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Perfumeに特化した音楽ブログ。深掘りはしても深読みはしません

第66回 NHKのPerfumeドキュメンタリーが描いてきたもの その3

前回の続きです。

 

◇MJ presents Perfume × Technology(放送:2013年10月12日)

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2010年の「ドーム5万人ライブへの挑戦」は、MIKIKO先生や内山監督をはじめ、スタッフの皆さんのドキュメンタリーと言っていい作品でした。そして2013年の「MJ presents Perfume × Technology」はメディア・アーティストでプログラマーPerfumeのライヴ演出に携わる真鍋大度さんを大フィーチャー。言うまでもなく、制作統括は佐渡岳利さんです。

 

……もうNHKチームが、真正面からPerfumeメンバーを採り上げたドキュメンタリーを作ることはないんじゃないか?と当時はちょっと思ったりもしました。その予想は映画「WE ARE Perfume」で覆されるわけですが。

 

この番組では、Perfumeがパフォーマンスにどのようにテクノロジーを採り入れているか、それはなぜか(※ここ重要!)を掘り下げます。ちなみにこのPerfume × Technology」の最新形が、映画「WE ARE Perfume」での「STORY(SXSW-MIX)」ですね(映画での真鍋さんの登場は、まあ多くないですけど……)。

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番組冒頭は、「Spring of Life」のMVや東京ドームでのPerfumeの掟」、ヒカリエでの「氷結SUMMER NIGHT」、WORLD TOUR 2ndなどの映像を、Perfumeのテクノロジー路線のダイジェストとして少しずつ見せます。2013年6月のカンヌ・ライオンズ(カンヌ国際クリエイティヴィティ・フェスティヴァル)でのステージは、ナレーションで〈最先端メディア・テクノロジーとリンクしたパフォーマンス〉と呼んでいます。

 

そしてここで真鍋さん登場。〈クリエイター集団・Rhizomatiksの一員で、いま世界から熱い注目を浴びる、アートとテクノロジーを結びつけるスペシャリスト〉と紹介されます。最初に、真鍋さんがPerfumeとの出会い〉を語ります。

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・PVをいくつか観て、興味を持ったのがきっかけ

音楽も振付もおもしろいな

・ライヴを観に行って、あまりエンタメのライヴは見たことなかったんですが、こんなに凄い演出をやっているんだ、って

・そこから凄くファンになった

 

真鍋さんが語ってる内容、〈Perfumeとの出会い〉じゃなくて、〈私はいかにしてPerfumeが大好きになったか〉じゃないか……ちょっと似てるけど、全然意味合いが違うよ!!

 

Perfumeメンバーが真鍋さんの人となりを語ります。真鍋さんのエピソードとして、〈沖縄でパソコンで釣り〉話を披露。しかも映像付きで。

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あ~ちゃん「すっげぇ遠くで釣りしてるのを、こっちでこう見てる、パソコン打ちながら……海でもパソコン使うんかい!!」

 

そして(2013年当時の)注目の技術として、プロジェクション・マッピングを紹介。しかも今回、動いているPerfumeの身体へとマッピングする、その動機を真鍋さんが語っています。

「静止している建物とかじゃなく、(動いている)人にプロジェクション・マッピングすることで、より振付がおもしろく見えたり、ダンスがカッコよく見えたりということはあるだろうなと思っていて」

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さりげなく話していますが、これは本当に重要な部分です。「なんかプロジェクション・マッピングって流行ってるらしいからやってみようぜ!」的な、テクノロジーやトレンドが先に立つのではなく、振付やダンスをよりカッコよく見せるための〈アイデアとしてマッピングがある、と。

この時期、スクリーンに普通に映像を投影して、それに合わせて人間が動いたりすること=プロジェクション・マッピングだと言っている人が私の身近(つまり音楽業界)にすら続出してましたけど、それは〈スクリーンの映像に合わせて人が動いてる〉だけです。普通のスクリーンではない、立体物などに映像を投影する技術がプロジェクション・マッピングのはずです。

こういう何も把握していない(理解しようとしない)人に限って「なんか流行ってるらしいから!」とか言い出すし、それはたとえばダブステップ」「EDM」でも、実情を全然把握せずにその名称だけを使いたが……いやいや愚痴はやめましょうか!!!!

