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第86回 「COSMIC EXPLORER -Dome Edition-」が真に凄かった8の理由

 2016年5月から11月に至るツアーで、Perfumeとそのチームは25公演を、国境を越えて駆け抜けました。彼女たちの歴史において、ここまで長期のツアーは初めて。しかも時期によって内容を大きく変化させることで進化を繰り返す、まさに〈ライヴ〉なパフォーマンスを繰り広げました。

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今回はツアーの最終形であるドーム公演の模様をお伝え……と書いたものの、レポート自体は多くのネット媒体で遥か昔にアップされましたし、そもそもWOWOWで放送済ですね!

 

ただ、ドームツアーの各会場や、ツアーごとの比較はあまりされていないと感じましたので、今回はこんな体裁でお送りします。

Perfume 6th Tour

「COSMIC EXPLORER -Dome Edition-」が真に凄かった8の理由

 

どうですか? この安いキュレーションメディアみたいなタイトル!

 

◇「COSMIC EXPLORER -Dome Edition-」が真に凄かった理由1〈挑戦と進化〉

「COSMIC EXPLORER」ツアー全体に通底するテーマがあったとすれば、やはり〈挑戦〉でしょう。

 

福井・徳島・和歌山など、初めて訪れるエリアも多かったアリーナツアー。

初めてのアメリカツアー。

名古屋・福岡という初めての会場も含むドームツアー。

 

いずれもPerfumeにとって〈新たな挑戦〉でしたが、さらにそれぞれのツアーならではのひねりと工夫が加えられていました。

 

国内アリーナツアーでは、2015年の〈PPPPPPPPPP〉から続くすごろくでの曲決め=〈3:5:6:9コーナー〉を導入し、日々セットリストの異なるライヴを展開。大規模会場のツアーで、こんなに手間のかかるサービスをわざわざやる人はそんなにいません。

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余談ですが、ライムスターはちょうど〈PPPPPPPPPP〉と同時期の2015年、ツアーの日替わりコーナーで候補曲20曲からダーツで3曲を選び、その場で曲順とつなぎ方を打ち合わせてメドレーを作っており、Perfumeの他にも奇特な人達がいるなと思いました

 

アメリカツアーでは不慣れな土地ながら、日本のワンマンですらまだやっていないドローン演出(曲は「COSMIC EXPLORER」)に挑み、規制でドローンを飛ばせなかったLA公演を除いて大成功。ツアーの最後を飾る〈Dome Edition〉では、わずか5公演ながらセットリストもステージも演出も一新させて臨みました。

 

ツアーのたび、そしてひとつひとつのライヴのたびに反省と工夫を重ねて、曲を繋ぐタイミングの調整からセットリスト変更、音響や照明、ダンスなどのクオリティー向上に余念のないPerfumeチームによる〈Dome Edition〉は、『COSMIC EXPLORER』ツアーの集大成であると同時に、Perfumeの進化を刻み付けた、世界に誇れるライヴだった!!と言い切りたいです(※個人の感想です)

 

PerfumeのNY公演の翌日、私がマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で観たカニエ・ウェストにも全然負けていないと思いましたし(※個人の感想です)、ドーム会場にふさわしい、こんなにスケールの大きなライヴができるなら、MSGという世界で屈指のアリーナ会場に立つことも何らおかしくない、むしろいますぐやればいいと感じました(※個人の感想です)

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◇「Dome Edition」が真に凄かった理由2〈観客の力〉

ここで正直に申し上げますと、実はちょっとPerfumeの動員を甘く見ていました。ドームツアーをやると聞いたとき、はたして埋まるのかな、アルバムのセールスも結構下がってしまったけれど(『LEVEL3』の出荷数は約23万枚、『COSMIC EXPLORER』は18万枚程度)と懸念しました……しかし、完全に杞憂でした。

 

 

……え? 「ドームの4階席や5階席は無人だったよ」「お客さん少なかったね」って、ちょっと待ってくださいよ! 例えば11月4日のナゴヤドーム2万人以上は入っていたように見えました。

名古屋市の人口:220万人、東京23区の人口:900万人と考えると、単純計算すれば名古屋で2万人を集めるのは東京でその4倍の8万人を集めるようなもの(商圏人口は考慮から外します)。しかも土日と比べて確実に動員が落ちる平日公演。これは実際、売り切れでなくとも立派な動員力です。売り切れなかっただけで安直に〈Perfume凋落!〉とか書き立てるアサ芸とかいう媒体もありましたがShame on you!!!!!

