第81回 NY♡Perfume
Perfumeのニューヨーク公演では先のレポートでも触れたように、日本公演よりも遥かに多種多様な観客が集まっていました。それはNYらしさと共に、Perfumeの魅力がいかに普遍的であるかの表れと言えるでしょう。
でも、ふと気になりました。その観客ひとりひとりは、どうやってPerfumeの存在を知ったのでしょうか? 好きな曲は何でしょうか? なぜライヴにまで来ようと思ったのでしょうか。そもそも、彼ら・彼女らはどんな人なのでしょうか?
海外のファンがPerfumeの魅力を語る、「他では聞いたことがない曲で、好きだね!」「3人とも可愛い!」「あのダンスが凄いよ!」といった発言はどこかで出ているかもしれません(映画「WE ARE Perfume」にも少し採り上げられていました)けど、海外ファン自身にフォーカスした例は多くありません。唯一、NHKの「MJ presents Perfumeドキュメント 今世界へ(放送:2012年12月31日)」はありましたが、あれは台湾のファンでした。
そして今回、NYに集まったアメリカのPerfumeファンの声を、ほんの少しですが聴くことができました。
◇CASE1:マイケルさん(黒人男性、30代後半)
「Perfume: A Gallery Experience」でたまたま私の前に並んでいただけで、得体の知れない日本人に下手な英語で話しかけられてしまったマイケルさん。優しそうな人だと私が見込んだこともあってか、大変親切に30分ほど話してくれました。
―すみませんサー、Perfumeをどうやって知りましたか?
「Youtubeだね。2009年頃かなぁ」
―えっ結構早いんですね! それは何の曲が覚えていますか?
「うーん、何だろう……ちょっとわからないけれど、最初にインパクトがあったのは『edge』かな」
―いちばん好きな曲は?
「『NIGHT FLIGHT』。あれはクールでおもしろいよ。君のいちばん好きな曲は?」
―ちょっと待ってくださいね……「GLITTER」「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」「Spring of Life」ですね(なぜ3曲も答えた)それではいちばん好きなアルバムは?
「そうだね……どれもそれぞれ良いから、なかなか決められないけど『⊿』かな」
―「NIGHT FLIGHT」も入っていますからね。ちなみに日本のツアーでは「NIGHT FLIGHT」も演奏していますよ
「ワオ、そうなんだ! それは楽しみだね。君の好きなアルバムは?」
―『JPN』でしょうか。あの作品は日本で大きな地震があった後に発表されたので、印象に残っています。そうだ、新しいアルバムは聞きましたか?
「もちろん! 凄く気に入っているよ」
―Perfumeのライヴを観たことはありますか?
「いいや、今晩が始めてなんだ。本当にエキサイティングで楽しみだよ。君はトーキョーから来たそうだから、たくさんPerfumeを観ているんだろうけどね。そうだ、君の好きなPerfumeメンバーは誰なんだい?」
―全員です(即答)
「ハハハ、そうかい。でもそうだよね、そのときどきで〈この子が良いな!〉って思うんだけど、結局はそうなるんだよね」
―(やはりその流れは万国共通なのか……)
「他に君の好きな日本のグループは?」
―えっ……えーと……(困ったな、すぐ浮かぶグループがいない)……BRAHMANですかね……
「それはどんな人たち?」
―(困ったな、よりによって一言で言いづらいぞ……)ハードコア・パンクですかね……えーと、ハードでスピーディーで、アグレッシヴでマッシヴで……
「なるほどね、じゃあ君は普段ハードコア・パンクを中心に聴くのかい?」
―いえ、そういうわけじゃ……いろんな音楽が好きなんです。ジャスティン・ティンバーレイクやテイラー・スウィフトも好きですし、あとラッパーのコモンとか
「へえ! 僕もそうだね、あらゆる音楽が好きなんだ。ジャスティン・ティンバーレイクは僕も好きだし、あとはジェイ・Zとか(あといろいろ挙げて下さったんですが惜しくも覚えていません)でも、いちばんはやっぱりプリンスだね! 彼は特別だよ」
―僕もヒップホップ好きです。いちばんはア・トライブ・コールド・クエストですね
「トライブは素晴らしいね! 僕も本当によく聞いたよ。
日本の音楽も好きだよ。サカナクションとかね。あと、昔シカゴに住んでいたんだけど、SCANDALがライヴしに来たよ。知ってるかい? 女の子4人組の。でも、シカゴにはあんまり日本人はライヴに来なかったね」
―シカゴと言えばブルーズ音楽が有名ですよね。あとシカゴ・ハウス。中田ヤスタカはシカゴ・ハウスの影響も少し受けているかもしれません
「そう……かもね(注:話の展開が強引で若干困惑された様子)中田ヤスタカは凄い音楽家だね。capsuleも聴いている。そういえば、きゃりーぱみゅぱみゅも知っているよ。ユニークだしおもしろいなとは思ったけど、あんまりハマらなかったなぁ。あ、君はずっとニューヨークに滞在しているの?」
―いえ、先にワシントンDCに行って、ブルース・スプリングスティーンのショウを観てきました
「どうだった?」
―素晴らしかったんですが、始まったのが午後8時、終わったのが午前0時で、地下鉄も終わって、タクシーも全然捕まらなかったです
「ハハハ、それは大変だったね! 彼の音楽も素晴らしいと思うよ」
―ボスとEストリート・バンドは、1985年以来日本には来ていないんですよ
「85年か、『Born In The U.S.A』の頃だね」(注:その通りで、マイケルさん本当にいろいろ詳しいです)
―そういえば、Perfumeのアルバムは全部持っていると仰っていましたが、CDってどう買っているんですか?
「お店は凄く少なくなってしまったけど、なんとか探しているよ。特に日本のCDは高額だから困るんだけどね、ははは(注:そもそも定価が高いうえに、関税がかかるから)」
―Amazonは使わないんですか?
「いや、もうみんなiTunesだね。でも僕はCDで買いたいし、今日の〈Perfume: A Gallery Experience〉では『COSMIC EXPLORER』のヴァイナル(注:アナログ盤、レコード)も買うつもりなんだ」
―10年前にもニューヨークに来たことがあるんですが、あのときはタワーレコードやHMVがたくさんありました
「全部なくなってしまったね。あの頃が懐かしいけど……でもあらゆるものは変わっていく。だから僕も変わっていかないとね!」
―(か、カッコいい……)お仕事は何をされていますか?
「なんていうのかな……中華料理の食材の流通会社の、マネージャーかな。今の仕事は結構気に入っているよ」
―(いまの日本で、自分の仕事が気に入っているとサラッと言える人がどれだけいるだろうか……)今日のライヴ、ぜひ楽しんでほしいです
「もちろん! 『WE ARE Perfume』って映画あったよね。彼女たちはああいう風にしてライヴの準備をしているんだろ? それってめちゃくちゃクールだよ。そういえば映画で、彼女たちは、マディソン・スクエア・ガーデンでライヴをすることが目標だと言っていたよね」
―難しいですよね?
「確かに。でも、彼女たちなら不可能じゃないと思うよ。それに、彼女たちがMSGに立っているところを観たいと思わない?」
―!!!!!!(なんてことだ、日本のファンの私が、〈ハマースタイン2DAYSだって売り切れなかったんだから、MSGなんて夢のまた夢だよ〉って無意識に思っていた。そうすることで、夢が叶わなかったときの無念さを緩和しようとしていたのかもしれない。NYのマイケルさんが、こう言ってくれているのに……という思いを込めながら)ええ、私もそれを願っています。ありがとう。話せて嬉しかったです
「こちらこそ。君も今晩来るんだよね? またそこで会えたらグレートだね!」
◇CASE2:D.J(黒人女性、30代前半)
ハマースタインの初日、開演前にたまたま僕の近くにいたことで不審な東洋人に捕まってしまったD.J(お名前を聞きそびれてしまったので仮名です)。大らかな体形でドレッドヘア、おしゃれな彼女は結構早口な方で、あまり聞き取れずに終わってしまったことが悔やまれます。
―すみません、Perfumeファンですか?
「ハハハ、そりゃそうよ! だからいまここにいるんじゃない!(その後凄い勢いでまくし立てられるがあまり聞き取れず)」
―Perfumeをどうやって知ったか教えて下さい
「YouTubeよ。『JPN』の頃だったかしら」
―そのとき最初に聴いた曲は?
「うーん、覚えていないけど。でもいちばん好きな曲は『NIGHT FLIGHT』ね」
―(NIGHT FLIGHT人気あるな……)いちばん好きなアルバムは?
「それは決められないかな」
―Perfumeのライヴを観たことはありますか?
「テキサスでやったSXSWよ。さっきも言ったけど(注:言っていたらしい)
でもあれは短くってね。どうしてもライヴを観たくて、テキサスから来たの。あなた、ギャラリーには行った? 私も行って、そこでヴァイナルを買おうと思っているの。私、普段はDJもやっているからヴァイナルで欲しくて」
―DJなんですか!どういう曲を流すのですか?
「70年代のファンクから、新しいR&Bにエレクトロニックなものまで、何でもよ」
―たとえば?
「○○○○や○○○(注:聞き取れず)、あとはパーラメントやファンカデリックも流すわね」
―ジョージ・クリントンの! 僕も好きです!
「最高よね! でもフェイヴァリットはプリンスね、やっぱり」
―(ここでもプリンス!)先日スミソニアンに行ってきたのですが、プリンスの追悼展示がありましたよ。今日のライヴ、楽しんで下さいね
「ええ、それはもう!」
◇CASE3:ケリーさん(白人男性、40代前半)
ハマースタインの2日目、開演前に私のもっとも近くにいたため、面倒くさいアジア人に捕まってしまったケリーさん。ビールを片手に、ちょっとジャイルズ・ピーターソンを思わせる穏やかで紳士的な方でした。
―サー、いくつかおたずねしてもよろしいですか?
「ああ、もちろん!」
―どうやってPerfumeを知りましたか?