 

さておき、動いている対象にマッピングするために使用するのは赤外線カメラと距離計測カメラの2種類。「メンバーの動きをリアルタイムで解析して、映像をトレースさせている」とのこと。

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さらにこれでマッピングするPerfumeの衣装は、コンピューターのリモート制御で羽やスカート部分が稼働するようになっています。衣装担当の三田真一さん大変だったろうな!

かつてファッション誌で、よく三田さんが〈いまイケてるスタイリスト〉として誌面に出ていたので、まさかPerfume関連でお見かけするとは、夢にも思いませんでしたよ……

 

もちろんこのマッピングを行う曲は「Spending all my time」かしゆか曰く「最初の振付は、あまり動きがなくて、それだと身体の動きにセンサーが反応してマッピングしているのがわかりづらくてもったいないので、振付を変更しました」と。これもまた工夫と改善ですね。

この「Spending all my time」、ひとつの衣装に二種類の映像をマッピングしていて、これは当時として世界初の試みだったそうです。

 

ここで「LIVE at NHK(後述します)での「Spending all my time」の映像が入ります。まあ、いつ見ても……めちゃくちゃカッコいいですわ!!!

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ここでは1曲をフルコーラスでじっくり見せてくれるのですが、これだけ長く1曲を採り上げるのはNHKPerfumeドキュメンタリーでは初めてだったりします。これまで映すのは人間がメインで、曲の扱いは短かったですから……

Perfume  History

「Spending all my time」が終わると、Perfumeは2000年に広島で結成されました」と、唐突にPerfume Historyが始まります。まあ、あった方が親切ですよそれは! 彼女たちの活動を振り返るなかで、初めてテクノロジーを本格的に採り入れるきっかけになったのが、2010年の東京ドームであることが示されます。真鍋さんたちがPerfumeのライヴ演出に関わった最初の公演ですね。

 

あ~ちゃんが初の東京ドームについて語ります。

「あんなに大きな会場は初めてだったので、大きな演出が必要でした。サプライズ的な演出がしたい」

真鍋さん「たとえば〈レーザーで風船を割りたい〉と言われて、こういう仕組みにすればできるな、とすぐに思いつきますが、そこであまりテクノロジーの話はせずに、演出の話だけして。僕らは裏で、テクノロジーを使ってどう実現するかを話し合います」

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お二人の話に共通しているのが、〈大切なのは演出〉と捉えていることです。そしてテクノロジーを使えば、それがそのまま演出になるわけではない、と。

おーい! 「なんか流行ってるらしいから」な連中、聞いたかーーーー!?

 

実際、あ~ちゃんは「レーザーでめっちゃ遠くの風船が割れるんです! 仕組みはよくわかんないんですけど」と笑っています。

 

しかし、風船が割れるかどうかは、会場の温度や湿度、そして風船の個体差に左右される要素が大きく、複数の風船を割る場合の調整はとても難しいそうです。

真鍋さんも「風船、割れないなーって」と苦笑。「あれは結構難しいシーンでした。本番当日のリハーサルでもうまく行かなかった。その場の温度や湿度も絡んでくるので、毎回同じ条件とはいかなくて。本番では、びっくりするくらいビシッと決まったんですけど」。

本番は5万人の観客が発する熱と湿度で、リハーサルとはまったく異なる環境です。そこでバシッと成功させるとは……運がいいのか何なのかわかりませんが、普通にやっているだけでは成功しない類のものであることは確実です。

 

ナレーションではPerfumeが思い描く、理想のステージ。それを支えているのが、テクノロジーなのです」テクノロジーは何のためにあるのか?ということですね。

 

