宣伝費や、舞台設営・機材運搬などのコストを考えると、2DAYSなら1日あたり50%で済みますが、1日開催だとそこにコストが100%乗ってきます)、利益が出ているかも正直謎です。動員自体は初回の6,500人から、2017年は8,620人とアップしたようで良かったですが……

それでも、地元の若者には思い切ってチケット代は半額にしたりして、それが地域文化の活性化に繋がれば、地域発のフェスとして理想的ですね。

あとはポーター・ロビンソンやマデオン、ゼッド、サージョン、アナマナグチ、アフロジャック、マックス・ツンドラといったヤスタカ~Perfumeファンの海外クリエイターを呼んだりとかもいいですねー!兼六園に連れて行って、金沢のお寿司なんかも食べさせれば一発ですよ!!(関係者じゃないから好き放題言ってます

 

◇HOME

OTONOKO、私はCAPSULEから観ました。

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巨大なディスプレイを多数配したステージのデザインは海外のEDMフェスっぽいし、CAPSULEのサウンドも〈EDMブーム以降〉のアップリフティングなモードでしたが、やはりヤスタカが凡百のEDMクリエイターと一線を画すのは、とにかくソングライティングの質の高さ、そして洗練されたサウンド・デザインの独自性&意外性で、これはたとえばマーティン・ギャリックスゼッドデッドマウスなんかにも決して負けていないと思うんですが……褒めすぎ?

 

CAPSULEは30分という短い持ち時間でしたが、セットリストは「Another World」「FLASH BACK」「Hero」といったキラー・チューンの目白押しで、ひたすらアッパーに押し切る祝祭感の強いステージ。「More! More! More!」「Jumper」といった少し前の曲は〈EDM以降〉のアレンジやビートにアップデートされていたような気がしましたが、何しろCAPSULEを観るのがよく考えたら初めてだったため、気のせいかもしれません。やっぱヤスタカ才能あるなー、いつもPerfumeに良い曲をありがとな!と思いながら観ていました(誰目線?)

 

CAPSULE以降も、ユニークな持ち味やサウンドを押し出すアクトが揃っていて非常に楽しかったです! とりわけ、初見だった岡崎体育は批評性の高さ、メタでファニーなアプローチ、意外なくらいの(失礼)音楽性の高さ、そしてあのヴィジュアルならではの説得力など、どこか初期電気グルーヴにも通じる佇まいがクールかつ爆笑ものでした。

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banvoxはEDM系トラップを含むベース・ミュージック、ハウス、ブレイクビーツなど、多様なビート解釈を柔軟に組み合わせたミックスが、センス・スキル共に極めて巧みで、次々とこちらの予想を裏切ってくる意外性はもっと長く聴いていたいと思わせるもの。

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彼のプレイは何度か観ていますが、ますます進化していると思うし、いやはや脱帽です!

 

そしてbanvoxのDJプレイの終盤、引き継ぎのためにステージに現れたのはtofubeatsです。

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Perfumeの握手会に行ってアイドルに開眼した男、そして活動初期の高校生時代にはPerfume曲を使った(イリーガルかもしれない)マッシュアップ「The endless polyrhythm lovers」某動画投稿サイトにアップして注目を浴びるなど、Perfumeが人生に大きな影響を及ぼした、それこそ筋金入りのPerfumeファンです。

彼がこの日の、Perfumeの一つ前というものすごい出演順に気負っていないはずがない!と思ったのですが、いつもどおりの飄々とした語りで曲を紹介し、お客さんを煽ったり、時折チューン・ヴォイスで自分の歌を重ねたりしながら、「POSITIVE」「Too Many Girls」「ディスコの神様」「Don't Stop The Music」など、人気曲を立て続けにプレイ。良質なポップ・ミュージックのエッセンスと、ダンス・ミュージックの親しみやすさを掛け合わせたような楽曲に、会場内はじんわり熱く、ハッピーな空気で満たされます。

名曲「朝が来るまで終わることの無いダンスを」から「水星」で締める構成を観て、Perfumeファン代表だと思っていたtofubeatsが、Perfumeの直前にここまで堂々たるステージを見せてくれるとは……と勝手に感無量でした。「この後はPerfumeと中田さんです、最後まで楽しんで下さい!」的なことを言い残して、ステージを去るtofubeats。その姿はPerfumeファン代表に留まらず、非常に優れたクリエイターのそれでした。

 

◇The Opening

しばしの転換時間を経て(場内にいる8,602人で、大型ディスプレイに流れる地元のラーメン屋さんのCMを何度も観たりしました)ディスプレイには〈Next Artist〉、そしてPerfumeのロゴが表示されます。この日いちばんともいえる大歓声、お客さんが一気に前方に詰めかけるなか、突如鳴り響く「GLITTER」のイントロ! 2017年はSONICMANIAPerfume FES!!などでもこの曲が披露されましたが、このオープニング演出は『JPN』ツアーの沖縄公演以来ではないでしょうか。私はトップクラスに好きな曲なので歓喜です!!!