「YouTubeだね。最初に聴いた曲は『レーザービーム』だと思う。これはいいな!と思ったよ」
―ちなみにいちばん好きな曲は?
「『NIGHT FLIGHT』」
―(まさか話を訊いた全員が異口同音に「NIGHT FLIGHT」とは……)Perfumeのライヴを観たことはありますか?
「いや、初めてだ。ジョージアから来たんだけど、実は娘がPerfumeの大ファンでね。君はニューイヤーのPerfumeのTV番組を観たかい?(注:おそらく紅白歌合戦のこと)。あれも娘と一緒に観たよ。彼女にはPerfumeのライヴに行くことを知らせずに、ニューヨークへ連れてきたんだ。サプライズでね! Perfumeを観られるよ、と伝えたとき、大喜びだったよ」
―それは素敵ですね!
「君はどこから来たの?」
―東京です
「シゴトで来たのかい? それともヤスミ?(注:カタカナ部分は日本語)」
―えっ……? ヤスミ、です笑」
「はは、それなら良かったね。妻が27年日本語を話していたから、私も少しだけわかるんだ。妻と娘が日本語で会話しているとさっぱりだけどね。妻とは最初オキナワで会ったんだけど、その後、別の場所で偶然再会してね。オキナワは好きだね。美しいところだし、人々は優しく、食べ物は美味しい」
―(もしかして……)米軍で働いていますか?
「USエア・フォースだ。私はそこで19年働いていたんだ。でも先日除隊してね。休みを満喫しているよ笑 いまはジョージアに住んでいるけど、今度テキサスに移るんだ」
―(ケリーさん、とても穏やかで優しそうなのに、こんな人が銃を撃ったり、過酷な訓練に耐えたりしているのだろうか……)
「おっ来た来た、妻のキョウコと娘だ。娘は7歳だよ。2人ともニューヨークは初めてだ」
―初めまして!
娘さん「Hello!」
キョウコさん「どうも、こんにちは(注:奥さんとは日本語で会話)。東京から来たんですね。えっ、もしかしてPerfumeの追っかけ?」
―いえ、そう……かもしれませんが笑 先にワシントンDCで、ブルース・スプリングスティーンのショウを見て来たんです
キョウコさん「Then, Perfume笑」
―そのとおりです!笑
ケリーさん「彼のショウはどうだった?」
―(注:マイケルさんと同じくだりのため省略)
ケリーさん「君は昨日も来たのかい? 昨日のチケットを取るつもりだったんだけど、何だか凄く売れていて、今日にしたんだ」
―昨日は何をなさったんですか?
ケリーさん「自由の女神を見たり、9.11 Memorial Museumに行ったりしたよ」
―私は10年前にもニューヨークに来たんですが、あの場所には、巨大な穴以外に何もありませんでした
ケリーさん「日本に住んでいる君の方が、私よりずっとニューヨークに詳しそうだねぇ」
―まさか!笑 他に好きなミュージシャンはいますか?
ケリーさん「いろいろあるけど、日本で言えばサカナクションとか」
―(なんとマイケルさんに続いて!)
ケリーさん「あとはEGO-WRAPPIN'。知ってる? 」
―はい、でもそんなに日本の音楽に詳しくて驚きましたよ
キョウコさん「EGO-WRAPIN'、雰囲気が独特で素敵ね」
ケリーさん「あと、Charisma.comも好きだし、最近気に入ってるのはSHISHAMOだね。彼女たちは凄く良い。アルバムも聴いたよ。ファーストは最高で、セカンドも良い。でもサードはオーバープロデュースな気がしたな。あと、capsuleも好きだ。ほら(とiPhoneのライブラリを見せてくれるケリーさん。capsuleの近くに並んだキャロル・キングや私のよく知らない海外ミュージシャンをはじめ、本当にたくさんの曲が入っていました)」
―娘さんの好きなPerfumeの曲って何ですか?
ケリーさん「ほら、好きなPerfumeの曲は何?って」
娘さん「えー、うーん、あのね……」(注:もじもじしていて、結局教えてもらえなかった)
ケリーさん「あ、そういえば昨日のライヴの1曲目って何だったの?」
―さあ~、知りませんねぇ~(注:ウザい)
あとはケリーさんがお酒を買いに行っている間、キョウコさんと、東京とニューヨークの違いや、実家のある沖縄からジョージアへの移動には22時間かかること、可愛らしく利発そうな娘さんがマンハッタンの街中で「ママ、みんな聞いたことない言葉喋ってる! 私たちも、適当に変な言葉喋ろうよ。きっとみんな〈へえ、こんな言葉もあるんだな〉って思うよきっと!」という提案があったこと、耳栓の準備もしてきたことなどを伺いました。ナイスファミリー!
◇Music is everything
考えてみると、ケリーさんもキョウコさんも、そして言わずもがなのマイケルさんもD.Jも、ことさらに日本の音楽を追っているのではなく、ただシンプルに音楽が好きで、オープンなマインドでいろいろな曲を聴いているうちに、YouTubeを介してPerfumeへと辿り着き、ファンになり、ライヴにまで来てくれた、ということみたいです。
現地の他の方々も、多かれ少なかれそういう傾向があるのかもしれませんね。(さすがに全員のフェイヴァリットが「NIGHT FLIGHT」ってことはないでしょうけれど……)
ライヴが始まると、ケリーさんとキョウコさんが交互に娘さんを抱っこして観ていました。娘さんも曲に合わせて、小さな手を挙げたり下げたり。MC中、かしゆかが娘さんに気付いて笑顔で手を振って、ケリーさんが娘さんの手を取って振り返して、隣にいた私はそのおこぼれに預かったり。途中で一度、ケリーさんは私の方を向いて笑顔で「いやあ、ホントに楽しいねぇ!」と言ってくれました。
ケリーさんと私は話す言語も生まれた国も、年齢も、肌や目の色も、就いていた仕事もすべて違います。いえ、それはケリーさんだけでなく、マイケルさんもD.Jも、そして会場にいた大半の人々が、私とまったく違う(ように見えた)人たちでした。でもPerfumeのライヴを観ている間に、みんなが感じていたのはたったひとつ、「楽しいね!」だったはずです。こんな体験、世界一多様性のある街・ニューヨークでしかできなかったでしょう。
◇Shame on who?
素晴らしいニューヨークの2日間でしたが、群れて気が大きくなった日本人ファンの好ましくない振る舞いも目にしたり、耳にしたりしました。それはとても残念だし恥ずかしいですが、結局やったもの勝ちの世界だし(彼らはそういう行いで、自分の人生を貶めていると思うんですが)すべて彼らの自由です。私には彼らの行動を改めさせることはできないし、そんな権利もありません。本音を言うと、そんな連中とは関わり合いにすらなりたくない笑
ただひとつ思うのは、そういう利己的なファンの言動を知った、彼らが応援している〈つもり〉のスタッフやメンバー、そして現地のファンがどう感じるか想像した方がいいこと、せっかくPerfumeがカッコいいなら、ファンだってカッコよくあろうとしてもいいんじゃないの?ってだけです。
〈ただひとつ〉でもなかったし、何か学級会みたいなこと書いてしまいましたねー。さて、次回こそニューヨーク公演のレポートを書くつもりで、詳しくはそこで書きますが、ある曲でドローンを使った舞台演出があります。それを見たケリーさん、穏やかな方なのに、「ヘイ! あれを見るんだ!」とすごい勢いで娘さんに教えていました。さすがは元USエア・フォースだけあって、飛行する物体には敏感なのかも、と感じましたね(失礼)
マイケルさん、D.J、ケリーさんご一家、ありがとうございました。あなたたちのことを、私はこれからも時々思い出すでしょう。一期一会の世間ですが、またどこかで!
第80回 Perfume in NYC Day1
Perfume初のUSツアーの最終地点として、彼女たちにとって2度目となるニューヨーク公演が、HAMMERSTEIN BALLROOMにて開催されました。
初日の9月3日(土)は、前回のようなソールドアウトこそできませんでしたが、1FのGA(スタンディング)は9割近く入っている感じで、2F指定席は完売、3F指定席も7割以上は埋まっていたように見えました。日本からのファンは2割強というところでしょうか?
私はスタートの20時より1時間ほど前に行きましたが、会場のあるブロックを1周せんばかりの大行列。並んでいる人種も様々です。白人、黒人、ヒスパニック、アジア系などなど。年代も子供からご年配まで。人種のサラダボウルであるニューヨークらしい客層。この直前にワシントンDCで観たブルース・スプリングスティーンの客層と少し通じるものがありますが、Perfumeの観客の多様性はずば抜けています。
入場してスタートを待つ間、近くにいた黒人の女性(たぶんアラサー)にお話を訊きました。彼女はおそらく『JPN』の頃にYouTubeでPerfumeを知ったそう。テキサスから来ていて、SXSWでのショウにも行ったが短かったので、どうしてもライヴを観たくてニューヨークまで来たのだと。
彼女はDJもやっていて、主に回すのは70年代のファンクから最近のR&B、エレクトロニックなものまで。具体的に訊いて、聞き取れたのはParliamentやFunkadelicなど。フェイヴァリットはPrinceだそうです。
実はこの日、チェルシーのギャラリー「Pure Space」で開催された展示「Perfume: A Gallery Experience」でも、私は前に並んでいた黒人男性と話しています。彼もまずは音楽ファンで、幅広いジャンルの音楽が大好きで、YouTubeでPerfumeを知ったのだと。そしてフェイヴァリットはPrinceであると……何このシンクロニシティ!
