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Perfumeに特化した音楽ブログ/音楽に特化したPerfumeブログ

第51回 松尾潔さんの「マカロニ」評が素晴らしい!!

松尾“KC”潔さん。その卓越した評論の力で、ブラック・ミュージックの豊饒さを発信し続け、日本のポップス~R&B~ヒップホップのシーンに多大な影響を及ぼした稀代の音楽評論家。

そしてChemistryを筆頭にEXILEやJUJU、はたまた宇多田ヒカルさんに東方神起などのプロデュースやバックアップを務める、超一流のプロデューサーでもあります。

その松尾さんが、Web連載「松尾潔のメロウな歌謡POP」の第4回で、なんと…

Perfumeの「マカロニ」を採り上げています!!!


[MV] Perfume 「マカロニ」 - YouTube

松尾潔さんとPerfume

松尾さんがPerfume「マカロニ」を気に入っている、という話は2009年頃から聞こえていました。ご自身のラジオ番組で「凄く良い曲だ」と褒めていらしたと。

松尾さんには、いや松尾さんだからこそ、「マカロニ」どこに惹かれたか、なぜおもしろいと感じられたかを語ってほしいな、と思っていました。

 

しかし、あっという間に時は流れ、その間に松尾さんはEXILE「Ti Amo」など大ヒットを飛ばしまくりバブリーなマンションにも住み……(出典:菊地成孔の粋な夜電波 2012年4月22日放送回)。

もう松尾さんはPerfumeのことなんて忘れてしまってるんだろうな……と思っていたので、今回のピックアップは、椅子から転げ落ちんばかりにびっくりしました!

 

◆ミュージシャンは「マカロニ」好き?

ちなみに「マカロニ」は、おなじみスガシカオさんも「Perfumeの曲でいちばん好き」と大絶賛しているほか、2014年4月のPerfume×ライムスターの対バンではライムスターが「マカロニ」を2枚使いしたブレイクビーツを披露、「このビート、完全にヒップホップでしょ!」と叫んでいます宇多丸さんが)。そして「SRサイタマノラッパー」「モテキ」などの作編曲家・岩崎太整さんもこのようなツイートをされています。

ちなみに検索して知った情報ですが、井上陽水さんも「マカロニ」の歌詞が良いと評価していたとか……

 

◆「マカロニ」は〈黒っぽさ〉が良い?

「マカロニ」は、中田ヤスタカの作風としては珍しくソウル~AOR系のグルーヴを感じさせるものです。だからスガさんや松尾さん、宇多さんといった、ブラック・ミュージック寄り(?)の方々が好むのかなーとぼんやり思っていました。

が、今回の松尾さんの評論を読み、むしろそこ以外のすべても重要だった!とようやく悟りました。

 

さて、それでは松尾さんの評論をご紹介(ってのも変な話だけど)していきましょう。


[1/27]【連載】松尾潔のメロウな歌謡POP 第4曲目 - mora トピックス

◆松尾さんの〈Perfume像〉

記事の序盤は、松尾さんがPerfumeを知った経緯や、Perfumeをどう捉えているかが書かれています。

それにしても〈平成版キャンディーズ〉の見立てを、ここでも目にするとは! また「ポリリズム」~『GAME』にいたる流れを、松尾さんがどう感じていたかも初めて知りました。

 

◆「マカロニ」の魅力

アルバム『GAME』の中で、松尾さんを強烈に惹きつけた「マカロニ」。松尾さんはまず、そのリズムに言及しています。そこからマカロニ」の影響源(と思われる曲)として、この曲を挙げています。


Daft Punk - Something About Us HQ - YouTube(苦渋の違法アップ動画紹介)

ここで大切なのはテンポ感が似ているから、雰囲気が似ているから〉ではなく、(以下引用)

・編曲やミキシングなど音の意匠を剥ぎとっても「うた」としての普遍的魅力が残る

詞と曲だけでも「よいうた」として成立する

フォークギター1本でも気持ちよく歌える普遍的かつ上質なラブソング

という、2曲に共通する〈核の部分〉を見い出したからこそ、この2つを列挙しているのです。

 

言い替えると

どこに惹かれたか、なぜおもしろいと思ったか〉を、

松尾さんならではの見方で切り取っている。

これはまさしく音楽評論であり、批評です。

 

そしてPerfumeをこうやってちゃんと評論・批評している文章は、

 

実はものすごーーーーーーく少ないと思います。

 

さらに、この核の部分〉〈このお洒落な美女は脱いでも着替えても美女だ〉というレトリックにしているところが松尾さんの面目躍如であり、キザすぎてどうしようとか思いました。

(つづきます)