第9回 Spending all my timeは世界を狙う?
Perfumeの新曲「Spending all my time」が発表されましたね。
(※あ~ちゃん曰く、このビデオには「監督さんをはじめ、おじさんたちの萌えポイントが詰まっている」と…)
◆第一印象は
いかがでしたか? 僕は「まさかこう来るとは!」と意表を突かれました。というのも、このサウンドはエレクトロ・ハウスやプログレッシヴ・ハウスなどの、いわゆるEDM(Electronic Dance Music)を導入した〈欧米メインストリームのトレンド〉を直接的に連想させるものだったからです。
「EDMって何?」という方は、ぜひこちらのまとめもご覧下さい。
Best EDM Artists Of 2011 (※MTVの英語サイト)
さて、リアーナやデヴィッド・ゲッタ、ファー・イースト・ムーヴメントにLMFAO、R&B系でもクリス・ブラウンにアッシャーなど、欧米のメインストリームでヒットする音楽でEDM(を採り入れた)ものは枚挙に暇がありません。
(このトレンドのルーツは、やっぱりリアーナの『Good Girl Gone Bad』なのでしょうか? 蛇足ながら『Good Girl~』収録の超ヒットナンバー「Umbrella」の、いわゆるフック・ソングの手法がK-Pop人気のカギになったと思っていますし、それと中田ヤスタカの距離感についても、いつか書きたいです)
◆PerfumeサウンドとEDM
そもそも最近のPerfumeサウンドは、普通に海外のトレンド、つまりEDMとの〈同時代性〉を感じさせるものだったと思います。〈ダンス・ビート+ディスト―ションのかかったベース+シンセのウワモノ〉というエレクトロ・ハウスの手法に則り、そしてこちらもトレンドだったオートチューンをフル活用して(最近はメロダインなども使っているみたいですが)チャートで成功しているエレクトロ・ポップは、日本ではPerfumeだけです(R&B方面だと三浦大知さんやw-indsの皆さん、安室奈美恵さんたちがEDMをうまく採り入れています)。
とはいえEDMの意匠をそのまま拝借するのではなく、あくまでもメロディーを立てて、3人の声のハーモニーを活かした作りにPerfumeらしさがあります。グローバルなトレンドをそのタレントの個性と巧くミックスして、オリジナルなものを提案していくところがヤスタカ印。その背景が、「bounce」2012年4月号のcapsule『STEREO WORXXX』インタヴューで語られていました。
(ダンサブルな新作だが、決してフロア志向で作られたわけではない、という流れから)「僕はダンス・ミュージックの現場にどっぷり身を置いているので自然に影響を受けてるだろうし、シーンを無視してるわけじゃない。かといってトレンドを追っているわけでもなくて。何もない地点から試行錯誤しつつ、〈なにこれ!?〉って思える音楽を作りたいんですよ」。
あくまでもcapsuleでの創作活動についての発言であり、同じ文中で「capsuleと他のプロジェクトは完全に別物」と語られてはいますが、EDMとヤスタカの関係を考えるためには聞き逃せない発言です。
◆Spending all my timeは海外仕様?
さて、本題ですが……前置きが長くなってしまったので、次回に続きます。
◆余談
倖田來未さんの新曲「Whatchu Waitin’ On?」もなかなかのEDM路線だと思いました。