↑スミソニアンにあったプリンス追悼の展示。2人にこの写真を見せたら喜んでくれました
◇New York City Cerenade
20時10分頃、ライヴがスタートします。セットリストなど、詳しくは明日書きますが、正直日本よりもだいぶ盛り上がっているかもしれん、というくらいとにかく大歓声! みんな夢中になって声を上げ、手を挙げ(日本のロック系ライヴのような統一したフリは皆無)、ジャンプしたりダンスしたり。
ただし日本と大きく違うのは、そこにいる人々はみんな人種も見た目も世代も本当にバラバラなことです。微動だにせずじっと聴いている黒人男性。全身で喜びを体現するように踊る白人の青年。『COSMIC EXPLORER』のTシャツを着た中年の黒人女性。お互いの顔を見合わせながら一緒に歌う、雑誌モデルみたいな白人女性の2人組がいて、どう見てもハード・ロック好きなホワイト・トラッシュという感じの兄ちゃん(失礼)が拳を突き上げ、ヒスパニック系の中年女性2人はニコニコしながらステージを見つめる。こんなに客層が多様なライヴは、きっと凄く珍しいでしょう。
その一方で日本と何ひとつ変わらないのが、ステージ上で歌って踊って、楽しそうに笑う3人と、姿は見えませんがこの日のショウのために全力を尽くすスタッフの皆さん(日本以上に大変だとは思いますが……)。
それぞれが当然のように違うたくさんの人たちが、言語も世代も人種も越えて心を重ね、喜び、共感し、楽しんでいる。スポーツや音楽だからこそ生み出せる、晴れやかな光景です。歓声と歓喜、拍手と口笛、無数の手、笑顔が会場に弾けて、爆発的な盛り上がりが何度もピークを迎えました。
その素晴らしい光景の中心にいたのは、他でもないPerfumeの3人で、強力な重低音とビートに乗せたダンスで瞬く間に熱狂を生み出していきます。これまでに何度も書いてきましたが、振付を含めたPerfumeのダンスのノン・ヴァーバル(非言語的)な魅力にはずば抜けたものがあり、しかもそれが年々パワーアップして、いまが最も充実しているように見えます。セットや演出のクオリティも含めて、世界のどこに出しても誇らしく思えるであろう、見事なショウでした。
◇Two Hearts
最初のMCでは、これまでのワールドツアーでもやっている「今日はここに来られて嬉しいです!」「楽しむ準備はできていますか?」「楽しみましょう!」といった挨拶を英語で。レッスンの成果か、3人とも発音が滑らかになっていました。
そして一旦3人がセットの奥に消えてから、のっちが現れてのソロMC。何を話していたかはさほど覚えていませんが、それはかしゆかが再登場した瞬間の、女性を中心とした「キャァア゛ア゛アアアーーーーッッ!!!!!!」という凄まじいスクリームの衝撃ゆえにと解釈して下さい(どうも現地の人たちは、かしゆかの日本人形的な佇まいにエキゾティシズムを感じる模様)。
そして「コスプレしているお客さんはいますかー?」と呼びかけるのっち。「Spending all my time」の衣装を着た白人女性がいましたが、かしゆか役とあ~ちゃん役しかいません。
のっち「You're aa-chan、You're kashiyuka……Where is nocchi?」
かしゆか「スペンディンオールタイムノッチィーーッ!!」
前回のNY公演のMCで著しく目立っていた黒人のサイモンさんは、今回もLED仕込みの純白の衣装で登場。3人組で来ていて、のっち役は若干ボブカット風の黒人女性、かしゆか役がサイモンさん。あ~ちゃん役は、立派な口ひげを蓄えた濃い顔の黒人男性。
あ~ちゃん「えっ……Mustache?」
のっち・かしゆか「Mustache!!」
会場の全員「(lol)」
いやーここまでばっちりですよ! そして「もっと皆さんと話したい」ということで、お客さんの中から通訳してくれる人を選ぶことに。今回Perfumeが選んだのは、〈Pick Me Up!日本語OKです〉と書かれた黄色いボード(可愛らしい3人のイラスト入り!)を掲げた、アラバマ?フロリダ?忘れてしまいましたが、そこから来たという30代くらいの女性です。
◇No Surrender
あ~ちゃんの「昨日ステーキ屋さんに行って、そこで食べたTボーンステーキが凄く美味しかった!アツアツでね~」という話の〈凄く美味しい〉をSuper yummyと訳してくれて、メンバーも気に入って口々に「スーパーヤミー!」「スーパーヤミー!」と連呼。(私もライヴ直後に行ったレストランで、店員さんに「料理はどうだった?」と訊かれ「Super yummy!」と答えたら、「スーパーヤミー!? ワオ、それは最高だな!」と歓迎してくれました)
また、かしゆかが雑誌「Nylon」の話をしたり、「Perfume: A Gallery Expeience」の話や、そこで置かれていたダンスヒールのこと、Perfumeのヒールの高さは8.5cmで、インチでいうとどれくらいか、16インチ?(注:1インチは約2.5cm)などいろいろ話していましたが、実は通訳の女性は日本語がそこまで堪能ではなく、途中からスムーズな英訳がなされない部分もありました。
そのたびに3人は「落ち着いて! 大丈夫、一緒に伝えよう!」と励ましたり、英語交じりで話したりとサポート。あ~ちゃんは「でも、あんなボード掲げた以上はやってもらわにゃいけん! 私たちも日本から来てるから!」と冗談半分で厳しめの対応。しかし通訳の女性も結構なパニックに。察する限り、彼女の心理としては、
ライヴ前:ふう、やっとボード書けたわ! 3人は見てくれるかな。もし私が選ばれたらどうしよう! わくわく
↓
MC中:どうしよう!選ばれちゃった!! 嬉しい、がんばって翻訳しよう!
↓
MC中:あれ、これどうやって訳すればいいんだろう? すごく難しい! 3人はサポートしてくれるけど、どうしよう? いけない、また失敗しちゃった!
↓
MC後:ああ、うまく翻訳できなかったわ……
ライヴ中や、終演後に彼女がどう感じていたかはわかりませんが、この心理的アップダウンの尋常ではない高低を想像すると、泣けるものがありますね……
個人的には、上手な通訳がもちろんベストですが、この危うさもライヴならではですし、それを3人がフォローする様も観られました。通訳の彼女がライヴを楽しんで、その後もくよくよしないでいてくれたらいいですね(まあ、堂々とあのボードを掲げられる時点で、基本ハートの強い人なんだろうと思いますが)。
その後、P.T.A.のコーナーも。ここでは非常にタイムリーかつ異常に力の入ったネタがありましたね。何というサーヴィス精神……!!
◇Reason to believe
最後のMCであ~ちゃんは「マディソン・スクエア・ガーデンでライヴをしたい」と、その当地で改めて公言しました。英語で「私たちの夢が、皆さんの夢にもなってくれたらと思っています」。大歓声で応えるお客さんに、あ~ちゃんは「We believe in you」と。その言葉はきっと、会場にいた全員の胸に刻まれたでしょう。
そして「明日もライヴあるから……See you soon!!」とちゃっかり翌日の公演のプロモーションをして(※まだチケット売れ残ってるから)、ライヴは幕を閉じました。
WE DID IT!!!!!!!!!! pic.twitter.com/UpgEn7lQJu
— t_kito (@t_kito) 2016年9月4日
◇I'm Going Down
とまあ素晴らしい公演だったのですが、これは書いておかないと。この日の午後、私はこんなツイートをしています。
ん? 偶然通りがかったけど、ここがPerfumeのライヴ会場か。日本のファンもいるけど、8〜9割は現地の人たちだ。ちびっ子もいる。みんなそんなに楽しみにしてくれているのか……! pic.twitter.com/issVL2YtaE
— t_kito (@t_kito) 2016年9月3日
しかしいざ公演が始まると、舞台上のスクリーンに映し出されるのは、最前列(補足:の一部)に陣取る日本人たち。私が会場前を通りがかったとき、あなた方は待機列にいなかったよ? 思い返せば、確かに持ち主のいない椅子がたくさんありました。そりゃお手洗いに行ったりもするだろうし、たまたま列を離れていただけかもしれません。でも、いくらなんでもあれだけの人数が、揃っていなくなるものかね……
彼らがどういう思いでUSツアーに臨んでいるかはわかりかねますが、Perfumeがなぜ海外でツアーをやるかというと、海外の人たちにもライヴを観てほしい、楽しんでほしいから、のはず。そもそもメンバーの立場で考えてみれば、最前列に陣取る日本人を見て「こんなに遠くまで来てくれて、一番前で見てくれて嬉しい!」なんて思うでしょうか……ってそういうあたりまえの発想がないから、こういう振る舞いができるんでしょうけどね。
それは愛情ではなく、幼稚さの表れです。もっとも彼らは、このブログなんてまず読んでいないでしょうけどね……笑
◇Dancing In The Dark
さて気分を切り替えて。私は会場の後方、端っこから場内の様子を見ていました。この位置からだとステージも見えるし、会場全体も見渡せます。お客さんはどんな感じで楽しんでいるのかな、どの曲が人気あるのかな、とちょくちょく視線を巡らせていました(それが前半の客層描写にもなっています)。
すると、私の目に留まったのが、2Fの指定席にいる白人の男性。白髪で黒縁のメガネ、グレーの『COSMIC EXPLORER』Tシャツとジーンズという、人種が違うだけで日本にも大量にいるであろう、〈温厚そうなおじさんタイプ〉のPerfumeファンです。
ライヴの序盤では特に彼を認識していませんでしたが、途中で自席から通路に出てきて、タコ踊りのようなダンスを披露(このへんから俄然注目し始めた)。メンバーの振付とは何一つシンクロしていないダンスのおじさんは徐々に通路を前進し、気付けば2F通路の最前に。とにかく楽しそうで、ライヴが終盤に差し掛かると、そのダンスもハードになっていきます。「○○○○○ ○○○○○○○」のときなどはもう完全にヒートアップし切って、もはやステージ上のPerfumeには完全に背中を向け、近くにいるお客さんを煽りまくるおじさん! なんかすげえ!! その勢いのまま、ラストの「○○○○○○ ○○○○」へ突入!! さあ、おじさんのダンスは!!?
えっ…………?
微動だにせず、スマホでステージを撮影している?
なぜいま?
よりによって最後の曲で?
今日いちばん熱いダンスを披露して然るべき場面じゃないの……?
