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Perfumeに特化した音楽ブログ/音楽に特化したPerfumeブログ

第32回 Perfume 4th Tour in DOME 「LEVEL3」 中編

Your Party Maker !!!

前回のつづき)強力なダンス・ビートが打ち鳴らされ、いよいよ「Party Maker」が始まります。ステージ上の巨大なリフトが3人を載せて上下左右に稼働し、メンバーが〈映像で映し出された分身〉とシンクロして踊る演出は、3年前の東京ドーム公演の進化形といえます。

ただこの「Party Maker」、個人的には音の迫力がいまひとつで乗り切れませんでした(東京最終日を除く)。音がデカければ、低音が出ていればいいわけではないし、もしかすると会場側の音量規制なんかもあるのかもしれませんが、今回のセットの目玉なので、いつもの爆音で楽しみたかったのが正直なところです。

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LEVEL3』はEDM?

ちなみにこの曲、『LEVEL3』がEDM(=Electronic Dance Music)化した〉と言われる原因(?)のひとつだと思いますが、実際のところはEDM調の曲ってこれと「Spending all my time(Album-mix)」くらいです。「Sweet Refrain」でもEDM(ブロステップ)の要素を採り入れてはいますが…なんでこの曲ドームでやらなかったんだろう……

LEVEL3』はEDMの導入だけじゃなく、「ポイント」「ふりかえるといるよ」「未来のミュージアム」で〈ベース・ミュージック〉を(ちょっと)咀嚼している点も見逃せないと思うのですが、そこはどの媒体を見ても言及されていません。僕の気のせいなのでしょうか…

ベース・ミュージックは(〈J-Pop〉とかと同様に)音楽ジャンルを指す単語ではなく、ダブステップドラムンベース、ジャングル、グライム、UKファンキー、クドゥロ、ジューク/フットワーク、ムーンバートンといったアンダーグラウンドに根差した(およびそれらが入り混じった)ダンス・ミュージックの総称です(と認識していますが、間違っていたらご指摘下さい)

「Party Maker」=EDM?

ところで……「Party Maker」は本当にEDMなのでしょうか? 現行のEDMヒット曲と比べてしまうと、なんだか中途半端です。というか、明らかに地味です。EDMの人気曲は、とにかく下世話でアッパーで、観客を盛り上げる機能に特化しています。ド派手なシンセが入りまくり、やたら緩急が激しく、ベタな歌メロが猛威をふるっています。Aviciiの「Wake Me Up」も、Mat Zoの「Easy」も、David Guettaの「She Wolf」も、Krewellaの「Enjoy The Ride」も、みんな大体そうです。

一方、我らがヤスタカ製の「Party Maker」はというと、EDMっぽいのは歌の入るパートとその前後くらいで、あとの大部分はもう武骨と言っていいくらいストイックなテクノ(テック・ハウス?)。EDMファンには「これあんまりEDMっぽくないよ」と言われそうです。僕もEDMの巨大フェス・Ultra Koreaや、日本のEDMイヴェントにいくつも行きましたが、「Party Maker」みたいなどっちつかずの曲には、ついぞお目にかかることはありませんでした。

そもそもこの曲、ご丁寧にハンド・クラップ(手拍子)のサウンドを入れてますけど、これも普通EDMの人たちはやりません。決してカッコよくはないし……

「Party Maker」は失敗作?

……ではありません。ヤスタカは極めて器用な音楽家なので、EDMのトレンドにそのまんま乗っかったブチ上げナンバーを作ることなど、朝飯前のはずです。そうしていたら、さぞライヴでも盛り上がるでしょう。でも、そうはしなかった。

インタヴューなどを読む限り、彼は誰かの真似や、他人と同じことは死んでもやりたがらない男だと感じました。自分にしかできない、自分がやる意味のあるおもしろい音楽を作る(そしてリスナーへ提案する)ことが彼のポリシーのはず。その反骨心があるから、「ポリリズム」「スパイス」みたいな曲が生まれたわけで。