Rhizomatiks

シーンは2010年から2013年へ。初台のICCで開催された「Rhizomatiks inspired by Perfume展」です。

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ちなみにここで真鍋さん、MIKIKO先生、関さんおよびICCの畠中さんによるトークショーPerfume inspired by Rhizomatiksが行われ、それは当ブログの第26回よりレポートしています(読み返したらおもしろかったです)

番組ではメンバーがRhizomatiks展に来場し、LED制御の衣装、ホログラフィック映像、3Dスキャンシステムを紹介していきます。

 

ちなみに番組中、ちょいちょいアイキャッチとして、Rhizomatiks展での来場者の3Dスキャンデータを用いた映像が出ます。この番組自体も、Rhizomatiksのコラボ作品のひとつと言えますね。

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その3Dスキャン、何となくのイメージで把握していましたが、定義付けるなら「物体を3次元のデータとして取り込み、解析することでその物体を360°の立体としてヴィジュアル化する技術」だそうです。ただスキャンしてデータを取り込むだけかと思っていました……

 

LEDが仕込まれた「Spring of Life」の衣装が、時系列に沿って3種類展示されています。

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PVのもの(2012年4月)、MTVイベント出演時のもの(同6月)、紅白歌合戦でのもの(同12月)。比べて見ると、PVの時点では有線でのコントロールで、制御装置も大仰でした。

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それが紅白では無線でコントロール、制御装置も相当小型化されて、もはや気付かないレベルまで改善されています。

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この間の8か月、どれだけ工夫に工夫を重ねてきたのかが窺えます。

 

そして紅白歌合戦のシーン。当日はLED衣装を無線で制御することに加えて、ステージ上の映像と音楽をすべてシンクロさせていました。生放送でこれは、リスキーな挑戦です。

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真鍋さん「自分のやっていることを、最終的にはいちばん大きなところでやりたかったので、それは日本で言うと、やっぱり紅白でした。ただ、前のアーティストからの転換の短さが、尋常じゃないので……こんなに短い時間しかないの?ってくらい短くて、それは胃を痛めましたけど、いろんな人の力を借りて実現しました」

 

普通は〈転換が短いし難しいよ→失敗したら誰が責任取るの?→じゃ、やめようかとなりますし、失敗が許されない紅白歌合戦の生放送ということで、確実に誰かが止める(もしくは止まる)と思うのですが、全員でそこに突っ込める勇気が凄いです。

 

そして紅白歌合戦でのRhizomatiks演出は、2013年はダンスするPerfumeにプロジェクション・マッピングした「Magic of Love」、2014年にはドローンとダンスをシンクロさせた「Cling Cling」という、他に誰もやっていない(そしてどれもビシッと成功させた!)挑戦へと継続されていくのですが、それはまた別のお話……

 

 

かしゆかが紅白当日を振り返っていますが、普段のライヴでは舞台袖にいてくれるライゾマチームも(転換の都合で)近くにはおられず、リハ以外ではステージ上でのチェックもできず、誰も成功を保証できない状況。

 

それでも本番では見事に成功!! スタッフ陣の緊張と想いを一身に背負った3人を筆頭に、ここ一番で最高のパフォーマンスを発揮できるのは、ただシンプルに、普段の積み重ねの賜物でしょう。才能とかいう曖昧な概念ではありません。

 

 

続けて、2012年7月の〈氷結SUMMER NIGHT〉。参加人数の少なさ(400名)、他では見られない内容ともに、Perfumeのブレイク以降でもっともプレミアムなイベントだったといえます。私は当然参加できておりません。

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ホログラフィック映像とシンクロさせたPerfumeのパフォーマンスは、番組内で〈リアルとヴァーチャルの融合〉と呼ばれています。

しかしメンバーが口を揃えて言うのは「ステージ上では(ホログラフィック映像は)何も見えないので、完全に感覚で(映像の出現パターンを)覚えてやるしかない」こと。これ、どう考えても難易度が高すぎますが、Perfume以外にできる人いるんでしょうか……?