「この期に及んで」を英語で何と言うかわかりませんが、まさにそうとしか言いようのない思いでした。
とまあ、そんなおじさんを筆頭に、多種多様なPerfumeファンが思い思いにライヴを楽しむ光景こそ、USツアーの醍醐味だと感じました。
さて、USツアーも残すところ1公演です! Let's have fun!!!
第79回 Perfume on Billboard
アメリカでもっとも有名な音楽メディアであろうBillboardのwebサイトにて、Perfumeのインタヴューが掲載されました!!
(以下、8月22日追記)
皆さんに朗報です! その英文インタヴューの起源である日本語版(あたりまえ)が、ビルボードの公式サイトに掲載されました!
いやーまさか、和訳をアップした翌日に公式が来るとは読めませんでしたよ……そりゃ日本でインタビューしてますよね、考えてみれば。
ということで、とても良い記事が正確な日本語で読めますので、うっかりこのページに迷い込まれた皆さんはこちらをお読み下さい!!
(追記以上。以下はまあ、なかったことにして下さい笑)
〈U.S.-Bound Perfume is Enjoying the Sweet Smell of Success〉というタイトルは、〈USへ向かうPerfumeが楽しむ、成功の甘いカオリ〉とでも訳しましょうか。ライターはJIN OTABEさん。BillboardにおいてはContributor、寄稿というお立場のようです。
『COSMIC EXPLORER』ツアーを振り返ってメンバーが語る記事は、いまの時点であまり多くありませんし、日本国内の音楽雑誌やニュースサイトにありがちなライターの思い入れ押しつけ系や3人の物語性&絆ごり押し系(他に書き方ないのか)とは異なるフラットな採り上げ方で、優れた記事です。
これ、英語圏のファンにしか読まれないのはもったいないな、と思って今回そっくり日本語に訳しました。まさか和訳で5000文字行くとは思わず、途中でかなり後悔しましたが……ご覧下さい!
◇U.S.-Bound Perfume is Enjoying the Sweet Smell of Success
8/19/2016 by Jin Otabe
メジャー・デビューから10年、Perfumeは止まることなく進化を続けている。彼女たちは〈宇宙探索〉という叙事詩的なテーマの『COSMIC EXPLORER』を引っ提げてのツアーの途中だ。先のワールドツアーから2年、あのマディソン・スクエア・ガーデンでのパフォーマンスを夢見る3人が、まもなく再度のUSツアーへと乗り出す。9月3日と4日の2日間には、MSG公演が予定されている(※筆者注:原文にこうあって目を疑いましたが、もちろんMSGではありません)。来たるべきツアーに彼女たちは何を思うのか? 彼女たちの新たな旅の前に話を訊いた。
――8月末からUSツアーが始まりますね。日本での『COSMIC EXPLORER』ツアーはいかがでしたか?
かしゆか「ツアーはするほど楽しいですね。今回は、私たちがいままで行ったことのないいろんな会場に行くことができて、たくさんのものを探索できました。まずはそれですね」
のっち「毎回セットリストを変えて、それが私たちにも新鮮だったし、楽しかったです」
あ~ちゃん「成熟したのかなって思いました。以前は〈ツアーだったらこうせんといけん!〉という固定観念に囚われてきたけど、そこからは成長して緩くできたというか、〈そんなに難しくせんでもええよ〉って自分たちに言えるようになりました。それは成熟したといえるかなって」
――『COSMIC EXPLORER』の曲が、ツアーの方向性を変えた印象はありますか?
かしゆか「最初のツアー用セットリストでは“Miracle Worker”は入っていなかったんです。あの曲は他とかなり違うし、合わないかなって、自動的にセットリストから外していました(筆者注:ヤスタカ……)。でもファンの方々と行ったキャンペーンの一環で、皆さんが書いて下さるニュー・アルバムのライナーノーツを見たら、“Miracle Worker”がものすごい人気で。私たちのクルーでこの曲を愛している人もいたから(筆者注:確実に真鍋さん)、これはライヴでやろうって決めたんです。この曲をやると、お客さんがもう凄い歓声で大盛り上がりで。あんなの初めてでした」
あ~ちゃん「“COSMIC EXPLORER”という曲は、アルバムのタイトルになるくらい力強い曲なんです。なので、最初みんなの頭にあったのは〈この曲、セットリストのどこに入れよう?〉か〈どういうパフォーマンスにすればいいのかな?〉でした。でも結局は、歌に重点を置いて、セットの中心に置く代わりに、パフォーマンスはシンプルにそぎ落としたものにしよう、という結論になりました。そうしたら、その静けさがお客さんの興奮を引き出して。あの曲は毎回凄い盛り上がりでゾクゾクしましたね」
Kevin Estrada
――今度のUSツアーでは、これまでのワールドツアー、そして特にアルバムツアーとはどう違うものになりそうですか?
かしゆか「以前のワールドツアーなら、私たちが演奏したい曲をなんでも選ぶことができたので、海外で人気のある曲や海外のお客さんに聴いてほしい曲を優先できたんですけど、今回のUSツアーでは『COSMIC EXPLORER』のほとんどの曲を、アルバムコンセプトの実証としてやります。日本国内と同じ内容で海外でもツアーできたらなってずっと思っていたので、『COSMIC EXPLORER』ツアーの一環としてUSツアーができるのは凄く嬉しいです。でも、海外の皆さんはアルバムの曲に親しんで下さっているのかなぁとちょっと不安ですね」
――今度のツアーではロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨークを回ります。これまで行ったことのない都市も多いですよね?
かしゆか「はい、サンフランシスコとシカゴは初めてです」
のっち「前回のUSツアーではLAとNYでライヴをしたんですが、たくさんの方が他の都市からも観に来て下さったんです。アメリカ在住で、私たちを観るためにNYまで来られて〈初めてNYに来たよ!〉という方もいて。アメリカって大きいな!って思いました」
かしゆか「〈初めてNYに来たんだけど、どこに行けばいいかな?〉って訊かれてびっくりしたもん笑」
のっち「えーホントに!?笑 アメリカで私たちのライヴを待っていて下さったファンの方々と会えて、幸せでしたね」
かしゆか「あたしが気になるのは、サンフランシスコとシカゴのお客さんは他の都市とどう違うのかなって。これは個人的な考えですけど、LAやNYのお客さんは普段からコンサートに行っていて、〈ワーオ!!〉って盛り上がり方があっても、サンフランシスコやシカゴでは静かで親密な感じになるのかなって……えーと」
――皆さんの心の中で、アメリカでのライヴは特別な位置にあるようですね。前回のUSツアーのLAで海外デビューを決心して(筆者注:妙な訳ですが、なるべく原文のとおり訳したつもりです)マディソン・スクエア・ガーデンを目標にしています。USツアーが始まることをどう感じますか?
あ~ちゃん「簡単に到達できない目標を設定したことにちょっと後悔はあります。でも、3年前と比べたらずっと多くのファンの方々がサポートして下さっているから、実現に近づいていると思います。マディソン・スクエア・ガーデンに立ったことのある日本人アーティストはいても、2日間アリーナ規模の公演をした人はいません。いままで誰もやっていないことに挑戦し続けたいんです。
もし私たちが目標を実現して、それで皆さんをインスパイアできたり、日本人であることを誇らしく思ってもらえるようになったら、超カッコよくないですか? それはポジティヴなサイクルで、私たちの夢が他の皆さんの夢になれば、それで私たちも強くなれる。私はpumped(筆者注:うまく訳せません。仕上がってる、的な?)だし、本気でMSGを実現したいと思ってます」
――今回のアルバムツアーの日程が発表されたときに、USツアーの日程も含まれていました。日本でのツアー中にUSツアーのことも考えていたと思いますが、それに向けて何か準備はされていますか?
のっち「それはもう!笑 3人とも英語のレッスンを始めています。私たち、常にUSツアーのことを考えてますよ。ツアーの前半でたくさんライヴをやって、普通ならそのすべてで満足が行ったんでしょうけど、(USを含む)今回のツアーは違いますね。まだまだ始まったばかりって思います」
あ~ちゃん「私たちは同じ英語の先生から、それぞれ個人レッスンを受けてるんですけど、USツアーの日程が近づいてきて、先生の方が緊張してます」
のっち「先生いつも〈時間が足らない!〉って言ってるね笑」
あ~ちゃん「先生が強調していたのは〈あまり時間はないけれど、最善を尽くします。それまでの間、3人の間でも英語を話すこと!〉って。英語を上手に話せれば、海外のファンの方々ともっとコミュニケーションが取れるんですけど、私たちさぼっちゃって……ツアーまでの過程が前回と同じになっちゃった。でもゆかちゃん(KASHIYUKA)の英語がものすごく上達していて、海外のライヴはゆかちゃんに期待してます笑」
かしゆか「あ~ちゃんプレッシャーかけてくるんです。がんばって勉強してるんですけど、クリアな発音があまりできなくて、だから結局私の英語は誰にも通じない」
あ~ちゃん「でもそれがええんよ(But that’s what I like about you)。可愛く聴こえるもん」
――前回のアメリカではIn-N-Out burgersを食べていましたよね。今回はライヴの合間に楽しみにしているものはありますか?
かしゆか「シカゴはピザが有名って聞いてます。〈Deep-dish pizza〉って言うんですか? タルトみたいな」
あ~ちゃん「それってチーズがいっぱい入ってるってやつ?」
↑おいしそう。この写真はBillboardのサイトとは関係ないです
かしゆか「それそれ! チーズとソースで覆われてるって聞きました。食べたことないので、それを食べて、他のタイプのピザと比べてみたいです。海外ではいつも食べ物が楽しみですね。みんなでベーグル屋さんに行って、おいしいベーグルを選んで、それを自分のトップにしたいです」
のっち「3人で一緒にいろんなところに行けるっていうだけで、もう楽しみです。少しは観光する時間もあればいいですね」
あ~ちゃん「日本だと、私たちが3人でいるとファンの方にはPerfumeってわかると思うんですけど、ひとりでいると気づかれないんです。私たちが一緒にいると、人前では無意識にステージ上でしてるみたいな位置取りをしたり、振付にあるみたいな歩き方をしてるのかもって思います笑」
――(そんな習性は)動物の群れのようですね。
のっち「私たち、スイミーみたい笑(スイミーは、レオ・レオーニによる人気絵本のキャラクター)」
あ~ちゃん「ほうね、スイミーじゃね笑 海外にいると、3人一緒に歩いていても誰にも気づかれないから、3人でファンシーなカフェに行ってコーヒーを買って〈持ち帰りで!〉って叫んで、興奮して踊ったりしても、誰にも気づかれない。3人で散歩できたらなって思いますね」
(筆者注:原文では、散歩をstrollって書いてます。まさにHave a Stroll!)