 

この動員力、もちろん各地のプロモーターやメディアの宣伝の効果もあったでしょう。特に福岡では、駅構内や電車を使った交通広告でテコ入れ……もとい力を入れていました。

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Perfumeのツアーはひとりで何会場も参加するリピーターも多いですが、そんなコアなファンだけでドームツアーができるわけもなく、この動員力はPerfumeのライヴはお金を払ってでも観たい!」と思う人の多さと言っていいでしょう。

 

これは素晴らしいことで、なぜなら〈良いものを作る=売れる〉というほど音楽産業は単純でも牧歌的な世界でもありません。いまや音楽は〈タダで楽しめるネット上の娯楽〉の筆頭。わざわざお金を払ってまで音楽なんて聞きたくない、というユーザーだって少なくないはずで、これから先もどんどん増えていくでしょう。恐ろしい未来ですが、それが時代の変化というものかもしれません。

そして〈良い音楽をしっかり作る〉という面倒でコストが掛かる割に大抵そこまでのリターンが見込めないことより、TVでの露出の量やイメージ戦略が人気を左右します。そのうえ、流行の移り変わるサイクル(=消費されるスピード)は、ネット社会における情報量の激増に伴い、加速の一途を辿っています。もういい加減、限界まで来ているかもしれませんが……

 

〈売上と人気を維持して長く活動すること〉がますます至難の業になっている芸能の世界、しかも〈若さ〉に価値を置かれがちなアイドル産業で、別にいまブームでもバブルでもない、結成から15年以上経っている女性グループが、地道に作品とライヴを作り続けてきた結果、ドーム会場をここまで埋められるとは……!!

 

 

あのお客さんの多さに、私はPerfumeの底力を見る思いでした。

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お客さんのヴァイブスも良い感じで、やたら熱かった大阪と名古屋、ほんわかと温かかった福岡。特に大阪2日目は、場内のあまりのヒートアップにあ~ちゃんも途中で感極まっていましたね。

どんなライヴも、お客さんの盛り上げあってこその成功です。そしてどのドームでも、3人はカッコつけたり気取ったりしない、ひたすら心理的にオープンなMCを通して、かなり早い段階から観客の共感を得られていたと思います。

大阪では観客の熱さへの信頼感を。名古屋では第2の故郷としての愛着を。福岡ではずっと昔から知っていたドームでライヴできる喜びを、各々が率直に語っていました。その言葉が会場の空気を作り、観客の力を引き出すことにも繋がったはずです。これもPerfumeの能力かもしれませんね。

 

◇「Dome Edition」が真に凄かった理由3〈最新のセットリスト〉

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〈宇宙探索〉というコンセプトの『COSMIC EXPLORER』ですが、最初のアリーナツアーでは〈3:5:6:9コーナー〉を入れたり、要所要所でメドレーや古い曲が差し挟まれていたため、アルバムの世界観があまり判然としませんでした

初めて行く土地も多い(=初めてPerfumeを観る人も多い)分、コンセプチュアルに作り込むより、多様な要素を盛り込むことを重視したと踏んでいますが、アルバムの出来が良かった分、若干の中途半端さも感じてしまいました……

 

しかしPerfumeは続けてのアメリカツアー、そして〈Dome Edition〉で『COSMIC EXPLORER』の作品世界に大きく踏み込みます。NYのライヴが「Navigate」→「COSMIC EXPLORER」で始まったときは「アルバムのテーマを再現する、こういうライヴが観たかった!」と思ったものです。

 〈Dome Edition〉はアルバムのコンセプトを体現する選曲と、これまでのライヴで要になってきた人気曲から成るセットリストでした。これこそ〈最新かつ最高のPerfumeでしょう。

 

Perfume 6th Tour

「COSMIC EXPLORER -Dome Edition-」SET LIST

SE.Navigate

1. COSMIC EXPLORER

2. Pick Me Up

3. Cling Cling(Album-mix)

4. ワンルーム・ディスコ

MC

5. Next Stage with YOU

6. Perfume Medley 2016 -Dome Edition-

Relax In The City~ナチュラルに恋して~マカロニ~Twinkle Snow Powderly Snow~透明人間~セラミックガール~心のスポーツ~Sweet Refrain

