第3回 ARABAKI ROCK FEST.
いまさらですが、ARABAKI ROCK FEST.の感想です。
今年のARABAKIは晴天に恵まれ、桜の満開とも重なり、素晴らしい音楽体験をさせていただきました。スタッフをはじめ出演者・地元住民・参加者の皆々様、お疲れ様でした!
◆ARABAKIの何が凄いか
ARABAKIは間違いなく〈東北地方を代表する音楽フェスティバル〉です。何度か参加して、その魅力は以下の点にあると感じました。
・ラインナップに対するポリシー・信念
・セッション企画や、東北ならではの芸能を採り入れた〈ここでしか観られないもの〉がある
ARABAKIの出演者には硬派なロック・バンドが多く、今年は洋邦の名曲カヴァー・セッションを担当した怒髪天とHEATWAVEを筆頭に、BRAHMANやeastern youth、The Birthday、泉谷しげるさん、サンボマスターほか、男臭い面々が揃っていました。
ロックのフェス~イヴェントでは、どうしても集客が見込めそうな人気若手バンド中心になりそうなものですが、ヴェテラン~中堅~若手を取り混ぜたARABAKIの顔ぶれは、日本のロックの歴史(黎明期とそこからの発展、そして現在へと至る流れと豊かさ)を感じさせてくれるものであり、それがARABAKIのフェスティバルとしての〈個性〉なのではないでしょうか(それに伴い、出演者の平均年齢&男性率の高さがおそらく日本最高)。
◆震災の復興とARABAKI
ARABAKIは、東北地方におけるライブ・エンタテインメントの復興の象徴でもあります。特に2011年は、4月下旬の開催予定が震災の影響で延期、異例の8月末開催となりました。
それでも、2011年も今年も、会場には被災した子供たちへの募金箱がひとつあるくらいで、復興支援やチャリティーの色合いはかなり薄いです。そこにはもちろん〈いつもどおりのARABAKI〉が開催される意義があるわけですが、どうしても出演者のパフォーマンスは震災の影響を帯びてしまいます。
ここでは、それが窺えたいくつかのMCをご紹介します。
eastern youth、吉野さんのMC(大意)
「俺は札幌で生まれて、故郷を捨てて東京に出てきた。故郷には滅多に帰らないけど、それでも故郷がなくなるわけじゃない。目を閉じれば、(故郷の風景が)浮かんでくる。故郷はなくならない……絶対になくならないんだ」
怒髪天、増子さんのMC(ややうろ覚え)
「ずっとみんなでこうやって集まって、歌ったり踊ったりできるようにしていこうや。いろいろあるけどさ……がんばっていこう!」
BRAHMAN、TOSHI-LOWさんのMC(一部)
「晴れたね。ずっと雨の日が続かないように、ずっと続く苦しみもない。去年は……苦しんだよな、東北。次は、楽しむ番だ。喜びも悲しみも、苦しみも、迷いも……全部並べて、このステージに。BRAHMAN、始めます」
「(気仙沼で拾った猫が何ひとつ恩返しをしてくれないという一連のおもしろMCに続いて)でも、見返りなんて求めちゃいけない。ただそばにいてくれるだけで……たとえそばにいてくれなくても、どこかで生きていてくれるだけでありがたい。あの3月11日に、それを教わったはずなのに」
「こうやって集まって音楽を聴けることの幸せ。それをもっといろんな人に分けることができないかと思って、宮古、大船渡、石巻にライヴハウスを作ろうっていう〈東北ライブハウス大作戦〉を始めています」
来年以降も、いつもどおりのARABAKIが開催されて、多くの人が音楽を楽しんで下さることを願っています。
◆蛇足
・初めて観たフジファブリック。凄く良い曲をやるバンドだった。ドラムスがBOBOさん(54-71ほか)だったが、あんなに軽快なビートを刻んでいるとは思わず驚愕
・みちのくプロレス、恒例の場外乱闘に大興奮。しかし〈場外乱闘+飲食店の軒先にあるドリンククーラー〉による一連の水芸(?)は観られなくて残念
・バドワイザーのキャンペーンガールがいろいろと素晴らしかった