 

そしてこのホログラフィック映像とのシンクロは、「Spending all my time」のマッピングとは完全に逆の手法です。

ホログラフィック映像とのシンクロは、Perfume(何も見えないけど、そこに映っているはずの)映像に合わせてダンスする。

マッピングは、コンピューターがPerfumeのダンスに合わせて映像を投影する。

人がコンピューターに合わせるのか、コンピューターが人に合わせるのか、まったくもって対照的なアプローチですが、どちらにも共通するのが、真鍋さんの言っていた「より振付がおもしろく見えたり、ダンスがカッコよく見えたりすること」です。とはいえ、この対照的なアプローチに対応するのって、まったく違うトライなので、メンバーもスタッフも骨が折れると思うのですが……

 

のっち「私たちは、何かにはめていく作業も好きです。3人だけでやるのも好きなんですけど、自分の感覚だけじゃない、テクノロジーに寄っていく、はめていくのも楽しいですね」。

のっちにとってテクノロジーとは、Perfumeに変化をもたらすもの、挑戦しがいのあるもののようです。

あ~ちゃん「ホログラフィック映像、テレビで見ると結構透けていて、いかにも映像って感じなんですが、生で観ると本当にいるようなんですよ。本当に、生で観てほしいです

 

……見たくても、見られなかった人もいるんですよ…………

 

 

さて、番組ではPerfume×テクノロジーの最新事例として、「1mm」のビデオが紹介されます。

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特殊加工したアクリル板に、一定の方向からLEDライトを当てることで、発光したり色が付いて見えたりするシステムを開発したそうです。へー、どうやってるんだろう、詳しく知りたいな!

しかし流れる映像は「LIVE at NHK」の「1mm」……急にテクノロジー関係なくなってる!と思いましたけど、まあせっかく素材もあるし使いたかったんだろうな、と斟酌いたしました。

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続いて、ワールドツアーに合わせた「Perfume Global Site Project」を紹介。念のためご説明しますと、Web上でPerfume楽曲データ、ダンスのモーションキャプチャー(動作)データ、3Dスキャンデータをフリー配布し、クリエイターが自由に映像を作り、投稿するプロジェクトです。いわゆるCGM(Consumer Generated Media)ですね。消費者が生成するメディア。真鍋さんの説明では「Webを使って、Perfumeとファンとクリエイター、みんなでひとつのムーヴメントというか、コンテンツを作ること」です。

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そして世界中のファンがこのデータを用いて、自由に映像作品を作り、参加意識を高めただけでなく、その映像がライヴで使われました。これもリアルとヴァーチャルの融合のひとつであり、最終的にはリアルそのものであるライヴの場に落とし込まれるところに、このプロジェクトの意図がありそうです。

 

この「Global Site Project」は、2012年の文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門で大賞を受賞しています。私も観に行きましたが、おもしろかった……というかPerfumeのテクノロジー演出が好きな方には、メディア芸術祭は超お勧めです!

 

Perfume × Technology

最後に改めて、Perfumeとテクノロジーを組み合わせる意味はどこにあるのでしょうか。

 

真鍋さん「いままではWebサイトはWebサイト、iPhoneアプリiPhoneアプリでバラバラだったのが、みんなで参加して、それがひとつのステージ上でのパフォーマンスになったり……〈ヴァーチャルとリアルの融合〉というか、ステージ上のパフォーマーとファンがどんどんひとつになっていくような。そこで、Perfumeだからこそできることが凄くたくさんある気がしますね」

あ~ちゃん「私たちがやってきたダンスと、凄い技術がコラボレーションしたときに、初めて興味を持ってくれる人がいたり、こういうことやってみたいな!って、夢を与えられたらいいなって思います」

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ナレーション「あ~ちゃん、かしゆか、のっち。この3人の想いが、テクノロジーで世界に繋がっていく。それが、Perfumeです」。

 

 