7. Baby Face

8. Perfumeの掟

9. FLASH

10. Miracle Worker

P.T.A.のコーナー

11. FAKE IT

12. エレクトロ・ワールド

13. Party Maker

14. だいじょばない

15. パーフェクトスター・パーフェクトスタイル(※大阪2日目より追加)

16. チョコレイト・ディスコ

17. STAR TRAIN(Album-mix)

 

途中のメドレーについて、こんなツイートもしました。

 

ただ、正直言いますと「Hold Your Hand」でライヴを締めてほしかった……〈君と手を繋ぎたい〉という小さな曲で、〈宇宙探索者〉という壮大なテーマの作品が終わることにも意味があると思います。

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◇「Dome Edition」が真に凄かった理由4〈卓越した照明と音響技術〉

業務用のオリコンこと「コンフィデンス」の11月14日号にMIKIKO先生が登場し、リオ五輪の閉会式での引き継ぎパフォーマンスについて語っていました。

記事によると、閉会式会場の巨大さゆえに「200~300人のダンサーが必要」とリオ五輪サイドに提案されたものの、様々な制約で50人しか連れて行けなかったそうです。

その逆境に対して、MIKIKO先生は「そこはPerfumeなどでの経験が活きましたね。観る側の視点がどこに集中すれば良いのかを、演者の動きと音と映像と照明をすべてシンクロさせることで誘導すると、たとえ東京ドームにたった3人しか立っていなくても、広さを味方にして3人が空気を支配しているように見せることができるんです」。

 

おおー……つまり、ドームという巨大空間ならではのPerfumeらしい見せ方ができるとも言えそうで、実際、照明とダンスの考え抜かれたコンビネーションがPerfumeライヴの大きな魅力です。

〈Dome Edition〉の照明で思い出深いシーンは多々ありますが、ここではメドレー内の「透明人間」、〈♪同じ照明を浴びたいのに〉で3人が両手を天にかざす瞬間、スポットライトの逆光の中、3人のシルエットが浮かび上がるシーンが超カッコよかった、だけ書いておきましょう。

 

 

そして音響も特筆ものでした。

こんなツイートもしましたが、〈Dome Edition〉は想像以上に音が良かった! ドームとは思えないクリアさで、反響による遅延もほぼなく(※座席位置で異なります)、まるでクラブで聴いているような高解像度のサウンド。これはドームツアーのPAシステムで使用された〈MLA〉というスピーカーの機能によるもので、MLAは2015年の〈PPPPPPPPPP〉でも使われたそうです。

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 MSI JAPANの「CONCERT」ページより。TUBEの甲子園ライヴもMLA!

 

でもこのMLA、実際は何がどう凄いんだろう?と思った私はある催しへ赴きました。幕張メッセで開催された、音響や放送、通信、映像制作関連企業の見本市である〈InterBEE〉。ここでMLAを含む、コンサートで使われる大型スピーカーの聴き比べができたのです。

 

私はこの辺かなり疎いですが、素人ながらいくつものスピーカーの出音を聴き比べたところ、いずれも音の再現性の高さ、ハイファイさが特徴のようで、ボリュームを上げても音が歪まなかったり、耐久性に優れていたりと、いまのスピーカーは非常に高性能になっているのだと知りました。

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↑真ん中の小さなスピーカーがMLA

 

そしていよいよMLAの試聴時間がスタート。まず驚いたのが、スピーカー直近でも会場の最後方でも、音質の差異が感じられないこと。普通は距離が離れるほど音がぼやけたりしそうですが、そうではない。これ、どうやっているんだろう? 参加者の皆さんと共に会場内を回遊して、聴こえ方をチェックしている最中、MLAのエンジニアの方がマイクでこう告げました。

 

「えーそれでは今から、椅子席の後ろのゾーンだけ音をカットします

 

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ちょうど椅子席より後方にいた私が、〈え?いまなんて?〉と思っていると、みるみる音量が下がっていき、体感で最初の半分くらいになりました。えっ!?と慌てて椅子席より前に移動すると、そこではちゃんと元通りの音が鳴っています。