――今度のUSツアーが、Perfumeの物語に新たなブロックを築くことになります。これから先の10年や20年を、どう想像していますか?
あ~ちゃん「おもしろい質問ですね。いま、これまででいちばん自分たち自身が楽しめています。私たちは小学校からお互いを知っていて、たくさんの共通点があって。それ以上に10年以上一緒にいて、そこで同じものを見て、経験してきたので、それぞれを凄く理解できているんです。
Perfumeの未来がどうなるか、はっきりわからないし、いつまで続くかもわからないけど、私たちの関係はずっと続いてほしいなって思います。たとえ何があっても、同じ道で繋がっていて……日本の女の子で、私たちみたいな友情を持てる人は多くないと思います」
のっち「こういう話を、私たちの家族もいるご飯のときに話すんです。私には、3人がおばあちゃんになっても一緒にいて、同じもので笑ってるところがトータルで想像できてます」
あ~ちゃん「うちらがおばあちゃんって、あんた遥か先を想像しすぎよ!笑」
かしゆか「いろいろ飛ばし過ぎだから笑 私たちは人生の半分以上を一緒に過ごして、普通ではできない経験をして、それを乗り越えてきたんです。他の誰よりもお互いを理解しているから、この先何があっても、一緒に笑って、幸せでいられたらなって思います」
――この夏には、Perfumeの展示会がロンドンとNYで開催されます。衣装や舞台作品を展示しているそうですね。
かしゆか「これが実現することに興奮してます。日本では衣装や舞台の一部を見ていただく機会があったんですけど、海外のファンの方々にはそれも難しくて。私たちがいましていることを見ていただきたいんです。Perfumeって3人だけのことだと思われがちなんですけど、その裏にはチーム全員がいて、展示会ではそれを見ていただけると思います。できるだけたくさんの方に来てほしいですね」
――最後に、来たるべきライヴを楽しみにしているファンに一言お願いします。
のっち「Perfumeを初めて観る方もたくさん来られると思うので、皆さんに会えるのが本当に楽しみです。アルバムをリピートして、ライヴを楽しみにしていて下さい!」
かしゆか「ツアーは『COSMIC EXPLORER』のものなので、アルバムをできるだけたくさん聴いてほしいです。それと、日本語の美しさを楽しんでもらえたら素晴らしいですね。日本語の表現は間接的だったり曖昧だったりしますが、日本語の響きは皆さんの耳にも楽しんでもらえると思いますし、それがたくさん入っているのが私たちのアルバムです。
もし日本語がわからなくても、私たちのライヴは振付などの視覚面からも楽しんでもらえるはずなので。ライヴに来て、楽しんでもらえることを心から願っています」
あ~ちゃん「まず、USツアーが実現できただけでもすでに夢が叶っているんですけど、そこで爆発を起こすことができたら、本当に忘れられないと思います。ぜひライヴに期待して下さい。皆さんのリアクションを楽しみにしています!」
◇Sort of regret
ふー、やっと和訳と推敲が終わった……思った以上に時間がかかってしまった。さすがにもう当分やりたくないな……
いやいや無理無理!!!
第78回 Perfume 6th Tour「COSMIC EXPLORER」
①昨晩、Perfume LOCKS!にてお話させてもらいましたが、Perfume 6th Tour 2016 「COSMIC EXPLORER」第1章アリーナ編の終了を受け、話し合いの結果、内容感想言ってもらってもいいよね、ライブで感じた想いの丈を→ #prfm
— Perfume_Staff (@Perfume_Staff) 2016年7月12日
②→語ってもらえるってやっぱり嬉しい事だよね!
— Perfume_Staff (@Perfume_Staff) 2016年7月12日
ということになりました。
言わないでくれた皆さん、本当にありがとう!!!→ #prfm
③→ただし「COSMIC EXPLORER」ツアーは第2章北米ツアー、第3章ドームツアーとまだまだ続きます。見直してブラッシュアップはしますが、同じタイトルのツアーです。初めて見る人はまだまだいるしその人たちにも楽しんでもらいたい!→ #prfm
— Perfume_Staff (@Perfume_Staff) 2016年7月12日
④→このギリギリなスリル、焦らされるワクワク(笑)楽しみながらみんなで盛り上げられたら最高!!なので、上手~にみなさん!よろしくお願いします!笑
— Perfume_Staff (@Perfume_Staff) 2016年7月12日
これからもよろしくねっ♪
Perfume#prfm
えーと、ネタバレしてもいい、んですよね……?
では行きます。アルバム『COSMIC EXPLORER』は、Perfumeメンバーが近未来3部作(2005年頃)で語っていたとおり、SF好きらしい中田ヤスタカの本領発揮な、〈宇宙探索〉というコンセプトで作り込まれた入魂の作品でした。
おそらく、ツアーもアルバムの世界観を表現するものになるだろうし、コンセプトがSFなら、未来的で先進的なRhizomatiksのテクノロジーともきっと相性がいいはず。また新しくておもしろい展開を見せてくれるんじゃないか!?
……と期待を高めて、ツアー初日の仙台・セキスイハイムスーパーアリーナに臨みました。
◇Take off
さて、『COSMIC EXPLORER』ツアー初日の感想は……
「あれ? なんか、期待していたものとはかなり違ったな?」でした。
セットリストはニュー・アルバムの曲こそ多いですが、アルバムのような統一されたコンセプトはさほど感じられません。
新しい曲が続く流れに、サウンドも歌詞も脈絡のない昔の曲が入っていたり、「FLASH」はアルバムのモードを反映したAlbum-mix(こちらの方がひねりも利いていてカッコいいと思います)ではなく普通のヴァージョンだったり。確かに「ちはやふる」でお馴染みなのはそちらですが……
何より序盤にメドレーを入れながら、後半にも〈LIVE3:5:6:9〉で披露済みのすごろくコーナーがあり、あまりバランスが良くないように感じました。メドレーはどうしても曲のブツ切り感が出てしまいますし、すごろくは統一感も何も不確定要素そのものですから、普通はメドレーかすごろくか、どちらかにするのでは……?
もちろん『COSMIC EXPLORER』らしい、いままでになくダイナミックかつストイックな演出もありましたが、ひとつのライヴの中に〈LIVE3:5:6:9〉と『COSMIC EXPLORER』をミックスした感じで、ライヴ全体としてはまとまりに欠けた印象を持ってしまいました。何より、私が期待していた〈アルバムの世界観をライヴで完成させる〉ようなアプローチではなかったのです。
もっとも、仙台2日目以降は〈そういうものだ〉と認識してライヴを楽しむことで、やっぱり3人のダンスは年々凄さを増しているし、振付・演出・音響・照明・美術・衣装などのスタッフワークは見事だし、ハイパー楽しいツアーではありました。Perfumeのライヴ・パフォーマンスは、いまがもっとも充実した時期にあることは確実です。
◇LEVEL3
それでも仙台での初日が終わった直後から〈なぜ、今回はこういうセットリストにしたんだろう?〉という疑問がありました。おそらく、アルバムのコンセプトを忠実に再現した、斬新で先鋭的なライヴにすることも考えたはずで、それも実現できたはずです。
でも、そうはしなかった。
思い起こせば、〈アルバムのコンセプトをライヴで完成させる〉試みは『LEVEL3』ですでにやっていましたね。今回のツアーはむしろ、2015年の〈LIVE3:5:6:9〉で披露した演出が、序盤と終盤でそれぞれの主軸になっていました。そのうえ、さらにメドレーもプラスした、と。
あくまで憶測ですが、この選択の背景には〈LIVE3:5:6:9〉を観ていない人に加えて、〈今回のツアーで新たに出会うファン〉……つまり、これまでPerfumeのライヴを観たことのない方々の存在があったのではないでしょうか。
今回のツアーでは、Perfumeがこれまで行ったことのない会場が多く選ばれました。やっと自分の地元にPerfumeが来てくれる!初めてPerfumeのライヴを観られる!という人も多いだろうとPerfumeチームは予測したはずです。「アメトーーク!」のPerfume芸人とやらもありましたし……
コアなファンが喜びそうな、アーティスティックに作り込んだ先鋭的なステージではなく、初めてPerfumeを観る人でもその楽しさや独自性が伝わりやすいものを。楽しかった、また機会があれば観たいなぁ、と思ってもらえるようなものを。
だから、たとえライヴの流れや『COSMIC EXPLORER』の世界観を制約することになろうとも、有名な曲をなるべく多く披露したり、メドレーに挑戦したり、この規模のライヴでは普通ありえないすごろくコーナーを再び採り入れて、ライヴにおけるフックを増やそうとしたのではないでしょうか。
◇余談
ちなみに〈LIVE3:5:6:9〉の時期に、ちょうど宇多丸さんたちライムスターもツアーを行っており、私もそのライヴを拝見しました。
ライムスターのツアーでは恒例の、日替わり曲を演奏する〈ミステリーコーナー〉にて、この時はなんと20曲(!!)もの候補曲からルーレット方式で3曲を選び、その場で曲順と繋ぎ方を打ち合わせて、即座にメドレーを作っていました。さすが「K.U.F.U」に余念がない「キング・オブ・ステージ」です。
◇NIGHT FLIGHT
今回の「COSMIC EXPLORER」ツアーも、仙台→静岡を経て、3か所目の福井公演からは中盤の曲順を少し入れ替え、そこに「NIGHT FLIGHT」を追加したことで〈宇宙へと旅立つ〉的な意味合いが補強されるなど、やはりツアー中での改善が目を引きました。すごろくコーナーの曲も結構入れ替わっていたし(仙台では「SEVENTH HEAVEN」が入っていたけどいつの間にかなくなったり、幕張メッセ公演から大きく変更されるなど)。
そして何より、不確定要素やハプニングが付き物のライヴにおいて、精度の高さと正確性をとことん追求していくPerfumeらしさを、今回のツアーでも強烈に感じました。
臨機応変な対応が必要なすごろくコーナーはもちろんのこと、会場ごとにサイズの変わる大規模な機構の使い方(と先導するのっちの歩行スピード)、「Next Stage with YOU」でのAR(拡張現実)演出、阿波踊り(※徳島公演のみ)。
はたまた「Pick Me Up」イントロでの音響と照明とダンスが瞬時にスパークする感じや、そのまま「Cling Cling(Album-mix)」「Miracle Worker」へと全力疾走し続けるタフなパート(おそらく凄まじい体力勝負)などなど、まあこんなライヴをよくできるな!というPerfumeの凄味が遺憾なく発揮されていました。
◇Hold Your Hand
とはいえ、アルバム・コンセプトのキーになっている(と思う)「Hold Your Hand」が幕張メッセ公演以降のセットリストから外れてしまうなど、個人的にはとても残念な変更もあったのですが、総じて見れば、こんなライヴはまずPerfumeしかやらないであろうし、創意工夫を凝らした独自性のあるツアーになっていて、Perfumeは変わらず日本を代表するライヴ・アクトのひとつだなと思いました。
Perfumeメンバー及びスタッフの皆さんが、このツアーの手応えをどう捉えているか、ファンがライヴ後のアンケートにどういうことを書いているかはわかりませんが、少なくとも夏のUSツアーを経て、ふたたび日本国内のツアーとなる〈Dome Edition〉ではさらなる工夫と改良を経て、趣の異なるライヴを見せてくれることでしょう。
繰り返しになりますが、私も長らくPerfumeを観てきましたが、どう考えてもいまがいちばん凄いです。Perfumeに残された時間がどれくらいあるのか、私にはわかりませんが、いまからでも全然遅くはありません。
ぜひ、見届けて下さい!!
