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R.E.P

Perfumeに特化した音楽ブログ/音楽に特化したPerfumeブログ

第78回 Perfume 6th Tour「COSMIC EXPLORER」

Perfume ライブレポ 宇多丸さん

 

 

 

 

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えーと、ネタバレしてもいい、んですよね……?

 

では行きます。アルバム『COSMIC EXPLORER』は、Perfumeメンバーが近未来3部作(2005年頃)で語っていたとおり、SF好きらしい中田ヤスタカの本領発揮な、〈宇宙探索〉というコンセプトで作り込まれた入魂の作品でした。

おそらく、ツアーもアルバムの世界観を表現するものになるだろうし、コンセプトがSFなら、未来的で先進的なRhizomatiksのテクノロジーともきっと相性がいいはず。また新しくておもしろい展開を見せてくれるんじゃないか!?

 

……と期待を高めて、ツアー初日の仙台・セキスイハイムスーパーアリーナに臨みました。

 

 

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◇Take off

さて、『COSMIC EXPLORER』ツアー初日の感想は……

 

 

 

「あれ? なんか、期待していたものとはかなり違ったな?」でした。

 

セットリストはニュー・アルバムの曲こそ多いですが、アルバムのような統一されたコンセプトはさほど感じられません。

新しい曲が続く流れに、サウンドも歌詞も脈絡のない昔の曲が入っていたり、「FLASH」はアルバムのモードを反映したAlbum-mix(こちらの方がひねりも利いていてカッコいいと思います)ではなく普通のヴァージョンだったり。確かに「ちはやふる」でお馴染みなのはそちらですが……

何より序盤にメドレーを入れながら、後半にも〈LIVE3:5:6:9〉で披露済みのすごろくコーナーがあり、あまりバランスが良くないように感じました。メドレーはどうしても曲のブツ切り感が出てしまいますし、すごろくは統一感も何も不確定要素そのものですから、普通はメドレーかすごろくか、どちらかにするのでは……?

 

 

もちろん『COSMIC EXPLORER』らしい、いままでになくダイナミックかつストイックな演出もありましたが、ひとつのライヴの中に〈LIVE3:5:6:9〉と『COSMIC EXPLORER』をミックスした感じで、ライヴ全体としてはまとまりに欠けた印象を持ってしまいました。何より、私が期待していた〈アルバムの世界観をライヴで完成させる〉ようなアプローチではなかったのです。

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もっとも、仙台2日目以降は〈そういうものだ〉と認識してライヴを楽しむことで、やっぱり3人のダンスは年々凄さを増しているし、振付・演出・音響・照明・美術・衣装などのスタッフワークは見事だし、ハイパー楽しいツアーではありました。Perfumeのライヴ・パフォーマンスは、いまがもっとも充実した時期にあることは確実です。

 

◇LEVEL3

それでも仙台での初日が終わった直後から〈なぜ、今回はこういうセットリストにしたんだろう?〉という疑問がありました。おそらく、アルバムのコンセプトを忠実に再現した、斬新で先鋭的なライヴにすることも考えたはずで、それも実現できたはずです。

 

 

でも、そうはしなかった。

 

 

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思い起こせば、〈アルバムのコンセプトをライヴで完成させる〉試みは『LEVEL3』ですでにやっていましたね。今回のツアーはむしろ、2015年の〈LIVE3:5:6:9〉で披露した演出が、序盤と終盤でそれぞれの主軸になっていました。そのうえ、さらにメドレーもプラスした、と。

 

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あくまで憶測ですが、この選択の背景には〈LIVE3:5:6:9〉を観ていない人に加えて、〈今回のツアーで新たに出会うファン〉……つまり、これまでPerfumeのライヴを観たことのない方々の存在があったのではないでしょうか。