これには驚きましたが、どうやらMLAのキャビネット(平たく言うとスピーカーのボディ)の中に、それこそ細胞のように多数のスピーカーが配されていて、そのひとつひとつをコンピューターでシミュレーション&制御して〈どこからどこまで音を届けるか、どこに音を当てないか〉を調整できるようです。MLAの正式名称〈Multi-cellular Loudspeaker Array〉にも合点が行きました。

 

つまりMLAなら、ドームの壁際の観客まではしっかり音を届けて、それ以上の音の広がりをバシッとカットすることで、音の反響による遅延(キックやベースが遅れて聞こえる現象)を防ぐことができ、しかも会場のどこでもほぼ同じ音質で聞こえるという。最高じゃないですか。〈Dome Edition〉のクオリティーには、こんな技術も寄与していたのです。

もっとも、アリーナツアーでもMLAを使っていたようですが、ちょいちょい遅延が気になりしました。あれは何だったんだろう……

 

と、ここまででまた長くなっていますので、あとはサクッと行きます。

◇「Dome Edition」が真に凄かった理由5〈ステージ構造〉

ドームツアーとはいえ、ステージの機構も含めた物量は「LEVEL3」のツアーの方が大掛かりだったように思います。

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今回はセンターステージに機構を集めた、比較的シンプルな見せ方でした。2010年の東京ドーム公演のアップデート版とも言えそうです。

ステージに関しても私は大して知らないため、「凄かった」の一言で済ませたいところですが、目を見張ったのは「Party Maker」など、メンバーがリフターで10m近く上がる演出。リフターそのもののスペースはせいぜい〈畳2畳〉程度に見えましたが、そこには転落防止の柵もベルトも何もありませんでした。普通は何か付けそうなものですし、これまでのライヴのリフターには常に柵がありましたが……いやはや、腹括ってやってるなーPerfume

カニエ・ウェストのMSG公演も、空中に浮かんだ板の上舞台でライヴをしていましたが、カニエの方がずっとスペースは広かったし、高度も低かったし、舞台の中央とカニエの背中はでしっかり結ばれていましたよ。


◇「Dome Edition」が真に凄かった理由6〈演出のバランス感覚〉

これは言うまでもありませんが、AR(拡張現実)やプロジェクション・マッピング、LED仕込みの衣装といったテクノロジー演出や、宇宙船がモチーフの機構などは、あくまでダンスや楽曲の世界観を引き立てる手段であり、決して演出で圧倒すること自体が目的になっていないのが(ドームという巨大空間でも!)徹底されているのがさすがです。

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ライヴにおける文脈や、作品のテーマとあまりリンクしない演出だろうと、それで客が盛り上がれば良かろうという考えもあるでしょうけれど、それを安易に良しとしないあたりがPerfumeらしさかもしれません。2016年末の紅白歌合戦は、珍しく演出が先走っていた感もありましたが……

 

Perfumeのライヴは、ヤスタカやMIKIKO先生、Rhizomatiksをはじめ、当代一流のクリエイターたちのコラボレーションの場としても有機的に機能しています。これは舞台監督としてのMIKIKO先生の采配の賜物で、こんなに才覚のある人が、よく偶然Perfumeの同郷で振付師をやっていたなーとつくづく思います。

 

◇「Dome Edition」が真に凄かった理由7〈進歩するダンス〉

Perfumeダンスは年々進化しており、それはMIKIKO先生の振付に依るところも大きいです。今回の〈Dome Edition〉で特に印象に残ったのが「FLASH」でした。

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武術のような振付も含む、ややエキゾティックなダンスは、いままでになく静と動のコントラストを活かしたダイナミックさもあり、まだまだPerfumeダンスには伸びしろがあると見せてくれました。

いまのPerfumeだからカッコよく踊れるダンスとも言えそうですし、新しい曲ながら早くもライヴの核になっていたのは、ダンスの力も大きいでしょう。でも、この曲は〈Album-mix〉で聞きたかった……アルバム中でも屈指の完成度の楽曲だと思います。

 