第77回 2009年、そして2016年のフライデー事件
2016年7月1日、とある記事が写真週刊誌「フライデー」に掲載されました。その詳細は一切省きますが、以前報じられた記事のダメ押しともいえる内容のものです。このブログでは、以前の記事に対する識者の見解(a.k.a 宇多丸さんの魂の叫び)も紹介していますが、はてさて……
しかしこの記事、どう捉えればいいのでしょうか。
信憑性のない三流記事?
今後のPerfumeの行く末を左右する大事件?
フライデー許さん?
高橋許さん?
あ~ちゃんが幸せならそれで良い?
私にはどれもそこまでしっくりきません。そもそもの因縁を辿るため、まずは2009年の話に遡りましょう。
◇Perfume VS フライデー
2009年6月、Perfumeメンバーに関する記事がフライデーに掲載されました。これもまあ詳細はぶっ飛ばします。
いまとなっては笑い話ですが、のっち→かしゆかと2週連続の記事掲載となった当時の衝撃はかなりのもの。このブログでも、識者の分析(a.k.a 宇多丸さんの心の叫び)を紹介しています。
2009年というのは、その前年に『GAME』の大ヒットを経て、かつては夢のまた夢だった日本武道館公演が大成功。Perfumeメンバー、3人をずっと支えてきたスタッフ、そしてファンすべてが、Perfumeの輝かしい未来が、すぐそこまで来ていることを確信して、喜んでいたはずです。苦労も多かったけど、ようやくここまで来られた。そしていよいよこれからだ!と。
フライデーの記事は、そんな期待に冷や水を浴びせました。
◇VOICE
フライデー事件の直後、宇多丸さんのラジオ番組に、Perfumeファンの男性からのメールが届いています。
〈このショックの理由は、自分たちの声援が、アイドルである彼女たちの幸せに繋がるものと思っていたのに、そんなの一切関係なく、彼女たちは自分で幸せを見つけていたことに、落胆したからだと思います〉という、まあ言ってしまえば当然の現実を、多くの男性ファンは目の当たりにしたわけです。
宇多丸さんが心境を語ったように、「自分は疑似恋愛をしているつもりはなかったのに、思った以上にショックを受けた」という人も多かったでしょう。私もそうです。この事件によって、疑似恋愛ファン層が相当数削られたのは、その後の支持層の若年化を考えると、結果的には良かったと言えるのかもしれませんが、それもまた皮肉ではあります。
この記事でショックを受けたのはファンだけではありません。当時の〈MEMBER BLOG〉で、あ~ちゃんの映像は化粧っ気も元気も一切なく、痛々しいものでした。しかしそれは、あくまでカメラを前にしたもの。フライデー事件以降、初めてファンの前に立った日が、『⊿』ツアー初日、2009年8月7日の埼玉・戸田市文化会館でのライヴです。
以下、当時の私の日記から抜粋します。
雨降る戸田駅の周辺には〈チケット譲って下さい〉とボードを持つファンが多数。会場に移動し、1300人規模という当時のPerfumeには小さすぎるホールに入ると、満員の場内にはいままで感じたことのないような張り詰めた空気が。
フライデー事件以降、初めてファンの前に立つ3人が何を話し、何を話さないのか。いつもより静かな客席には、かなりシリアスでナイーヴな受け止め方をする人も多かったように思います。
場内が暗転すると「Take off」のSEから、幕を丸く切り取って3人が登場。新しい、そして大胆かつ大規模な演出に挑戦するPerfumeの姿。「NIGHT FLIGHT」「エレクトロ・ワールド」「Dream Fighter」「love the world」を経て、最初のMCが始まります。
あ~ちゃん「戸田市文化会館、チケットが激戦だったそうで。ここで運を使い果たして大丈夫ですか?」
「私たちは2か月ほど前に、皆さんをお騒がせしてしまって……」
すると観客の一部から、クスクスと笑い声が。今思えば、これくらいの余裕のある受け止め方が、ちょうどいいかもしれませんね。全然気にしてないよ、って。
しかしそこでのっちが、「そこ笑うところ?」とちょっとおかんむり。あれ? 確か君の記事が先陣を切ってお騒がせていたのでは……
あ~ちゃんの話は以下のようなものでした。
「いままでライヴでは、正直な思いを伝えようとやってきたつもりだったけど、もうあの件(フライデー)で、自分たちを信じてもらえないんじゃないかと思った。皆さんを信じ切ることもできていなかった。アルバムのプロモーションをしていても、うまくいかなくて、どうすればいいのかわからなかった。
でも、アルバムが凄い数売れて、本当に嬉しかった。ライヴも、それまでは〈いやだな、やりたくないな〉って思ってたけど、やるからにはしっかり準備して、最高のライヴにしたかった。今日は特別な時間にしたいので、皆さんも心から楽しんで下さい!」
私の記録には〈あの件には触れないと思ったけど、あ~ちゃんは正直な人だ。この話の最後の方では泣きそうだった。話の間、かしゆかは神妙な表情、のっちは苦笑していた〉って書いてあるけど、確か君の記事が先陣(以下略)
フライデーの話が終わって……しかし、あ~ちゃんのMCは終わりません。
「戸田には、びっくりドンキーがたくさんあります。3つもある。でもマネージャーは1軒しかない〈安楽亭〉に反応していた」
グッズ紹介の流れでは、パンフレットやステッカーなどを見せる3人。このツアーでは〈部屋着〉もあったようです(※記憶にない)。かしゆか、部屋着を身体に当てて見せて「ワンピースにもなるよ」。あ~ちゃんは会場内に早くも部屋着を着ている客(ライヴ中なのに!?)をめざとく発見。「普通の部屋着って、コンビニには行きづらいよね? でもこのグッズの部屋着なら……まあ結局行けんのじゃけど。透けるから注意しんさいよ」
他にも延長料金ネタ、「大人が動いてくれて素晴らしいステージができた。お金すごいかかっとる」など、あ~ちゃんのなかなかの放言が記録されています。お客さんの前に立つことで、鬱屈を晴らすことができて、楽しかったんでしょうね! それと蛇足ですが、この時期からブログやってればよかったかな、と少し思わなくもないです。
◇会いたくて 会いたくて
中盤のMCも記述あります。以下、おそらくライヴを〈いやだな、やりたくないな〉って思っていた時期になされたのでは、と思われる会話です。
あ「事務所の偉い人と話してて、その人が〈コンサートに来るって、どういうことだと思う? 音楽が好きなら、CDを聴けばいい。それでもライヴにお客さんが来てくれるのは、そのアーティストの人柄に触れたいから。その人に会いたいからだよ。たとえばサザンオールスターズは何百曲もあるけど、ファンの人は桑田さんやメンバーに会いたいから行くんだ〉って。
確かに自分も、aikoさんのコンサートに行くときは、『明日』とか好きな曲やってほしいなーと思うし、やってくれたら嬉しいんだけど、それよりもaikoさんに会いたいから行ってる。それなら、Perfumeのライヴにこんなにたくさんの人が来てくれるのはどういうことだろう?って、そう考えたら心がぎゅってなって、凄く嬉しくなった。せっかく来てくれた人の為にも、最高のライヴをやりたい」。
そしてそのMCの後、「ワンルーム・ディスコ」を経て、ここでなんと、もう絶対やらないと思った「ジェニーはご機嫌ななめ」が炸裂!!! イントロで起きた爆発的な歓声、忘れがたいです。私も思わず「おおおおおおお!!!!」と叫んでしまいましたよ。のっちが元気いっぱいに歌い始めます。
〈♪君とイチャイチャしてるところを見られちゃったわ
それをペチャクチャ言いふらされて私ピンチ〉
私の記録には〈ははは!全部事実じゃん! めちゃくちゃ盛り上がったな〉って書いてありますね。この「ジェニー」こそ、フライデーの記事への鮮やかなアンサーであり、Perfumeとしてどうあろうとしているかの意思表示とも取れます。その後のPerfumeの快進撃は言うまでもありませんね。
◇Seven Years In ...
