第28回 Perfume inspired by Rhizomatiks その3
第2弾に続き、9月28日に開催された〈ライゾマ展トークショウ〉のレポート第3弾です。記述はメモと記憶を元にしているため、必ずしも正確ではありませんが、ニュアンスには注意しています。差し支えのありそうな部分はご指摘下さい。
質疑応答の続き
Q「〈Perfumeらしさ〉とは何だと思いますか?」
・本質的な質問には簡単に答えにくいようで、3人とも考え込む。出てきた答えは「あの3人は何をやってもPerfumeになる」
関さん「Perfumeだからこれをやらなきゃいけない、とかの決まりはない。Perfumeらしさが何かは、きっと皆さんの方がわかっているはず」
Q「RhizomatiksにとってPerfumeとは?」
・また本質的な質問です(ちなみに、質問をピックアップしたのは真鍋さんもしくは畠中さんのように感じました)
真鍋さん「元々ファンだったRhizomatiksメンバーが多いんです。PTA(Perfume公式ファンクラブ)も4人くらい入ってるはず」
観客「(どよめき)」
真鍋さん「だからなのか、楽しんでやっている人が多いですね。それはバレてると思うんですけど(笑)他のコミッション・ワーク(委託業務)とは違います」
Q「アイデアを具現化する源は何でしょうか?」
A「…………」
・真鍋さんが「結構、答えにくい質問が多いな」と気付いたのか「質問を見て、5秒沈黙が続いたらパスにしましょうか(笑)」(※提案のタイミングはここじゃなかったかも)
イメージが先? テクノロジーが先?
Q「PerfumeとRhizomatiksの協同作業では、〈こういうことをやりたい〉というイメージが先ですか?〈こういうことができる〉技術が先ですか?」
MIKIKO先生「Perfumeの場合はイメージが先にありますね。こういうことをしたい、という夢をRhizomatiksに伝えると〈できますよ〉と言ってくれる」
・ライゾマ展の入口にはメンバーのサインがあり、あ~ちゃんが『ライゾマの皆さんは〈僕たちにできないことはないんですよ〉って言ってくれる」と書いています
真鍋さん「〈できないことはない〉って、酔っ払って言ったかも……(笑)」
・真鍋さん曰く、「新しいテクノロジーがあるとして、それを映像や何かに落とし込むのは(テクノロジーを扱う技術とは)また別のこと」
真鍋さん「PVを作る場合も、テクノロジーのネタはライゾマチームが持っていても、それを映像にするセンスがある関さんみたいな人といっしょにやる必要があるし、それをダンスみたいなパフォーマンスに活かすのはMIKIKO先生。分野の違いがあります」
MIKIKO先生「曲と、テクノロジーのネタだけ与えられた状態で振付したり。そういう仕事は少ないし、楽しいです」
・真鍋さんは〈素早い技術開発〉にプライオリティを置いている。大企業がお金や時間をかけたようなものとの差別化のために、スピード感を重視するそう
Q「メンバーを被写体としてどう撮っていますか?」
関さん「3人とも全然違うので、3人の個性が出るように撮っている。それによって動きや踊りも変化するし、それが作品にも出ていると思います」
Q「クリエイターとのコラボレーションやコンテストは、今後も行う予定はありますか?」
真鍋さん「CGMは(※という言い方はされていませんでしたが、Consumer Generated Media=ユーザーがネットなどを介してコンテンツを作成していくメディア)またやりたいですね。あとダンス・コンテストは僕たちも出たいです。でも難しくて」
クリエイティブな目標が明確に見えていて、それを達成したくとも、コスト(経済的、人的、時間的な)が見合わないときはありますか?また、その場合はどう対処されるのでしょうか? #iccrzmprfm
— t_kito (@t_kito) September 28, 2013
すみませんまた私の質問です(これは読まれようと本気で行きました)
三人「これはありますね」
真鍋さん「どんなプロジェクトでもお金や時間の問題はありますけど、本当におもしろいと思ったら突っ込みます」
関さん「気合です」
MIKIKO先生「気合ですね」
ありがとうございました。
Q「デザインに、デザイン以上の意味を持たせていますか?」
関さん「それは受け取り方次第だし、むしろ言葉では言えません。でもそうやって受け取ってくれるなら嬉しいですね」
Q「MIKIKO先生の、会心の振付はどの曲ですか?」
・こういう質問はいちばん答えづらい気がしますが、MIKIKO先生は「うーーん……」と沈黙