そして舞台は「LIVE at NHK」が収録されたNHKの101スタジオへ。

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あ~ちゃんの「せぇーのっ!」で始まる「MY COLOR」……ってこれも「1mm」に続いてテクノロジー関係ない!!!と思ったけど、歌詞がちょっと〈新しいテクノロジーで人と人が繋がっていく〉みたいな感じだから、いいのかな……まあ…………うん…………

 

もちろん、テクノロジーにまつわる話が中心の番組の最後に、ライヴでの生な姿を見せることの意味もあると思います。これもまたPerfumeなんですよその魅力を伝えるためにテクノロジーがあるんですよ、と。

 

Perfumeが最新テクノロジーを採り入れていることを紹介するテレビ番組はたくさんありましたが、その理由や背景、目的までしっかり伝えようとした唯一の番組が、この「Perfume × Technology」ではないでしょうか。

 

ちなみに、WORLD TOUR 3rdでコンサートを締め括る曲もまた「MY COLOR」ですね。

 

 ◇Perfume LIVE at NHK(放送:2013年10月27日)

これまでのようなドキュメンタリー手法ではありませんが、その流れに位置付けずにはいられない番組であり、いよいよ、これがシリーズの(現時点での)最後です。

 

 

メンバーの人柄とストーリーを広く伝えた「20歳の挑戦」

MIKIKO先生とメンバー、スタッフのクリエイティヴィティを称賛した「ドーム5万人ライブへの挑戦」

ファンの姿を通して〈世界的なPerfume現象〉を視覚化した「今、世界へ」

Perfumeとテクノロジーの関係性を掘り下げたPerfume × Technology」

 

 

それぞれの番組で、まったく異なる切り口からPerfumeの魅力を採り上げてきたNHKが、いよいよその総決算的なライヴ収録に踏み切ったのがこの「Perfume LIVE at NHK」です。

もちろん佐渡さんが制作統括ですので、決して普通にライヴを行うだけの番組にはなりません。

 

 

冒頭はNHKの通路を歩いて会場に向かい、気合入れをするメンバーと、その登場を待ちわびる観客が映ります。そしていよいよ内山監督がステージへと続く扉を開き、3人が歩みを進め……

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と思いきや、ここから「Perfume × Technology」の冒頭とほぼ同じ展開(カンヌ・ライオンズの模様とか)が繰り返されます。ダンスするPerfumeへのプロジェクション・マッピングや、「Perfume Global Site」の説明が入りますが、これはライヴの1曲目「Spending all my time」への前振りなので、しょうがないです。

 

ここでセットリストを書いておきましょうか。

 

Perfume LIVE at NHK SET LIST

1. Spending all my time

2. Spring of Life

3. Magic of Love(Extended Version)

4. Hurly Burly

MC

5. 1mm

MC

6. 未来のミュージアム

7. Handy Man(※メンバーは衣装替えで不在)

8. だいじょばない

9. ポリリズム

P.T.A.のコーナー

10. チョコレイト・ディスコ

11. MY COLOR

 

 

この並び、何かお気付きになりませんか……?

 

 

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ライヴのスタートから8曲目の「だいじょばない」まで、完全に〈その時点での新曲しかやっていません。「LEVEL3」が2013年10月2日リリースと、放映日に近いこともあるのでしょうけど、このセットリストは明らかに、何らかの意図を感じさせます。

 

その意図とは、〈最新のPerfume像を提示する〉ことではないでしょうか。最新のPerfumeが最高のPerfume、なんて言われてもいますが、まさにそれをテレビ放送で証明しよう!という意気込みを感じます。このセットリストはNHKサイドから言い出したのか、Perfume側が提案したのか……

 

 

「エレクトロ・ワールド」も「ワンルーム・ディスコ」も、「Dream Fighter」もいりません……もとい、ありません。そういう意味では、〈ちょっと興味あるけど観てみよう〉とか〈昔の方が好きだったなー〉って人には途中で「何これ、知らない曲ばっかり……」とチャンネルを変えられかねません(特に昨今では、グレーゾーンのユーザーの消費行動が全般的に弱くなっているとも聞きますし)。