戸田市文化会館のライヴから7年後。第二次フライデー事件の翌日、札幌でのライヴが開催されました。ツアー千秋楽を飾る北海きたえーるのチケットは2日ともソールドアウト。この動員はさすがです。
最初のパートを終え、あ~ちゃんが開口一番「みんな、楽しみにしてきたーー?」
はい、いろんな意味で!!
するといきなりあ~ちゃん「皆さんを信じ切ることができなくって……」
えっ? 7年前の戸田市文化会館でも同じようなこと言ってたぞ!?と凄まじいデジャヴに襲われましたが、「皆さんを信じ切ることができなくって、2年前に札幌に来たときは、1日しかやらなかった。でもそのときに、〈次は2日間やります!〉と言いました。そして今回、2DAYSで来ることができました!! 今日は最高の時間にしましょう!!」
おおー、ヒヤッとしたよ。あ~ちゃんがいつものようにはけると、のっちのソロMCに。開口一番「えー、先日ネットで……」
えっえっもうあの件触れるの!?
「電球を6個買うつもりが、60個買いました! のっちです!!」
…………。
しかしその後、のっちは意を決したように喋りだしました。
「今回のツアー、楽しく回ってきて、ここ札幌が最終公演です。でも、愛のない横槍を入れたり、わーわー言う人達がいて、心が揺さぶられないわけではないけれど、私たちの信念や覚悟は揺るぎません。私たちには皆さんの愛があるし、私たちの作品への叱咤激励を、真摯に受け止めて進んでいきます。
そして何より、私たちがいちばん大切にしているライヴで、今日という貴重な時間を、最高のものにしましょう!」
まさかのっちが、これほど大人な対応をするとは……!!
一言でいえば、「記事は否定も肯定もしない。けれど、自分たちの作品とライヴで判断してほしい」ということですね。
んー何ですかね、別に楽しい話ではないけれど、フライデーに好き放題書かれつつもアイドルとしてしっかり機能(?)できているのがなんかおもしろいし、まあ音楽やライヴの良し悪しとは関係ないし、という感じか。
— t_kito (@t_kito) 2016年7月1日
そして宇多丸さんと同様、やけくそ気味な「お幸せに!」に至るという
↑第二次フライデー事件当日の私のツイート
かしゆかがMCに戻ってきます。「でもさっきの電球の話、あるね。ネットでパーッと買い物していると、うっかり業務用とか買いそうになる」
の「余った電球をスタッフの皆さんに配ろうか。あ、ファンクラブ会員にプレゼントしようか! あとで担当に確認する。プレゼントの意味をはき違えている気もするけど」
か「電球は一度のっちの家に行ったもの」
の「場所がなくてキッチンに置いてある」
もう完全に通常モードな二人でした。
あ~ちゃんの様子はいつものように笑顔いっぱいでしたが、これは人によって見え方は異なるでしょうね。
◇Miracle Worker
のっちの演説でフライデー事件ははいおしまい……と思いきや、まさかの展開で、戸田市文化会館で披露した「とある曲」を歌うミラクルが起きたり、それを歌うあ~ちゃんが凄く微妙な表情に見えたり、かと思えば「みんな聴きたい曲ある? 彼氏募集中?」とさらっと強烈な一発を入れてくるなど、偶然も味方して、よくわからないけどかなりおもしろいところにきっちり着地できたと思います。
もし、2009年のフライデー事件がなかったら、こんなに見事な受け身が取れたかわかりません。もちろん年齢を重ねたいまだから、そこまで動じなくてもいいこともあるでしょうけど、あの事件があって、3人やスタッフの皆さんが頭を悩ませ、どう対応すればいいか苦慮したからこそ、そこで深まったものだってあったはずです。それが今回の対応にも生きたのではないでしょうか。
もし、2009年のフライデー事件が、2016年の第二次フライデー事件を越える力になったのだとしたら、こんなに愉快なことはありませんよね!
さあ、この後はいよいよ『COSMIC EXPLORER』ツアーの国内最終公演です!! 目いっぱい楽しみましょう!!!
第76回 特にPerfumeに関心がない人の『COSMIC EXPLORER』幕張ライヴ評
このブログでは以前、Perfumeに興味のない知人女性に無理矢理映画「WE ARE Perfume」を見せたエントリーを書きましたが、ご存じでしょうか。
今回はその第2弾として、ほとんどPerfumeに関心のない友人男性をライヴに無理矢理誘いました。
◇Let Me Introduce...
友人はこんな人です。
・アーティストマネージメント、レコード会社、プロモーターなどでキャリアを重ね、音楽業界を知り抜いている
・クラブDJとしても長年活躍しており、音楽知識も幅広く豊か
・超有名どころを含めて、数多のDJやミュージシャンとも親しい
・私とは10年前に仕事で知り合った。このブログの存在も知っている
・Perfumeは、CMタイアップなど〈メディアで流れる曲〉がなんとなくわかる程度
・ライヴに向けては、一切の予習をしていない
・山中湖のフェス「SWEET LOVE SHOWER」に山下達郎さん目当てで行ったとき、Perfumeも出演していたが、Perfumeの時間は場内アトラクションの気球に乗っていた
よりによって気球って……私がいなければ、彼とPerfumeのライヴは未来永劫、接するポイントはなかったでしょう。はたしてどうなるか!
◇幕張初日 MCダイジェスト
かしゆか「幕張はワンマンでは初めて。フェスでは出たことあるけど、ああいうときは大抵、最前列には〈次のアーティスト待ちでーす〉の人がいる(※いかにもつまらなさそうな再現芸あり)。もちろん好きなアーティストを最前で観たい気持ちはわかる! でも、今日は全員がPerfumeファンなんだよね!」(※私の友人を除いて)
あ~ちゃん「ゆかちゃんは、いてくれるだけでええんよ」
か「ありがてぇ~ポジションじゃ」
あ「ライヴはね、ホントは90分くらいがちょうどいいんよ! でもファン・サーヴィス(Fan service)の女たちだから、そこはもうがんばっちゃう」
あ「この写真、寮の食堂で撮った奴」
のっち「二重跳び1回だけできるよ!(再現すると、飛んだ後身体が深く沈み込む)」
あ「(P.T.Aのコーナーにて、カメラ収録が入っていない日だけできるという)ミッキーー! ミニーー!! しまった手足がこんがらがって間違……バズ・ライトイヤァーーーッ!!! 無限の彼方へ、さあ行くぞー! 飛んでるんじゃない、落ちてるだけだ!」
か「名言出た!」
の「ゆっくり間違えた」
あ「会長に夢を託されました、マディソン・スクエア・ガーデン2DAYS」
の「じゃあ3人でワンオク風のジャンプしよう! みんなも飛んでね!」
ワンオク風ジャンプとは pic.twitter.com/XYUNklgRvw
— matome (@eight88888) 2016年6月17日
◇P.T.Aのコーナー
今回、とある曲が「P.T.Aのコーナー」で使われていますよね。誰もが耳にしたことがありそうなあの曲で、ライヴではみんな楽しそうに踊っています。
実はこの日のライヴに来てもらった友人、まさに当時あの曲に関わったスタッフなんですね。それを昔から知っていたので、このツアーは彼に観てほしかったのです。
「P.T.Aのコーナー」であの曲のコール&レスポンスが始まると、彼が「まさかこの曲とは……」と呟いて、しめしめ、してやったり!と思ったのです。
終演後、どこであの曲だと気付いたか尋ねたら、
「(あ~ちゃんの)最初のステップの取り方でもう気付いていた」とのこと……えっその時点でわかるんだ!? さすがは元スタッフ。そしてあ~ちゃんの再現度がそれなりに高かったということですね。
◇キミは何を思うの
幕張メッセ初日のライヴが終わりました。この日のライヴ、大きな会場の一発目でありながら、ダンスのグルーヴ感も、音響も、会場の一体感も申し分なかったです。長いPerfumeの歴史でも、いまが心・技・体でもっとも充実している時期なんじゃないか?と感じる程の出来でした。徳島のミラクルはまぐれでもなんでもなかったのです。
そして彼に感想を訊くと、開口一番出てきたのはなんと……
「圧倒的な多幸感」でした。
これが凄く意外で、彼のキャリアからすれば、まずは楽曲のクオリティーや音響、演出や構成といったテクニカルな部分から言及されるものと思っていました(そもそも、彼は現行アイドル・ポップスにそこまでハマるようなタイプでもありません)。
そしてこの〈多幸感〉、宇多丸さんやピエール中野さんによるPerfumeライヴ評と、まったく同じポイントです。
↑『GAME』がオリコンチャート1位を獲得したことを知り、多幸感に包まれる宇多丸さん
それぞれ異なるルートやメソッドや信念をもって、人生における音楽の在り方を突き詰めて、それを生業にしている人たちが、揃いも揃って〈Perfumeライヴの多幸感〉を大きな魅力として挙げるところに、やっぱりそこが核心なのか、と思わざるを得ません。
↑広告写真ですら〈I♥Perfume〉Tシャツを着用するピエール中野さん
友人の人生において、仕事と関係なく、アイドルのライヴに行くことはほぼないでしょう。そして彼の、音楽への並ならぬ思い入れをよく知っている(つもりの)私にとって、その賛辞は驚きでもあり、やっぱPerfumeチームすげえなって感じでもありました。
彼のライヴ評は続きます。(※曲名は出していませんが、ネタバレギリギリな表記もありますので、ライヴ未見の方はご注意下さい)
・全体的に素晴らしい
・圧倒的な多幸感を少なくとも4回感じた
・1曲目の時点では、こういうクールな演出で最後まで見せ切るのかと思ったら全然違って、人間味に溢れていた。あれは好きになる人が多そう