・MIKIKO先生の振付は、何か一部分にフォーカスするのではなく、全体をイメージして、おもしろいと思えるものを考えていくスタイルだそう。踊りながら作るので、奇異な振る舞いが多く、制作過程は人に見せられない
・関さんのお気に入りの振付は「edge」、真鍋さんは(案の定)「だいじょばない」
Q「メンバーの意見で振付を変えることはありますか?」
MIKIKO先生「どうしようか迷って、何パターンか作っていって選んでもらうことはあります」
・メンバーが「この振付はイヤだ」と言ったことは「ないですね」
チームPerfume内での相互作用
Q「皆さんはお互いに刺激や影響を受けることがありますか」
関さん「PVを作るとき、振付を見て(事前にイメージしていた)内容を変えたりします」
真鍋さん「タクくんが言ってたんですけど、〈Perfumeはフリに合わせて画を付けるだけでもいいアニメーションになる〉って」
MIKIKO先生「〈1mm〉のビデオで、歌の部分は踊らないのが新鮮だと(関さんに?)提案され、そうしました。PVを見てからフリを付けることもありますよ」
Q「Perfumeでプロジェクション・マッピングをしようと思ったきっかけは?」
真鍋さん「カンヌの場合だと、先にNosaj ThingのPVをやっていて、これはPerfumeでもできるなと思いました」
MIKIKO先生「ヨーロッパ・ツアーは会場が小さくてお客さんも近いから、細かいプロジェクション・マッピングでも見てもらえると思って、こういう演出にしたんです」
MIKIKO先生と中田ヤスタカ
・ここで話題はアルバム『JPN』のツアーで披露された「JPNスペシャル」に。この楽曲の舞台裏が語られるのは、おそらく初めてです
MIKIKO先生「このとき、初めて中田さんと打ち合わせをしたんです。(ヤスタカが出演する)クラブの控室で。〈(忙しいから)ヤスタカそこしかダメ〉と言われて。そこで演出の意図やイメージを伝えたら、すぐに理解してくれて。賢い人なんだと思いました」
・ちなみに、ヨーロッパ・ツアーのオープニング音楽(3人の喋りが入っている、ノイズ混じりの電子音楽)を作ったのはヤスタカではなくevalaさん。ICCではevalaさんの展示も10月1日から始めるので、ぜひそちらもご覧下さいとのお達しあり
総評
畠中さん「Perfumeのイメージを作るチームにRhizomatiksが加わったことで、Perfumeはどう変わり、これからどう展開していくのでしょうか?」
関さん「根本は変わっていません。この子たちで何ができるか?というところ(がテーマ)なので、Rhizomatiksがスタッフになっても、やることは変わりません。それでも、いろんな人にいろんなものを見てほしいし、それがメンバー3人の願いでもあると思うので、3人の力になりたいですね」
真鍋さん「テクノロジー以外では関わっていないところも多いので、そこはファンとして見ています」
関さん「僕もそうかも。ファン、というか近所の親戚のおじさんみたいな……」
MIKIKO先生「Perfumeがより魅力的になるために、ダンスやパフォーマンスのパワーアップのためにお力を借りています。それでも、テクニカルな部分だけが際立つのではなく、メンバー3人のパワーが入ってこそ成立するものを探し続けています。そうやって(エンターテイメントとして)皆さんが楽しめるように、バランスを取るのが私の役目かなと思っています」
真鍋さん「まだ通っていない企画やアイデアがたくさんあります。それはアート作品の表現よりも抑えめなんですが、肖像が絡むので難しかったり。大きいステージと小さいステージでも全然違いますし、まだまだいろんなことができるんじゃないかと思います」
畠中さん「これからも、RhizomatiksがPerfumeを触発する関係が続くといいですね」
真鍋さん「……がんばります」
補足
最後に畠中さんより、以下のお話がありました。本当にそのとおりだと思ったので、こちらにも記しておきます。
・ライゾマ展以外の展示も、ぜひ見ていってほしい
・3人ともICCは昔から来ていた(真鍋さんはICCで数々の展示を行い、関さんは以前ICCの向かいにある牛丼屋の裏に住んでいて、ICCにはしょっちゅう来ていた)
・ICCにあるようなメディア・アートの展示が3人に影響を与えて、それがPerfumeやRhizomatiksにも繋がっているので、そういう〈関係性〉も意識してもらえたら、ICCでこのイベントをやった意味合いが出てくると思います