◇「COSMIC EXPLORER -Dome Edition-」が真に凄かった理由8〈Perfumeの掟〉

〈Dome Edition〉で特に大きな話題を呼んだのが、6年ぶりとなる「Perfumeの掟」です。

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このパフォーマンスを巡って、さまざまな論説があるようです。〈掟〉はPerfumeにとって重要な局面で披露されるもので、そこにPerfumeの本質と原点が凝縮されているとか、3人の関係性を表しているとか……

 

もっとも、Perfumeの本質や関係性と言っても、人によって見え方・捉え方は違いますし、〈物語性〉の深読みは不得手なので他の方々にお任せして……

 

 

私の「Perfumeの掟」の認識は、〈普通に歌って踊るだけではないライヴ・パフォーマンス〉の一環です。その挑戦がライヴの自由度や、表現の幅を拡げるプラスアルファになるでしょうし、インスタレーション(雑に言うと空間を用いたアート作品)的な楽しみにも繋がっていると感じます。

 

2007年の〈掟〉は一度だけ見ていますが、何しろ10年前なので細部はさっぱり覚えていません。ただ、アイドルとしてのPerfumeのあり方をメタ的に表現していた印象は残っています。〈事務所の方針なんで〜〉なんてセリフもあったような。

 

2010年の〈掟〉ではのっちが過去の曲の振付を次々繰り出したり、かしゆかが10人になったり、あ〜ちゃんがレーザー銃で風船を割ったりと、それまでの軌跡を振り返ると共に、いまに繋がるメディアアート路線の演出に挑みました。Rhizomatiksとの初コラボレーションもこのときですね。

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また『JPN』ツアーにおける「JPNスペシャル」や、〈ぐるんぐるんツアー〉の「Episode 0」も、新曲と映像を組み合わせたエクスクルーシヴなパフォーマンスという意味では「Perfumeの掟」と近い位置づけと言えるはずです。

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とはいえ、〈Perfumeそのもの〉がテーマ(というかモチーフ?)ともいえる〈掟〉はやはり特別でしょう。そして2016年の「Perfumeの掟」のために、ヤスタカはこの曲を書き下ろしました。

曲調はプログレッシヴ・ハウスで、曲名は「Atmospheric Entry」。〈大気圏突入〉ですね。ここでも『COSMIC EXPLORER』のアルバム・コンセプトとの連続性があり、ヤスタカが今回のコンセプトを気に入っている感がひしひしと伝わってきます。

 

この曲に合わせて、センターステージに360度張り巡らされた透過スクリーンに、3人の3Dモデルデータや映像が次々と映し出されます。「Spring of Life」「JPNスペシャル」「Hurly Burly」「edge」……そして2010年の「Perfumeの掟」。曲中のセリフや演出、3人のダンスにも既出の物が(おそらくはあえて)使われていました。

 

2010年の〈掟〉をアップデートして、いま使える3D映像素材を盛り込んだだけ……とも取れますが、ここまで回顧的な演出はPerfumeのライヴでは初めてで、一瞬走馬灯を見ている気になりました。つまりPerfumeの〈軌跡とその終わり〉を意識したのですが、それではなぜいま「Perfumeの掟」を披露し、こういう内容になったのかというと……皆目見当がつきません

 

その意図が公式に説明されることはきっとないでしょう(Perfumeチームは〈説明しすぎない〉ことを重んじているようですし)。観た人が感じたものが、すべてです。

 

 

もちろんいくらでも深読みはできますし、そういった議論が起きれば盛り上がりにも繋がります。

ただ、何もかもをわかりやすく説明してくれる(そして内容も単純な)、脳味噌をそんなに使わなくていいコンテンツばかりになってきたこのご時世でも、あえて説明をしないこと、考えさせることで作品の世界を拡げるアプローチは、やはり至極真っ当で普遍的な手法だと言えそうですね。

 

◇A Happy New Year!!

新年を迎え、Perfume公式サイトでは新たなアーティスト写真が公開されました。

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2017年2月15日にはニュー・シングル「TOKYO GIRL」のリリースも予定されています。新しいアルバムはまだまだ先でしょうけれど、ツアーの映像作品や、続くシングルのリリースなどもあるでしょうし、各地のフェスやイベント出演も決まっているはず。「Perfume FES!!」や海外ツアーもまた開催してほしいですし、初となる大型野外ワンマン・ライヴなんかも見てみたいですね。

メンバーは29歳になろうという2017年ですが、今年も楽しい一年になることを願っています!!