グリーンのレーザー光線が入り乱れる中、鮮やかな赤い衣装に身を包んだPerfumeの3人が登場。「GLITTER」は一時期よく使われていた、シングル・ヴァージョンとAlbum-mixが混ざったような印象でした。OTONOKOは(場所にもよりますが)音響もなかなか良かったですし、もう最高でしたね!そして立て続けにFLASH。いまやライヴの鉄板曲で、SONICMANIAに続いてPerfumeのハイパー・ダンスモード炸裂ですが、この2曲でひとまずMCに。 

◇MC

以下、大体の記憶です。

あ~ちゃん「中田さんとライヴで一緒になるのは初めてです。14歳からPerfumeをやっていて、いま28,29歳。中田さんもよう飽きんと続けてくれた飽きることもある人だと思うけど、そのことがありがたいです。中田さんとは去年くらいから一緒にTVに出たりして、今年はOTONOKOに呼んでいただきました」

あ「みんな重低音ずっと聴いてて、身体おかしくなってない?ならない?OTONOKOの音好きな皆さんはさすが、うちらも精進します」

 

この日のグループ分けは〈な・か・た〉になりました。

あ「みんなで神の名前を叫んで、最高の時間にしたいと思います!」

神の名前を叫ぶと、神々しさだかご利益だかを感じる、みたいな話もあったような……

 

そしてまだ2曲しかやってないけど、早くもP.T.A.のコーナー」へ。この日のPerfumeの持ち時間は40分で、ここまでも結構な時間を使っていたように思いますが、続いての「FAKE IT」で一気に場内大爆発!これはこの日いちばんの熱狂状態だったかもしれません。

続いてちょっと意外なチョコレイト・ディスコで、アッパーなダンスモードからシフトダウン。この曲が中盤に入ることは珍しく、その場では少し不思議に感じましたが、続けてあ~ちゃんの「紅白歌合戦、今年も出場することができて本当に嬉しいです。私たちの今年は、この曲です」というMCから、ゆったりとしたイントロの「TOKYO GIRL」に入ったので、いま思えばそこへの(モードやテンポの)調整にもなっていたかもしれませんね。

 

「TOKYO GIRL」が終わると、「次が最後の曲です。新曲で、3人でやるのはこれが初めてです。FUSION!」というあ~ちゃんのMCから最新曲「FUSION」へ。3人が舞台上で正三角形のフォーメーションを取り、イントロが流れると場内前方で大きな歓声が。何だろう?と思っていると、ステージの上段がライトで照らされ、なんとPerfumeの背後にDJブースに立つヤスタカの姿が!瞬時に驚きが広がり、大歓声が沸き上がります。

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Perfumeとヤスタカのステージ上での共演が、2003年のコラボレーション開始から14年を経て、初めて実現した瞬間でした。

 

◇FUSION

この「FUSION」、やや和風のメロディーを持つインスト主体の曲で、キックの4つ打ちからも脱却して、最近のPerfumeには少ないテクノに仕上げられています。

Perfumeはこれがライヴでの初披露ということで、集中力を高めて全身全霊でパフォーマンスしていたように見えましたが、ヤスタカは最初の「Yeah」で軽く人差し指を掲げたり、「Yeah, Yeah, Yeah」の連呼ではハンズアップで客を煽ったり、音域のミックスを少し変えたり(していたような気がしましたが勘違いかもまあ言うなれば平常運転に見えましたね。

 

それにしても、まさか両者の初共演が「FUSION」になるとは……踊り慣れた「ポリリズム」や「チョコレイト・ディスコ」でコラボしても別に良いはずで、それを初披露の最新曲でやることは、もっともハードルが高いでしょう

それにあえてトライし、(それこそフュージョンして)見事にやり切って見せた4人。常に新しいことに挑戦し続けて、アイドルグループとして前人未踏の成果を成し遂げてきたPerfumeとヤスタカに、これ以上相応しいコラボレーションもなかっただろうと思います。 

◇KANAZAWA

「FUSION」が終わると、Perfume3人は弾けるような笑顔で、DJブースのヤスタカを盛り立てるように手を振り、舞台袖に消えていきます。そのままフェスのトリを務めるヤスタカは、何事もなかったかのように自分の曲「Source of Light」NHK「NEWS CHECK11」のオープニングテーマ)を流します。

 

えっ、どちらもこの共演について何も言わないんだ!!

Perfumeファンからすると(そしておそらくPerfumeメンバーや関係者にとっても)ヤスタカとの共演は歴史的な瞬間ですが、そのパフォーマンス中に「DJ、中田ヤスタカーー!!」みたいに特別にそれを煽ることも、そもそも歌詞以外の言葉が交わされることもなく、あくまでもサラッと披露された印象でした。

 

ただ、初披露の最新曲を、この大一番で見事に決めてみせるPerfumeの頼もしさと成長、そして4人でパフォーマンスする姿に、ここまでのすべてが込められているかのようで、むしろ言葉は野暮だったかもしれません。Perfumeとヤスタカがこれほどスマートかつプロフェッショナルな音楽的対話を見せてくれる日が来るとは……

そしてそれがヤスタカの故郷であり、恩人・ライムスター宇多丸さんとの対バンも行った金沢という街であったことに、何か巡り合わせも感じました。

 

ヤスタカはその後も「NANIMONO」やゼッド「Stay」のリミックスなど、自分が関わった曲を活き活きとプレイしていましたが、Perfume「If you wanna」を流すと、ステージにPerfumeが再登場!これまた「FUSION」に続いて最近の曲ですね。新しい作品をベースにコラボする、というモードが徹底されています。

 

大勢のお客さんで埋まったアリーナ会場で、

Perfume」のロゴがスクリーンに大写しになり、

中田ヤスタカのDJで踊るPerfume3人。

うーん、こんな未来が待っていたとは……私がPerfumeを知った頃には正直予想だにしていませんでした。

 

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この日、Perfumeとヤスタカは同じステージの上で音楽を共有し、そして翌日からはまたそれぞれ違うステージに立つのでしょう。両者の軌跡が、またステージ上で重なることもあるのかもしれませんが、それはそれとして。

ここからまた、Perfumeとヤスタカがお互いに良い影響を与え合いながら、末永く活躍してくれることを願ってやみません。 

 

 

 

 

……あ、そういえば冬の金沢の魚介類はミラクルに美味しかったので、最後に貼っておきますね!!!!!(ぶちこわし)

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