今回のツアーでは、Perfumeがこれまで行ったことのない会場が多く選ばれました。やっと自分の地元にPerfumeが来てくれる!初めてPerfumeのライヴを観られる!という人も多いだろうとPerfumeチームは予測したはずです。アメトーーク!」のPerfume芸人とやらもありましたし……

 

 

コアなファンが喜びそうな、アーティスティックに作り込んだ先鋭的なステージではなく、初めてPerfumeを観る人でもその楽しさや独自性が伝わりやすいものを。楽しかった、また機会があれば観たいなぁ、と思ってもらえるようなものを。

だから、たとえライヴの流れや『COSMIC EXPLORER』の世界観を制約することになろうとも、有名な曲をなるべく多く披露したり、メドレーに挑戦したり、この規模のライヴでは普通ありえないすごろくコーナーを再び採り入れて、ライヴにおけるフックを増やそうとしたのではないでしょうか。

 

◇余談

ちなみに〈LIVE3:5:6:9〉の時期に、ちょうど宇多丸さんたちライムスターもツアーを行っており、私もそのライヴを拝見しました。

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ライムスターのツアーでは恒例の、日替わり曲を演奏する〈ミステリーコーナー〉にて、この時はなんと20曲(!!)もの候補曲からルーレット方式で3曲を選び、その場で曲順と繋ぎ方を打ち合わせて、即座にメドレーを作っていました。さすが「K.U.F.U」に余念がない「キング・オブ・ステージ」です。

 

◇NIGHT FLIGHT

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今回の「COSMIC EXPLORER」ツアーも、仙台→静岡を経て、3か所目の福井公演からは中盤の曲順を少し入れ替え、そこに「NIGHT FLIGHT」を追加したことで〈宇宙へと旅立つ〉的な意味合いが補強されるなど、やはりツアー中での改善が目を引きました。すごろくコーナーの曲も結構入れ替わっていたし(仙台では「SEVENTH HEAVEN」が入っていたけどいつの間にかなくなったり、幕張メッセ公演から大きく変更されるなど)。

 

そして何より、不確定要素やハプニングが付き物のライヴにおいて、精度の高さと正確性をとことん追求していくPerfumeらしさを、今回のツアーでも強烈に感じました。

臨機応変な対応が必要なすごろくコーナーはもちろんのこと、会場ごとにサイズの変わる大規模な機構の使い方(と先導するのっちの歩行スピード)、「Next Stage with YOU」でのAR(拡張現実)演出阿波踊り※徳島公演のみ)。

はたまた「Pick Me Up」イントロでの音響と照明とダンスが瞬時にスパークする感じや、そのまま「Cling Cling(Album-mix)」「Miracle Worker」へと全力疾走し続けるタフなパート(おそらく凄まじい体力勝負)などなど、まあこんなライヴをよくできるな!というPerfumeの凄味が遺憾なく発揮されていました。

 

◇Hold Your Hand

とはいえ、アルバム・コンセプトのキーになっている(と思う)「Hold Your Hand」が幕張メッセ公演以降のセットリストから外れてしまうなど、個人的にはとても残念な変更もあったのですが、総じて見れば、こんなライヴはまずPerfumeしかやらないであろうし、創意工夫を凝らした独自性のあるツアーになっていて、Perfumeは変わらず日本を代表するライヴ・アクトのひとつだなと思いました。

 

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Perfumeメンバー及びスタッフの皆さんが、このツアーの手応えをどう捉えているか、ファンがライヴ後のアンケートにどういうことを書いているかはわかりませんが、少なくとも夏のUSツアーを経て、ふたたび日本国内のツアーとなる〈Dome Edition〉ではさらなる工夫と改良を経て、趣の異なるライヴを見せてくれることでしょう。

 

 

繰り返しになりますが、私も長らくPerfumeを観てきましたが、どう考えてもいまがいちばん凄いです。Perfumeに残された時間がどれくらいあるのか、私にはわかりませんが、いまからでも全然遅くはありません。

ぜひ、見届けて下さい!!