第4回「Perfume 3rd Tour JPN」その1
先日の日本武道館4DAYSをもって、「Perfume 3rd Tour JPN」の本公演および追加公演が終了しました。スタッフの皆様、大変お疲れ様でした。
全国12会場で開催された、全21公演。私はツアー初日の神戸をはじめ、行けそうな公演には(人生で初めて)なるべく参加してきました。詳細なライヴのレポートは他におまかせして、ここでは「JPNツアーとは何だったのか」という大それたテーマで書きます。
◆Perfumeのライヴの特徴
優れた楽曲とダンス・パフォーマンスに、音響・照明・特効・映像などの演出を掛け合わせることで生まれるオリジナリティが、Perfumeライヴの醍醐味です。これまで二度のツアーを通して、その独自性とクリエイティヴィティを高めてきたPerfume&スタッフによるPerfumeチーム。はたして『JPN』のツアーはどうなるのか? 大きな期待と共に迎えたのが、初日の神戸公演でした。
◆2012年1月14日 神戸ワールド記念ホール
初日を観て、すぐに「これは完璧!素晴らしい!!」と絶賛した……わけではありませんでした。もちろん凄く楽しめたけど、これまで以上に仕掛けやアイデアが詰め込まれていて、全容を掴めた気がしなかったし、ステージ上の3人もなんだか緊張して、完全燃焼とまでは行かなかったように見えました(初日しか観ていない方、ごめんなさい)。
それでも感じたのは、あのチームが〈まったく新しいフェイズ〉に入ろうとしていること。それは表現の手法もそうですが、〈音楽を通して何を伝えられるか〉を追求していることにも感じました。
◆「JPNスペシャル」は革新的?
特に目を引いたのが、「JPNスペシャル」と称される中盤のダンス・セクション。中田ヤスタカによるフィジェット・ハウスっぽい書き下ろし曲に乗せて、巨大な三角形のスクリーンにプロジェクション・マッピング(参考映像はこちら)で映像を投影。Perfumeの3人が映像とシンクロしたダンス・パフォーマンスを繰り広げるものです(この映像は、神戸以降ずっと細かいヴァージョン・アップを重ねていくのですが、当時はそれを知る由もありません)。
いまやコンサートでもよく使われるプロジェクション・マッピングですが、その映像とPerfumeのフォーメーション・ダンスを緻密に組み合わせて、ひとつのユニークなパフォーマンスにするアイデアこそ、東京ドーム公演に端を発する真鍋大戸さんたちメディア・アーティストとの協業の成果だと思います(別件ですが、Perfume Global SiteでのSNSとの連携も特筆すべきですね)。
◆いま、私たちにできること
「JPNスペシャル」の楽曲は重厚なビートが中心のインストですが、わずかに言葉を入れ込んであります。それは「J」「P」「N」、そして「いま、私たちにできること」。
Perfumeの楽曲に、わかりやすいメッセージを前面に出したものは多くありません。しかし、2012年に全国ツアーを行ううえで、決して避けては通れないことがあります。それに誠実に向き合おうとするチームの意志が込められた、良くも悪くも非常にストレートな言葉でした。いままでのPerfumeに、こんな表現はなかったはず。あの日観たPerfumeチームは、真新しいパフォーマンスと共に、切実な想いを抱えていました。
17年前の1月17日に発生した、阪神・淡路大震災。その甚大な被害から復興した街=神戸で、2012年1月14日「Perfume 3rd Tour JPN」は幕を開けたのです。