 

それでもこんなに思い切った構成に挑戦できるのは、視聴率を(民放ほどは)気にしなくていい公共放送ならでは、ということもあるんでしょうが、それ以上に作り手側の「どう? 新しいPerfume、最高にカッコいいでしょ!!!」という信念が滲んでいる気がします。

 

実際、私も放映以来2年ぶりに見返してみましたが、この時期の3人のパフォーマンスは、超絶カッコいいです。もちろんいま(2015年)も最高にカッコいいんですが、何と言いますか、BLANKEY JET CITYなら「SKUNK」の時期と言いますか(この例え誰かわかるのか)、ある程度のキャリアを重ね、何度かピークを体験してきたものの、ますます心・技・体が充実しまくり、やることなすこと無敵にカッコいい時期のように感じました。

 

あっ、「MANIFESTO」で復活してからのライムスター、で例えても良かったな……。

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こういう長いキャリアを経て、そこからさらに加速していくようなグループは少ないです。ちなみにブランキーもライムスターもPerfumeも3人組ですね。

 

 

話を戻すと、最新のPerfumeを提示してみせるこのセット。上述のとおり「Spending all my time」は、この時点でのPerfume × Rhizomatiksの最高傑作というべき完成度ですし、「Magic of Love」では、キックの4つ打ちからイントロを長く取り、アウトロからはシームレスに「Hurly Burly」に繋げるという、2013年当時「Ultra Korea」や「SONICMANIA」で試みていたダンス・ミュージック路線のアプローチです。

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また、メンバー不在の「Handy Man」インストは民放なら100%カットされるでしょうけど、これもRhizomatiks製の映像とのコラボレーションで作られた、立派なパフォーマンスです。こういうところもきっちり押さえてくれるのがNHKチーム、という感じですね。

 

 

Perfumeのライヴ映像はたくさんリリースされていますが、この「LIVE at NHK」も非常に完成度の高い作品です。最高にカッコいいです。NHKゆえ、P.T.A.のコーナー」「はみがきじょうずかな?」ここぞとばかりに収録されています!!

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◇映画のような完璧なストーリー

この「LIVE at NHK」、そしてNHKPerfumeドキュメンタリーの特徴を改めてまとめると、やはりこのふたつがポイントです。

 

Perfumeの魅力とは何か?〉さまざまな切り口から掘り下げている

・それゆえの批評性がある

 

多面的な要素で構成されているPerfumeの魅力を伝えるには、複数回に渡る、角度を変えてのアプローチこそが有効だったはずです。そして、そのすべてが映画「WE ARE Perfume」ともリンクしているから、映画を観た後なら、NHKドキュメンタリーの見え方も変わります。これは断言できます。

 

いまとなっては、合法的に観られる手段が相当限られてしまい残念ですが、資料としても貴重な、ここでしか観られない映像ばかりです。許諾の取得や契約(や事務所との交渉)は大変でしょうけど、いつかボックスセット、もしくは「NHKオンデマンド」で発表していただけないでしょうか……佐渡監督はじめNHKの皆さま! きちんと受信料を納めている、いちユーザーからの懇願です!!!

 

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佐渡岳利監督が携わった、Perfumeドキュメンタリー番組の集大成が映画「WE ARE Perfumeであり、これは長きに渡ってPerfumeを撮り続けて、その魅力を批評性をもって発信し続けてきた、佐渡監督にしか撮れなかった作品です。音楽ドキュメンタリーとしても、アイドル映画としても、とてもクレバーで誠実な作品です。

 

Perfumeの(最初で最後かもしれない)映画が、あのような素晴らしい作品になったことは、映画が好きで、ドキュメンタリーも好きで、Perfumeファンである私にとって、心から嬉しいことです。

 

 

さて、次回はその映画「WE ARE Perfume」の感想を書きましょうか……

 

私ではなく、まったくPerfumeに興味ない人の、ですけどね!!!