・ライヴ中に楽しめる部分がたくさんあって、それぞれが魅力的。生身のパフォーマンスだけでなく、ディスプレイの映像がそれを補完して完成する曲もあって、最初それに気付かなくて悔しかった
・あのディスプレイに映る映像の綺麗さは普通じゃない。4Kで撮影しているのだろうか? 普通は映像の赤みや青みが強調されてしまうので、ライヴで流す用にあのクオリティーの映像を作れと言われたら、頭が痛い
・音響は、最初かなりキツかった。全体の音が潰れているうえに高音域が耳に痛い。これは困ったなと思ったが、最初のMC以降は一気に改善されて、PAの技術に驚いた
・360度からお客さんに見られるあのステージは、メンバーにとって気が抜けないもの。負担にもなるだろうし、本当はあまりやりたくないかもしれないが、ダンスを裏側から見られるような趣向はファンには嬉しいだろう
・ステージ上での打ち合わせも、舞台裏を見せているようでファンは喜びそう
・「(曲名、ネタバレ)」が特に良かった。〈まったく踊らない〉という振付でも、それ以外の要素でもって成立させているのが凄い
・曲がどれも凄く良くできている
・ダンスでいちばん難しいのは、(動きを)止める技術だと思っている。Perfumeはそこがずば抜けている
・ライヴの見せ方として、すごく挑戦しているのが良い
・途中でダレるかな、と事前に思っていたけど、見せ場をバランス良く配していてそれは杞憂だった
・私が全国各地のライヴを観に行ったり、どうかしているブログを書いていることにも合点が行った
友人は〈良いものは良い〉というフラットなスタンスなので(その分、いい加減なものには手厳しい)ある程度おもしろがってもらえるかな?とは予期していましたが、私とは違う(=私には見えていない)見方で、ここまで高評価のポイントが出てくるとは思っていませんでした。
◇Let's Groove
時系列が前後しますが、ライヴの翌日、友人からメールが来ました。
・メンバーみんなリズムの感じ方が後ろ目、重めだから(ダンスが)しなやかに見えるのかも。意図的にそう見せているのかはわからない
・もともと個々が持っているリズム感もありながら、ドラマーが敢えてコンマ数秒後ろのところを叩くことでグルーヴを重くする、的な
・なので僕の中ではPerfumeのダンスはジャズ寄りではなくロック
もしかすると楽器の演奏やDJを経験していない方にはあまりピンと来ない表現かもしれませんが、これがつまり〈グルーヴ〉の認識です。このブログでもときどき表記していましたが、そういえば説明などは一切していませんでした。
グルーヴは、日本語では〈ノリ〉なんて訳されますね。人間が楽器を(ソロでも合奏でも)演奏すると、たとえどんなに上手い人であっても、ほんのわずかにリズムのズレや、音量の変化が生じます。人間の耳は、その揺らぎを心地良く感じるのです。その揺らぎから生まれる、演奏のダイナミクスをグルーヴと呼びます。
グルーヴの基礎は、ドラムとベースです。友人のメールにあるように、ドラマーがジャストなタイミングよりほんの僅か遅れて(これを〈溜める、タメを利かせる〉とか言いますね)ビートを刻むことで、聴いている人には重たさや迫力、引っかかりを感じさせることができます。
↑せっかくですし、もう一度貼ってみました
一方で、カラオケボックスのバックトラックを考えてみて下さい。どの楽器(というかパーツ)も、リズムはきっちり正確で、音量もすべて一定をキープしているはずです。でもそのいかにも機械的な正確さって、音楽としては味気なくありませんか?
ヤスタカのトラック……つまりPerfumeの楽曲の場合も、それぞれの要素を完全にぴったり揃えるのではなく、ほんの少しリズムをずらしたり、音量のメリハリを与えている(はずです)。ここから生まれる躍動感こそが、グルーヴです。
↑グルーヴを感じるならこれ!という曲に悩みましたが、やっぱりこれでしょう!
グルーヴィーな音楽は聴く人を楽しませて、身体を動かしたり、踊りたくなります。演奏に、そして音楽に重要なのは正確さではなく、グルーヴです。ちなみに徳島でみんなで踊った阿波踊りの魅力も、グルーヴ感にあります。
ただし難しいのは、グルーヴの認識は誰でもできるとしても、それを生み出せるかはまったく別の問題です。演奏が物凄く上手なメンバーでバンドを組めばすぐに最高のグルーヴが出るかというと、まったくそんなことはありません。
グルーヴを生むために、当然技術は不可欠ですが、それ以上に演者たちのリズム感や呼吸、相性や好みといった曖昧な要素に大きく左右されます。そのうえで地道な練習やライヴを重ねる必要もあるでしょう。えてしてグルーヴは人と人の関係や、鍛錬の中でこそ生まれます。
察しの良い方なら、僕が何を言わんとしているかお判りでしょう。
このブログで、Perfume3人の〈関係性〉の話はほとんどしていませんが(それはどうしても空想・妄想の範疇を出ないため)、この〈演者たちのリズム感や呼吸、相性や好み〉のアンサンブルが抜群だからこそ、そしてそれを小学生の頃から3人+MIKIKO先生で追求し続けてきたからこそ、Perfumeのダンスには他のどのグループとも違うグルーヴ感があります。これは断言できます。
かつてMIKIKO先生はTV番組で、「Perfumeの振付で心掛けているのは〈形の美しさ〉と、〈その中でのグルーヴ感〉」と語っていましたが、まさにいまのPerfumeは心・技・体ともにそれを最高のレベルで実現できている、充実した時期だと思います。
〈Perfumeとグルーヴ〉の話はいつか必ず書きたかったので、友人ありがとう! しかし音楽ファンがグルーヴのマジックに魅せられてしまうと、友人や僕のように何千枚もCD(友人はレコードも)を買っても止まらず、理想のグルーヴを追求し続けてしまうので、くれぐれもご注意下さい……。
◇Fan service [Bitter]
さてグルーヴ話で脱線しましたが(でもいちばん書きたかった部分)、終演後に一通り賛辞を述べてくれた友人が「でもさ、良い意見ばかりを聞きたくて呼んだ訳じゃないでしょう」と一言。待ってました。
「全体的には素晴らしいが、あえて言うなら……」ということで、以下、友人が呈した苦言です。
・生のヴォーカルを被せている曲と、そうではない曲があったが、生歌を被せている曲は歌の音量のバランスが取れておらず、正直きつかった
・特に終盤がもったいなかった。最後から2曲目(曲名は「A」とします)でも生のヴォーカルを重ねていたけど、決して揃って上手というわけでもないので音程が不安定だし、先述したヴォーカルそれぞれの音量の問題もあった。ベースの軽さも気になったし、いかにもアイドル・ポップな曲調もちょっと……これはもちろん好き嫌いの話だけど
・最後の曲も歌い上げ系を持ってきていたが、「A」と同様に音程のズレと音量のアンバランスがあった。それでも、観客が全員で大合唱していれば感動したと思うが、別にそういう雰囲気でもなかった……
・個人的に、トラックとヴォーカルの全体的なバランスは、もっと歌を前に出してもいいように思った。逆に、生の歌を重ねる時はマイクの音量は下げてほしい
・楽曲の作りがまったく同じものがふたつあった。メロディーやアレンジは変えてみせているけど、構成は完全に同じ
・セットリストの構成も難しいと思った。どれも曲は凄く良いが、ダンス・ミュージックをそれなりに聴いている人でなければ、全部の曲が同じに聞こえてしまわないか?(※これは私の認識だと、すべてを〈テクノ〉か〈テクノ・ポップ〉で括っている人も少なくないと思います。しかしこの日、いわゆるテクノは1曲もありません)
以上、私が常々思っていることもあれば、思いもよらなかった指摘もあり、やっぱりプロの意見ですね。繰り返しますが、「ライヴ全体は素晴らしいが、あえて言うなら」という指摘ですよ!
また、苦言ではありませんが「メンバーが〈歌詞を書きたい!〉とか言い出したりしないのか? そういうときはどうするのか?」という質問をされたので「あ~ちゃんが一時期そう言っていたが、ヤスタカはまったく聞き入れなかった」と伝えました。
◇Point
とまあ幕張メッセ近くのお蕎麦屋さんで散々話し合ったのですが、友人の結論として、以下の内容が述べられました。
・今日のライヴでいちばん良かったのは、〈ネタバレなので控えます〉を使って3人がポーズを取るシーン
・何より3人が可愛い。それは顔やスタイルだけの話じゃなくて、所作や愛嬌も含めて。やっぱり愛嬌が何よりも大切だと思った
友人よ……いや、もはや同志!!
彼がふたたびPerfumeのライヴを観る機会があるかはわかりませんが、そのときはこの話の続きがあるかもしれませんね。
さあ、そして今日は幕張メッセ公演の2日目です! 楽しんでいきましょう!!
第75回 Perfume 6th Tour「COSMIC EXPLORER」徳島公演
◇6月4日(土)アスティとくしま
◇Dance With...
◇Money
◇P.T.Aのコーナー
◇3人のタイプ
◇締めのMC
昨日のPerfumeのライヴも良かったなー。セットリストを変えて流れが良くなっていたし、「STAR TRAIN(Album-mix)」ではイントロのドラム部分で、さらしを巻いたのっちが和太鼓を乱打して、観客全員で夜中まで阿波踊りを踊りまくったからなー(一部ウソ)
— t_kito (@t_kito) 2016年6月5日
↑徳島公演関係の自分のツイートで、個人的にいちばん気に入っているもの
◇6月5日 アスティとくしま
◇Let's Dance!
◇チーム分け
◇Perfumeの選曲基準
◇マスカラ
◇後半戦
◇3:5:6:9コーナー
◇ザキさん
それ普通に、私と同じでPerfumeファンそのものじゃないか! とはいえ、好きな人たちとお仕事できる可能性があるのが、音楽業界のいいところですね。
↑もう会場は鳴門の渦潮みたいな盛り上がりでした(?)