そして2013年にダンス・ミュージックの(要素がある)アルバムを作るなら、EDMをどう採り入れるか(もしくは採り入れないか)は不可避のテーマです。そのバランスを調整した結果、この「Party Maker」はEDMのようで〈いわゆるEDM〉ではない、独特のバランスになったのだと思います。

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THE ONLY WAY

「Party Maker」の独自路線は、そのままPerfumeの音楽的なスタンスとも重なるのではないでしょうか。間違いなくアイドル・ポップなんだけど、〈いわゆるアイドル・ポップ〉とはちょっと違う。ヤスタカは、トレンドや何らかの意匠にただ乗っかるのではなく、常にヒネりや工夫を欠かさず、Perfumeならではの音楽を作り上げてきたと僕は思っています。乗っかってるだけの曲も無いとは言いませんが。

いまではEDMを採り入れた日本のポップ・ソングも増えました。そこに往々にしてある〈借りてきた〉〈なんか流行ってるし手探りでやってみた〉感も嫌いじゃないですが、〈じゃあ、これを自分たちらしくやるにはどうしようか?〉は、音楽性というよりの部分であり、「Party Maker」にはそれを感じることができるはずです(まぁ、「JPNスペシャル」にちょっとEDM入れてみよ→「Party Maker」完成、くらいのノリの可能性もありますが)

 all my time

「Party Maker」が終わると、メンバーが白い衣装にチェンジして中央の出島に登場。「Spending all my time(Album-mix)」です。この曲も発表当初は〈EDMだ!〉〈海外仕様だ!〉みたいに言われましたが、これも「Party Maker」同様、EDMっぽいのはシンセのメイン・フレーズの音色で、曲の展開は非EDM的です。

この曲、カンヌ・ライオンズで初披露されたものと比較して、今回のツアーでは以下の2点が更新されていました。

1:プロジェクション・マッピングが両面に。メンバーの正面だけでなく、背中側にもマッピングしていた

2:この曲のカンヌ~ヨーロッパ・ツアーでの衣装は、モーターの仕掛けで衣装を拡張・収縮させていたが、今回は拡張部分を細いテープで束ね、脇腹あたりに収束。メンバーが手動で衣装を広げ、マッピングのスクリーンにしていた

衣装の三田真一さんチームのデザインや素材選び、制作はさぞ大変だったろうな……それでなくとも今回は「Magic of Love」「Party Maker」「Spending all my time」「コンピューターシティ」「ジェニーはご機嫌ななめ」「Dream Land」で衣装替えがあり、早替えも多いです。ご苦労のほど、お察しいたします。

そしてライヴで観て改めて、この曲はPerfume×Rhizomatiksの(現時点での)最高傑作だと思いました。

誰も見たことのない場所で

「Spending~」が終わると、メンバーの衣装替えが速やかに行われ(前面のファスナーで着脱してた)、いつものポージングから「コンピューターシティ」に。このときの歓声は凄かった! それは、このライヴにてLEVEL3』収録曲以外で初めてパフォームされるのがこの曲で、意表を突かれたこともあるでしょう。そして私は、この曲をここでやることに、別の意義も感じました。


[MV] Perfume「コンピューターシティ」 - YouTube

このビデオには、映像にエフェクトというか、エラーやバグみたいな処理がなされています。これはアート・ディレクターの関さんが〈Perfumeでもメディア・アート的なアプローチをしたい〉と思い、プログラミングによるランダムな映像加工に挑戦した作品。

そしてPerfumeを知ってはいたけど〈「ビタミンドロップ」にピンときてなかった〉という真鍋さんが、このビデオを見て「Perfumeって、新しくておもしろいことやってるなぁ!」と発見するきっかけでもありました。

つまりこのビデオは、現状のPerfumeクリエイティヴ・チームに至るきっかけ、〈芽〉となった作品です。その曲を『LEVEL3』収録曲から続けてやることは、〈最新の位置〉から〈原点〉を振り返ること。まぁそこまで考えて選曲してないとは思うんですが、この並びは個人的にメチャクチャ上がりましたね。

 

続きます(しかしどこまで続くんだろう……)